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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1151036
審判番号 不服2003-7770  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2003-01-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-05-06 
確定日 2007-01-25 
事件の表示 特願2001-209815「ゲーム装置、ゲームタイトル画像表示制御方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 1月21日出願公開、特開2003- 19346〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年7月10日に特許出願され、拒絶理由通知に対応して平成15年1月15日付手続補正により明細書の特許請求の範囲及び詳細な説明が補正され、その後拒絶査定され、これに対して、拒絶査定不服の審判が請求されると共に、同年5月30日付手続補正により明細書が補正されたものである。

2.平成15年5月30日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年5月30日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1?7は、
「【請求項1】 少なくともゲームのタイトルを含んだゲームタイトル画像が
表示可能とされたゲーム装置であって、
少なくとも2種類のゲームタイトル画像を記憶する記憶手段と、
プレイヤがゲーム操作入力をするためのゲーム操作入力手段と、
前記ゲーム操作入力がないときにはその値が減少され、前記ゲーム操作入力があるときにはその値が増加される変数を用い、当該変数の値に応じた段階のアニメーションを表示するとともに、当該変数の値を用いた判断の結果に基づき、前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する選択表示手段と、
を含むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】 請求項1に記載のゲーム装置において、前記選択表示手段は、所定時間内に前記ゲーム操作入力がない場合、前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちデフォルトゲームタイトル画像を表示し、所定時間内に前記ゲーム操作入力がある場合、前記ゲーム操作入力の内容が所定条件を満足するものであるかに応じて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する、ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】 請求項1又は2に記載のゲーム装置において、前記選択表示手段は、所定タイミング以後の前記ゲーム操作入力の内容に応じて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する、ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】 少なくともゲームのタイトルを含んだゲームタイトル画像の表示を制御するゲームタイトル画像表示制御方法であって、プレイヤのゲーム操作入力を取得するゲーム操作入力取得ステップと、前記ゲーム操作入力がないときにはその値が減少され、前記ゲーム操作入力があるときにはその値が増加される変数を用い、当該変数の値に応じた段階のアニメーションを表示するとともに、当該変数の値を用いた判断の結果に基づき、前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する選択表示ステップと、を含むことを特徴とするゲームタイトル画像表示制御方法。
【請求項5】 請求項4に記載のゲームタイトル画像表示制御方法において、前記ゲームタイトル画像表示ステップでは、所定タイミング以後の前記ゲーム操作入力の内容に応じて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する、ことを特徴とするゲームタイトル画像表示制御方法。
【請求項6】 少なくともゲームタイトルを含んだゲームタイトル画像が表示可能なゲーム装置としてコンピュータを動作させるためのプログラムであって、プレイヤのゲーム操作入力を取得するゲーム操作入力取得手順と、前記ゲーム操作入力がないときにはその値が減少され、前記ゲーム操作入力があるときにはその値が増加される変数を用い、当該変数の値に応じた段階のアニメーションを表示するとともに、当該変数の値を用いた判断の結果に基づき、前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する選択表示手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】 請求項6に記載のプログラムにおいて、前記ゲームタイトル表示手順は、所定タイミング以後の前記ゲーム操作入力の内容に応じて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示するゲームタイトル表示手順であることを特徴とするプログラム。」
と補正された。

上記補正事項は、本件補正前の請求項1、4及び6に記載した
(A)「ゲーム操作入力の状態に応じて変化する中間画像を表示し」を「前記ゲーム操作入力がないときにはその値が減少され、前記ゲーム操作入力があるときにはその値が増加される変数を用い、当該変数の値に応じた段階のアニメーションを表示する」に補正する、
とともに、
(B)「少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する」を「該変数の値を用いた判断の結果に基づき少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する」に補正するものであるが、
(A)は「中間画像を表示」することをより限定し具体化したものであり、(B)は「該変数の値を用いた判断の結果に基づき」という、「表示する」ことについて更に限定し具体化する事項を加えたものである。
よって、上記補正事項は、平成15年改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、本願の出願当初の明細書又は図面に記載されて事項の範囲内においてなされている。

(2)補正要件(独立特許要件)の検討
(1)のとおりであるから、本件補正後の前記請求項1?7に記載された発明(以下、「本願補正発明1?7」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2-1)本願補正発明
本願の請求項1に係る発明は、平成15年5月30日付手続補正書の特許請求項1に記載されたとおりのものと認めるところ、請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明1」という。)は、以下のとおりである。
「少なくともゲームのタイトルを含んだゲームタイトル画像が表示可能とされたゲーム装置であって、
少なくとも2種類のゲームタイトル画像を記憶する記憶手段と、
プレイヤがゲーム操作入力をするためのゲーム操作入力手段と、
前記ゲーム操作入力がないときにはその値が減少され、前記ゲーム操作入力があるときにはその値が増加される変数を用い、当該変数の値に応じた段階のアニメーションを表示するとともに、当該変数の値を用いた判断の結果に基づき、前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する選択表示手段と、
を含むことを特徴とするゲーム装置。」

(2-2)特許法第36条の検討
本願補正発明1に記載された「ゲーム操作入力」は、どの時点の何に対する操作を示すのか不明りょうであるから、変数に応じた段階のアニメーションを表示する際に、どのような操作を元に変数が減少又は増加するか不明である。 また、本願補正発明1、4、6に記載された「ゲーム操作入力がないときには」及び「ゲーム操作入力があるときには」との記載が、ゲームタイトル画像の表示に先立って「変数」の値が定まるものであるから、「ゲーム操作入力」はゲームタイトル画像の表示に先立つものであることは理解できるが、「とき」なる限定のみでは、特定の時点における「ゲーム操作入力」の有無に応じた場合分けを示すのか、所定時間中における「ゲーム操作入力」の有無による連続的な処理を示すのか特定できないため不明りょうである。
そして、本願補正発明2及び3は本願補正発明1を、本願補正発明5は本願補正発明4を、本願補正発明7は本願補正発明6を含む発明であるから、同様に明確ではない。
したがって、本願補正発明1?7は、特許法第36条第6項2号の規定に反するものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(2-3)特許法第29条第2項の検討

[1]引用刊行物記載事項
当審において新たに発見された、特許第2742394号公報、特許第3145062号公報及び特開平11-333145号公報並びに原査定の拒絶理由に引用された「トクマインターメディアムック 超絶 大技林 '95年夏版 第65頁右欄第16行?第30行(徳間書店インターメディア株式会社 1995年8月20日)」には、以下の事項が記載されている。

(A)特許第2742394号公報(以下、「刊行物A」いう。)
(A-1)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、ゲームプログラムおよびデータの読込み方法ならびにこれを用いたゲーム装置に関する。」
(A-2)「【0019】【作用】(1)記録媒体に、主たるゲーム(メインゲーム)のプログラムやデータと共に、このメインゲームプログラム等の読込みの期間に素早く実施できる副次的なゲーム(プレゲーム、ミニゲーム)のプログラムやデータを記録しておく。そして、メインゲームプログラム等のゲーム機本体へのローディング(読込)に際し、まず、命令量やデータ量が少ないプレゲームのプログラム等を読み込んでプレゲームを実行し、ディスプレイ上にゲーム画像を表示してプレーヤを素早くゲーム世界に没頭させる。この間に、命令量やデータ量が多いメインゲームのプログラム等のローディングを完了させ、プレゲームの終了とともにメインゲームを実行する。これにより、プレーヤは、メインゲームの読込み時間を意識することなく素早くゲームに没頭できる。」
(A-3)「【0022】また、この際、プレゲームにおけるプレー結果に応じてメインゲームの初期条件を異ならせるようにすれば、プレゲームはメインゲームの予選のような意義をもち、メインゲームがより白熱し、面白くなる。」
(A-4)「【0027】モニタ装置600は、画像合成手段540から出力されるビデオ信号と音声合成手段520から出力される音声信号とを受けて、ゲーム画像の表示ならびに必要な音声等の出力を行う。」
(A-5)「【0043】そして、プレゲームが終了したと判断されると(ステップS7)、メインCPU500は、RAM400内に記憶されたメインゲームのデータなどの読み出しを開始し(ステップS8)、メインゲーム用の初期条件の設定を行う(ステップS10)。このとき、メインCPU500は、メインゲーム用のデータなどの読み出しと平行して、プレゲームのゲーム結果の判定を行い(ステップS9)、この判定結果をメインゲームの初期設定に反映するように動作する。」
(A-6)「【0046】本実施例において、前記プレゲームは、図3に示すよう、モニター600上に現れる異星人(R)を、プレーヤの操縦するスターシップ(SL)から発射するレーザ光で、例えば15秒という短いゲーム時間内で撃破するというように構成されている。前記したステップS9の、プレゲーム結果の判定では、プレーヤはゲーム時間15秒中に、全部の異星人を撃破できたかどうかを判定して、判定結果を次のメインゲームにおける初期条件に反映する。全部の異星人を撃破できた時と、そうでない場合とで、次のメインゲームにおける初期条件が異なる。
【0047】実施例において、メインゲームは、レーシングカーゲームであり、コンピュータの操作する他のレーシングカーとプレーヤが操作するレーシングカーとのドライブテクニックを競い合うものである。この場合、プレゲームで全部の異星人を撃破できなかったとき、プレーヤが選択できる車は図4に示すQ1,Q2の2台に限られるが、全部の異星人を撃破できたときは、選択できる車は図4に示すQ1?Q4の4台となって、プレーヤはより自分好みの車を選択できるようになっている。
【0048】このように、プレゲームの結果がメインゲームの条件に関係するため、プレーヤは、プレゲームの段階から素早くゲームに没頭できる。この間にローディング時間の長いメインゲームのゲームプログラム等をロードするため、プレーヤには、そのローディング時間はまったく意識されない。したがって、無駄な時間がなく、さらに、プレゲームがメインゲームを盛り立てるという相乗効果が得られ、よりエキサイティングなゲームを楽しめるようになる。」
(A-7)上記摘記事項から見て、刊行物Aには以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「ゲーム装置であって、記録媒体に、主たるゲーム(メインゲーム)であるレーシングカーゲームのプログラムやデータとともに、このメインゲームプログラム等の読み込みの期間に素早く実施出来る副次的なゲーム(プレゲーム)である異星人をプレーヤの操縦するスターシップから発射するレーザ光で、ゲーム時間15秒中に撃破するゲームのプログラムやデータを記録しておき、メインゲームプログラム等のゲーム機本体へのローディング(読込)に際し、まず、命令量やデータ量が少ないプレゲームのプログラム等を読み込んでプレゲームを実行し、プレゲーム時間15秒の間で全部の異星人を撃破できなかったとき、2台の車を選択する画面が表示され、全部の異星人を撃破できたときは、4台の車を選択する画面が表示されるゲーム装置。」

(B)特許第3145062号公報(以下、「刊行物B」いう。)
(B-1)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ゲームデータの記録された、光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリを用いたカセット式記録媒体等を用いるゲームシステムに適用して好適な連射機能の不正使用防止方法及び記録媒体に関する。」
(B-2)「【0003】一方、ゲームの種類は増加の一途をたどり、また、ゲームの内容は、日増しに複雑、且つ、多様化してきている。しかしながら、ボタンの連打速度が速ければ速いほど高成績になるゲーム、例えば、シューティングゲームや、競争ゲームは、依然としてその人気は衰えない。シューティングゲームは、ボタンを連打することにより、画面上において、敵のキャラクタに弾を当て、敵のキャラクタを消すといったものである。このようなゲームでは、ボタンの連打速度が速ければ速いほど、単位時間あたりに発射される弾の数が多くなるので、敵のキャラクタをより早く確実に消すことができる。一方、競争ゲームは、複数の移動体を、夫々、ボタンの連打速度に応じた速度で、画面上で移動させるといったものである。例えば図8に示される競争ゲームでは、画面上の2つの移動体a1及びa2が、夫々、ボタンの連打速度に応じた速度で、矢印で示される方向に移動される。そして、先にゴールラインGLを越えた移動体a1若しくはa2を操作していたゲームプレーヤが、勝ちとされる。」
(B-3)「【0032】ここで、コントローラ92の指示キーについて説明する。コントローラ92は、左キーL、右キーR、上キーU及び下キーDからなる十字キーと、第1左ボタン92L1、第2左ボタン92L2、第1右ボタン92R1、第2右ボタン92R2、スタートボタン92a、セレクトボタン92b、第1ボタン92c、第2ボタン92d、第3ボタン92e、第4ボタン92f、連射機能を特定のボタンに与えるための連射スイッチ92gとからなる。十字キーは、プレーヤが、CPU51に対し、上下左右のコマンドを与えるためのものである。スタートボタン92aは、プレーヤが、CD-ROMディスクから読み出されてロードされるゲームプログラムデータ等による動作の開始をCPU51に指示するためのものである。セレクトボタン92bは、プレーヤが、CD-ROMディスクからメインメモリ53にロードされるゲームプログラムデータ等に関する各種選択を、CPU51に指示するためのものである。
【0033】以下の説明では、連射を行うためのボタンを、第1ボタン92cとし、この第1ボタン92cを「操作ボタン」と称することとする。上記連射スイッチ92gは、操作ボタン92cに対し「連射機能」を与えるか否かを決定するためのスイッチである。連射スイッチ92gがオンのときに操作ボタン92cは連射機能を有する。即ち、連射スイッチ92cがオンのときに操作ボタン92cが押されると、その間、人間の手によっては不可能な程に高速かつ規則正しく操作ボタン92cを叩いた状態が電気的に作り出され、これが信号として出力される。以下、連射スイッチ92gがオンにされた状態で操作ボタン92cが押されている状態を、「連射機能が用いられている」等のように記述する。また、連射スイッチ92gがオフのときに操作ボタン92cが押されると、その間、ハイレベル“1”の信号が出力される。尚、コントローラ92には、上記操作ボタン92cが押されている間に、例えばクロック信号のような正確な矩形波を連続的に出力する回路、例えば水晶発振器とクロック生成回路等が搭載されている。」
(B-4)「【0061】通常、操作データが“0”から“1”に変化したときに、操作ボタン92c押された瞬間であると見なし、これを「トリガ」という。つまり、第2記憶領域P1_KEYに記憶されている1フィールド前の操作データが“0”、第1記憶領域CU_KEYに記憶されている現在の操作データが“1”、即ち、これらのデータ列が“01”であれば、トリガが有効であるものと判断することができる。しかしながら、これだけでは連射機能が用いられている状態で操作ボタン92cが押されたときにおける“0”から“1”への変化か、手動により操作ボタン92cが押されたときにおける“0”から“1”への変化かを判別することができない。そこで、本形態においては、第3記憶領域P2_KEYに記憶されている2フィールド前の操作データを、連射機能が用いられている状態で操作ボタン92cが押されているのか否かを判断するために用いる。例えば、第3、第2及び第1記憶領域P2_KEY、P1_KEY及びCU_KEYに記憶されている操作データのデータ列が、“101”であれば、その変化は、連射機能が用いられている状態で操作ボタン92cが押されたことによる変化であるものと判断され、“001”であれば、その変化は、手動により操作ボタン92Cが連打されたことによる変化であるものと判断される。従って、操作態様検出プログラムPs1、Ps2は、過去3回分の操作データが、“001”のときのみ、トリガが有効であるという検出結果を生成する。そして、直近のPs1、Ps2のいずれかでトリガが有効であるという検出結果が得られれば、メインプログラムPmの有効・無効判断ステップStにおいても、トリガが有効であるものと判断される。以上のように処理を行えば、メインプログラムPmの処理周期が1/30秒でありながら、操作データの変化を1/60秒毎に検出することができる。」
(B-5)「【0065】ステップS1では、オペレーティングシステムの命令により、記録媒体ドライバ19が、CD-ROMディスク81から画像、音声及びゲームプログラムデータを読み出す。読み出されたデータの内、プログラムデータは、メインメモリ5に記憶される。これにより、CPU51は、図2に示した機能を有する。尚、このとき、画像、即ち、テクスチャデータは、GPU62のバッファ63の非表示エリアに記憶され、夫々テクスチャ番号が割り当てられるものとする。また、音声データは、音声処理プロセッサ13のバッファ14に記憶され、夫々音声番号データが割り当てられるものとする。通常、すべての画像及び音声データが、ステップS1においてバッファ63及び14に保持されることはないが、説明の便宜上、すべての画像及び音声データが、ステップS1においてロードされるものとする。ステップS2では、ボタン操作検出手段1aが、コントローラ92のスタートボタン92aが押された否かを判断し、「YES」であればステップS3に移行する。
【0066】ステップS3では、描画命令発行手段1eが、セレクト画像の描画を示す描画命令を、図1に示したGPU62に対して発行する。GPU62は、上記描画命令に基いて、セレクト画像の画像データを、バッファ63の表示面上に展開する。これにより、テレビジョンモニタ12の表示面上には、セレクト画像が表示される。ステップS4では、ボタン操作検出手段1aが、コントローラ92のスタートボタン92aが押されたか否かを判断し「YES」であればステップS5に移行する。
【0067】ステップS5では、CPU51が、セレクトされたゲームにセットする。ここで、「セレクトされる」とは、ゲームプレーヤが、ステップS3で表示されたセレクト画像を参照して、十字キーを用いてゲームを選択し、この後に、スタートボタン92aを押すことを意味する。また、ここで「ゲーム」とは、ゲームそのものの他、例えば新たにゲームを行うか、または、メモリカードにセーブしている前回のゲームを行うか等も含む。要するに、ゲームが実際に開始される前の選択事項である。説明の便宜上、このステップS5において、新たにゲームを行うことが選択されたものとする。ステップS6では、CPU51が、選択されたゲームの初期画面を出力する。
【0068】ステップS7では、変数設定手段1dが、メインメモリ53に保持しているフラグや変数を夫々リセットする。ステップS8では、判断手段1cが、カウンタのカウント値CTの値が“0”か否かを判断し、「YES」であればステップS9に移行し、「NO」であればステップS11に移行する。ここで、移動体a1、a2の位置は、計算上での位置であり、この位置データが、バッファ63上の位置(アドレス)に変換される。また、カウンタは、図2に示した演算手段1bに含まれる。
【0069】ステップS9では、変数設定手段1dが、カウント値CTの値を乱数によって発生した値で再設定する。ステップS10では、変数設定手段1dが、移動体a2の加速度AC2に、正の値を設定する。ステップS11では、演算手段1bが、カウント値CTから“1”を減算する。ステップS12では、変数設定手段1dが、移動体a2の加速度AC2に、負の値を設定する。
【0070】ステップS13では、演算手段1bが、移動体a2の加速度AC2と時間Δt(1/30秒)を乗算し、当該乗算結果を、移動体a2の速度V2に加算し、速度V2の値を更新する。ステップS14では、演算手段1bが、移動体a2の速度V2と時間Δt(1/30秒)を乗算し、当該乗算結果を移動体a2の位置D2に加算し、位置D2の値を更新する。上記ステップS8からステップS14までの処理は、CPU51による、移動体a2の自動操作である。
【0071】ステップS15では、判断手段1cが、ステップS14で求めた移動体a2の現在位置D2の値が、ゴール位置GLの値以上か否かを判断し、「YES」であればステップS26に移行し、「NO」であればステップS16に移行する。ステップS16では、有効・無効判断手段1hが、トリガ値データTrを読む。
【0072】ステップS17では、有効・無効判断手段1hが、トリガ値データTrが“1”か否か、即ち、操作ボタン92cのトリガが有効か否かを判断し、「YES」であればステップS18に移行し、「NO」であればステップS19に移行する。ステップS18では、変数設定手段1dが、移動体a1の加速度AC1に、正の値を設定する。
【0073】ステップS19では、変数設定手段1dが、移動体a1の加速度AC1に、負の値を設定する。ステップS20では、演算手段1bが、移動体a1の加速度AC1と時間Δt(1/30秒)を乗算し、当該乗算結果を移動体a1の速度V1に加算し、速度V1の値を更新する。
【0074】ステップS21では、演算手段1bが、移動体a1の速度V1と時間Δt(1/30秒)を乗算し、当該乗算結果を移動体a1の位置D1に加算し、位置D1を更新する。ステップS92では、判断手段1cが、ステップS19で求めた移動体a1の現在位置D1の値が、ゴール位置GLの値以上か否かを判断し、「YES」であればステップS23に移行し、「NO」であればステップS26に移行する。
【0075】ステップS23では、変数設定手段1dが、アニメーションパターンを選択する。ここで、アニメーションパターンとは、多数の移動体a1、a2の形状パターンである。ステップS24では、演算手段1b、描画命令発行手段1eにより、表示処理が実行される。
【0076】ステップS25では、垂直同期信号検出手段1iが、2つ目の垂直同期信号を検出したか否かを判断し、「YES」であれば再びステップS8に移行する。ステップS26では、垂直同期信号検出手段1iが、2つ目の垂直同期信号を検出したか否かを判断し、「YES」であればステップS27に移行する。ステップS27では、演算手段1b、描画命令発行手段1eにより、ゴール処理が実行される。ここで、ゴール処理とは、ゴールした時点から数秒間の表示処理である。例えば競争ゲームが徒競走の場合においては、ゴールをする直前若しくはゴールをした時点に選手が手を広げ、この後数秒間の間、選手が徐々に走るスピードをおとすまでの動きが、視覚的に表現される。」
(B-6)上記摘記事項から見て、刊行物Bには、以下の発明が記載されている。
「移動体がゴールした場合に勝ちとされる競争ゲームにおいて、プレイヤが操作ボタンを連射することによってゲーム操作をし、操作ボタンのトリガが有効であるときは移動体の加速度に正の値を設定し、有効ではないときには移動体の加速度に負の値を設定し、演算手段が、移動体の加速度と時間を乗算し、当該乗算結果を移動体の速度に加算することで、操作ボタンのトリガが有効である場合は速度の値を増加し、有効でないときには速度の値を減少し、そして移動体の速度と時間を乗算し、当該乗算結果を移動体の位置に加算して位置を更新し、移動体の現在位置の値が、ゴール位置の値以上である場合には、ゴールをする直前若しくはゴールをした時点に選手が手を広げ、この後数秒間の間、選手が徐々に走るスピードをおとすまでの動きが、視覚的に表現されるゲーム装置。」

(C)特開平11-333145号公報(以下、「刊行物C」という。)
(C-1)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ゲーム装置及び画像合成方法に関する。」
(C-2)「【0038】本発明によれば、新ゲームキャラクタ等の認識情報が、ゲームプレイ中以外の期間、例えばタイトル画面表示、デモ画面表示、ハイスコア画面表示等の期間に表示される。これにより、ゲーム装置が、新ゲームキャラクタ等の選択が可能となったことをプレーヤに対して伝えることができる。この結果、長期間に亘ってゲーム装置の人気を保つことが可能となる。」
(C-3)「【0042】操作部12には、第1のプレーヤ用のレバー20、ボタン22?28と、第2のプレーヤの用のレバー30、ボタン32?38とが設けられている。これらのレバー、ボタンは、ゲームキャラクタの動作指示手段となるものである。但し、ゲームを楽しもうとするプレーヤが第1のプレーヤだけの場合には、第1のプレーヤは第2のプレーヤの代わりにコンピュータの操作するゲームキャラクタと対戦することになる。
【0043】本実施例では、レバー20、30を左右に動かすことで、対応するゲームキャラクタ44、46を、ゲームキャラクタ44、46を結ぶ線上において左右に動かすことができる。また、レバー20、30を上下に動かすことで、対応するゲームキャラクタ44、46をジャンプさせたり、かがませたりすることができる。また、本実施例においては、プレーヤが左手ボタン22、右手ボタン24、左足ボタン26、右足ボタン28を押すことで、ゲームキャラクタ44の対応する左手、右手、左足、右足を動かすことができる。ボタン32?38についても同様である。」
(C-4)「【0047】ゲーム演算部100は、前記操作部12からの操作情報と、ゲームプログラムと、情報記憶装置120に記憶されるゲーム設定情報とに基づいてゲーム演算を行うものであり、読み出し部102、情報更新部104、書き込み部106を含む。画像合成部200は、ゲーム演算部100でのゲーム演算結果に基づいてプレーヤから見えるゲーム画像の合成を行うものである。」
(C-5)「【0051】次に、読み出されたゲーム設定情報、操作部12からの操作情報、所定のプログラム等にしたがったゲーム演算が行われる。即ち、まず図2に示すゲーム画面において木等の表示物の配置を行ったり、背景を描くための演算を行う。また、プレーヤがボタン等によりゲームキャラクタ44、46を操作した場合には、ゲームキャラクタ44、46を動作させる演算を行う。例えば、本装置が3次元画像を合成できる3次元ゲーム装置であった場合には、ゲームキャラクタ44、46は手、足等を表すオブジェクトの集合で表され(ゲームキャラクタを1つのオブジェクトとしてもよい)、各オブジェクトはポリゴンの集合で表される。そして、この場合には、ゲーム演算部100は、各オブジェクトをどの位置、どの方向に配置するかを決める演算を行い、この位置、方向に関する情報をオブジェクト情報として画像合成部200に出力する。画像合成部200では、所定の視点位置、視線方向において見える画像を、このオブジェクト情報に基づいて合成する。具体的には、オブジェクト情報に基づいてオブジェクトをワールド座標系で表される仮想3次元空間内に配置して、これを視点座標系、スクリーン座標系に座標変換し、その後、ポリゴンを所定色で塗りつぶす等の描画処理を行う。これにより、図2に示すようなゲーム画像が得られる。」
(C-6)「【0057】次に、ゲーム設定情報の更新について説明する。本実施例では、ゲーム設定情報の更新により、プレーヤがゲームにおいて選択するゲームキャラクタに関する情報が変更される。これにより、例えば、ゲーム設定情報が更新されるまではプレーヤが選択できなかったゲームキャラクタを選択すること等が可能となる。例えば、図6では、キャラクタ選択領域60にはゲームキャラクタが表示されず、プレーヤは3つのゲームキャラクタからゲームを選択することになる。この場合、図6のようにキャラクタ選択領域60だけを設け、ここを故意に空白にすることで、プレーヤに「一体、どのような謎のゲームキャラクタが隠されているのだろうか」という期待感を持たせることができる。逆に、このような空白を設けなければ、所定期間経過した後に、突然、選択できるゲームキャラクタが増えることとなる。これにより、新たに出現するゲームキャラクタの存在を秘密にしておくことができると共に、ゲームキャラクタが出現した場合にプレーヤが感じるインパクトを、より高めることが可能となる。」
(C-7)「【0070】さてゲーム装置においては、プレーヤがゲームプレイを行っていない間にも、いわゆるデモ画面表示等を行っている場合が多い。例えば図10(A)に示すフローチャートでは、プレーヤがコインを投入等しない限り(ステップT4)、タイトル画面表示、デモ画面表示、ハイスコア画面表示等を繰り返す(ステップT1?T3)。そしてプレーヤがコインを投入等して初めてプレイ画面が表示される(ステップT5)。本実施例では、このようなプレーヤのゲームプレイ中以外の期間に、新ゲームキャラクタを認識するための情報をディスプレイ上に表示している。例えば図10(B)では250に示すように、デモ画面表示中に新ゲームキャラクタB2を認識するための情報を表示している。このような認識情報としては、例えばゲームキャラクタの顔、姿、名前、番号等を表すものが考えられる。また本実施例では、デモ画面中で対戦させるゲームキャラクタも新ゲームキャラクタに変更している。例えば図10(B)では、ゲームキャラクタ44、46が対戦する様子が示されるデモ画面が表示されているが、この場合、ゲームキャラクタ46を例えば新ゲームキャラクタB2に変更する。以上のようにすることで、プレーヤに対して、このゲーム装置が既に新しいゲームキャラクタが出現し、いわゆるバージョンアップされ刷新されたゲーム装置であることを認識させることができ、プレーヤに飽きられ、一度低くなったゲーム装置の稼働率等を再度上昇させることが容易となる。
【0071】なお、認識情報の表示は、デモ画面のみならず、タイトル画面、ハイスコア画面等で行ってもよい。タイトル画面で行う場合には、異なるタイトルを表示する等の手法が考えられ、ハイスコア画面で行う場合に、新ゲームキャラクタでハイスコアを獲得したプレーヤの表示欄に、新ゲームキャラクタの顔、姿、名前、番号等を表示する手法が考えられる。」
(C-8)「【0079】なお本発明は、業務用のゲーム装置に適用した場合に特に大きな効果がある。例えばゲームキャラクタ等の数・種類等を変更する手法の1つとして、プレーヤが所定数のゲーム面(ゲームステージ)をクリアした場合に上記変更を行う手法が考えられる。」
(C-9)上記摘記事項から見て、刊行物Cには、次の発明が記載されていると認められる。
「タイトル画面表示が可能であり、プレイヤがゲーム操作をするための操作部においてレバーを左右に動かしたり、左手ボタン、右手ボタン、左足ボタン及び右足ボタンを押すことで、ゲーム画像上のゲームキャラクタを動かし、プレーヤが所定数のゲーム面をクリアした場合に、ゲームキャラクタ等の数・種類等を変更し、その新ゲームキャラクタを認識するための情報をゲームタイトル画面にて行うゲーム装置。」

(D)「トクマインターメディアムック 超絶 大技林 '95年夏版 第65頁右欄第16行?第30行(徳間書店インターメディア株式会社 1995年8月20日)」(以下、「刊行物D」という。)
(D-1)「ザ・キングオブドラゴンズ ウル技 同キャラプレイ 電源を入れて「CAPCOM」の文字が出ているあいだに、下、R、上、L、Y、B、X、Aの順に入力する。成功するとタイトル画面の背景が青くなり、2人プレイのときに同じキャラを使ってプレイすることができる。」
(D-2)上記摘記事項から見て、刊行物Dには以下の発明が記載されている。
「電源を入れた後に、下、R、上、L、Y、B、X、Aの順に入力することで、タイトル画面が青に変更されるゲーム。」

[2]対比
「本願補正発明1」と「引用発明」とを比較すると、「本願補正発明1」は、上記「(2-2)」のように、「ゲーム操作入力」、「ゲーム操作入力がないときには」及び「ゲーム操作入力があるときには」が不明りょうであるから、実施例に則して検討すると、本願補正発明1の実施例においては、ゲーム操作が十分になされないとダンベルにつぶされた画像が表示され、ゲーム操作が所定の速度を上回っていればダンベルを持ち上げる画像が表示されることから、本願補正発明1の「ゲーム操作入力」は、その「ゲーム」において、「画面上のゲームキャラクタの操作を可能とする操作入力」であり、「ゲーム操作入力がないときには」及び「ゲーム操作入力があるときには」は、「所定時間において、ゲーム操作入力があるかないかを繰り返し判断し、その結果、「ゲーム操作入力がないときには」及び「ゲーム操作入力があるときには」」である、と想定し、以下に検討をおこなう。

「本願補正発明1」の実施例における、「ゲーム操作入力」と操作に応じた「アニメーション」及びその結果としての「ゲームタイトル画像」とは、ゲーム操作入力の違いに従って、アニメーションのなりゆきに違いがあり、結果として表示されるタイトル画像に違いが生ずるものであり、本願補正発明1の実施例においては、この「ゲーム操作入力」と操作に応じた「アニメーション」及びその結果としての「ゲームタイトル画像」として、ゲーム操作が所定の速度を上回っていればダンベルを持ち上げることに成功した画像が表示されゲームタイトルも表示される。また、ゲーム操作が十分になされないとダンベルにつぶされた画像が表示され、やはりゲームタイトルも表示される。
すなわちこの実施例においては、ゲーム操作入力によりダンベルの持ち上げ動作がおこなわれ、成功と失敗とで結果画像が区別可能であるから、いわば「重量挙げゲーム」が表示されるものであり、結局この「ゲーム操作入力」と操作に応じた「アニメーション」及びその結果としての「ゲームの決着画像」とは、全体として「ゲーム」である、といえる。
仮にこのゲームを「タイトル画面決定ゲーム」と名付けると、この「タイトル画面決定ゲーム」の内容は、「ゲームタイトル画像」の表示の後に実行されるゲームとの特定の関係は格別限定されていないものであり、「タイトル画面決定ゲーム」の最後に表示される「ゲームの決着画像」に含まれる「ゲームタイトル」が示す「ゲーム」が、「ゲームタイトル画像」の表示の後に実行されるものであると解されるから、「タイトル画面決定ゲーム」は「プレゲーム」に相当し、「ゲームタイトル」が示す「ゲーム」が「メインゲーム」に相当するといえる。

すなわち、「引用発明」の「プレゲーム」と、本願補正発明1における上記「タイトル画面決定ゲーム」とは、「ゲーム操作入力」と操作に応じた「アニメーション」及びゲーム結果の画像を表示する「ゲーム」であること、次に行われる「ゲーム」すなわち、「引用発明」における「メインゲーム」や、本願補正発明1における「タイトル画面決定ゲーム」の後に実行されるであろうゲーム、に先立って実行されること、を共に具備するものである点において相違しないものである。

よって、「引用発明」の「プレゲーム」は、本願補正発明1における「タイトル画面決定ゲーム」に相当し、「引用発明」における「メインゲーム」は、本願補正発明1においては、「ゲームタイトル画面」表示後に実行されるであろうことが想定されている筈の、その「ゲームタイトル」が付けられた「ゲーム」に相当する。

さらに、「引用発明」における「プレゲーム」は、異星人を撃破するゲームであり、15秒の間に全部の異星人を撃破出来たときがゲームの成功を意味し、15秒間で全部は撃破できなかったときがゲームの失敗を意味するものであるといえ、「プレゲーム」の実行は通常のゲームの実行と異なるものではない筈であるから、「引用発明」においては、成功画面である異星人を全部撃破できた状態を示す画像、及び、15秒が経過した時点での、異星人が全部撃破出来ていない状態を示す画像(この状態は全部は撃破していないのであるから、複数種類在ると解されるが)の、少なくとも2種類の画像が、ゲームの結果画面として、必ず表示されるものであると解される。
すなわち、「本願補正発明1」の実施例における、ダンベルを持ち上げることに成功した画面は、「ゲーム結果を示す画面」という意味において、「引用発明」における異星人を全部撃破した状態の画面に相当し、ダンベルにつぶされた画面は、「ゲーム結果を示す画面」という意味において、異星人を全部撃破できずに制限時間が到来した時の画面に相当するといえる。

よって、「本願補正発明1」も「引用発明」も共に、「プレゲーム」の結果に基づき、少なくとも2種類の画像を表示するものであるといえる。

[3]引用発明と本願補正発明1との一致点
「本願補正発明1」と「引用発明」とは、次の点において一致する。
「プレイヤがゲーム操作入力をするためのゲーム操作入力手段と、ゲーム結果に基づき表示される画像を記憶する記憶手段と、前記ゲーム操作入力により行われたゲームの結果に基づき少なくとも2種類の画像のうちいずれかを選択表示する手段を含む、ゲーム装置。」

[4]引用発明と本願補正発明1との相違点
そして、両者の相違点は、

(i) その結果に基づいて、少なくとも2種類の画像のうちいずれかを選択表示するための、「ゲーム操作入力により行われたゲーム」が、
本願補正発明1は、「ゲーム操作入力がないときにはその値が減少され、前記ゲーム操作入力があるときにはその値が増加される変数を用い、当該変数の値に応じた段階のアニメーションを表示する」ものであって、2種類の画像は「当該変数の値を用いた判断の結果に基づいて」選択表示されるものであるのに対し、
「引用発明」は、「ゲーム時間15秒中にプレーヤの操縦するスターシップから発射するレーザ光で、異星人を撃破するゲーム」であって、2種類の画像は「プレゲーム時間15秒の間で全部の異星人を撃破できたかどうか」に基づいて選択表示される点、

(ii) 「ゲーム結果に基づき表示される画像」が、
「本願補正発明1」においては
「ゲームのタイトルを含んだゲームタイトル画像」であって、その表示の後に行われる、該タイトルの付いたゲームに先立って表示されるのに対し、
「引用発明」においては、
「プレゲームのゲーム結果を示す画像」であって、その表示の後に行われるゲームに先立って表示されるものの、その表示の後に行われるゲームのゲームタイトル画像が表示されるかどうか明らかでない点、

の2点である。

[5]当審の判断
以下、相違点(i)及び(ii)について検討する。

・相違点(i) 「引用発明」の「プレゲーム」としては、成功失敗のようなゲーム結果が表示できるものであればどのようなゲームを用いてもよいことは、刊行物Aの段落番号0061にも記載されているように、当業者には明らかである。
そして刊行物Bに記載された発明は、当該技術分野の技術常識を参酌すると、「ゲーム操作がないときにはその値が減少され、前記ゲーム操作があるときにはその値が増加される加速度を示す変数を用い、当該変数の値に応じた段階のアニメーションを表示し、当該変数の値を用いて移動体の位置を判断し、その判断の結果に基づき、ゴールした場合に勝ちとされる競争ゲーム。」であるといえるから、「ゲーム操作入力がないときにはその値が減少され、ゲーム操作入力があるときにはその値が増加される変数を用い、当該変数の値に応じた段階のアニメーションを表示するとともに、当該変数の値を用いた判断の結果がゲーム結果として表示されるゲーム」は、当該刊行物Bに記載されている公知の成功失敗のような形でゲーム結果が表示できるゲームである。
よって、相違点(i)は、「引用発明」の「プレゲーム」として、当該公知のゲームを採用したものに過ぎず、この採用が困難であるとも、格別の効果を奏するともいえない。従って、相違点(i)は、想到するのに格別困難のない事項である。

・相違点(ii) 「ゲーム」の結果表示される画面が「ゲームのタイトルを含んだ少なくとも2種類のゲームタイトル画像」である点について検討する。

刊行物Cにおいても、タイトル画面表示に先立って行われたゲームの結果に応じて異なったゲームタイトル画面を表示しており(段落番号0058「ゲームのプレイ回数が所定数Aを超えた場合には、図7に示すように、キャラクタ選択領域60に新たなゲームキャラクタが表示され、」、段落番号0071「認識情報の表示は、・・・タイトル画面、ハイスコア画面等で行ってもよい」)、また刊行物Dにおいても、ゲームタイトル画面が、そのゲームタイトル画面表示に先立つ操作入力の結果に従って異なるゲームタイトル画面の表示をしている。
よって、ゲームタイトル画面が表示されることに先立っておこなわれる操作の結果に従って、その後行われるゲームのゲームタイトル画面が異なった種類のものであるようにすることは、周知の事項にすぎない。

この周知の事項を、「引用発明」に適用することは次の理由により、容易になし得るものである。

ゲームの開始に先立って、ゲームタイトルを含む画面を表示することは、通常行われている事項である。すなわち、ゲームタイトルの表示なしに、いきなりゲームが開始するものよりもゲームタイトルを表示したあとにゲームが開始するものの方が一般的である。

よって、「引用発明」においても、メインゲームのタイトルを、メインゲーム開始前に表示することは、該一般的技術の適用にすぎないから、当業者が適宜なしうるものである。

そして、そのメインゲーム開始前のタイトル表示を、上記周知の操作による画面選択で行うようにすることについては、次の理由により採用容易である。

「刊行物A」の段落【0063】?【0064】には、「(1)メインゲームに先だってプレゲームを行わせることによって、プレーヤは、メインゲームの読み込み時間を意識することなく素早くゲームに没頭できるようになる。(2)また、この際、プレゲームにおけるプレー結果に応じてメインゲームの初期条件を異ならせるようにすれば、プレゲームはメインゲームの予選のような意義をもち、メインゲームがより白熱し、面白くなる。」なる記載があり、これは即ち、プレゲームのプレー結果に応じてメインゲームの初期条件を異ならせないものも示しているものである。
そして、プレゲームの結果がメインゲームの条件設定と関係ないものであっても、メインゲームの読み込み期間において素早く実施できるプレゲームを実行することにより、プレーヤを素早くゲームの世界に没頭させる、という作用は、メインゲーム開始までの時間における単調さを改善するものであって、上記刊行物Cのものも、記載(C-6)「プレーヤが感じるインパクトを、より高める」及び記載(C-7)「飽きられ、一度低くなったゲーム装置の稼働率等を再度上昇させる」が示すように、また、刊行物Dのものも単調さを改善していることは明らかなので、同様に単調さを改善しようとするものである。
よって、「引用発明」における単調さの改善に代えて、同様の単調さの改善手法である周知の事項を適用することは、同じ効果を奏するためのものであるから適用の動機付けが有り容易になしうるといえる。

したがって、相違点(ii)は当業者が容易に想到しうるものである。

また、本願補正発明1の作用効果も、刊行物A、Bに記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものとは認められない。

[6]特許法第29条第2項についての結論
以上のとおりであるから、本願補正発明1は、刊行物A、Bに記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願補正発明1は、(2-2)(2-3)において検討したように、独立して特許を受けることが出来ない。したがって、本件補正は、平成15年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する、同法第126条第4項の規定を満たしていないから、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により、平成15年5月30日付手続補正は却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成15年5月30日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?7に係る発明は、平成15年1月15日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】 少なくともゲームのタイトルを含んだゲームタイトル画像が
表示可能とされたゲーム装置であって、
少なくとも2種類のゲームタイトル画像を記憶する記憶手段と、
プレイヤがゲーム操作入力をするための操作入力手段と、
前記ゲーム操作入力の状態に応じて変化する中間画像を表示し、その後に、前記ゲーム操作入力に基づいて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する、選択表示手段と、
を含むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】 請求項1に記載のゲーム装置において、
前記選択表示手段は、所定時間内に前記ゲーム操作入力がない場合、前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちデフォルトゲームタイトル画像を表示し、所定時間内に前記ゲーム操作入力がある場合、前記ゲーム操作入力の内容が所定条件を満足するものであるかに応じて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する、ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】 請求項1又は2に記載のゲーム装置において、
前記選択表示手段は、所定タイミング以後の前記ゲーム操作入力の内容に応じて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】 少なくともゲームのタイトルを含んだゲームタイトル画像の表示を制御するゲームタイトル画像表示制御方法であって、
プレイヤのゲーム操作入力を取得するゲーム操作入力取得ステップと、
前記ゲーム操作入力の状態に応じて変化する中間画像を表示し、その後に、前記ゲーム操作入力に基づいて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する、ゲームタイトル画像表示ステップと、
を含むことを特徴とするゲームタイトル画像表示制御方法。
【請求項5】 請求項4に記載のゲームタイトル画像表示制御方法において、
前記ゲームタイトル画像表示ステップでは、所定タイミング以後の前記ゲーム操作入力の内容に応じて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する、
ことを特徴とするゲームタイトル画像表示制御方法。
【請求項6】 少なくともゲームタイトルを含んだゲームタイトル画像が表示可能なゲーム装置としてコンピュータを動作させるためのプログラムであって、
プレイヤのゲーム操作入力を取得するゲーム操作入力取得手順と、
前記ゲーム操作入力の状態に応じて変化する中間画像を表示し、その後に、前記ゲーム操作入力に基づいて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する、ゲームタイトル画像表示手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】 請求項6に記載のプログラムにおいて、
前記ゲームタイトル表示手順は、所定タイミング以後の前記ゲーム操作入力の内容に応じて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示するゲームタイトル表示手順であることを特徴とするプログラム。」

4.引用刊行物に記載された発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である「トクマインターメディアムック 超絶 大技林 '95年夏版」(徳間書店インターメディア株式会社 1995年8月20日)(以下、「引用例1」という。)の第65頁右欄第16行?第30行には、
「ザ・キングオブドラゴンズ ウル技 同キャラプレイ
電源を入れて「CAPCOM」の文字が出ているあいだに、下、R、上、L、Y、B、X、Aの順に入力する。成功するとタイトル画面の背景が青くなり、2人プレイのときに同じキャラを使ってプレイすることができる。」との記載が認められ、また、
(1)上記摘記事項全体から見て「下、R、上、L、Y、B、X、Aの順に入力する」との事項は、引用例1にはゲーム装置が開示されていることから、「プレイヤが操作入力をするための操作入力手段」を備えるものと認められ、
(2)また、上記摘記事項全体から見て「電源を入れて「CAPCOM」の文字が出ているあいだに、下、R、上、L、Y、B、X、Aの順に入力する。成功するとタイトル画面の背景が青くなり」との事項は、引用例1にはゲーム装置が開示されていることから、「タイトル画面が表示可能とされたゲーム装置であって、操作入力に基づいて背景が青及び青以外のタイトル画面うちいずれかを表示する選択表示手段と、前記選択表示手段は、電源を入れて「CAPCOM」の文字が出ているあいだに前記操作入力がない場合、前記背景が青以外のタイトル画面を表示し、電源を入れて「CAPCOM」の文字が出ているあいだに前記操作入力がある場合、前記操作入力の内容が下、R、上、L、Y、B、X、Aの順であるかに応じて前記背景が青及び青以外のタイトル画面のうちいずれかを表示し、前記選択表示手段は、電源を入れて「CAPCOM」の文字が出ているあいだの前記操作入力の内容に応じて前記背景が青及び青以外のタイトル画面のうちいずれかを表示する、ゲーム装置」を備えるものと認められる。
これらの記載によれば、
「タイトル画面が表示可能とされたゲーム装置であって、プレイヤが操作入力をするための操作入力手段と、前記操作入力に基づいて背景が青及び青以外のタイトル画面うちいずれかを表示する選択表示手段と、前記選択表示手段は、電源を入れて「CAPCOM」の文字が出ているあいだに前記操作入力がない場合、前記背景が青以外のタイトル画面を表示し、電源を入れて「CAPCOM」の文字が出ているあいだに前記操作入力がある場合、前記操作入力の内容が下、R、上、L、Y、B、X、Aの順であるかに応じて前記背景が青及び青以外のタイトル画面のうちいずれかを表示し、前記選択表示手段は、電源を入れて「CAPCOM」の文字が出ているあいだの前記操作入力の内容に応じて前記背景が青及び青以外のタイトル画面のうちいずれかを表示する、ゲーム装置。」
との発明(以下、「原査定引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。

5.対比・判断
・請求項3に係る発明について
請求項3は、請求項1又は請求項2を引用する形式で記載されているので、請求項3が請求項2を引用している場合の、請求項3に係る発明について検討する。
この場合の請求項3に係る発明を独立形式で記載すれば、
「少なくともゲームのタイトルを含んだゲームタイトル画像が表示可能とされたゲーム装置であって、
少なくとも2種類のゲームタイトル画像を記憶する記憶手段と、
プレイヤがゲーム操作入力をするための操作入力手段と、
前記ゲーム操作入力の状態に応じて変化する中間画像を表示し、その後に、前記ゲーム操作入力に基づいて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する、選択表示手段とを含み、
前記選択表示手段は、所定時間内に前記ゲーム操作入力がない場合、前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちデフォルトゲームタイトル画像を表示し、所定時間内に前記ゲーム操作入力がある場合、前記ゲーム操作入力の内容が所定条件を満足するものであるかに応じて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示し、
前記選択表示手段は、所定タイミング以後の前記ゲーム操作入力の内容に応じて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示するゲーム装置。」
となる。(以下、「本願発明」という。)
本願発明と原査定引用発明とを対比すると、
(i) 原査定引用発明における「タイトル画面」は、タイトル画面において、そのゲームのタイトルを表示させることが一般的な慣用手段であるから、「少なくともゲームのタイトルを含んだゲームタイトル画像」に対応する。
(ii) 原査定引用発明における「操作入力に基づいて背景が青及び青以外のタイトル画面うちいずれかを表示する選択表示手段」は、表示させるタイトル画像を記憶する記憶手段を備えたゲーム装置が一般的な慣用手段であり、「背景が青及び青以外のタイトル画面」は、「少なくとも2種類のゲームタイトル画像」に対応することから、「少なくとも2種類のゲームタイトル画像を記憶する記憶手段と、前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する選択表示手段」に対応する。
(iii) 原査定引用発明における「操作入力」は、本願発明における「ゲーム操作入力」が、ゲーム中の操作入力等に特定されたものではないから、「ゲーム操作入力」に対応する。
(iv) 原査定引用発明における「電源を入れて「CAPCOM」の文字が出ているあいだ」、「背景が青以外のタイトル画面」、「操作入力の内容が下、R、上、L、Y、B、X、Aの順」及び「電源を入れて「CAPCOM」の文字が出ているあいだ」は、本願発明における「所定時間内」、「デフォルトゲームタイトル画像」、「所定条件」及び「所定タイミング以後」に相当する。
したがって、両者は、
「少なくともゲームのタイトルを含んだゲームタイトル画像が表示可能とされたゲーム装置であって、
少なくとも2種類のゲームタイトル画像を記憶する記憶手段と、
プレイヤがゲーム操作入力をするための操作入力手段と、
前記ゲーム操作入力に基づいて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示する、選択表示手段とを含み、
前記選択表示手段は、所定時間内に前記ゲーム操作入力がない場合、前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちデフォルトゲームタイトル画像を表示し、所定時間内に前記ゲーム操作入力がある場合、前記ゲーム操作入力の内容が所定条件を満足するものであるかに応じて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示し、
前記選択表示手段は、所定タイミング以後の前記ゲーム操作入力の内容に応じて前記少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示するゲーム装置。」
である点で一致し、以下の点で相違している。
「ゲーム操作入力の状態に応じて変化する中間画像を表示し、その後に」少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示させる点
上記相違点について検討する。
表示画像を切り換える際、アニメーション表示のように変化する中間画像を表示させた後に切り換えることは、演出画像技術として周知であり、演出画像は、演出の向上のために適宜採用すれば良いことであるから、原査定引用発明において、「ゲーム操作入力の状態に応じて変化する中間画像を表示し、その後に」少なくとも2種類のゲームタイトル画像のうちいずれかを表示させ、上記相違点の構成とすることは、当業者が容易になし得る程度のことにすぎない。
また、請求項3に係る発明の奏する作用効果についてみても、上記引用例1に記載された発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものであって、格別顕著なものとも認められない。

6.むすび
以上のとおり、請求項3に係る発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-11-22 
結審通知日 2006-11-28 
審決日 2006-12-11 
出願番号 特願2001-209815(P2001-209815)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松川 直樹  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 宮本 昭彦
塩崎 進
発明の名称 ゲーム装置、ゲームタイトル画像表示制御方法及びプログラム  
代理人 特許業務法人はるか国際特許事務所  

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