ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16M |
---|---|
管理番号 | 1150895 |
審判番号 | 不服2004-16547 |
総通号数 | 87 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-08-09 |
確定日 | 2007-01-15 |
事件の表示 | 平成9年特許願第247568号「機器用調整脚」拒絶査定不服審判事件〔平成11年3月26日出願公開、特開平11-82881〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成9年8月29日の出願であって、本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成15年11月10日付け及び平成16年4月27日付けの各手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 機器外枠の下部に配設され、下方に接地部を形成し上方に外周にネジ等の凹凸部を設けた摺動軸部を形成した脚と、 前記脚の摺動軸部を軸支孔に挿通させる取付用ケースと、 前記脚の摺動軸部を軸支孔に挿通させ、前記ケース内に軸支され、一端がケースの開口部から外に突出して回動操作可能なレバーと、 を備え、 前記レバーの軸支孔を有する係合部を筒状に上下方向に延設して、該軸支孔に前記回動操作により脚の軸部の凹凸部をロックする凹凸部を複数形成し、当該脚の軸部の凹凸部をロックする凹凸部は、上下対角線上に配設されてなる機器用調整脚。」 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された実願昭56-73835号(実開昭57-187186号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、図1,2,5,6と共に、次のイ.?ハ.の事項が記載されている。 イ.「本考案は洗濯機や脱水機その他の電気機器等に用いられる脚に関するもの」(第1頁第19?20行目) ロ.「第5図、第6図に示すごとく通常は引張りコイルバネ(16)の張力により、係止板(4)の孔(8)の内面が調整脚棒(6)の外周面に係止して固定しているが、係止板(4)の外方へ突出した端部に、矢印〈イ〉方向の力が加えられると、係止板(4)は支点(5)を中心に縦方向に動き、第6図のごとく係止板(4)と調整脚棒(6)がほぼ垂直になつた状態で、それぞれが遊嵌するため、調整脚棒(6)は、圧縮コイルバネ(18)の力で、矢印〈ロ〉方向へ押し出されて、洗濯機本体(1)に取付けられた他の3本の足とともに、床面に密着し、洗濯機本体(1)と床面との間のガタ付きをなくし安定する。又〈イ〉方向の力を抜くと、再び引張りコイルバネ(16)の張力により、孔(8)の内面が調整脚棒(6)の外周面に係止して調整脚棒が固定きれる。」(第3頁第2?16行目) ハ.「(1)は洗濯機本体、(2)は略〈凸〉型調整脚取付板で、洗濯機本体(1)の底部隅にビス(3)で固定されている。(4)は係止板で調整脚取付板(2)の両側壁に支点(5)によつて揺動自在に水平方向に取付けられている。(6)は調整脚捧で、略〈凸〉型調整脚取付板(2)の平面部に形成した孔(7)と、前記係止板(4)に形成した孔(8)及び本体(1)の底部に形成した孔(9)とを上下動自在に貫挿通し、且つ支点(5)を中心に係止板が傾斜した時、係止板の孔(8)が調整脚棒の摺動を止めて固定できるようになつている。尚調整脚棒の下方端は床面に接触可能で、上方端には抜止めのストッパーとしてのピン(10)を取付けてある。係止板の一端は外箱の側壁に形成した開口部(11)より突出して外部から操作可能とし、突出側の係止板(4)の一部(12)と調整脚棒(6)の上方端(13)との間に引張りコイルバネ(14)を張設した。引張りコイルバネ(14)は、その張力により係止板(4)と調整脚棒(6)とを常時引張って、係止板が傾斜しているので、孔(8)により調整脚棒(6)摺動するのを止めて固定している。又、係止板(4)の端部に矢印〈イ〉方向の力を加えて、係止板(4)の孔(8)と調整脚棒(6)が遊嵌した状態にした場合には、コイルバネ(14)が調整脚棒(6)を矢印〈ロ〉方向へ押し出し、床面に調整脚棒(6)を密着させる。」(第4頁第7行目?第5頁第10行目) (なお、引用例の原文においては、「〈イ〉」、「〈ロ〉」は、丸付きカタカナのイ、ロで記載されている。また、「〈凸〉」は、凸の下部分がない形状の記号として記載されている。) 前記記載事項のハ.の記載から、調整脚棒6の下方端は、床面に接触するものであるので、「接地部」を形成しており、調整脚棒6は、上下動するものであるので、「摺動軸部」を形成している。 第2図から、略〈凸〉型調整脚取付板2は、係止板4が突出する方向に「開口部」を有していることが分かる。 前記記載事項のロ.、ハ.の記載、第5、6図から、係止板4の孔8の内面が調整脚棒6の外周面に係止することから、係止板4の孔8の内面付近は、「係合部」を形成している。 第5図から、係止板4を傾斜させた際には、係止板4の孔8の右側の内面の上側及び左側の内面の下側の部分が、調整脚棒6の外周面に係止することによって、調整脚棒6と係止板4が固定される。すなわち、この係止する部分は「ロックする」部分であり、「複数形成」され、「上下対角線上」に配置されている。 そして、略〈凸〉型調整脚取付板2、係止板4、調整脚棒6などによって、洗濯機本体1の「調整脚」を構成している。 そうすると、前記記載事項イ.?ハ.及び第1、2、5、6図の記載を総合すると、引用例には、 「洗濯機本体1外枠の下部に配設され、下方に接地部を形成し上方に摺動軸部を形成した調整脚棒6と、 前記調整脚棒6の摺動軸部を孔7に挿通させる略〈凸〉型調整脚取付板2と、 前記調整脚棒6の摺動軸部を孔8に挿通させ、前記調整脚取付板2内に支点5により軸支され、一端が調整脚取付板2の開口部から外に突出して回動操作可能な係止板4と、 を備え、 前記係止板4の孔8を有する係合部を上下方向に設けて、該孔8に前記回動操作により調整脚棒6の軸部をロックする部分を複数形成し、当該調整脚棒6の軸部をロックする部分は、上下対角線上に配設されてなる洗濯機本体1用調整脚。」 の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認められる。 3.対比 そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、両者の対応関係は次のとおりである。 引用発明の「洗濯機本体1」は機器であるので、本願発明の「機器」に相当する。 引用発明の「調整脚棒6」、「孔7」、「略〈凸〉型調整脚取付板2」、「孔8」、「係止板4」は、本願発明の「脚」、取付用ケースの「軸支孔」、「取付用ケース」、レバーの「軸支孔」、「レバー」にそれぞれ相当する。 それゆえ、本願発明と引用発明とは、 [一致点] 「機器外枠の下部に配設され、下方に接地部を形成し上方に摺動軸部を形成した脚と、 前記脚の摺動軸部を軸支孔に挿通させる取付用ケースと、 前記脚の摺動軸部を軸支孔に挿通させ、前記ケース内に軸支され、一端がケースの開口部から外に突出して回動操作可能なレバーと、 を備え、 前記レバーの軸支孔を有する係合部を設け、該軸支孔に前記回動操作により脚の軸部をロックする部分を複数形成し、当該脚の軸部をロックする部分は、上下対角線上に配設されてなる機器用調整脚。」である点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点] 本願発明は、摺動軸部の上方の外周にネジ等の凹凸部を設け、レバーの軸支孔を有する係合部を筒状に上下方向に延設して、該軸支孔に前記回動操作により脚の軸部の凹凸部をロックする凹凸部を複数形成し、当該脚の軸部の凹凸部をロックする凹凸部は、上下対角線上に配設されているのに対し、引用発明では、係合部は筒状に上下方向に延設しているとまでは言えず、調整脚棒6と係止板4のロックする部分がそれぞれ凹凸部にはなっていない点。 4.判断 [相違点]について 摺動する部材同士の固定構造として、上方に外周にネジによる凹凸部を設けた摺動軸部に、上下対角線上に配設された複数の凹凸部を有し、筒状に上下方向に延びた係合部(ナット)を、摺動軸部に摺動させ、双方の凹凸部をロックすることによって、摺動軸部と係合部とを固定することは、従来周知の技術である(例えば、実願昭61-14522号(実開昭62-128218号)のマイクロフィルム、実願昭52-66552号(実開昭53-162266号)のマイクロフィルム参照。)。 引用発明の調整脚棒6と係止板4とは、摺動する部材同士の固定構造であるので、引用発明の調整脚棒6の上方に外周にネジによる凹凸部を設け、係止板4の孔8を有する係合部を筒状に上下方向に延設して、該孔8に前記回動操作により調整脚棒6の軸部の凹凸部をロックする凹凸部を複数形成し、当該調整脚棒6の軸部の凹凸部をロックする凹凸部を、上下対角線上に配設することに格別の困難性はない。 そして、本願発明の作用効果も、引用例に記載された発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲内のものである。 5.むすび したがって、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-11-14 |
結審通知日 | 2006-11-15 |
審決日 | 2006-12-05 |
出願番号 | 特願平9-247568 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F16M)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田中 成彦 |
特許庁審判長 |
鈴木 久雄 |
特許庁審判官 |
柴沼 雅樹 山内 康明 |
発明の名称 | 機器用調整脚 |
代理人 | 大賀 眞司 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 田中 克郎 |