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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1151013 |
審判番号 | 不服2002-24111 |
総通号数 | 87 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-12-13 |
確定日 | 2007-01-19 |
事件の表示 | 平成7年特許願第148088号「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成8年11月26日出願公開、特開平8-308986〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成7年5月22日の出願であって、平成14年11月26日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月13日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。 2 平成14年12月13日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成14年12月13日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。 「【請求項1】 複数の図柄を表示可能な図柄表示部を有する図柄表示器と、遊技者にとって有利な状態と不利な状態に変動可能な第2変動入賞装置と、遊技者にとって有利な状態と不利な状態に変動可能な第1変動入賞装置と、該第1変動入賞装置に入賞した遊技球が通過可能な特別装置作動領域と、始動入賞口と、誘導路を有し、 遊技球が図柄始動ゲートを通過すると前記図柄表示部の図柄が変動を開始し、所定時間後に停止した図柄が「当り」であると、前記第1変動入賞装置が遊技者にとって不利な状態から有利な状態になり、 第1変動入賞装置に入賞した遊技球が特別装置作動領域を通過したことによって、遊技状態がそれ以前と異なる権利発生中となり、 この権利発生中に遊技球が始動入賞口に入賞することによって第2変動入賞装置が遊技者にとって有利な状態となる一方、特別装置作動領域を遊技球が通過すると権利が消滅して遊技者に不利益となるパチンコ機であって、 前記図柄始動ゲートを通過した遊技球が、誘導路を落下して始動口の上部に穿設の排出口に導かれた後に回転体に形成の遊技球の保持部で保持され、その後、回転体の回転によって前記始動入賞口に誘導可能となるように構成され、 前記権利発生中は図柄表示部の図柄変動を行わないことを特徴とするパチンコ機。」 上記補正は、請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「特別装置作動領域」について「一方、特別装置作動領域を遊技球が通過すると権利が消滅して遊技者に不利益となる」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第3項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第4項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-309162号公報(以下、「引用例」という)には、以下の事項が記載されている。 「図1に示すように遊技盤内には、ガイドレール1で囲まれた遊技部2を形成し、遊技部2のほぼ中央には3個の7セグメント表示器3を左右に並設した可変表示装置4を設け、可変表示装置4の下方には一対の翼片5を閉じて打球を受け入れ難い第1状態と、一対の翼片5を開いて打球を受け入れ易い第2状態に変換可能な、特別入賞領域として機能する大入賞口6を設けてある。そして、大入賞口6の下方には一対の球受片7を閉じて特定入賞領域8内へ打球を受け入れ難い第1状態と、一対の球受片7を開いて特定入賞領域8内へ打球を受け入れ易い第2状態とに変換可能な普通電動役物9を設け、普通電動役物9の下方には球の入賞に基づき特別遊技の権利を発生させる特別権利発生領域10を設けてある。」(段落【0009】) 「また、大入賞口6の左側には、受け入れた打球を特別遊技始動領域11に誘導可能な分別装置12を設け、分別装置12の上方には可変表示装置始動領域として機能する可変表示装置始動スイッチ13を設けてある。そして、可変表示装置始動スイッチ13の上部の遊技部2には、分別装置12へ球を誘導可能に障害釘を植設して球貯留部14を形成してある。」(段落【0010】) 「分別装置12は、遊技盤に取り付ける基板41のほぼ中央に、円筒状で上端の一部を開成した球保持枠42を立設し、球保持枠42の内部には、円柱状であって周面の一部に球を1個保持可能な球保持部43を設けた回転体44を回転可能に取り付けてある。回転体44の裏面には回転軸45を突設してあり、回転軸45の後端にはモータからなる回転装置46が設けてある。また、分別装置12の上方には可変表示装置始動スイッチ13が設けてある。」(段落【0016】) 「可変表示装置始動スイッチ13により検出され、分別装置12の球保持部43に取り込まれた打球は、回転体44の回転により、分別装置12の下方に設けた特別遊技始動領域11に導かれ、特別遊技始動スイッチ47により検出される。」(段落【0017】) 「本実施例に示したパチンコ機における遊技では、特別権利発生領域10に打球が入賞し特別遊技の権利が発生中に、再び特別権利発生領域10に打球が入賞すると、特別遊技の権利は消滅するように構成されている。」(段落【0019】) 「しかし、本実施例では、図8に示すように可変表示装置始動スイッチ13の上部に設けた球貯留部14に貯留された球は、可変表示装置始動スイッチ13に検出されるが、この時の検出信号の立ち下がりをトリガとして可変表示装置4における普通図柄の変換が開始する。そして、分別装置12の回転体44が1回転するには約12秒要するように回転装置(モータ)46の回転速度を調整し、可変表示装置4における普通図柄の変換時間を約7秒(図9A)、普通電動役物の作動時間を約4秒(図9B)に設定してある。」(段落【0020】) 「そして、可変表示装置始動スイッチ13が球を検出し、可変表示装置4における普通図柄の表示変換が開始して、その後、可変表示装置4における普通図柄の停止表示態様が当りの態様となると普通電動役物9が作動する。」(段落【0021】) 「普通電動役物9が作動し、特定入賞領域8に入賞した打球が特別権利発生領域10に入賞すると、特別遊技の権利が発生する。」(段落【0022】) 「この特別遊技の権利が発生している状態で特別遊技始動領域11に打球が入賞すると、特別遊技が開始し、大入賞口6が一定時間、例えば7秒間開放する(図9C)。」(段落【0023】) 以上の記載事項、及び、図1、図6乃至図9を参酌すると、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されているものと認められる。 「3個の7セグメント表示器3を左右に並設した可変表示装置4を設け、一対の翼片5を閉じて打球を受け入れ難い第1状態と、一対の翼片5を開いて打球を受け入れ易い第2状態に変換可能な、特別入賞領域として機能する大入賞口6を設け、一対の球受片7を閉じて特定入賞領域8内へ打球を受け入れ難い第1状態と、一対の球受片7を開いて特定入賞領域8内へ打球を受け入れ易い第2状態とに変換可能な普通電動役物9を設け、普通電動役物9の下方には球の入賞に基づき特別遊技の権利を発生させる特別権利発生領域10を設け、受け入れた打球を特別遊技始動領域11に誘導可能な分別装置12を設け、 可変表示装置始動スイッチ13の上部に設けた球貯留部14に貯留された球は、可変表示装置始動スイッチ13に検出されるが、この時の検出信号の立ち下がりをトリガとして可変表示装置4における普通図柄の変換が開始して、その後、可変表示装置4における普通図柄の停止表示態様が当りの態様となると普通電動役物9が作動し、 普通電動役物9が作動し、特定入賞領域8に入賞した打球が特別権利発生領域10に入賞すると、特別遊技の権利が発生し、 この特別遊技の権利が発生している状態で特別遊技始動領域11に打球が入賞すると、特別遊技が開始し、大入賞口6が一定時間開放し、特別遊技の権利が発生中に、再び特別権利発生領域10に打球が入賞すると、特別遊技の権利は消滅するように構成されているパチンコ機であって、 可変表示装置始動スイッチ13により検出され、分別装置12の球保持部43に取り込まれた打球は、回転体44の回転により、分別装置12の下方に設けた特別遊技始動領域11に導かれ、特別遊技始動スイッチ47により検出されるパチンコ機。」 (3)対比 そこで、本願補正発明と引用発明を比較すると、 (ア)引用発明の「7セグメント表示器3」及び「可変表示装置4」は、本願補正発明の「図柄表示部」及び「図柄表示器」にそれぞれ相当し、引用発明の「7セグメント表示器3」が複数の図柄を表示可能であることは自明である。 (イ)引用発明の「一対の翼片5を閉じて打球を受け入れ難い第1状態と、一対の翼片5を開いて打球を受け入れ易い第2状態に変換可能な、特別入賞領域として機能する大入賞口6」について、「一対の翼片5を閉じて打球を受け入れ難い第1状態」及び「一対の翼片5を開いて打球を受け入れ易い第2状態」は、本願補正発明の「遊技者にとって不利な状態」及び「遊技者にとって有利な状態」に対応し、引用発明の「大入賞口6」は、本願補正発明の「第2変動入賞装置」に相当する。 (ウ)引用発明の「一対の球受片7を閉じて特定入賞領域8内へ打球を受け入れ難い第1状態と、一対の球受片7を開いて特定入賞領域8内へ打球を受け入れ易い第2状態とに変換可能な普通電動役物9」について、「一対の球受片7を閉じて特定入賞領域8内へ打球を受け入れ難い第1状態」及び「一対の球受片7を開いて特定入賞領域8内へ打球を受け入れ易い第2状態」は、本願補正発明の「遊技者にとって不利な状態」及び「遊技者にとって有利な状態」に対応し、引用発明「普通電動役物9」は本願補正発明の「第1変動入賞装置」に相当する。 (エ)引用発明の「普通電動役物9の下方には球の入賞に基づき特別遊技の権利を発生させる特別権利発生領域10を設け」た構成について、引用例の段落【0022】には、「普通電動役物9が作動し、特定入賞領域8に入賞した打球が特別権利発生領域10に入賞すると、特別遊技の権利が発生する」と記載されており、また、一般的に「入賞」とは「遊技球の通過」を伴うものであることから、引用発明の当該構成は、本願補正発明の「第1変動入賞装置に入賞した遊技球が通過可能な特別装置作動領域」に相当する。 (オ)引用発明の「特別遊技始動領域11」は、本願補正発明の「始動入賞口」に相当する。 (カ)引用発明の「可変表示装置始動スイッチ13の上部に設けた球貯留部14に貯留された球は、可変表示装置始動スイッチ13に検出されるが、検出信号の立ち下がりをトリガとして可変表示装置4における普通図柄の変換が開始」する構成について、引用発明の「可変表示装置始動スイッチ13」は本願補正発明の「図柄始動ゲート」に相当し、また、「検出信号の立ち下がり」は、可変表示装置始動スイッチ13に検出された球が球貯留部14の下方の分別装置12の球保持部43に取り込まれることによって(引用例の段落【0017】参照)、つまり可変表示装置始動スイッチ13を「通過」することによって生じると解釈されることから、引用発明の当該構成は、本願補正発明の「遊技球が図柄始動ゲートを通過すると前記図柄表示部の図柄が変動を開始」する構成に相当する。さらに、引用発明の「その後、可変表示装置4における普通図柄の停止表示態様が当りの態様となると普通電動役物9が作動」する構成について、引用例の段落【0020】に「可変表示装置4における普通図柄の変換時間を約7秒・・・に設定してある」と記載されているとおり、引用発明の普通図柄も所定時間後に停止することから、引用発明の当該構成は、本願補正発明の「所定時間後に停止した図柄が「当り」であると、前記第1変動入賞装置が遊技者にとって不利な状態から有利な状態にな」る構成に相当する。 (キ)引用発明の「普通電動役物9が作動し、特定入賞領域8に入賞した打球が特別権利発生領域10に入賞すると、特別遊技の権利が発生」する構成は、上記(エ)で述べたのと同様の解釈により、本願補正発明の「第1変動入賞装置に入賞した遊技球が特別装置作動領域を通過したことによって、遊技状態がそれ以前と異なる権利発生中とな」る構成に相当する。 (ク)引用発明の「この特別遊技の権利が発生している状態で特別遊技始動領域11に打球が入賞すると、特別遊技が開始し、大入賞口6が一定時間開放」する構成は、本願補正発明の「この権利発生中に遊技球が始動入賞口に入賞することによって第2変動入賞装置が遊技者にとって有利な状態となる」構成に相当する。さらに、引用発明の「特別遊技の権利が発生中に、再び特別権利発生領域10に打球が入賞すると、特別遊技の権利は消滅する」構成は、特別遊技の権利の消滅が遊技者の不利益になることは明らかであるから、本願補正発明の「特別装置作動領域を遊技球が通過すると権利が消滅して遊技者に不利益となる」構成に相当する。 (ケ)引用発明の「可変表示装置始動スイッチ13により検出され、分別装置12の球保持部43に取り込まれた打球は、回転体44の回転により、分別装置12の下方に設けた特別遊技始動領域11に導かれ、特別遊技始動スイッチ47により検出される」について、「可変表示装置始動スイッチ13により検出され、分別装置12の球保持部43に取り込まれた打球」は本願補正発明の「図柄始動ゲートを通過した遊技球」に相当し(上記(カ)参照)、さらに、「回転体44」「球保持部43」は、本願補正発明の「回転体」「遊技球の保持部」にそれぞれ相当する。 したがって、両者は、 「複数の図柄を表示可能な図柄表示部を有する図柄表示器と、遊技者にとって有利な状態と不利な状態に変動可能な第2変動入賞装置と、遊技者にとって有利な状態と不利な状態に変動可能な第1変動入賞装置と、該第1変動入賞装置に入賞した遊技球が通過可能な特別装置作動領域と、始動入賞口を有し、 遊技球が図柄始動ゲートを通過すると前記図柄表示部の図柄が変動を開始し、所定時間後に停止した図柄が「当り」であると、前記第1変動入賞装置が遊技者にとって不利な状態から有利な状態になり、 第1変動入賞装置に入賞した遊技球が特別装置作動領域を通過したことによって、遊技状態がそれ以前と異なる権利発生中となり、 この権利発生中に遊技球が始動入賞口に入賞することによって第2変動入賞装置が遊技者にとって有利な状態となる一方、特別装置作動領域を遊技球が通過すると権利が消滅して遊技者に不利益となるパチンコ機であって、 前記図柄始動ゲートを通過した遊技球が、回転体に形成の遊技球の保持部で保持され、その後、回転体の回転によって前記始動入賞口に誘導可能となるように構成されるパチンコ機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 図柄始動ゲートを通過した遊技球が、本願補正発明では、誘導路を落下して始動口の上部に穿設の排出口に導かれた後に回転体に形成の遊技球の保持部で保持されるのに対して、引用発明では、直ちに回転体に形成の遊技球の保持部で保持されるように構成されており、「誘導路を落下して始動口の上部に穿設の排出口に導かれ」る構成がない点。 (相違点2) 本願補正発明は、「権利発生中は図柄表示部の図柄変動を行わない」ように構成しているのに対して、引用発明には当該構成がない点。 (4)判断 (相違点1)について いわゆる第3種のパチンコ機において、本願補正発明の従来技術にもあるように、図柄始動ゲートとは別に、始動口、回転体及び始動入賞口を設けるのが従来一般的であることを考慮すると、引用発明の図柄始動ゲートは、始動口を一体にして省略したものと言うことができ、図柄始動ゲートを通過した遊技球を始動口に導くことを必要条件として、始動口を別の位置に設ける構成に置き換えることができることは、当業者にとって自明である。 一方、パチンコ機において、受入口を通過した遊技球が、誘導路を落下して入賞口の上部に穿設の排出口に導かれる技術は、従来周知(特開平1-313075号公報(第4頁右下欄第7行乃至第5頁左下欄第7行、第2図、第11図参照)、特開平1-280485号公報(第3頁右下欄第2行乃至第11行、第2図、第3図参照)、特開平6-225967号公報(段落【0010】、図1参照))であり、この周知技術によれば、入賞口を受入口とは別の位置に配置する一方、受入口を通過した遊技球の入賞口への入賞率を高くすることができる。 そして、上記必要条件に応じて、引用発明に上記周知技術を適用し、受入口となる図柄始動ゲートを通過した遊技球が、誘導路を落下して入賞口となる始動口の上部に穿設の排出口に導かれるように構成することは、当業者であれば容易になしえる。 よって、相違点1に係る本願補正発明の構成は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。 (相違点2)について 本願補正発明のような、いわゆる第3種のパチンコ機の分野において、権利発生中に特別装置作動領域を遊技球が通過することによる権利消滅を回避するために、権利発生中は図柄表示部の図柄変動を行わないように構成することは、従来周知の技術である(特開平4-309388号公報(段落【0044】参照)、特開平6-54952号公報(段落【0091】参照)、特開平6-63228号公報(段落【0076】参照))。そして、引用発明もいわゆる第3種のパチンコ機に関するものであるから、権利発生中に特別装置作動領域を遊技球が通過することによる権利消滅を回避するために上記周知技術を採用することは、当業者にとって容易になしえる設計的事項である。 よって、相違点2に係る本願補正発明の構成は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。 そして、本願補正発明の作用効果も引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項において準用する同法第126条第3項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3 本願発明について (1)本願発明 平成14年12月13日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という)は、平成14年10月31日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 複数の図柄を表示可能な図柄表示部を有する図柄表示器と、遊技者にとって有利な状態と不利な状態に変動可能な第2変動入賞装置と、遊技者にとって有利な状態と不利な状態に変動可能な第1変動入賞装置と、該第1変動入賞装置に入賞した遊技球が通過可能な特別装置作動領域と、始動入賞口と、誘導路を有し、 遊技球が図柄始動ゲートを通過すると前記図柄表示部の図柄が変動を開始し、所定時間後に停止した図柄が「当り」であると、前記第1変動入賞装置が遊技者にとって不利な状態から有利な状態になり、 第1変動入賞装置に入賞した遊技球が特別装置作動領域を通過したことによって、遊技状態がそれ以前と異なる権利発生中となり、 この権利発生中に遊技球が始動入賞口に入賞することによって第2変動入賞装置が遊技者にとって有利な状態となるパチンコ機であって、 前記図柄始動ゲートを通過した遊技球が、誘導路を落下して始動口の上部に穿設の排出口に導かれた後に回転体に形成の遊技球の保持部で保持され、その後、回転体の回転によって前記始動入賞口に誘導可能となるように構成され、 前記権利発生中は図柄表示部の図柄変動を行わないことを特徴とするパチンコ機。」 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は前記2(2)に記載したとおりである。 (3)対比・判断 本願発明は、前記2で検討した本願補正発明から「特別装置作動領域」の限定事項である「一方、特別装置作動領域を遊技球が通過すると権利が消滅して遊技者に不利益となる」との構成を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに上記限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-11-08 |
結審通知日 | 2006-11-14 |
審決日 | 2006-11-29 |
出願番号 | 特願平7-148088 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 塩崎 進 |
特許庁審判長 |
二宮 千久 |
特許庁審判官 |
中槙 利明 川島 陵司 |
発明の名称 | パチンコ機 |
代理人 | 犬飼 達彦 |