• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1150587
審判番号 不服2003-7373  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-02-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-30 
確定日 2007-01-10 
事件の表示 特願2000-237830「ゲーム攻略支援システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 2月19日出願公開、特開2002- 52256〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成12年8月7日の出願であって、平成14年3月19日付で拒絶理由が通知され、平成14年5月17日付で意見書並びに手続補正書が提出され、平成15年4月4日付で拒絶査定がなされ、平成15年4月30日に審判請求がなされ、当審において平成18年8月21日付で拒絶理由が通知され、平成18年10月13日付で意見書並びに手続補正書が提出されたものである。

そして、平成18年10月13日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その請求項1において特定される下記のとおりのものである。
「【請求項1】ゲーム実行機能を備える端末装置とゲーム攻略支援装置とを有するゲーム攻略支援システムにおいて、前記ゲーム攻略支援装置は、前記ゲーム実行機能を備える端末装置からのゲーム攻略段階を示す攻略状態情報を受信する受信手段と、ゲーム攻略段階に応じたゲームの攻略情報を記憶したテーブルの記憶内容を参照して、前記受信した攻略状態情報に応じた攻略情報を求める検出手段と、前記求めた攻略情報を前記端末装置に向けて配信する配信手段と、検索可能な検索データが格納されたデータベースと、前記受信した攻略状態情報に応じて、前記データベースから検索可能なデータ量を制御する制御手段と、ランキング情報を前記端末装置に配信するランキング情報配信手段とを備え、このランキング情報配信手段は、前記端末装置からの攻略状態情報をユーザ識別子毎に蓄積していく手段と、この蓄積された攻略状態情報を参照して該当するユーザのランキングを決定する手段と、決定されたランキングに関するランキング情報を配信する手段と、を含んで成り、一方、前記ゲーム実行機能を備える端末装置は、前記攻略状態情報を送信する送信手段と、前記配信される攻略情報および前記ランキング情報を、ゲーム進行中画面と共に同一表示画面内において表示する表示制御手段と、を備えたことを特徴とするゲーム攻略支援システム。 」(以下、「本願発明」という。)

2.引用例とその記載事項
(1)引用例1について
当審で拒絶の理由に引用した特開平11-179050号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。

・記載事項1
「【発明の属する技術分野】本発明は、情報記憶媒体、ゲームシステム及びゲーム装置、特にゲームの攻略情報の提供を目的とした情報記憶媒体、ゲーム装置及びゲームシステムに関する。」(段落【0001】)

・記載事項2
「【背景技術及び発明が解決しようとする課題】近年ロールプレイングゲームやアドベンチャーゲーム等においては、その攻略方法が複雑になっている。このためこの種のゲームでは、ゲーム攻略本等が提供されている。ユーザーは必要に応じてこの攻略本を購入し、所望の箇所を攻略するためのヒントを得て、ゲームを順次攻略していく。」(段落【0002】)

・記載事項3
「しかし、従来の紙面形式のゲームの攻略本では、ページを開いた瞬間に見たくないヒントまで見てしまい、これから先にチャレンジするゲームの内容を知ってしまうという悔しさを味わうことが多かった。」(段落【0003】)

・記載事項4
「本発明の目的は、ユーザーが必要とする箇所の攻略情報のみをユーザーに提供し、それ以外のヒント、特にこれから攻略しようとする箇所の攻略情報をユーザーに与えることのないように攻略情報を提供することを可能とする情報記憶媒体、ゲームシステム及びゲーム装置に関する」(段落【0004】)

・記載事項5
「本発明によれば、複数の攻略項目の中からの前記提供許可領域にある攻略項目のタイトル一覧が出力される。そしてユーザーが所望の攻略項目を入力すると、当該攻略項目の詳細な攻略情報が出力される。従ってユーザーは攻略項目のタイトル一覧を参照することにより、自己が必要な攻略項目を検索し、当該攻略項目の詳細な攻略情報を得ることができる。」(段落【0016】)

・記載事項6
「また本発明は、通信回線を介して接続されたホスト機とゲーム用端末とを含むゲームシステムであって、前記ホスト機は、所与のゲームのゲーム状況に関連づけて前記ゲームの攻略情報を記憶する手段と、所与のゲームのゲーム状況に関するユーザーのプレイデータに基づき、前記ゲームの攻略情報の提供許可領域を決定し、前記提供可領域を表示するためのゲーム攻略情報提供プログラムを記憶する手段と、前記ゲームの攻略情報及びゲーム攻略情報提供プログラムを前記ゲーム用端末に送信する手段とを含み、前記ゲーム用端末は、前記ホスト機から送られてくる前記ゲームの攻略情報及び前記ゲーム攻略情報提供プログラムを受信する手段と、ゲームのプレイデータ、前記ホスト機から送られてくる前記ゲームの攻略情報及び前記ゲーム攻略情報提供プログラムに基づき前記提供許可領域を表示することを特徴とする。」(段落【0021】)

・記載事項7
「本発明によれば各ゲーム端末はホスト機から通信回線を介して、前記ゲームの攻略情報及び前記ゲーム攻略情報提供プログラムを得ることができる。従って、既存の通信回線等を利用するだけで容易に前記ゲームの攻略情報及び前記ゲーム攻略情報提供プログラムの配布が可能となる。また、前記ゲームの攻略情報及び前記ゲーム攻略情報提供プログラムの追加、変更等が随時可能となるという利点も有する。」(段落【0022】)

・記載事項8
「また本発明は、通信回線を介して接続されたホスト機とゲーム用端末とを含むゲームシステムであって、前記ホスト機は、所与のゲームのゲーム状況に関連づけて前記ゲームの攻略情報を記憶する手段と、前記ゲームの攻略情報を前記ゲーム用端末に送信する手段とを含み、前記ゲーム用端末は、前記ホスト機から送られてくる前記ゲームの攻略情報を受信する手段と、所与のゲームのゲーム状況に関するユーザ-のプレイデータに基づき、受信した前記ゲームの攻略情報の提供許可領域を決定し、前記提供許可領域を表示するための手段とを含むことを特徴とする。」(段落【0023】)

・記載事項9
「本発明によれば各ゲーム端末はホスト機から通信回線を介して、前記ゲームの攻略情報を得ることができる。従って、既存の通信回線等を利用するだけで容易に前記ゲームの攻略情報の配布が可能となる。また、前記ゲームの攻略情報の追加、変更等が随時可能となるという利点も有する。」(段落【0024】)

・記載事項10
「また本発明のゲーム装置は、所与のゲームのゲーム状況に関するユーザーのプレイデータが記憶されたメモリから、プレイデータを読み取るための手段と、前記ゲームのゲーム状況に関連づけて前記ゲームの攻略情報を記憶する手段と、前記プレイデータに基づき、前記ゲームの攻略情報の提供許可領域を決定し、前記提供可領域を出力するための手段とを含むことを特徴とする。」(段落【0025】)

・記載事項11
「図2(A)は、ゲームの1/3程度進んだところでゲーム攻略情報提供プログラムを起動した場合に、ディスプレイ1200に表示される画面である。同図に示すように、まず複数の攻略情報の各項目のタイトルの一覧であるヒント一覧が表示される。しかし210に示すように、ユーザーがまだ攻略を開始しておらず、これから攻略しようとする箇所のヒントタイトルは※印の伏せ字で表示される。本画面には、現時点のユーザーのゲームの進行位置に対応したヒントタイトルの一覧が表示されている。本実施の形態では、特に指定しない限り、現時点のユーザーのゲームの進行位置に対応した攻略情報が表示されるよう構成されている。ユーザーの現在の進行位置は、前記メモリカード60に記憶されたプレイデータから判断される。」(段落【0036】)

・記載事項12
「なお、必要に応じて過去のゲーム進行位置まで遡って、前記ヒントタイトルを見ることもできる。即ち、ユーザーが前画面表示240をクリックすることにより、より過去のヒントタイトルが表示されているヒント一覧画面が表示される。但しユーザが、ゲーム進行位置よりも先の攻略情報をみたいと思い次画面表示250をクリックしても、ヒントタイトルは図2(A)の210に示すように※印の伏せ字で表示されており、みることはできない。」(段落【0037】)

・記載事項13
「このようにユーザーが攻略を開始していないゲームの残り2/3の情報は表示されない。(段落【0038】)

・記載事項14
「図2(B)はゲームの1/2程度進んだところでゲーム攻略情報提供プログラムを起動した場合にディスプレイ1200に表示される画面である。(段落【0039】)

・記載事項15
「図2(B)では220の部分の※印の伏せ字がとれてヒントタイトルが表示されている。これは、ユーザーがゲームの1/2程度まで進んだことで、この部分の攻略が開始されたためである。(段落【0040】)

・記載事項16
「このように本実施の形態では、ユーザーのゲームの進み具合に応じて必要な攻略情報のみを表示する。このため従来の攻略本のようにページを開いた瞬間に見たくない先のヒントまで見てしまいゲームの面白さを損なうことがない。」(段落【0041】)

・記載事項17
「図4(A)(B)は、詳細なヒント内容を段階的に表示する場合の例を説明するための図である。ユーザーが、ヒント一覧画面310において、「クルミの帽子はどこ?」の文をクリックすると、図4(A)に示すヒント内容が表示される。これは、図3の340で表示されているヒント内容の前半部分のみしか表示されていない。もし、「クルミの帽子はどこ?」の攻略情報について、ユーザーがこのヒントのみではよくわからない、又はもう少し詳しく知りたいと考えた場合には、次画面表示420をクリックする。これだけでよいと判断した場合には前画面表示410をクリックする。」(段落【0045】)

・記載事項18
「次画面表示420がクリックされると、図4(B)に示すように、「クルミの帽子はどこ?」の全攻略情報が表示される。」(段落【0046】)

・記載事項19
「このようにユーザーの必要に応じて段階的に攻略情報を表示することにより、ユーザーのレベルに合わせたヒントを与えることができる。即ち、上級者や勘の良いユーザーにはヒントを与えすぎることなくゲームを楽しんでもらうことができる。また、初級者や勘の悪いユーザーには、詳細なヒントを与えゲームを楽しんでもらうことができる。」(段落【0047】)

・記載事項20
「図6(A)に示すように、プレイデータ510は場面ナンバー520とプレイヤーレベル530で構成されている。」(段落【0057】)

・記載事項21
「場面ナンバー520は、各ユーザーが現在どの場面まで進んでいるかを表すデータである。本実施の形態で攻略情報の提供の対象となっているゲームは、種々のアイテムを取得したり、謎を説いたりしながら複数の場面を順次クリアしていくタイプのRPGである。従って、各ユーザーのゲームの進行状況は、場面ナンバー520で判断することが出来る。例えば図6(A)に示すように場面ナンバーが3である場合、ユーザーが、現在3番の場面を攻略中であり、まだ4番には進んでいないことを表している。」(段落【0058】)

・記載事項22
「図6(B)に示すヒントデータ540は、ゲーム攻略情報提供プログラムによって提供される攻略情報であり、各ヒント毎にヒントナンバー550、場面ナンバー560、ユーザーレベル570、ヒントタイトル580、ヒント内容アドレス590を含んでいる。」(段落【0060】)

・記載事項23
「550は、各ヒントを識別するためのヒントナンバーであり連番で与えられる。560は、プレイデータの場面ナンバー520と比較して当該ヒントの表示の可否を判断するための場面ナンバーである。570は、プレイデータのユーザーレベルと比較して、当該ヒントの表示の可否を判断するためのユーザーレベルである。580は、当該ヒント一覧画面に出力するヒントタイトルである。590は、当該ヒントの内容(たとえば図4(A)(B)の画面に表示されているような詳細なヒント内容)の格納されているアドレスである。」(段落【0061】)

・記載事項24
「図9に、ホスト装置1300と、このホスト装置1300と通信回線1302を介して接続される端末1304ー1?1304-nとを含むゲーム装置に本実施の形態を適用した場合の例を示す。この場合、ゲーム攻略情報提供プログラム52及び図6(B)に示したヒントデータ540は、例えばホスト装置1300が制御可能な磁気ディスク装置、磁気テープ装置、メモリ等の情報記憶媒体1306に格納されている。端末1304ー1?1304-nが、CPU、画像生成IC、音生成ICを有し、スタンドアロンでゲーム画像、ゲーム音を生成できるものである場合には、ホスト装置1300からは、前期ゲーム攻略情報提供プログラム52及びヒントデータ540等が通信回線1302を介して端末1304ー1?1304-nに配送される。一方、スタンドアロンで生成できない場合には、ホスト装置1300がゲーム画像、ゲーム音を生成し、これを通信回線1302を介して端末1304ー1?1304-nに伝送し端末において出力することになる。」(段落【0075】)

以上の記載事項1?記載事項24及び第1図?第9図によれば、引用例1には次の発明が記載されていると認められる。
「ゲーム用端末とゲームの攻略情報を提供するホスト機とを有するゲームシステムにおいて、ゲームの攻略情報を提供するホスト機は、ゲーム用端末からゲーム状況を受信し、
ゲーム状況を参照して、ゲーム状況に応じた攻略情報を求め、求めた攻略情報をゲーム用端末に向けて配信し、検索可能な検索データを有し、
ゲーム用端末は、ゲーム状況をホスト機に送信するとともに、ホスト機から配信された情報を表示することにより、ゲームの攻略情報を提供するゲームシステム」(以下、「引用例1に記載された発明」という。)」

(2)引用例2について
当審で拒絶の理由に引用した特開平10-222467号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。

・記載事項25
「【発明の属する技術分野】無人の情報を提供するサービス端末とネットワークで接続されたサービス端末を監視する監視端末からなる情報提供システムにおける、サービス端末を利用している利用者の操作履歴情報から、利用者が困っていることを検出し、検出した原因に応じた操作支援を行うことができるユーザー操作状況の監視支援方法に関する。」(段落【0001】)

・記載事項26
「本発明の目的は、情報を提供するサービス端末と該サービス端末を監視する監視端末において、サービス端末を利用している利用者が困っているかどうかを操作履歴から判断し、困っていると判断した時に、監視端末を使う監視者に、利用者が何で困っているかを示す操作履歴情報を提示し、監視者が困っている状況に応じた支援を行うことにある。」(段落【0017】)

・記載事項27
「【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、情報を提供するサービス端末と、該サービス端末を監視する監視端末がネットワークで接続され、サービス端末を利用者が使い、監視端末を監視者が使う、情報提供システムにおいて、利用者が困っていると想定される操作パターンデータと、利用者の状況を確認する操作状況確認メッセージのデータベースと、操作支援を行う支援機能データベースを備え、情報を提供するサービス端末に、利用者の指示に従って情報を提示する情報サービス提供処理部を有し、利用者の操作履歴を蓄積し、利用者の操作履歴から、上記操作パターンデータを検出する操作状況検出処理を行い、該操作パターンデータを検出したときは、利用者が困っている状態を検出したとして、操作履歴と検出した操作パターンを監視者に提示する操作履歴提示処理を行い、監視者が操作状況確認メッセージを用いて利用者の状況を確認する操作状況確認処理を行い、確認した操作状況に応じて、支援機能データベースを用いて操作支援処理を行う。」(段落【0018】)

・記載事項28
「本実施例では、TVシステム206を用いて、利用者の映像や音声を監視者側に送信したが、映像のみ、また音声のみを送信するシステムを用いても良いし、TV電話を付加し、映像や音声を送り、支援においても映像や音声を用いて行っても良い。また、電話機能のみ付加し、音声で支援を行っても良い。」(段落【0040】)

以上の記載事項25?記載事項28及び図1?図4によれば、引用例2には次の発明が記載されていると認められる。
「通信システムにおいて、利用者が困っていると想定される操作パターンデータと、利用者の状況を確認する操作状況確認メッセージのデータベースと、操作支援を行う支援機能データベースを備え、情報を提供するサービス端末に、支援のために映像や音声を端末の表示装置に表示することができる情報提供システム」(以下、「引用例2に記載された発明」という。)

(3)引用例3について
当審で拒絶の理由に引用した特開昭63-105783号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。

・記載事項29
「【特許請求の範囲】
コンピュータ・システムを用いて成るゲーム装置において、通信回線を介してホスト・コンピュータと連結するための送受信手段を有し、ゲーム・プログラムの一部あるいは独立のルーチンとして上記ゲームの結果データを上記ホスト・コンピュータに転送し、このホスト・コンピュータに転送された上記ゲーム結果データを含めた集計データを受信するプログラムを設け、上記ホスト・コンピュータからの集計データを受信して表示する手段を有して成ることを特徴とするコンピュータ・ゲーム装置」(公報1頁左下欄6行?18行)

・記載事項30
「A.産業上の利用分野
本発明は、コンピュータ・ゲーム装置に関し、特に、電話回線等の通信回線を介してホスト・コンピュータに接続されたコンピュータ・ゲーム装置に関する。」(公報1頁右下欄1行?5行)

・記載事項31
「B.発明の概要
本発明は、所謂ホスト・コンピュータと電話回線等の通信回線を介して接続され、各家庭等に設置されたコンピュータ・ゲーム装置において、各家庭のコンピュータ・ゲーム装置の所謂ゲーム・スコア等のゲーム結果データをホスト・コンピュータで集中的に管理し、その集計データを各コンピュータ・ゲーム装置に送って表示させることにより、ゲーム結果データの管理を容易化するとともに、その集計データをコンピュータ・ゲーム装置の使用者に迅速に知らせることによりゲームへの興味を高めるものである。」(公報1頁右下欄7行?18行)

・記載事項32
「このとき、上記電話回線等の通信回線3を介して、コンピュータ・ゲーム装置1と上記ホスト・コンピュータ4との間で第3図A、Bに示すような信号が送受信される。
すなわち、第3図Aはコンピュータ・ゲーム装置1からホスト・コンピュータ4に転送される信号を示しており、少なくとも、当該ゲーム装置1の識別コードである装置ID、これから行おうとする上記所定のゲームの識別コードであるゲームID、及びホスト・コンピュータ4に対して上記集計データの転送を要求するリード命令を、この順に送っている。(公報3頁右上欄1行?12行)

・記載事項33
「これに応じてホスト・コンピュータ4からは、第3図Bに示すような信号、例えば、少なくとも上記装置ID、及び集計データとしての例えば所謂ハイスコアのリストデータ等を、該当するコンピュータ・ゲーム装置1に送り返している。この場合のゲーム結果の集計データとしては、例えば各ゲーム装置等から送られたハイスコアを集計して上位者20名程度のリストをとったデータ等を想定している。」(公報3頁右上欄12行?20行)

・記載事項34
「H.発明の効果
本発明のコンピュータ・ゲーム装置によれば、電話回線等の通信回線を介して、コンピュータ・ゲーム装置とホスト・コンピュータとを連結し、所謂ハイスコア等のゲーム結果データをホスト・コンピュータ側に送るとともに、該ホスト・コンピュータで得られた集計データをコンピュータ・ゲーム装置に送ることによって、迅速に集計データをコンピュータ・ゲーム装置側で知ることができるため、ゲームへの興味が増進される。また、ゲーム結果が集中的にホスト・コンピュータで管理されるため、システム構成が小さくて済み、各コンピュータ・ゲーム装置側でハイスコア等のゲーム結果を保存しておく必要がない、さらに、ゲーム参加者のカウントも行え、上位者に賞品等を授与すること等も容易に行え、ゲームの人気を高めることができる。」(公報5頁左下欄12行?右下欄8行)

以上の記載事項29?記載事項34及び第1図?第7図によれば、引用例3には次の発明が記載されていると認められる。
「コンピュータ・ゲーム装置から送信されてきたゲーム結果データを集計して、集計した結果をコンピュータ・ゲーム装置に表示させるホスト・コンピュータ装置であって、
コンピュータ・ゲーム装置からのゲーム結果データを受信し、
各コンピュータ・ゲーム装置から受信したゲーム結果データを含めた集計データを求めて、
ゲーム結果データを含めた集計データをコンピュータ・ゲーム装置に向けて送るホスト・コンピュータ」(以下、「引用例3に記載された発明」という。)

3.本願発明と引用例1に記載された発明との対比・検討
本願発明と引用例1に記載された発明と対比すると、引用例1に記載された発明の「ゲームの攻略情報を提供するホスト機」は、本願発明の「ゲーム攻略支援装置」に相当しており、以下同様に「ゲーム用端末」は「ゲーム実行機能を備える端末装置」、「攻略情報」は「攻略情報」に相当している。そして、引用例1に記載された発明について、以下の点が実質的に具備しているということができる。

・実質的具備事項1
引用例1の記載事項6の「また本発明は、通信回線を介して接続されたホスト機とゲーム用端末とを含むゲームシステムであって、前記ホスト機は、所与のゲームのゲーム状況に関連づけて前記ゲームの攻略情報を記憶する手段と、前記ゲームの攻略情報を前記ゲーム用端末に送信する手段とを含み、前記ゲーム用端末は、前記ホスト機から送られてくる前記ゲームの攻略情報を受信する手段と、所与のゲームのゲーム状況に関するユーザーのプレイデータに基づき、受信した前記ゲームの攻略情報の提供許可領域を決定し、前記提供許可領域を表示するための手段とを含むことを特徴とする。」および同記載事項24の 「図9に、ホスト装置1300と、このホスト装置1300と通信回線1302を介して接続される端末1304ー1?1304-nとを含むゲーム装置に本実施の形態を適用した場合の例を示す。・・・ゲーム攻略情報提供プログラム52及び図6(B)に示したヒントデータ540は、例えばホスト装置1300が制御可能な磁気ディスク装置、磁気テープ装置、メモリ等の情報記憶媒体1306に格納されている。・・・ホスト装置1300からは、前期ゲーム攻略情報提供プログラム52及びヒントデータ540等が通信回線1302を介して端末1304ー1?1304-nに配送される。・・・」なる記載に基づけば、ホスト機は、所与のゲームのゲーム状況に関連づけて記憶手段に記憶されたゲーム攻略情報をゲーム用端末に送信していること、かつ、ゲームは各ゲーム用端末で行われるものであることは明らかであるから、少なくともホスト機は各ゲーム用端末からそれぞれゲーム状況を受信していると解され、かつ、そのような受信機能を実現し得る手段を有していると解される。
また、通信回線を介して接続されたホスト機は、ゲームの攻略情報をゲーム用端末に提供してゲームの攻略支援を行っているのであるから、通信回線を介して接続されたゲームの攻略情報を提供するホスト機とゲーム実行機能を備えるゲーム用端末はゲームシステムを構成していることは明らかである。したがって、引用例1に記載された発明のゲームシステムを、ゲーム攻略支援システムと言い換えることができる。
そして、引用例1に記載された発明の「ゲーム用端末」「ゲームの攻略情報を提供するホスト機」は「ゲーム実行機能を備える端末装置」「ゲーム攻略支援装置」に相当していることは、上記3.本願発明と上記引用例1に記載された発明との対比・検討の柱書きに示したとおりである。
そうすると、引用例1に記載された発明は、ゲーム実行機能を備える端末装置とゲーム攻略支援装置とを有するゲーム攻略支援システムを実質的に具備しているということができる。

・実質的具備事項2
実質的具備事項1において示したように、ホスト機は各ゲーム用端末からそれぞれゲーム状況を受信する受信手段を有している。
また、引用例1の記載事項6の「・・・前記ホスト機は、所与のゲームのゲーム状況に関連づけて前記ゲームの攻略情報を記憶する手段と、前記ゲームの攻略情報を前記ゲーム用端末に送信する手段とを含み、前記ゲーム用端末は、前記ホスト機から送られてくる前記ゲームの攻略情報を受信する手段と、所与のゲームのゲーム状況に関するユーザーのプレイデータに基づき、・・・」なる記載に基づけば、ゲーム状況とは、ゲーム攻略段階を示すゲーム状態情報を意味することは明らかなことである。
したがって、ゲームの攻略情報を提供するホスト機は、ゲーム用端末からのゲーム攻略段階を示す攻略状態情報を受信する受信手段を備えているといえる。
そして、引用例1に記載された発明の「ゲームの攻略情報を提供するホスト機」「ゲーム用端末」は、本願発明の「ゲーム攻略支援装置」「ゲーム実行機能を備える端末装置」に相当していることは、3.本願発明と上記引用例1に記載された発明との対比・検討の柱書きに示したとおりである。
そうすると、引用例1に記載された発明のゲーム攻略支援装置は、ゲーム実行機能を備える端末装置からのゲーム攻略段階を示す攻略状態情報を受信する受信手段を実質的に具備しているということができる。

・実質的具備事項3
実質的具備事項1において示したように、引用例1に記載された発明において、ホスト機は、所与のゲームのゲーム状況に関連づけて記憶手段に記憶されたゲーム攻略情報をゲーム用端末に送信していること、また、ゲームは各ゲーム用端末で行われるものであることは明らかであるから、少なくともゲームの攻略情報を提供するホスト機は、各ゲーム用端末からそれぞれゲーム状況を受信して、記憶手段からそのゲーム状況に応じたゲーム攻略情報を求めていると解され、かつ、求める機能を実現し得る手段を有していると解される。
また、引用例1の記載事項22の「図6(B)に示すヒントデータ540は、ゲーム攻略情報提供プログラムによって提供される攻略情報であり、各ヒント毎にヒントナンバー550、場面ナンバー560、ユーザーレベル570、ヒントタイトル580、ヒント内容アドレス590を含んでいる。」、同記載事項23の「550は、各ヒントを識別するためのヒントナンバーであり連番で与えられる。560は、プレイデータの場面ナンバー520と比較して当該ヒントの表示の可否を判断するための場面ナンバーである。570は、プレイデータのユーザーレベルと比較して、当該ヒントの表示の可否を判断するためのユーザーレベルである。580は、当該ヒント一覧画面に出力するヒントタイトルである。590は、当該ヒントの内容(たとえば図4(A)(B)の画面に表示されているような詳細なヒント内容)の格納されているアドレスである。」なる記載および図6(B)に基づけば、攻略情報であるヒントデータ540はテーブル形式で記憶手段に記憶され、その記憶されたヒントデータ540の中から、ゲーム攻略情報提供プログラムによって攻略情報を検出して求めていることは明らかであり、そのような機能を有する検出手段を備えていると解される。
したがって、引用例1に記載された発明のゲームの攻略情報を提供するホスト機は、受信したゲーム状況に応じたゲームの攻略情報を記憶したテーブルの記憶内容を参照して、受信したゲーム状況に応じた攻略情報を求める検出手段を備えているということができる。
そして、引用例1に記載された発明の「ゲームの攻略情報を提供するホスト機」は、本願発明の「ゲーム攻略支援装置」に相当していることは、3.本願発明と上記引用例1に記載された発明との対比・検討の柱書きに示したとおりであり、引用例1に記載された発明の「ゲーム状況」は、本願発明の「ゲーム攻略段階を示すゲーム状態情報」に実質的に相当していることは、上記実質的具備事項2において示したとおりである。
そうすると、引用例1に記載された発明のゲーム攻略支援装置は、ゲーム攻略段階に応じたゲームの攻略情報を記憶したテーブルの記憶内容を参照して、受信した攻略状態情報に応じた攻略情報を求める検出手段を実質的に具備しているということができる。

・実質的具備事項4
実質的具備事項1において示したように、引用例1に記載された発明において、ホスト機は、所与のゲームのゲーム状況に関連づけて記憶手段に記憶されたゲーム攻略情報をゲーム用端末に送信しており、また、ゲームは各ゲーム用端末で行われるものであるから、少なくともホスト機は各ゲーム用端末からそれぞれゲーム状況を受信して、記憶手段からそのゲーム状況に応じたゲーム攻略情報を求め、その求められた攻略情報をゲーム用端末に送信していると解され、かつ、送信機能を実現し得る手段を有していると解される。
また、引用例1に記載された発明のゲーム状況が、ゲーム攻略段階を示すゲーム状態情報を意味することは上記実質的具備事項2において示したとおりである。
そして、引用例1に記載された発明の「ゲームの攻略情報を提供するホスト機」は、本願発明の「ゲーム攻略支援装置」に相当していることは、3.本願発明と上記引用例1に記載された発明との対比・検討の柱書きに示したとおりである。
そうすると、引用例1に記載された発明のゲーム攻略支援装置は、求めた攻略情報を端末装置に向けて配信する配信手段を実質的に具備しているということができる。

・実質的具備事項5
引用例1の記載事項2の「・・・ ゲーム攻略本等が提供されている。ユーザーは必要に応じてこの攻略本を購入し、所望の箇所を攻略するためのヒントを得て、ゲームを順次攻略していく。」、同記載事項4の「本発明の目的は、ユーザーが必要とする箇所の攻略情報のみをユーザーに提供し、・・・攻略情報を提供することを可能とする情報記憶媒体、ゲームシステム及びゲーム装置に関する」、同記載事項7の「本発明によれば各ゲーム端末はホスト機から通信回線を介して、前記ゲームの攻略情報・・・を得ることができる。従って、既存の通信回線等を利用するだけで容易に前記ゲームの攻略情報・・・の配布が可能となる。・・・」なる記載に基づけば、ホスト機は記憶手段を有していること、記憶手段に記憶されている内容はゲームの攻略本に記載された攻略情報であることは明らかである。
一方、同記載事項5の「本発明によれば、複数の攻略項目の中からの前記提供許可領域にある攻略項目のタイトル一覧が出力される。そしてユーザーが所望の攻略項目を入力すると、当該攻略項目の詳細な攻略情報が出力される。従ってユーザーは攻略項目のタイトル一覧を参照することにより、自己が必要な攻略項目を検索し、当該攻略項目の詳細な攻略情報を得ることができる。」、同記載事項17の「図4(A)(B)は、詳細なヒント内容を段階的に表示する場合の例を説明するための図である。ユーザーが、ヒント一覧画面310において、「クルミの帽子はどこ?」の文をクリックすると、図4(A)に示すヒント内容が表示される。これは、図3の340で表示されているヒント内容の前半部分のみしか表示されていない。もし、「クルミの帽子はどこ?」の攻略情報について、ユーザーがこのヒントのみではよくわからない、又はもう少し詳しく知りたいと考えた場合には、次画面表示420をクリックする。これだけでよいと判断した場合には前画面表示410をクリックする。」、同記載事項18の「次画面表示420がクリックされると、図4(B)に示すように、「クルミの帽子はどこ?」の全攻略情報が表示される。」、および同記載事項19の「このようにユーザーの必要に応じて段階的に攻略情報を表示することにより、ユーザーのレベルに合わせたヒントを与えることができる。・・・」なる記載並びに図4(A)(B)に基づけば、ゲーム状況に応じて、攻略情報がゲーム用端末機においてユーザーの検索による選択が可能な状態で表示されていることは明らかであるから、攻略情報は検索可能な検索データとしてホスト機の記憶手段に格納されているということができる。
したがって、引用例1に記載された発明のゲームの攻略情報を提供するホスト機は、記憶手段にゲームの攻略本の情報をゲーム攻略情報として検索可能な状態で格納していると解される。
そうすると、引用例1に記載された発明のゲーム攻略支援装置は、検索可能な検索データが格納された記憶手段を実質的に具備しているということができる。

・実質的具備事項6
通信システムや通信回線を利用したパチンコ機やゲームシステムに限らず、通信システムにおいて、送信するデータ量を削減すると送信にかかる時間が少なくなることはよく知られている常識技術にすぎない(必要であれば、特開平6-304313号公報、特開2000-189603号公報、特開平11-300047号公報、特開平11-137850号公報等参照されたい)。
そして、上記の送信するデータ量を削減すると送信にかかる時間が少なくなる周知技術を踏まえつつ、引用例1の記載事項12?記載事項15の記載に基づけば、引用例1に記載された発明の端末機におけるゲームの進行状況に関する情報には、ゲームの1/2進んだ状態か、2/3進んだ状態かのゲーム進行度合いに関する情報を含んでいること、ホスト・コンピュータから受信した攻略情報は、そのゲーム進行度合いに関する情報の範囲内でしか見ることができないことは明らかであるから、引用例1に記載された発明のホスト・コンピュータは、端末から送られてきたゲームの進捗に関するフラグ等の情報に基づいて、検索するデータ量を制御しており、かつ、そのような制御を実現し得る手段を有していると解される。
また、ゲーム状況は、ゲーム攻略段階を示す攻略状態情報と言い換えることができることは、上記実質的具備事項2において示したとおりである。
そうすると、引用例1に記載された発明のゲーム攻略支援装置は、受信した攻略状態情報に応じて、記憶手段から検索可能なデータ量を制御する手段を実質的に具備しているということができる。

・実質的具備事項7
上記実質的具備事項2において示したように、引用例1に記載された発明のゲーム攻略支援装置は、ゲーム実行機能を備える端末装置からのゲーム攻略段階を示す攻略状態情報を受信する受信手段を備えているのであるから、ゲーム実行機能を備える端末装置は、ゲーム攻略段階を示す攻略状態情報を送信する送信手段を有していることは明らかなことである。
そうすると、引用例1に記載された発明のゲーム実行機能を備える端末装置は、ゲーム攻略段階を示す攻略状態情報を送信する送信手段を実質的に具備しているということができる。

・実質的具備事項8
上記実質的具備事項1のおいて示したように、ゲーム攻略支援システムは、ゲーム実行機能を備える端末装置とゲーム攻略支援装置とから構成されていること、および上記実質的具備事項2において示したように、引用例1に記載された発明のゲーム攻略支援装置は、ゲーム実行機能を備える端末装置からのゲーム攻略段階を示す攻略状態情報を受信する受信手段を具備していること、並びに、図2?図5において、ディスプレイ1200に種々の攻略情報をユーザに表示する処理部20を有していることが示されていることから、引用例1に記載された発明のゲーム実行機能を備える端末装置は、配信される攻略情報をゲーム進行中に表示画面内において表示するように制御され、かつ、そのような表示機能を有する制御手段を有していると解される。
そうすると、引用例1に記載された発明のゲーム実行機能を備える端末装置は、配信される攻略情報をゲーム進行中に表示画面内において表示する表示制御手段を実質的に具備しているということができる。

以上の実質的具備事項1?実質的具備事項8を勘案すると、本願発明と引用例1に記載された発明は、
「ゲーム実行機能を備える端末装置とゲーム攻略支援装置とを有するゲーム攻略支援システムにおいて、ゲーム攻略支援装置は、ゲーム実行機能を備える端末装置からのゲーム攻略段階を示す攻略状態情報を受信する受信手段と、ゲーム攻略段階に応じたゲームの攻略情報を記憶したテーブルの記憶内容を参照して、受信した攻略状態情報に応じた攻略情報を求める検出手段と、求めた攻略情報を端末装置に向けて配信する配信手段と、検索可能な検索データが格納された記憶手段、受信した攻略状態情報に応じて、記憶手段から検索可能なデータ量を制御する制御手段と、ゲーム実行機能を備える端末装置は、攻略状態情報を送信する送信手段と、配信される攻略情報をゲーム進行中に表示画面内において表示する表示制御手段を備えたゲーム攻略支援システム。」である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点1
本願発明が、検索可能な検索データが格納されたデータベースを有しているのに対して、引用例1に記載された発明は、そのようなデータベースを有していない点

・相違点2
ゲーム攻略支援装置が、本願発明においては、端末装置からの攻略状態情報をユーザ識別子毎に蓄積していく手段と、この蓄積された攻略状態情報を参照して該当するユーザのランキングを決定する手段と、決定されたランキングに関するランキング情報を配信する手段とを含んで構成されて、かつ、ランキング情報を端末装置に配信するランキング情報配信手段を有しているのに対して、引用例1に記載された発明においては、そのようなランキング情報配信手段を有していない点。

・相違点3
ゲーム進行中に、ゲーム実行機能を備える端末装置の表示制御手段が、本願発明においては、攻略情報とランキング情報をゲーム画面と共に同一の表示画面内に表示制御するのに対して、引用例1に記載された発明においては、攻略情報をゲーム画面とは別にして表示画面に表示制御する点。

(2)相違点についての検討
<相違点1について>
コンピューター利用技術分野において、データベースは、『【電算】データベース[database] とは、相互に関連する各種データを蓄積したものであり、特に、コンピューターを使ってデータの検索、多目的利用が可能なもの。略して「DB」』と定義(大辞林参照)されている。
一方、一般的な通信システム技術分野の例として示した引用例2に記載された発明、特開2000-187667号公報(公開日2000.7.4)および特開平9-113596号公報等や、通信システムを利用したゲームシステムの例として示す特開平2000-157724号公報(公開日2000.6.13)、特開平10-295940号公報、特開平10-295935号公報、および特開平8-155139号公報等に示されるように、複数の端末とホスト・コンピューターを通信回線で結んで構成されるゲームシステムを含む通信システムにおいて、ユーザが操作に困ったときにユーザを支援するための適切な操作支援情報やゲーム攻略情報をユーザに提示すること、およびそのシステムのホスト・コンピューター側において、ユーザに提示をするゲーム攻略情報を含む操作支援情報やその他のデータを蓄積して格納するデータベースを設ける点が示されているように、複数コンピューターとホストコンピューターを通信回線を使ってシステムとして構成し、相互に種々の情報提供をする際に、ホストコンピューターにデータベースを設け、そのデータベースに蓄積したデータを検索可能な状態とすることは、周知な技術にすぎない(以下、「周知技術A」という。)。
そして、複数の端末とホスト・コンピュータを通信回線で結んで構成される通信システムがゲームシステムに利用されていることは明らかであるから、引用例1に記載された発明および引用例2に記載された発明並びに上記周知技術Aは、これらの間において相互に技術を利用することに格別困難な理由を見出すことができない。
そうすると、上記周知技術Aを参酌しつつ、引用例1に記載された発明に、引用例2に記載された発明の検索可能な検索データを格納したデータベースを付加すること、すなわち上記相違点1に係る構成とすることは、引用例1に記載された発明および引用例2に記載された発明並びに周知技術Aに基づいて、当業者が容易に想到し得る程度のことと言うことができる。

<相違点2について>
引用例3の記載事項32の「・・・すなわち、第3図Aはコンピュータ・ゲーム装置1からホスト・コンピュータ4に転送される信号を示しており、少なくとも、当該ゲーム装置1の識別コードである装置ID、これから行おうとする上記所定のゲームの識別コードであるゲームID、及びホスト・コンピュータ4に対して上記集計データの転送を要求するリード命令を、この順に送っている。」なる記載、同記載事項33の「これに応じてホスト・コンピュータ4からは、第3図Bに示すような信号、例えば、少なくとも上記装置ID、及び集計データとしての例えば所謂ハイスコアのリストデータ等を、該当するコンピュータ・ゲーム装置1に送り返している。この場合のゲーム結果の集計データとしては、例えば各ゲーム装置等から送られたハイスコアを集計して上位者20名程度のリストをとったデータ等を想定している。」なる記載、および同記載事項34の「・・・コンピュータ・ゲーム装置によれば、電話回線等の通信回線を介して、コンピュータ・ゲーム装置とホスト・コンピュータとを連結し、所謂ハイスコア等のゲーム結果データをホスト・コンピュータ側に送るとともに、該ホスト・コンピュータで得られた集計データをコンピュータ・ゲーム装置に送ることによって、迅速に集計データをコンピュータ・ゲーム装置側で知ることができる・・・さらに、ゲーム参加者のカウントも行え、上位者に賞品等を授与すること等も容易に行え、ゲームの人気を高めることができる。」なる記載に基づけば、集計データはランキング情報、識別コードはユーザ識別子ということができ、集計する以上は各ユーザから送られてきたデータを蓄積しているのであるから、引用例3に記載された発明は、ユーザは識別コードを有していること、ホスト・コンピュータは、識別コードを有するユーザから送られてきたゲーム結果データを蓄積し集計して集計データを求めていること、この集計データはランキング情報であること、この集計データはホスト・コンピュータからユーザのコンピュータ・ゲーム装置に配信していることと解される。
したがって、引用例3に記載された発明は、ランキング情報を端末装置に配信するランキング情報配信手段を有すること、そのランキング情報配信手段は、端末装置からの攻略状態情報をユーザ識別子毎に蓄積していく手段と、この蓄積された攻略状態情報を参照して該当するユーザのランキングを決定する手段と、決定されたランキングに関するランキング情報を配信する手段を有していることは明らかである。
そして、引用例1に記載された発明と引用例3に記載された発明は、通信ゲームシステム技術分野において共通する技術であるから、両者間において相互に技術を利用することに格別困難な理由を見出すことができない。
そうすると、引用例1に記載された発明のゲーム攻略支援装置に、引用例3に記載された発明のランキング情報配信手段を付加すること、すなわち上記相違点2に係る構成とすることは、引用例1に記載された発明および引用例3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到し得る程度のことと言うことができる。

<相違点3について>
周知技術Aの通信ゲームシステムの例として示した特開平10-295940号公報、特開平10-295935号公報、および特開平8-155139号公報等には、ゲーム進行中に、攻略情報と共に現在の得点や現在のライフ等に関するその他の情報をゲーム画面において同一の表示画面内に表示していることが示されているように、攻略情報と共に現在の得点や現在のライフ等に関するその他の情報がゲーム画面において同一の表示画面内に表示して、ゲームの途中において現在の得点や現在の残りのライフ状態などを確認してゲームを進行することは、周知な技術にすぎない(以下、「周知技術B」という)。
一方、引用例3に記載された発明は、ゲーム終了後に、ランキング情報を表示画面上において示している(周知技術Aとして例示した特開2000-157724号公報、特開2000-126464号公報、特開2000-218046号公報にも同様の趣旨が示されているので参照されたい。)。
上記のように、通信ゲームシステムにおいて、複数の者とゲームを行う際、他のゲーム参加者との間でランキング情報を含めて自らのゲーム上の位置を、ゲーム終了後であれ、ゲーム進行中であれ、確認することが、ゲーム参加者の関心事であることが示されており、また、いずれの場合も、他の参加者との比較の上で、ゲーム参加者が自らのゲーム上の位置を知り得る点で格別な相違がない。
そうすると、上記周知技術Bであるゲーム進行中画面と共に同一表示画面内において、攻略情報とその他の情報を表示する制御手段を参酌しつつ、引用例1に記載された発明の配信される攻略情報に、引用例3に記載された発明のゲーム終了時のランキング情報配信手段を適用する際に、ゲーム進行中画面と共に同一画面内において表示するように制御する表示制御手段とすること、すなわち上記相違点3に係る構成とすることは、引用例1に記載された発明および引用例3に記載された発明並びに周知技術Bに基づいて、当業者が容易に想到し得る程度のことと言うことができる。

4.作用効果・判断
本願発明によって奏する作用効果も、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明、引用例3に記載された発明および周知技術A並びに周知技術Bに基づいて、普通に予測できる範囲のものであって、格別なものがあるとは認められないから、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明、引用例3に記載された発明および周知技術A並びに周知技術Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のように、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-11-15 
結審通知日 2006-11-16 
審決日 2006-11-29 
出願番号 特願2000-237830(P2000-237830)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 仁之▲吉▼川 康史  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 中槙 利明
渡部 葉子
発明の名称 ゲーム攻略支援システム  
代理人 根本 宏  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ