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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01K 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A01K |
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管理番号 | 1150898 |
審判番号 | 不服2005-2990 |
総通号数 | 87 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-02-21 |
確定日 | 2007-01-15 |
事件の表示 | 平成10年特許願第68540号「釣り針及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年9月28日出願公開、特開平11-262345〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成10年3月18日の出願であって、平成17年1月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月21日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年3月23日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成17年3月23日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成17年3月23日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を次のように補正することを含むものである。 「【請求項1】軸部と、前記軸部の先端側に一連に形成されたフック状の針先曲成部とを備えた針本体の軸部に塊状のシンカーを設けたものにおいて、前記シンカーを比重が大きく成形性が良好で公害問題を惹起しないような材質からなる半割り構造とし、一方のシンカー半体の接合面に形成された凹部に前記針本体の軸部を嵌入させ、その上から他方のシンカー半体を被せてその接合面に形成された凹部に前記針本体の軸部を嵌入させ、両方のシンカー半体を衝合して接着固定したことを特徴とする釣り針。」 上記補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「半割り構造」とした「シンカー」に関して、「比重が大きく成形性が良好で公害問題を惹起しないような材質からなる」との限定を付加するものであり、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。 (2)引用発明 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-66479号公報(以下、「引用例」という。)には、次の(イ)ないし(リ)の事項が記載されている。 (イ)「錘部とこの錘部下方に設けられたキーパー部とからなり側面に溝が形成されてなるジグヘッド本体と、このジグヘッド本体に固定される釣針とから構成されるルアー用ジグヘッドであって、前記釣針は略J字形状に形成された針部とこの針部上端から針先方向に略直角に折曲され先端に釣糸結束リングが形成された折曲部とからなることを特徴とするルアー用ジグヘッド。」(【特許請求の範囲】【請求項2】) (ロ)「前記溝に釣針を固定するための止め部材が嵌入されてなることを特徴とする請求項2記載のルアー用ジグヘッド。」(【特許請求の範囲】【請求項3】) (ハ)「錘部とこの錘部下方に設けられたキーパー部とからなり側面に溝が形成されてなるジグヘッド本体の溝に略J字形状に形成された針部とこの針部上端から針先方向に略直角に折曲され先端に釣糸結束リングが形成されてなる折曲部とからなる釣針を嵌入し、接着剤により釣針をジグヘッド本体に固着させることを特徴とするルアー用ジグヘッドの製造方法。」(【特許請求の範囲】【請求項7】) (ニ)「錘部とこの錘部下方に設けられたキーパー部とからなり側面に溝が形成されてなるジグヘッド本体の溝に略J字形状に形成された針部とこの針部上端から針先方向に略直角に折曲され先端に釣糸結束リングが形成されてなる折曲部とからなる釣針を嵌入した後、溝に止め部材を嵌入してジグヘッド本体に固着することにより釣針とジグヘッド本体を一体化させることを特徴とするルアー用ジグヘッドの製造方法。」(【特許請求の範囲】【請求項8】) (ホ)「錘(3)は、真鍮や鉛等の金属、合成樹脂等の任意の素材からなり、表面には塗装が施される。・・・」(段落【0014】) (ヘ)「・・・各部材を別々に製作して後で組み合わせればよいので、製造方法が従来のように鉛を使用した鋳造に限定されず、真鍮や合成樹脂等を使用しての製造も容易となり、鉛を使用しない環境に優しいルアー用ジグヘッドとすることも可能である。」(段落【0019】) (ト)「図5は、本発明に係るルアー用ジグヘッドの第2実施例を示す縦断面図であり、図6は分解図である。 第2実施例に係るルアー用ジグヘッド(1)は、錘部(8)とこの錘部下方に設けられたキーパー部(9)とからなるジグヘッド本体(10)と、このジグヘッド本体に固定される釣針(2)と、止め部材(11)から構成される。 釣針(2)は略J字形状に形成された針部(21)とこの針部(21)の上端から針先方向に略直角に折曲され先端に釣糸結束リング(5)が形成された折曲部(22)とからなる。・・・」(段落【0023】) (チ)「図7にジグヘッド本体(10)の側面図、図8に横断面図を示す。 図示例におけるジグヘッド本体(10)は、錘部中心を上下に貫く貫通孔(13)を有し、側面にはキーパー部(9)と錘部(8)の下半分に溝(12)が形成されており、この溝(12)は最奥部において貫通孔(13)と連通状態とされている。そして、図9に示すように止め部材(11)を下方から溝(12)に嵌入することにより釣針(2)をジグヘッド本体(10)に固定する。・・・なお、ジグヘッド本体(10)は、前記例と同様に真鍮、鉛等の任意の素材を適宜選択して構成すればよい。」(段落【0024】) (リ)図5,6,11,12には、「塊状の錘をその上方部分と左下部分を構成する4分の3のジグヘッド本体(10)と、右下部分を構成する4分の1の止め部材(11)の割り構造とし、両方の錘を衝合して固定したジグヘッド」が図示されている。 これらの記載から、引用例には、「略J字形状に形成された針部を備えた釣針に塊状の錘を設けたジグヘッドにおいて、前記錘を4分の3のジグヘッド本体(10)と、4分の1の止め部材の割り構造とし、一方の4分の3のジグヘッド本体(10)の接合面に形成された溝に前記釣針を嵌入させ、その上から他方の4分の1の止め部材(11)を被せてその接合面に形成された溝に前記針本体の針部を嵌入させ、4分の3と4分の1の割り構造の両方の錘を接着剤により固定した鉛を使用しない環境に優しいジグヘッド」という発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。 (3)対比 そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「略J字形状に形成された針部を備えた釣針」、「錘」、「4分の3のジグヘッド本体(10)」、「釣針を嵌入させ」、「4分の1の止め部材(11)」、「接着剤により固定した」、「ジグヘッド」は、それぞれ本願補正発明の「軸部と、前記軸部の先端側に一連に形成されたフック状の針先曲成部とを備えた針本体の軸部」、「シンカー」、「一方のシンカー体」、「針本体の軸部を嵌入させ」、「他方のシンカー体」、「接着固定した」、「釣り針」に相当する。 また、引用発明の「錘」も、上記(ヘ)「・・・各部材を別々に製作して後で組み合わせればよいので、製造方法が従来のように鉛を使用した鋳造に限定されず、真鍮や合成樹脂等を使用しての製造も容易となり、鉛を使用しない環境に優しいルアー用ジグヘッドとすることも可能である。」(段落【0019】)の記載から、本願補正発明の「比重が大きく成形性が良好で公害問題を惹起しないような材質からなる」ものに相当する。よって両者は、 「軸部と、前記軸部の先端側に一連に形成されたフック状の針先曲成部とを備えた針本体の軸部に塊状のシンカーを設けたものにおいて、前記シンカーを比重が大きく成形性が良好で公害問題を惹起しないような材質からなる割り構造とし、一方のシンカー体の接合面に形成された凹部に前記針本体の軸部を嵌入させ、その上から他方のシンカー体を被せてその接合面に形成された凹部に前記針本体の軸部を嵌入させ、両方のシンカー半体を衝合して接着固定したことを特徴とする釣り針。」である点で一致し、以下の点で相違している。 〈相違点〉 シンカーの割り構造において、本願補正発明では、「半割り構造」であるのに対して、引用発明では、「4分の3と4分の1の割り構造」である点。 (4)判断 〈相違点について〉 ところで、例えば、実願昭57-145338号(実開昭59-50271号公報)のマイクロフイルムには、「2つ割り(本願補正発明の「半割り構造」に相当。以下同様。)の鉛おもり(シンカー)の.しめ合せ面(接合面)となるところの片方の中間に凸形(1)をつけ、その対象となるところの合せ面(接合面)に凹形(2)をつける。以上の如く構成された凸凹つきおもり(シンカー)。」(2.実用新案登録請求の範囲)と記載されているように、シンカーを半割り構造のものとすることは、従来より周知の技術であるといえる。したがって、引用発明に上記の周知技術を適用することにより、相違点に係る本願補正発明のような構成にすることは、当業者ならば容易に想到しうることである。 そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 よって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下するべきものである。 3.本願発明について 平成17年3月23日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年12月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】軸部と、前記軸部の先端側に一連に形成されたフック状の針先曲成部とを備えた針本体の軸部に塊状のシンカーを設けたものにおいて、前記シンカーを半割り構造とし、一方のシンカー半体の接合面に形成された凹部に前記針本体の軸部を嵌入させ、その上から他方のシンカー半体を被せてその接合面に形成された凹部に前記針本体の軸部を嵌入させ、両方のシンカー半体を衝合して接着固定したことを特徴とする釣り針。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「半割り構造」とした「シンカー」に関して、「比重が大きく成形性が良好で公害問題を惹起しないような材質からなる」との限定を省略したものである。 そうすると、本願発明の特定事項を全て含むものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用発明に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-11-08 |
結審通知日 | 2006-11-09 |
審決日 | 2006-12-05 |
出願番号 | 特願平10-68540 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A01K)
P 1 8・ 121- Z (A01K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 郡山 順 |
特許庁審判長 |
大元 修二 |
特許庁審判官 |
西田 秀彦 小山 清二 |
発明の名称 | 釣り針及びその製造方法 |
代理人 | 白石 吉之 |
代理人 | 田中 秀佳 |
代理人 | 江原 省吾 |
代理人 | 城村 邦彦 |