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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1151081
審判番号 不服2005-6616  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-10-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-04-14 
確定日 2007-01-25 
事件の表示 平成 7年特許願第 67940号「ディジタル映像信号記録再生方法及びディジタル映像信号再生装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年10月11日出願公開、特開平 8-265689〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【第1】経緯

[1]手続き
本願は、平成7年3月27日の出願である。
本件は、本願についてされた拒絶査定(平成17年3月8日付け)を不服とする平成17年4月14日の請求であり、平成17年5月13日付けで手続補正書(明細書及び図面について請求の日から30日以内にする補正)が提出された。

[2]査定

原査定の理由は、概略、以下のとおりである。

本願各発明(請求項1?8まで)は、いずれも、下記出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。


出願1.特願平06-260165号(特開平08-125968号)
出願2.特願平06-134534号(特開平08-9323号)
出願3.特願平06-77564号(特開平07-288774号)

【第2】平成17年5月13日付けの手続補正(以下、本件補正という。)について次の通り決定する。

[補正却下の決定の結論]

平成17年5月13日付けの手続補正を却下する。

[理由]

[1]本件補正の内容

本件補正は、本件補正前、平成16年9月29日付け手続補正書(平成17年1月18日付け手続補正は、拒絶査定と同日(平成17年3月8日)付けで補正却下されている。)記載の特許請求の範囲に対してする補正であり、次のような補正事項を含むものである。

(a)補正事項1
請求項1及び請求項2(補正前)について、 「高速再生時に、前記高速再生用のデータのみを読み出して再生すること」(補正前)とあるのを、
「高速再生時に、前記高速再生用のデータのみを読み出し、当該読み出したデータにフィルタ処理をして再生すること」(補正後)と補正する。

(b)補正事項2
請求項5及び請求項6(補正前)について、 「高速再生時に、前記高速再生用のデータのみを読み出して再生する手段を有すること」(補正前)とあるのを、
「前記記録メディアからデータを読み出す読出手段と、
当該読み出されたデータをフィルタ処理するフィルタ手段と、
当該フィルタ処理されたデータを再生する再生手段と
を備え、
高速再生時には、
前記読出手段は、前記高速再生用のデータのみを読み出し、
前記フィルタ手段は、前記読み出されたデータをフィルタ処理し、
前記再生手段は、前記フィルタ処理されたデータを再生すること」(補正後)と補正する。

[2]本件補正の適合性

[2-1]補正の範囲(平成6年改正前特許法第17条の2第2項)

上記各補正事項は、願書に最初に添付した明細書の段落0069から段落0071、及び図8の記載に基づくものであり、願書に最初に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてする補正である。

[2-2]補正の目的(平成6年改正前特許法第17条の2第3項第1号?4号)

上記各補正事項は、特許請求の範囲についてする補正である。
上記補正事項1は、請求項1、請求項2について、いずれも補正前に記載のあった「高速再生時に、前記高速再生用のデータのみを読み出して再生すること」の内容を具体的に限定するものであり、しかも補正の前後において、産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。
上記補正事項2は、請求項5、請求項6について、いずれも補正前に記載のあった「高速再生時に、前記高速再生用のデータのみを読み出して再生する手段を有すること」を、読出手段、フィルタ手段、および再生手段とした上それぞれの機能を特定しようとするもので、補正前の「高速再生時に、前記高速再生用のデータのみを読み出して再生する手段を有すること」の内容を具体的に限定するものであり、しかも補正の前後において、産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。

[2-3]独立特許要件(第17条の2第5項)
補正事項1及び2は、請求項1,2,5,6について、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるので、以下、その独立特許要件について検討する。

[2-3-1]補正後発明
本件補正後の請求項1から請求項8までに係る発明のうち、請求項2に係る発明(以下、「補正後発明2」という。)は、下記のとおりである。


《補正後発明2》
【請求項2】 ディジタル映像信号を、動き補償予測とDCTとを用いて高能率符号化し、画像情報として記録メディアに記録し、該記録メディアから読み出して、映像を再生するディジタル映像信号再記録再生方法において、
記録に当たり、前記画像情報の内の画像内変換された符号化画像のブロックデータを低域成分のみを、高速再生用のデータとして、通常再生時に使用するデータとは別の領域に記録し、
高速再生時に、前記高速再生用のデータのみを読み出し、当該読み出したデータにフィルタ処理をして再生すること
を特徴とするディジタル映像信号記録再生方法。

[2-3-2]先願明細書の記載
原査定の拒絶の理由に引用された出願1(特願平06-260165号)の願書に最初に添付された明細書又は図面(以下、「先願明細書」という、特開平08-125968号公報参照)には、以下の記載がある。

(K1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧縮されたディジタルテレビジョン信号の記録再生装置および再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、画像や音声やその他のデータをディジタル信号として記録するパッケージメディアの開発が進められている。画像信号の持っている情報量は非常に大きいため、そのまま記録媒体上に記録すると媒体の使用量が大変大きくなり、民生用には不向きである。従って、記録媒体消費量が民生用として使用できる程度まで減少させるデータ圧縮を行う。アメリカやヨーロッパなどで実用化が進められているディジタルテレビジョン信号の画像音声信号符号化方式に採用されているMPEG(Moving Picture Expert Group)と呼ばれる方式は、現在最もこの要求に応えるものである。MPEGでは画像信号の時間軸圧縮に画面間予測符号化技術が使われている。パッケージメディアでは早送り、巻き戻し、逆再生、途中からの再生が基本的に要求されるため、MPEGではこれらを満たすために、ある単位の動画像を何枚かまとめてGOP(Group Of Pictures)と呼ばれる機能を設け、その単位での独立再生ができるようにしている。GOPにはIピクチャと呼ばれる画面内符号化された画面と、Pピクチャと呼ばれる前方画面間予測符号化された画面と、Bピクチャと呼ばれる双方向予測符号化された画面、の3つの画面が通常存在する。高速再生時には通常その中のIピクチャまたはPピクチャのデータを出力する。」(段落0001,0002)

(K2)「【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題について説明する。MPEG等の画面間符号化されたディジタルテレビジョン信号を記録、再生する場合には、高速再生時にも内容が理解できる画像を出力するためにIピクチャまたはPピクチャのデータを出力するのだが、どの倍速においても画面の更新周期が同じになってしまい、視聴者は何倍速で再生されているのかがわからない、という問題点を有していた。」(段落0004)

(K3)「【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる請求項1記載のディジタルテレビジョン信号記録再生装置は、記録側は、ディジタルテレビジョン信号を入力し、前記ディジタルテレビジョン信号から高速再生時に画像を出力するための高速再生用データを生成する高速再生用データ生成手段と、高速再生画面の更新周期を決定するための情報を記憶する更新周期情報記憶手段と、前記更新周期情報記憶手段によって前記高速再生用データを記録媒体上に所定の位置に配置するように制御する制御手段と、前記高速再生用データを所定の記録信号処理を行って記録信号を記録媒体に記録する記録手段とからなり、再生側は、前記記録媒体より再生信号を得て所定の再生信号処理を行う再生信号処理手段と、高速再生時に高速再生画像信号を再構成し出力するための高速再生画像信号再構成手段とを備えることを特徴としている。」(段落0006)

(K4) 「【0008】
【作用】請求項1記載のディジタルテレビジョン信号記録再生装置は、記録側で、高速再生時に画像を出力するための高速再生用データを生成し、高速再生画面の更新周期を最適化するための情報を記憶しておいたメモリに従って、テープ上への高速再生用データの配置を決めて記録し、再生側では、高速再生時にテープ上に記録された高速再生用データを読み取って、入力時のストリーム形式に再構成してから出力する。」(段落0008)

(K5)「【0010】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、本実施例はMPEG等で符号化されたディジタル放送を磁気テープ上にディジタル信号として記録し再生するディジタルVTRを例にとって説明する。
【0011】図1に本発明の記録装置に関する第1の実施例のブロック図を示す。本実施例のディジタルテレビジョン信号記録再生装置において、1は高速再生用データ生成器、2はフォーマッタ、3は誤り訂正符号器、4は変調器、5は記録ヘッド、6は磁気テープ、7は再生ヘッド、8は復調器、9は誤り訂正復号器、10はデフォーマッタ、11は高速再生用データ再構成器、12は切替器、21はシステムコントローラ、22は更新周期情報であり、これらにより構成される。
【0012】入力されたディジタルテレビジョン信号は、フォーマッタ2と高速再生用データ生成器1に入力される。通常再生時に出力される通常再生用データは、入力データをそのままのデータ形式で記録される。一方、高速再生用データ生成器1に入力された入力信号は、高速再生時にも記録内容を理解することが可能な画面を出力するための高速再生用データを生成する。ここでは、まず入力信号から画面内符号化された画面のデータを抽出し、さらにデータ量を圧縮して、記録容量を上げる場合には直交変換係数の低周波成分のみを取り出す。同時にMPEGデーターストリームのヘッダ部分も抽出し、高速再生用データを生成してフォーマッタ2へ出力する。」(段落0010?0012)

(K6)「【0014】次に再生時は、磁気テープ6に記録された信号を再生ヘッド7によって読み取り、復調器8で再生信号を復調し、誤り訂正復号器9に出力する。誤り訂正復号器9では誤り訂正を行ない、デフォーマッタ10に出力する。デフォーマッタ10では、記録パケット単位になった信号を元にもどし、通常再生用データと高速再生用データに分け、それぞれ通常再生データは切替器12へ、高速再生用データは高速再生用データ再構成器11へ出力する。高速再生用データ再構成器11では、高速再生用データを、MPEGデコーダがデコード可能なデータ形式に変換し、切替器12に出力する。切替器12では、通常再生時には、端子aと端子bとを接続することにより、通常再生用データを出力する。また高速再生時には、端子aと端子cとを接続することにより、再構成された高速再生用データを出力する。
【0015】ここで、テープ上への高速再生用データの配置例について説明する。特殊再生データは、記録側で、高速再生時に出力する高速再生画像を1画面毎にいくつかのスーパーブロックに分割する。スーパーブロックには、MPEGでマクロブロックと呼ばれる画素の集合が、テープ上の記録単位である記録パケットの容量に収めることのできる分量に相当する個数が含まれている。各直交変換係数のビット長を固定長とし、記録パケット内のマクロブロック数が固定である場合は、図2(a)のようにi個のスーパーブロックに分割する。また、各直交変換係数のビット長を可変長とし、記録パケット内のマクロブロック数も可変長の場合は、図2(b)のようにj個のスーパーブロックに分割する。そしてこの高速再生用データ領域に対して設定された最高倍速がN倍速とすると、図3のように(2×N)本のトラックに繰り返し記録する。ここで、(2×N)本のトラックに繰り返し記録した高速再生用データを1セグメントと呼ぶことにする。これにより、再生側では、例えば回転シリンダに180°対向に取り付けられた2個のヘッドの場合、N以下の倍速によって、高速再生用データ領域中の1セグメントの特殊再生データを図3のように相補的に読み取ることが可能である。これにより、特殊再生時にも混在、欠落、誤復号のない高速再生画像を得ることができる。」(段落0014,0015)

(K7)「【0017】次に、複数の高速再生用データを生成して記録し、高速再生時に倍速に応じて各高速再生用データを読み分けて出力する方法について説明する。ここでは低倍速用と高倍速用の2種類の高速再生用データを生成し、記録する場合を例にとる。
【0018】この時の画面更新周期と倍速の関係を図6に示す。これによって、高速再生用データを1種類にした時に比べて低倍速での更新周期が短くなる。また、この時のデータレートと倍速の関係を図7に示す。今度は2段階で高倍速時のデータレートが上昇する。テープ上への高速再生用データ配置を図8に示す。」(段落0017)

(K8)「【0020】さらに高倍速時の更新周期を短くするには、倍速が上昇する毎に再生画質の解像度を下げる方法がある。これは倍速が速くなるにつれて解像度の劣化が目立たなくなるという性質を利用する。例えば低倍速では、直交変換係数の直流成分に交流成分の低域から5個目までのデータとし、中倍速では交流成分の低域から2個目までのデータとし、高倍速では直流成分のみを高速再生用データとするものである。また、テープ上への高速再生用データ配置を図10に示す。ただし、高速再生時にはテープ上の決まった位置をヘッドが走査しなくてはならないので、その制御は複雑になる。」(段落0020)

(K9)「【0027】なお、本実施例に関する説明ではディジタルVTRを例にとって述べたが、ディスク等の他の記録媒体でも同様の効果を得ることが可能である。
【0028】また、本実施例に関する説明では、再生時の出力データはMPEGのデーターストリームをデコードし、画像信号を復元する機器を例にとって説明したが、入力手段としてデコーダではなく、他の機器へディジタル信号としてMPEGのデーターストリームを出力する回路を装備した場合も、本発明のディジタルテレビジョン信号記録再生装置を用いることで同様の効果を得ることができる。」(段落0027,0028)

[2-3-3]対比
(a)前提構成
(a1)補正後発明2の前提構成である「ディジタル映像信号を、動き補償予測とDCTとを用いて高能率符号化し、画像情報として記録メディアに記録し、該記録メディアから読み出して、映像を再生するディジタル映像信号再記録再生方法において」について
上記記載における「映像信号再記録再生方法」は、請求項2の末尾の記載等からみて「映像信号記録再生方法」の誤りであることは明らかであるから、
上記記載は、「ディジタル映像信号を、動き補償予測とDCTとを用いて高能率符号化し、画像情報として記録メディアに記録し、該記録メディアから読み出して、映像を再生するディジタル映像信号記録再生方法において」(以下、「構成1」という。)と解する。
なお、上記「構成1」の要件は、詳細な説明記載の実施例1または実施例2に対応するものである。(実施例3は、動き補償予測を用いないものである。)
(a2)先願明細書には、「ディジタル映像信号記録再生方法」が記載されていることは明らかであり(前掲K1?K3)、
『ディジタルテレビジョン信号から、高速再生時に画像を出力するための高速再生用データを生成すること、
生成した高速再生用データを記録媒体の所定の位置に記録すること、
高速再生時には高速再生用データを読み取って再構成して出力すること』
が記載されており(前掲K3,K4)、
その実施例として、MPEGで符号化されたディジタル放送を磁気テープ上にディジタル信号として記録し再生するディジタルVTRが例にあげられている(前掲K5)ところ、
その放送されるMPEGで符号化された信号は、MPEGで符号化されていることから、補正後発明2でいう「ディジタル映像信号を、動き補償予測とDCTとを用いて高能率符号化」された「画像情報」に相当するものであることは明らかであり、
また、VTRが備える信号処理工程ではないものの、VTRに入力前には、MPEGで符号化された信号である上記「画像情報」を作成する工程が必ず存在するといえ、
また、先願明細書の「磁気テープ」、「記録媒体」、または「ディスク」(前掲K9)は「記録メディア」といえるものである。
以上のことから、補正後発明2でいう「ディジタル映像信号を、動き補償予測とDCTとを用いて高能率符号化」する工程、及び「高能率符号化」されたものにつき、「画像情報として記録メディアに記録し、該記録メディアから読み出して、映像を再生する」工程に相当する工程の存在が認められる。
すなわち、先願明細書記載の発明として、前提構成として、上記「構成1」を具備するものを認めることができる。

(b)記録
補正後発明2では、「記録に当たり、前記画像情報の内の画像内変換された符号化画像のブロックデータを低域成分のみを、高速再生用のデータとして、通常再生時に使用するデータとは別の領域に記録し」(以下「構成2」という。)としていて、これは、詳細な説明記載の実施例2に対応するものであるところ、
先願明細書には、上記(a2)で上述したように、『高速再生時に画像を出力するための高速再生用データを生成すること、生成した高速再生用データを記録媒体の所定の位置に記録すること』が記載されており、
その実施例(前掲K5,K6)では、段落12、15 (特に段落12)によれば、
「まず入力信号から画面内符号化された画面のデータを抽出し、さらにデータ量を圧縮して、記録容量を上げる場合には直交変換係数の低周波成分のみを取り出す。・・・高速再生用データを生成してフォーマッタ2へ出力する。」としていて、このことは、補正後発明2でいう「前記画像情報の内の画像内変換された符号化画像の低域成分のみを、高速再生用のデータとして、記録」することに相当している。
また、前掲K5?K8(特に段落15と図3、段落17と図8、段落20と図10)によれば、高速再生用のデータは、通常再生時に使用するデータとは別の領域に記録されている。
そして、MPEG方式においては、符号化画像はブロック毎に符号化された係数から成るデータであるから、上記段落12記載の「低域成分」も「符号化画像のブロックデータ」といい得る。
以上のことから、「記録に当たり、前記画像情報の内の画像内変換された符号化画像のブロックデータを低域成分のみを、高速再生用のデータとして、通常再生時に使用するデータとは別の領域に記録し」に相当する工程の存在が認められる。
すなわち、先願明細書記載の発明として、上記「構成2」を具備するものを認めることができる。

(c)高速再生
補正後発明2では、「高速再生時に、前記高速再生用のデータのみを読み出し、当該読み出したデータにフィルタ処理をして再生すること」(以下、「構成3」という。)としているところ、
先願明細書には、(a2)で上述したように、『高速再生時には高速再生用データを読み取って再構成して出力すること』が記載されており、
その実施例では、前掲K6,K9(特に段落14,28)によれば、高速再生時は、高速再生用データは高速再生用データ再構成器11へ出力され、高速再生用データ再構成器11では、高速再生用データを、MPEGデコーダがデコード可能なデータ形式に変換し、切替器12の端子aと端子cとを接続することにより、再構成された高速再生用データが出力され、画像信号に復元される。「画像信号に復元される」は、補正後発明2でいう「再生する」工程に相当する。
したがって、補正後発明2でいう「高速再生時に、前記高速再生用のデータのみを読み出し、当該読み出したデータ」を「再生する」に相当する工程の存在が認められる。
すなわち、先願明細書記載の発明として、上記「構成3」のうち、「フィルタ処理をして」以外の構成を具備するものを認めることができる。

(d)高速再生時に、「フィルタ処理をして」再生すること
先願明細書には、高速再生時、通常再生時にかかわらず、元々、「フィルタ処理をして再生すること」について、明示的な記載はない。

(e)同一性の検討
上記(a)?(d)からすれば、補正後発明2は、上記(d)の点、すなわち、高速再生時「フィルタ処理をして」再生することを除いて、先願明細書記載に記載されているといい得るので、この点で、補正後発明6と先願明細書記載の発明が同一ではないといえるか否かについて、以下に検討する。

(e1)補正後発明2は、「高速再生時に」「フィルタ処理をして再生すること」を要件とするものではあるが、
同要件は、高速再生以外の再生、例えば通常再生や低速再生・逆再生等の再生について何らの特定も付していないのであるから、同要件は、少なくとも「高速再生時にフィルタ処理をして再生」することが充足されていることを要件として特定するものであり、高速再生以外の再生時のフィルタ処理の有無を問わないものである。すなわち、上記要件は、高速再生時の処理をそれ以外の再生時の処理と区別して、「高速再生時に」のみ「フィルタ処理をして再生すること」を特に特定し限定するものではない。
したがって、補正後発明2は、発明の詳細な説明における実施例2に記載されたような、高速再生時にのみ特にフィルタ処理をして再生し、通常再生時にはフィルタ処理をせず再生するものをも含む発明ではあるものの、
高速再生時にも、それ以外の再生時(例えば、通常再生や低速再生・逆再生等)にもフィルタ処理をして再生するものをも含む発明と解釈される。
そして、その技術上の意義は、発明の詳細な説明の段落0070に記載されているように、低域成分のみとした高速再生用データには高域成分が欠落しているために高速再生時に生じるブロック歪みをポストフィルタ回路によって軽減することである。

(e2)上記先願(出願1)の出願時点の技術常識・周知慣用技術
例えば、下記(g)記載の周知例1?7によれば、上記先願(出願1)の出願前において、
ブロック符号化された画像情報を復号化する場合、原理上、量子化誤差により(程度の差こそあれ)復号画像にブロック歪が生じること、
また、実際上も、程度の差こそあれ、復号画像にブロック歪が生じることが多いこと、
そのブロック歪は、一般的に、低伝送レート時や低周波成分のみ復号する場合など圧縮率が高いほどブロック歪が顕著なこと(例えば、下記周知例3?6参照。)は、技術常識であると認められる。
そして、上記先願の出願前、このようなブロック歪を軽減するため、復号信号をフィルタ処理をして再生することは、一般的に周知かつ慣用技術にすぎない。
加えて、特に、低レート伝送や低周波成分のみ復号する場合など圧縮率を高くした場合は、フィルタ処理して再生しなければブロック歪みが目立つので、通常、フィルタ処理して再生することも周知技術(例えば、下記周知例3,5,6参照)と認められるし、変速再生時(これが、高速再生を含むことは明らかである。)にブロック歪みが目立つので変速再生時にフィルタ処理してブロック歪を目立ちにくくすることも周知事項(例えば、周知例7参照)にすぎない。
そして、そのようなフィルタは、「後置フィルタ」,「後処理フィルタ」または「ポストフィルタ」との技術用語で称されている(下記周知例1,2,4,6参照。)ことからみても、先願出願時、「後置フィルタ」は、当業者が復号化において常に考慮すべき必要な構成要素と認識されているものといえ、特に、低伝送レート時や低周波成分のみ復号する場合など圧縮率が高いときには、目立つブロック歪みを軽減する後置フィルタが必要であると認識され、普通に使用されていたと認められる。

(e3)このような、上記先願(出願1)の出願前の技術水準・周知慣用事項に照らせば、先願明細書には、高速再生時、通常再生時を問わず、「フィルタ処理をして再生する」点について、明示的な記載はないものの、
フィルタ処理がなければ目立ってしまうブロック歪をフィルタ処理で軽減することが当業者の通常であり、また、低レート伝送や低周波成分のみ復号する場合など圧縮率を高くした場合は、ブロック歪を抑制するため特に後置フィルタ処理が必要であると認識されていて後置フィルタが普通に使用されていたと認められるのであるから、
上記(d)の点、すなわち、(少なくとも)「高速再生時に」、単に何らの限定も付さない「フィルタ処理をして再生すること」は、発明構成上の微差といえ、この点の明示の有無でもって、補正後発明2と先願明細書記載の発明が異なるものとすることはできない。
すなわち、補正後発明2と先願明細書記載の発明は、実質的に同一の発明というべきである。

なお、仮に、補正後発明2の上記(d)の要件が、「高速再生時に」のみ「フィルタ処理をして再生すること」と解釈し得た、すなわち、高速再生時にフィルタ処理をして再生し、通常再生時にはフィルタ処理をせず再生することと解釈し得たとても、
後置フィルタには、ブロック歪み軽減できる利点とともに高周波成分をぼかしてしまうというデメリットもあることも技術常識であることと、ブロック歪みが目立ちやすいのは、特に、低レート伝送や低周波成分のみ復号する場合など圧縮率を高くした場合であることが上述したように技術常識であって、そのような場合に後置フィルタが普通に使用されていたと認められることからみても、
また、変速再生時にのみフィルタ処理し通常再生時にはフィルタ処理しないことも周知である(例えば、周知例7の(S7.2))ことからみても、
「高速再生時に」のみ「フィルタ処理をして再生すること」も、発明構成上の微差といえ、この点で、補正後発明2と先願明細書記載の発明が異なるものとすることはできない。

(f)結論(補正後発明2との対比)
以上、上記(a)?(e)によれば、先願明細書には補正後発明2と同一の発明が記載されている。

(g)周知例1?7(特に重要箇所は下線を付した。なお、例8は参考例)

《周知例1》 特開平1-55987号公報
(S1.1)「(産業上の利用分野)
本発明はブロック単位処理で復号化された画像に対して、動静ブロック別および画素位置別に強さの異なる平滑化フィルタ処理を行ない、さらに復号化パラメータの粗さに応じて時間的に平滑化フィルタの強さを変えることを特徴とする復号動画像信号の平滑化処理方法およびその装置に関する。
(従来の技術)
画像信号を高い能率で符号化するため、主にブロック単位で適応的に符号化する動画像符号化復号化方式およびその装置が従来から多く使われている。また、符号化によるブロック歪を除去する後置フィルタには一般的に復号化した画像信号に対して全画面に同じ特性の平滑化フィルタを用いる。あるいはブロック境界部分のみに用いるという方法が知られている。三ツ矢らの「後置フィルタ処理によるブロック符号化画像の画質改善法の検討」信学技報IE84-46の論文では、・・・(中略)・・・
(発明が解決しようとする問題点)
動画像復号化装置において、復号化した画像信号をそのまま出力すると、符号化による歪が見えてしまい、視覚的に画像品質の劣化を伴うことが多い。特に、ブロック単位で適応的に符号化復号化する場合では、第3図の(a)のように復号画像は符号化によるブロック歪を生じることが多い。このようなブロック歪は通常のTV画面では見慣れない歪であるから、視覚上、致命的な画質劣化となってしまうという問題点がある。そこで、従来の一般的方法のように復号化した動画像に対して全画面に同じ特性の平滑化フィルタを用いると画面の解像度が全体的に低下してしまう。また、動画像の符号化復号化においては、従来例として述べた三ツ矢らの「後置フィルタ処理によるブロック符号化画像の画質改善法の検討」信学技報IE84-46のように輝度変化の少ない部分にブロック歪が生じるのではなく、動いた部分のみを符号化復号化するから、動いているブロックにブロック歪が生じ易く、特に動画像の輪郭部分にブロックの境界があることが多い、このとき、ブロック歪の生じている境界部分だけに平滑化フィルタを用いるとブロック境界部分の解像度だけが低下し、フィルタ処理をしていない部分とフィルタ処理をした部分が急激な解像度の違いにより顕在化してしまうという問題点がある。
そこで、本発明の目的は、画面の全体的な解像度の低下を抑えながら、符号化歪による画像品質の劣化を軽減する復号動画像信号平滑化処理方法とその装置の提供にある。」(1頁右下欄8行?2頁左下欄13行)

《周知例2》 特開平3-174891号公報
(S2.1) 「このため従来技術においては、このブロック歪を除去する画像信号用ブロック歪除去フィルタが種々提案されている。この画像信号用ブロック歪除去フィルタは、符号化回路及び復号化回路の後段に配置されるためにポストフィルタとも呼ばれる。
尚、前記画像信号用ブロック歪除去フィルタに関する技術は例えば、1989年8月15日付け発行の文献「電子情報通信学会秋期全国大会論文集」第6-63頁記載の「ポストフィルタリングによる高能率符号化画像品質の改善」(加藤洋-及び大久保栄氏著)の記事及び同論文集第6-60頁記載の「低ビツトレート動画像符号化のポストフィルタに関する検討」(滝嶋康弘及び和田正裕氏著)の記事に記載されている。」(1頁右下欄20行?2頁左上欄14行)

《周知例3》 特開平5-14735号公報
(S3.1) 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の画素からなる画素ブロック毎に圧縮された画像データを再生する再生手段と、画素ブロック間のブロック歪みを補正する補正手段とを備えた画像処理装置に関し、例えば、テレビ会議/テレビ電話、カラー静止画、カラー動画等の画像データに対してデータ伝送、記憶効率を高める圧縮/伸張機能を有する機器、AVCC(オーディオ・ビジュアル・コンピュータ・通信)融合に資する機器に用いられる画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の画像処理装置は、前記補正手段を、画素毎に隣接する8画素との平均値をその画素の新たなデータとする平均値フィルタや、画素毎に隣接する8画素の中央値をその画素の新たなデータとするメディアンフィルタを全画素に対して作用するように構成したものがあった。この種の画像処理装置では、原画像に対してデータ伝送、記憶効率を高める画像圧縮方式として国際標準化が図られており、DCT(離散コサイン変換)を用いた直交行変換符号化方式が採用される。直交変換符号化方式は、画像を数画素から数十画素からなるブロックに分割し、ブロック毎に直交変換を施し、その変換係数を符号化して伝送する方式で、受信側では直交逆変換を行い画像を再現する方式である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来技術は、以下の欠点があった。DCTに限らず、高能率符号化して画素当たりの平均ビット数を減らしたり、圧縮率を上げると、逆変換して画素を再生するときにブロック内のDCT出力を全て線形和するので、再現画質の劣化を引き起こすのであるが、この時に隣接するブロック間に歪みが発生して、不連続な見苦しい画像となるという欠点がある。・・・(中略)・・・そのため、再現画像に対して平均値フィルタ等を用いて全画素を平均処理していたのであるが、解像度が劣化するため、文字がにじんだり線が蛇行する等、全体的に画像がぼけてしまうという欠点があった。本発明の目的は上述した従来欠点を解消する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、本発明による画像処理装置の特徴構成は、前記補正手段を、前記画素ブロックの境界領域を判別する判別手段と、その判別手段により判別された境界領域のうち隣接画素ブロック間の境界領域に作用するフィルタ手段とで構成してあることにある。前記フィルタ手段が移動平均フィルタであることが好ましい。前記補正手段は、元画像の圧縮率が設定値以上のときに作動するものであることが好ましい。」(段落0001?0004)

《周知例4》 特開平5-63997号公報
(S4.1)「 【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高圧縮された後に伝送もしくは記録された画像信号を復号する画像信号復号化装置に係り、特に、そのような装置に於けるブロック歪除去処理の高速化及び効率向上に関する。」(段落0001)
(S4.2)「 【 0009】この方式に於いて、圧縮率は、前記量子化の量子化幅を変化させることによって制御されるのが一般的で、圧縮率が高くなるほど量子化幅は大きくなり、従って量子化誤差が大きくなり、再生画像の画質劣化が目立つようになる。【0010】この変換係数の量子化誤差は、再生画像に於いてブロック境界部分に不連続が発生するいわゆるブロック歪として現われる傾向にあり、このブロック歪は視覚的に目立つために、例えS/Nが良好であっても、主観的な印象は悪くなってしまう。【0011】そこで、復号器によって再生された画像に、歪除去処理として低域通過(ローパス)フィルタをかける方法が考え出された。この後置フィルタは、比較的良好に歪を除去することができるが、画像中にエッヂ等が含まれている場合に、それらがぼけてしまい、逆にぼけを減らすためにローパスの度合をゆるくすると、ブロック歪が完全に除去できなくなるといった不具合があった。
【0012】そこで、この不具合を解消するために、画像中のエッヂの有無やブロック歪を検出してその結果によってフィルタを作用させるかどうか切り換えるようにして、歪の存在する部分にだけフィルタをかける方式も知られている。」(段落0009?0012)
(S4.3)「 【0017】一般に、ブロック歪の目立ちやすさは、近傍の画像の持つ空間周波数によって変化する。つまり、細かな構造の有る高い周波数まで成分を持っているような部分にブロック歪が発生している場合には、あまりブロック歪は目立たない。逆に、比較的に変化の緩やかな低い空間周波数成分しかない部分にブロック歪が発生している場合には、ブロック歪が目立ちやすくなる。」(段落0017)
(S4.4)【0023】このようにして歪除去を行なうことにより、ブロック単位で記録されていた情報の帯域はほとんど失われることなしに、フィルタリングされることができる。つまり、低い空間周波数成分しかないブロックには、広い範囲に亙って平均化するような強いローパスフィルタリングを行ない、逆に比較的高い周波数成分まで含んでいるブロックには、あまりぼかさないような弱いローパスフィルタリングを行なうことで、ブロック内の構造がぼけない程度のローパスフィルタリングを実現することができる。次に、この歪除去特性決定方法について説明する。」(段落0023)

《周知例5》 特開平6-141303号公報
(S5.1)「 【請求項1】 1フレームが複数のブロックに分割され、各ブロック毎に予測符号化されたデータを復号するためのデコーダにおいて、
逆量子化後のDCT係数が高周波DCT係数と低周波DCT係数とに分離され、その後上記予測符号化データの復号手段にそれぞれ供給されて低周波と高周波の復号処理が別個独立に行なわれてから合成されることを特徴とするデコーダ。
【請求項2】 低周波用の上記復号手段にはブロック段差を除去するためのフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1記載のデコーダ。
【請求項3】 高周波用の上記復号手段には低周波復号信号との周波数特性がフラットになるような特性補正用のフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1記載のデコーダ。」(特許請求の範囲)
(S5.2)「 【0007】このようにして圧縮された符号化信号fは、受信側のデコーダ(復号器)で復号化されてモニターなどに映し出される。図4は従来のデコーダ30の系統を示す。このデコーダ30では、入力端子31に入力した符号化信号fがBCH回路32に供給され、・・・(中略)・・・ここで逆・離散コサイン変換が行なわれて直交変換する前の信号が得られる。このデータは加算回路38及びフレームメモリ39を経てLPF(ローパスフィルタ)40に供給され、ここで平滑処理が行なわれて出力端子41にデジタルビデオ信号iが導出される。なお、フレームメモリ39の出力はループフィルタ42を介して加算回路38に供給され、ここでIDCT回路37の出力に加算されるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のフレーム間予測符号化回路10で例えば64Kbps程度の低ビットレートとなるように画像信号をブロック毎に符号化した場合、符号化後のデータは各ブロック間の境界部が不連続になり易い。これを上述のような従来のデコーダ30で復号すると各ブロックの境界部にブロック歪みと呼ばれるモザイク状のノイズが発生する。そのため、従来のデコーダ30にはブロック歪みを除去する目的でLPF40が設けられて平滑化処理が行なわれている。」(段落0007?0009)
(S5.3)「 【0021】一方、低域成分側のIDCT回路37Bの出力は、加算回路38Bおよびフレームメモリ39Bを経てLPF47に供給され、ここで高周波成分すなわちブロック歪みが除去されて加算回路46に供給され、ここで高域側の信号と加算されて出力端子41に導出される。これによって、低域成分内のブロックの継目に発生するブロック歪みが除去されるようになる。
【0022】低域成分内に発生するブロック歪みは目立ち易く、これを除去することにより高画質を達成することが可能になる。なお、高域成分内のブロック歪みは除去されないが、これは目立たないため問題はない。また、本発明のデコーダは図1から分かるように従来のデコーダの構成部品を並列に接続することによって簡単に構成することができる。」(段落0021?0022)

《周知例6》 特開昭64-41386号公報
(S6.1)「また、動画像通信でも、伝送レートが低い場合には、伝送フレーム数を確保するため、前記の変換係数のうち低次の項のみを伝送することがある。
このとき例えば直流項のみを復号・表示するとブロツク内の信号は一定の値となるため、ブロツクの境界に段差(いわゆるブロツク歪)を生じ、これらを除去するための後置フイルタが必要となつた。」(1頁右下欄14行?2頁左上欄2行)

《周知例7》 特開平6-30377号公報 (平成16年7月28日付け拒絶理由通知で提示済み)
(S7.1)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したような高能率符号化されたデータが記録されたビデオテープを再生する際に、例えばいわゆるジョグダイアルの操作に応じた変速再生(いわゆるシャトル再生)を行うと、異なるフィールドのブロックデータが再生されるようになる。このため、復号化されて出力されるビデオデータとしてブロック毎に異なる時間のデータが同時に出力されることになり、再生画像にブロック成分が目立つ(例えばモザイク状の画像となる)ようになって、画質が落ちるようになる。
【0004】そこで本発明は、変速再生モードでもブロック成分が目立たない再生画像を得ることができる記録再生装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の記録再生装置は、上述の目的を達成するために提案されたものであり、入力ビデオデータを所定画素数単位でブロック化し、当該ブロック毎に符号化して記録媒体に記録した後、この記録媒体を再生して得たブロック毎のデータを復号化して出力ビデオデータを得る記録再生装置であって、上記ブロックの繰り返しによって発生する水平方向及び垂直方向の周波数成分を低減するフィルタ手段を設け、変速再生モードの時には当該変速再生モードで再生し復号化した後のビデオデータを上記フィルタ手段に通すようにするものである。」(段落0003?0005)
(S7.2)「【0025】上記IDCT回路21の出力は、データ修正回路31と、上記フィルタ処理回路33とに送られる。ここで、上記データ修正回路31は、ノーマル再生時に使用されるものであって、上記誤り訂正等によって訂正しきれなかったエラーを前のデータを用いて補間するものである。このデータ修正回路31の出力は、切換スイッチ32の被切換端子aに送られる。また、この切換スイッチ32の被切換端子bには、上記フィルタ処理回路33の出力が供給されるようになっている。当該切換スイッチ32は、ノーマル再生時には上記被切換端子a側に切り換えられ、上記変速再生時には上記被切換端子b側に切り換えられるものである。
【0026】本実施例では、上記切換スイッチ32を被切換端子b側に切り換えることで、上記変速再生モードの時には当該変速再生モードで再生し復号化した後のビデオデータを上記フィルタ処理回路33に通すようにしている。当該フィルタ処理回路33は、上述したように、上記ブロックの繰り返しによって発生する水平方向及び垂直方向の周波数成分を低減するフィルタを有するものである。なお、上記シャトル再生の時には、当該フィルタ処理回路33には誤りのないデータのみしか取り込まないようにしているので、当該フィルタ処理回路33内には上記データ修正回路31のような処理を行う構成は必要ない。また、上記切換スイッチ32を介したデータは端子20から出力される。」(段落0025、0026)

《例8,参考例》 特開平7-38762号公報
(S8.1)「 【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビデオコーデックの復号化部において、再生画像のブロックノイズを除去する後処理フィルタの制御方式に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビデオコーデックにおいて画像を高能率に圧縮するために、8×8画素の正方形のブロック単位に二次元離散コサイン変換が行われる。この直交変換では、高い圧縮率を実現するために変換後量子化を行う。しかし、量子化を行うことにより、ブロック状の歪み(ブロック歪み)を生じ画質が劣化してしまう。そこで、このブロック歪みを除去し画質を改善するために、一般的に復号化画像に後処理フィルタがかけられる。【0003】この後処理フィルタの制御項目として、フィルタ処理領域の決定、フィルタ特性の決定、フィルタのON/OFFの決定等があげられる。これらの制御を行うための要素として、符号化時の量子化特性、処理画素付近の画素間差分値や、動きベクトル等の情報が用いられている。これらのうち、最も制御に有効な要素が量子化特性である。この量子化特性の値を用いることで、ブロック歪みの度合いを知り、それに適した処理を行っている。」(段落0001?0003)

[2-3-4]まとめ
以上、補正後発明2は先願明細書に記載された発明と同一である。
また、上記出願1が本願出願日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされたものであること、先願明細書に記載された発明をした者が補正後発明2の発明者と同一の者ではないこと、本願出願時にその出願人と上記出願1の出願人とが同一の者ではないこと、以上は明らかである。

[2-3-5]むすび(独立特許要件)
以上、本件補正後の請求項2に係る発明は、上記出願1の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

[2-3-6]むすび(決定)
以上、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

【第3】本願発明
平成17年5月13日付けの手続補正は上記のとおり却下する。
本願の請求項1から請求項8までに係る発明は、本願明細書及び図面(平成16年9月29日付け手続補正書により補正された明細書及び図面)の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1から請求項8までに記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち、請求項2に係る発明(以下、本願発明2ともいう)は、下記のとおりである。

記(本願発明2)
【請求項2】
ディジタル映像信号を、動き補償予測とDCTとを用いて高能率符号化し、画像情報として記録メディアに記録し、該記録メディアから読み出して、映像を再生するディジタル映像信号再記録再生方法において、
記録に当たり、前記画像情報の内の画像内変換された符号化画像のブロックデータを低域成分のみを、高速再生用のデータとして、通常再生時に使用するデータとは別の領域に記録し、
高速再生時に、前記高速再生用のデータのみを読み出して再生することを特徴とするディジタル映像信号記録再生方法。

【第4】査定の検討

[1]先願明細書の記載
原査定の拒絶の理由に引用された出願は、上記出願1と同じ出願(特願平06-260165号)であり、その願書に最初に添付された明細書又は図面(以下、同じく「先願明細書」という、特開平08-125968号公報参照)には、前記「【第2】[2-3-2]に記載したとおりの記載がある。

[2]本願発明2と先願明細書記載発明との対比
本願発明2は、【第2】で検討した上記補正後発明2の構成の一部である、
「高速再生時に、前記高速再生用のデータのみを読み出し、当該読み出したデータにフィルタ処理をして再生すること」を、
「高速再生時に、前記高速再生用のデータのみを読み出して再生すること」としたものであり、上記補正後発明2の構成から下線部「当該読み出したデータにフィルタ処理をして」を削除したものに相当する。
したがって、前記「【第2】[2-3-3]」の(a)?(c)でした、補正後発明2と先願明細書記載の発明との対比を、そのまま援用する。
上記対比によれば、先願明細書には本願発明2と同一の発明が記載されている。

[3]まとめ
本願発明2は先願明細書に記載された発明と同一である。
また、上記出願1が本願出願日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされたものであること、先願明細書に記載された発明をした者が本願発明2の発明者と同一の者ではないこと、本願出願時にその出願人と上記出願1の出願人とが同一の者ではないこと、以上は明らかである。

【第5】むすび
以上、本願の請求項2に係る発明は、上記出願1の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
したがって、残る請求項1,請求項3?請求項8までに係る各発明について特に検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-11-27 
結審通知日 2006-11-28 
審決日 2006-12-12 
出願番号 特願平7-67940
審決分類 P 1 8・ 161- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 明  
特許庁審判長 乾 雅浩
特許庁審判官 北岡 浩
益戸 宏
発明の名称 ディジタル映像信号記録再生方法及びディジタル映像信号再生装置  
代理人 山形 洋一  
代理人 前田 実  

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