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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1150535
審判番号 不服2005-10103  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-08-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-27 
確定日 2007-01-10 
事件の表示 平成 7年特許願第282036号「光学スキャナ」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 8月20日出願公開、特開平 8-214119〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成7年10月30日(パリ条約による優先権主張1994年10月31日、アメリカ合衆国)の出願であって、その請求項1に記載された発明は、平成14年10月15日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。(以下、「本願発明」という。)
「【請求項1】
走査面内にあって近限界焦点面により下方エッジが、遠限界焦点面により上方エッジが制限される走査領域を照射するための光源アセンブリ、前記近限界焦点面及び遠限界焦点面は間隔を置いて互いに平行で前記走査面に対して垂直をなしている、 において、
長軸に沿って配設された細長の光源と、
前記近限界焦点面の近傍に配設された前記走査領域上の各ポイントが第1の照射を受け、前記遠限界焦点面の近傍に配設された前記走査領域上の各ポイントが第2の照射を受けるよう、前記細長の光源から発光する光線を遮蔽するための前記細長の光源に隣接して配置された遮光装置、前記第1と第2の照射は所定の検出可能な照射範囲内にある、と、
を備えたことを特徴とする光源アセンブリ。」

2.引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-82863号公報(以下、「引用例1」という。)には、
ア 「光源(6、6′)から出射して所定位置にセットされた原稿上のカラー画像を照射する光の反射光を、縮小光学系によりラインイメージセンサ上に結像させてカラー画像を読み取るように構成され、
前記光源(6、6′)と原稿との間に、原稿への入射光の範囲を規制する遮光部材(21、21′)を備えたカラー読取装置において、
前記遮光部材(21、21′)を、原稿への入射光の範囲を変化させ得るように移動可能に設けたことを特徴とするカラー読取装置。」(1頁左下欄5行?15行)、
イ 「このため、第8図に示すように、原稿100や原稿載置用ガラス板(上述)7の内部で反射する乱反射光すなわち点線で示す迷光8を低減する手段として、蛍光灯6、6′(第6図では蛍光灯6′は省略)上に遮光板9、9′を設けている。また、迷光8の除去効果を増強するため、読取部とミラー(上述)10との間に2枚の黒色板11、11′により形成される導光路12を設けたものも提案されている。13はミラー10での反射光である。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、迷光8を除去するために取付けた遮光板9、9′の影響で、第9図(a)に示すように原稿面に写真100aが張られて部分的に厚さが変化するものを読み取る場合には、蛍光灯6、6′の照射光により段付部分に陰影が生じ、読取品位に影響を与える(段付部分に線が入る)。また、第6,7図のような縮小光学系では、光学系の焦点深度が深く、第9図(b)に示すような立体物101の読取も可能という利点があるが、第9図(a)と同様に陰影が発生してこの利点を生かすことができない。すなわち、立体物101の読取時に、読取面(ガラス板7の表面)より離れた部分においては、照射量が減少して読取に必要な光量が得られず、狭い間隔の凹部I4では陰影15が生じて正確な色読取が行えない。
本発明は、表面に凹凸がある読取物でも陰影なく高いS/N比で画像信号が得られるようにすることのできるカラー読取装置を提供することを目的とするものである。」(2頁左下3欄5行?右下欄13行)、
ウ 「また、第1図(b)に示すように、原稿面に写真100a等が張られて部分的に厚さが変化するものを読み取る場合には、遮光部材21、21′をそれぞれ矢印方向に所定量移動させ、間隔を第1図(a)のL1より広いL2とする。これにより、蛍光灯6、6′による原稿面照射領域が増加して原稿面での光量が増加するので、従来問題となっていた陰影の影響を低減して読取を行うことができる。
さらに、第1図(C)に示すように、立体物101を読み取る場合には、遮光部材21、21′をさらに矢印方向に所定量移動させ、間隔をL2より広いL3とする。これにより、従来問題となっていた陰影の影響を低減して読取を行うことができる。
このように、本発明では、原稿面の状態により遮光部材21、21′を移動させて原稿面への入射光の範囲を変化させ、これにより原稿面の照射光量を増減できるようになっているため、表面に凹凸がある読取物でも陰影がなく S/N比の高い画像信号を得ることが可能である。
なお、本図のように導光路12を付加すれば、原稿面やガラス板7の表面で生じる迷光が縮小光学系に入射するのを防止するとともに、蛍光灯6、6′からミラー10へ直接入射する迷光成分を減少させることができ、より一層の効果が得られる。」(3頁右上欄3行?左下欄7行)、
エ 「第2図は読取光学系の構成を示す斜視図で、図中、22、23はミラー10とともにミラー系を構成するミラーである。これらのミラーはレンズ2とともに縮小光学系を構成する。なお、原稿載置用ガラス板7と蛍光灯6、6′(本図では蛍光灯6′は省略している)の間には、図示を詳細したが、1対の遮光部材21、21′(第1図に示したもので、その構成、作用、及び効果は後述)が設けられている。・・・(中略)・・・この画像読取時における従来の問題点(表面に凹凸のある読取物では陰影の影響によりS/N比の高い画像信号が得られない)を解決する手段として、本発明では、遮光部材21、21′が設けられている。そして、第1図に関連して前述したように、表面に凹凸のない原稿100を読み取るときは第1図(a)に示すように遮光部材21、21′の間隔をL1として読取を行い、写真100a等が張り付けられた原稿を読み取るときは第1図(b)に示すように遮光部材21、21′の間隔をL1より所定量大きいL2として読取を行い、立体物101を読み取るときは第1図(c)に示すように遮光部材21、21′の間隔をL2より所定量大きいL3として読取を行う。これにより、従来問題となっていた陰影の影響を低減してS/N比の高い画像信号を得ることができる。」(3頁左下欄12行?4頁左上欄11行)
オ 「なお、本例では導光路12が付加されている。この導光路12を付加することによって、原稿面やガラス板7の表面で生じる迷光が縮小光学系に入射するのを防止するとともに、蛍光灯6,6′からミラー10へ直接入射する迷光成分を減少させることができ、より一層の効果が得られる。導光路12は、本例では1対の黒色板で形成されたものを示したが、光集束性光学繊維で形成されたロッドレンズアレイを用い、これを光路内に挿入するようにしても良い。」(4頁右上欄12行?左下欄1行)が記載されている。
これらの記載ア?オ及び図面第1図?第9図によれば、引用例1には、光源(6、6′)から出射して所定位置にセットされた原稿上のカラー画像を照射する光の反射光を、縮小光学系によりラインイメージセンサ上に結像させてカラー画像を読み取るように構成され、前記光源(6、6′)と原稿との間に、原稿への入射光の範囲を規制する遮光部材(21、21′)を備えたカラー読取装置の光源装置において、迷光8の除去効果を増強するため、読取部とミラー10との間に2枚の黒色板11、11′により形成される導光路12を設け、立体物101を読み取る場合には、遮光部材21、21′をL2より所定量大きいL3として、原稿面への入射光の範囲を変化させ、これにより原稿面の照射光量を増減でき、表面に凹凸がある読取物でも陰影がなく S/N比の高い画像信号を得ることを特徴とするカラー読取装置の光源装置の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

3.対比
そこで、本件発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「光源装置」は、縮小光学系を有し、光学系の焦点深度が深く、立体物101の読取も可能とするものであるから、大きな「被写界深度」を具備しているものといえ、さらに、その「近限界焦点面」及び「遠限界焦点面」は間隔を置いて互いに平行で「走査面」に対して垂直をなしているといえる。また、引用発明の「光源(6、6′)」、「遮光部材(21、21′)」及び「2枚の黒色板11、11′により形成される導光路12」は、図面第1図?第9図の構成をみると、「走査領域」を照射するための「光源アセンブリ」を構成しているといえる。
引用発明の「光源(6、6′)」は、蛍光灯であり、図示された形状をみると「長軸に沿って配設された細長」といえるから、本願発明の「長軸に沿って配設された細長の光源」に相当する。
引用発明の「遮光部材(21、21′)」と「2枚の黒色板11、11′」は、図示された形状をみると、細長の光源から発光する光線を遮蔽するための前記細長の光源に隣接して配置されているといえるから、本願発明の「細長の光源から発光する光線を遮蔽するための前記細長の光源に隣接して配置された遮光装置」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明は、「走査領域を照射するための光源アセンブリ、前記近限界焦点面及び遠限界焦点面は間隔を置いて互いに平行で前記走査面に対して垂直をなしている、 において、長軸に沿って配設された細長の光源と、前記細長の光源から発光する光線を遮蔽するための前記細長の光源に隣接して配置された遮光装置と、
を備えたことを特徴とする光源アセンブリ」の点で一致し、以下の点1?2で相違する。
相違点1
本願発明は、「走査面内にあって近限界焦点面により下方エッジが、遠限界焦点面により上方エッジが制限される走査領域を照射するための光源アセンブリ」であるのに対して、引用発明は、その点について記載がない点。
相違点2
本願発明の「遮光装置」は、「前記近限界焦点面の近傍に配設された前記走査領域上の各ポイントが第1の照射を受け、前記遠限界焦点面の近傍に配設された前記走査領域上の各ポイントが第2の照射を受けるよう」配置され、「前記第1と第2の照射は所定の検出可能な照射範囲内にある」のに対して、引用発明では、その点についての記載がない点。

4.当審の判断
以下、相違点1、2について検討する。
相違点1について
引用発明は、縮小光学系を有し、光学系の焦点深度が深いものであり、その「光源アセンブリ」の照射範囲が広くして、立体物101の読取において、陰影もなく、S/N比を高いものとしたものである。
そして、「光源アセンブリ」の照射範囲を、画像が認識可能な被写界深度の範囲と同程度とすることは、即ち「走査面内にあって近限界焦点面により下方エッジが、遠限界焦点面により上方エッジが制限される走査領域」を光源により照射することは、当業者にとって自然であり、技術常識に沿うものであるといえる(例えば、特開平6-62184号公報、特開平6-225082号公報参照。)。
してみると、引用発明において、「走査面内にあって近限界焦点面により下方エッジが、遠限界焦点面により上方エッジが制限される走査領域を照射するための光源アセンブリ」を推考することは、当業者が、容易になし得たことである。
相違点2について
引用例1の図面第1図(c)に図示されたように、立体物101を読取るための被写界深度は、原稿載置ガラス板上の面を下限とし、立体物101の凹凸の範囲をカバ-する面を上限とすれば良いことは、明らかであり、上記相違点1で検討したように、それに対応した範囲で光源から照射すれば良いところ、引用発明では、「2枚の黒色板11、11′」の配置によって、光源全体からの光線は、原稿載置ガラス板上の面に照射されが、それより下には照射されず、また、「遮光部材(21、21′)」の配置によって、光源全体からの光線は、立体物の凹凸の範囲をカバ-して照射されるが、それより上には照射されない構成となっている。
そうすると、原稿載置ガラス板上の面の照射を、「近限界焦点面の近傍に配設された走査領域上の各ポイントが第1の照射」と、立体物の凹凸の範囲をカバ-する面の照射を、「遠限界焦点面の近傍に配設された走査領域上の各ポイントが第2の照射」というと、「第1と第2の照射は所定の検出可能な照射範囲内にある」といえるのは自然である。
してみると、引用発明において、「遮光装置」を、「前記近限界焦点面の近傍に配設された前記走査領域上の各ポイントが第1の照射を受け、前記遠限界焦点面の近傍に配設された前記走査領域上の各ポイントが第2の照射を受けるよう」配置し、「前記第1と第2の照射は所定の検出可能な照射範囲内にある」構成とすることは、当業者は、容易になし得たものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明に基づき当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-01 
結審通知日 2006-08-08 
審決日 2006-08-28 
出願番号 特願平7-282036
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 隆夫  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 岡本 俊威
佐藤 敬介
発明の名称 光学スキャナ  
代理人 後藤 政喜  

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