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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23L |
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管理番号 | 1150924 |
審判番号 | 不服2005-7180 |
総通号数 | 87 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-10-06 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-04-21 |
確定日 | 2007-01-18 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第 74092号「麺類の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年10月 6日出願公開、特開平10-262583〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成9年3月26日の出願であって、平成17年3月17日付で拒絶査定がなされ、これに対して、平成17年5月23日に拒絶査定に対する審判請求がされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。 2.平成17年5月23日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成17年5月23日付の手続補正を却下する。 [理由] 上記補正は、平成17年1月25日付手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1を補正し、さらに新たに請求項2を追加するものである。 しかしながら、上記「請求項の追加」は、n項引用形式請求項をn‐1以下の請求項に変更するものではなく、特許法17条の2、4項の各号に掲げる事項のどれにも該当しない。 してみれば、上記補正は、特許法17条の2、4項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成17年5月23日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成17年1月25日付の手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】水を電気分解して生成される酸性水を使用して小麦粉を混練して麺生地を調製し、同麺生地を製麺することからなる麺類の製造方法であり、前記酸性水として、pHが5未満で酸化還元電位が650mV以上の電解生成酸性水を採用して、pHが中性に近似する麺生地を調製し、同麺生地を製麺することを特徴とする麺類の製造方法。」 (以下、「本願発明」という。) (2)引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-113769号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の(a)ないし(e)の事項が記載されている。 (a)「【請求項1】麺類の製造に当たり、仕込水として水の電気分解により生成する酸性イオン水を用いて、減圧下に原料を混捏することを特徴とする麺類の製造方法。 【請求項2】混捏を360mmHg以下の減圧下に行う請求項1の製造方法。 【請求項3】酸性イオン水のpHが2?5である請求項1または2の製造方法。」(特許請求の範囲) (b) 「本発明では、電解酸性イオン水として、例えば上記したようなアルカリイオン水製造装置の陽極室部分で副生した酸性イオン水を使用しても、または本発明のために電解酸性イオン水製造装置を別途用意しそれにより製造された電解酸性イオン水を使用してもよく、電解酸性イオン水の製造方法やそれに用いる製造装置は特に限定されない。」(段落【0013】) (c)「電解酸性イオン水としては、pHが約2?5のものを使用するのが、得られる麺類の硬さ、粘弾性などの点から好ましく、特にpH3?4の電解酸性イオン水を用いるのが好ましい。」(段落【0014】) (d)「《実施例1》 (1)(株)オムコ製のアルカリイオン水製造装置「マイオムコ;ニュー・ポットNP型」に、水道水2リットルを入れて、30分電気分解処理した。その結果、その陽極室部分にpH3.5の酸性イオン水約0.9リットル・・・形成された。 (2)小麦粉(中力粉)100部に食塩3部及び上記(1)で製造した電解酸性イオン水(pH3.5)35部を加えて、160mmHgの減圧下に保ったミキサー(トーキョウメンキ社製)に入れて常温で混捏して麺生地を製造した。 (3)上記(2)で製造した生地をミキサーから取り出して、常温で1時間放置して生地熟成させた後、ロールで複合後段階的に圧延して厚さ約1.0mmの麺帯を製造した。麺帯を#30丸の切刃で切り出して生麺をつくり、これを常法により乾燥して水分含量14.0%の乾麺(そうめん)をつくった。」(段落【0021】?段落【0022】) (e)「【発明の効果】本発明の方法による場合は、従来の麺類に比べて、粘弾性に富んでいて歯ごたえが極めて良好であり、しかも適度な表面硬さを有し、食感の極めて優れた麺類が得られる。」(段落【0036】) 上記(a)ないし(e)の記載からみて、引用例には、水を電気分解して生成されるpHが2?5の酸性イオン水を捏水として小麦粉に添加して減圧下で混練し、この混練により調製した麺生地を製麺して麺類を製造することが記載されているといえる。 (3)対比・判断 本願発明と引用例に記載された発明を対比すると、後者の「pHが2?5」は、前者の「pHが5未満」に該当するから、両者は、「水を電気分解して生成される酸性水を使用して小麦粉を混練して麺生地を調製し、同麺生地を製麺することからなる麺類の製造方法であり、前記酸性水として、pHが5未満の電解生成酸性水を採用して麺生地を調製し、同麺生地を製麺することを特徴とする麺類の製造方法」の点で一致し、(i)使用する酸性水について、前者では、「酸化還元電位が650mV以上である」と限定しているのに対して、後者には、酸性水の酸化還元電位について何も記載されていない点、及び(ii) 前者は、混練により調製した麺生地のpHを「中性に近似する」と特定しているのに対して、後者では、混練により調製した麺生地のpHについて具体的に記載されていない点で、両者は相違する。 相違点(i)について 酸性イオン水を飲用とするとき、そのpH値だけでなく酸化還元電位の値も飲用としての適否に関係すること、及び該酸性イオン水の酸化還元電位を測定することにより飲用としての水質評価を行い、飲用に適した一定範囲の酸化還元電位値を有する酸性イオン水を得ることは、いずれも本願出願前に当業者において周知であった(必要なら、例えば特開平9ー38650号、特開平9ー38649号、特開平7ー204647号公報参照)こと、及び酸性イオン水を「飲用」として使用する場合も「捏水」として使用する場合も共に人の口に入る点で共通することを併せ考えると、引用例に記載の「pHが2?5の酸性イオン水」につき、その酸化還元電位を測定して、その値と捏水としての適性との関係を実験により確認して、酸性水を捏水として使用するときの最適の酸化還元電位を「650mV以上」に設定することは、当業者において格別困難なことではない。 相違点(ii)について 本願発明と引用例に記載の発明とは、使用する酸性水のpH値及び小麦粉に対する酸性水の添加量において実質的な差異はなく、しかも、本願明細書に「表1を参照すると、うどん生地は捏水として電解生成水である酸性水、アルカリ性水のいずれを使用しても弱酸性であって、水道水を使用した場合とほぼ同等のpH値を呈している。捏水として酸性水を使用したからといって、うどん生地のpHが5.5以下の酸性になるものではない。」(段落【0026】)と記載されていることを踏まえると、引用例においても、調製された麺生地は、本願発明と同等の「中性に近似」した領域のpH値になっているものと解される。 してみると、上記相違点(ii)は、両者の実質的な相違点とはいえない。 そして、本願発明に係る「硬く、かつ粘着力の強い麺生地となり、麺生地のこの硬さ、及び強力な粘着力が茹麺の腰の強さの向上に寄与する。」(段落【0008】)という効果についてみても、かかる効果は、引用例の「発明の方法による場合は、従来の麺類に比べて、粘弾性に富んでいて歯ごたえが極めて良好であり、しかも適度な表面硬さを有し、食感の極めて優れた麺類が得られる。」(段落【0036】)との記載に基づいて、当業者が容易に予測できるものである。 (4)むすび したがって、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-11-06 |
結審通知日 | 2006-11-07 |
審決日 | 2006-12-04 |
出願番号 | 特願平9-74092 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A23L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 村上 騎見高 |
特許庁審判長 |
田中 久直 |
特許庁審判官 |
阪野 誠司 高堀 栄二 |
発明の名称 | 麺類の製造方法 |
代理人 | 高木 幹夫 |
代理人 | 長谷 照一 |