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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65B
管理番号 1151346
審判番号 不服2004-23862  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-09-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-11-22 
確定日 2007-01-10 
事件の表示 平成 7年特許願第520608号「カバーストリップを備えたキャリヤテープ」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 8月10日国際公開、WO95/21519、平成 9年 9月 2日国内公表、特表平 9-508606〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成6年(1994年)12月22日(パリ条約による優先権主張1994年2月3日、米国)を国際出願日とする出願であって、その請求項1に係る発明は、平成18年5月22日付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「複数の電子部品を保管すると共に、送り機構により電子部品を連続的に運搬するための、柔軟性を有する単一のキャリアテープであって、
平行な第1、第2縦長縁部面を有し、上記第1、第2縦長縁部面の少なくとも一方が上記送り機構に係合するための手段を備えた上面と、
上記第1、第2縦長縁部面の間で上記キャリアテープの長手方向に沿って設けられ、上記上面から下方に支持された、電子部品を収容する複数のポケットと、
上記複数のポケットを覆いかつ上記キャリアテープの長手方向に沿って延在し、上記第1、第2縦長縁部面にそれぞれ接着された、平行な第1、第2縦長接着部と、上記第1、第2縦長接着部の間で上記複数のポケットを覆っている中央部と、上記第1、第2縦長接着部と上記中央部との間にあって細長カバーストリップの他の部分よりも厚みの小さな切り込み線の弱線からなる一対の縦長破断線を備えており、縦長方向へ破断し易くするとともに上記縦長方向に垂直な方向へ裂けるのを防止するために一軸又は二軸配向フィルムで構成された、柔軟性を有する細長カバーストリップと、
上記カバーストリップの中央部に接着された開封ストリップを備えており、上記第1、第2縦長接着部と上記中央部との間の一対の縦長破断線に沿って、上記カバーストリップの上記第1、第2縦長接着部から上記カバーストリップの上記中央部を分離させて上記ポケットにアクセスできるようにする分離手段と、
上記一対の縦長接着部の少なくとも一方に設けられ、上記縦長接着部の外側縁部から隣接する上記縦長破断線まで延在するとともに上記縦長破断線を越えて上記中央部の中まで延在せず、且つ、上記カバーストリップの分離方向の縁部に対して45°の角度で斜めに伸びるとともに上記縦長接着部の全体にわたって上記分離方向に4?254mmの間隔をあけて等間隔に設けられるとともに上記縦長接着部の他の部分よりも厚みの小さな複数の切り込み線からなる弱線を有し、上記カバーストリップを上記上面から取り除くときに、
上記縦長破断線に沿って上記カバーストリップが破れ始めるようにする破断手段を備えたキャリアテープ。」(以下、「本願発明」という)

2.拒絶理由の概要
当審が平成18年2月14日付けで通知した拒絶理由の概要は、
本願の請求項1?10に係る発明は、その出願前に頒布された引用刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものであり、そして、本願の請求項1に係る発明に対しては、引用刊行物として、国際公開第94/00971号パンフレット(以下、「引用例1」という)、実公昭43-99号公報(以下、「引用例2」という)が引用された。

3.当審の判断
(1).各引用例の記載事項
引用例1には、引用例1の公表公報である特表平7-508251号公報を参照すると、次の事項が記載されている。
a.第7欄19?末行には、
「本発明は広範囲には形成された複数の凹所を有する搬送テープに関する。頂面を区画形成するストリップ部分を有する単一の可撓搬送テープ100が図2から6に示されている。ストリップ部分102は長手方向の縁面104及び106と、一方又は両方の縁面に形成されまたこれに沿って延びる一列の整列した前進孔l08及び110とを含んでいる。前進孔108と110は図1に示すように前進機構と係合するようになっている。前進機構は典型的には各列の前進孔のための1つのスプロケットを具備し、各スプロケットの歯が孔に係合し搬送テープを所定個所に向って前進させ、この所定個所でロボット配置機械が個々の電子部品を順次掴む。これらの孔と隣接孔の間の間隔とは異なった型の前進機構に適合するよう変えることができる。1つの実施態様では孔は直径が約1.55mm(0,061インチ)であり約4mm(0,16インチ)の中心間の距離で規則正しく離間されている。」が記載されている。
b.第9欄3行?第10欄32行には、
「本発明の特に有利な特徴は、カバーストリップ120によりもたらされる。カバーストリップ120は搬送テープの凹所の上に施され部品を凹所の中に収容するようにしている。図3から6に示されるように、可撓性の細長いカバーストリップ120が凹所112の一部又は全部の上に位置し、また搬送テープ100の長さ方向に沿って前進孔108と110の列の間に配置されている。カバーストリップ120は搬送テープ100の長手方向の縁面104と106にそれぞれ結合された平行の長手方向の結合部分122と124を含んでいる。例えば、感圧接着剤又はエチレンビニールアセテート(EVA)重合体のような熱活性接着剤が用いられカバーストリップを縁面104と106に接着する。
カバーストリップ120はまた凹所の上に位置するカバーストリップ120の中間部分126を結合部分122と124から分離させ凹所の内容物に接近できるようにする手段を含んでいる。好適な実施態様では、分離手段は図3に示されるようにカバーストリップ120の長さ方向に沿って中間部分126の上に施された引裂きストリップ128を含んでいる。カバーストリップ120は好ましくは1軸又は2軸配向フイルムで構成され下流ウエブ引裂き作用を容易にし、また横方向への引裂きを阻止する。引裂きストリップ128は引裂き作用に抵抗し、したがってカバーストリップ120の中間部分126が搬送テープ100から引きはがされ縁面104と106に取付けられた結合部分122と124を残すようにする。結合部分122と124は、搬送テープへのカバーストリップの最初の結合により…略…、縁面104と106に付着した状態を維持する。引裂きストリップ128はまたカバーストリップ120における引裂きストリップ128と結合部分122及び124との間の向き合う長手方向の裂け目の伝播を案内し凹所112の内容物を露出させるのを助ける。
引裂きストリップ128は好ましくはポリエステルのような材料で構成され、カバーストリップ120の内面(…略…)又は外面に結合される。引裂きストリップ128は中間部分126を上記のように結合部分122と124から分離するのを助けるように用いられるが、電子部品がカバーストリップ120の露出された接着面にこの接着面が部品に対面したとき接着するのを防止することもできる。本質的に、引裂きストリップ128は弱化層として作用し部品が露出した接着面と接触しないよう保護する。
…略…
他の実施態様では、分離を行う手段はカバーストリップ120に形成された平行の線の脆弱部を具備している。脆弱部の線は整列したスリット、カバーストリップ120の残部より小さい厚さを有する刻み線(図4に140で示すような)、又はミシン目(図5に142で示すような)を具備することができる。したがってカバーストリップ120が搬送テープ100から引きはがされた時、中間部分126は脆弱部の線に沿って結合部分122と124から分離され、それにより凹所112を露出させる。結合部分122と124はしたがって長手方向の縁表面104と106にそれぞれ結合された状態を維持する。」が記載されている。
記載事項「a.b」によれば、引用例1には、
「個々の電子部品を収納する複数の凹所を有する搬送テープであって、ストリップ部分102は長手方向の縁面104及び106と、一方又は両方の縁面に形成されまたこれに沿って延びる一列の整列した、前進機構と係合する約4mmの中心間の距離を持つ前進孔l08及び110とを含んでいる。カバーストリップ120は搬送テープ100の長手方向の縁面104と106にそれぞれ結合された平行の長手方向の結合部分122と124を含み、接着剤が用いられてカバーストリップを縁面104と106に接着する。この部分の分離を行う手段は、カバーストリップ120に形成された平行の線の脆弱部を具備し、脆弱部の線は整列したスリット、カバーストリップ120の残部より小さい厚さを有する刻み線、又はミシン目を具備し、分離手段としてのカバーストリップ120の長さ方向に沿って中間部分126の上に施された引裂きストリップ128を含みカバーストリップ120が搬送テープ100から引きはがされた時、1軸又は2軸配向フイルムをの作用により、中間部分126を脆弱部の線に沿って結合部分122と124から分離するためのカバーストリップを有する搬送テープ。」の発明(以下、「引用発明1」という)が記載されているものと認められる。
引用例2には、次の事項が記載されている。
c.第1頁左欄?同頁右欄14行には、考案の詳細な説明として、
「本考案は、切取式開封装置に関するもので、第1図に図示したように、横Y字型状の切込みBを近接させ、かつ同じ向きで一列に並べたものを、薄葉片Aにその一端縁部から他端縁部までに所定の間隔を置いて二列施して所望裂条C、C′形成用となし、所望切取用片Dを形成すべくなしたことを特徴とする切取式開封装置である。
…略…先ず第2図の本考案を封筒に実施したものについてであるが、図中の5は封筒本体部で、6はその上端の開口部7を封止する折返し片、8は折返し片6の先端部に施されている貼着用糊付部で、本考案による切取式開封装置は折返し片6の折返し用線9と貼着用糊付部8との間の全長にわたって設けられている。
したがって、その開封にあたっては、横Y字型状の切込みBの最大間隔2の方で、しかも縁部における各列の中間部を把持して上方に引き上げて把持部の両側の裂目を各列の切込みBの最大間隔2部内に一度達せしめれば、次ぎの裂目は必ず各列の横Y字型状の切込みBの横方向の直線状の切れ目1の末端から切れはじめ、その位置は次ぎの切込みBの最大間隔2の中央となっているから、裂条3と3′の形成にあたって、切れ目1の末端を裂目としてはじまった裂条3と3′とは、多少その方向を変えたとしても必ず各列の次位の切込みBの最大間隔2部内へ達することとなり、次位の切込みBとの間隔を最大限に大きくすることができ、各列間の切取用片4の両側の裂条3と3′とは所望裂条C、C′を形成して所望切取用片Dが得られ易いので途中で中断することなく必ず他端部へ達することとなつて、封筒の開封を容易簡便ならしめるとともに、妄りな開封を防止するものとなる。」が記載されている。
記載事項「c」によれば、引用刊行物2には、
「開封にあたって、切れはじめの位置は次ぎの切込みBの最大間隔2の中央となっているから、裂条3と3′の形成にあたって、切れ目1の末端を裂目としてはじまった裂条3と3′とは、多少その方向を変えたとしても必ず各列の次位の切り込みBの最大間隔2部内へ達することとなり、次位の切り込みBとの間隔を最大限に大きくすることができ、各列間の切取用片4の両側の裂条3と3′とは所望裂条C、C′を形成して所望切取用片Dが得られ易いので途中で中断することなく必ず他端部へ達する切取式開封装置。」の発明(以下、「引用発明2」という)が記載されているものと認められる。

(2)対比・判断
引用発明1の搬送テープもカバーストリップも図1の符号14の形で扱われるものであるから本願発明のキャリアテープ、カバーストリップと同様、柔軟性を有することは当業者にとって自明の事項である。
引用発明1の、「電子部品」、「前進機構」、「搬送テープ」、「長手方向の縁面」、「凹所」、「カバーストリップ」、「平行の線の脆弱部」、「引裂きストリップ」、「分離手段」は、本願発明の「電子部品」、「送り機構」、「キャリアテープ」、「縦長縁部面」、「ポケット」、「細長カバーストリップ」、「縦長破断線」、「開封ストリップ」、「分離手段」に夫々相当する。
そして、両者は、
「複数の電子部品を保管すると共に、送り機構により電子部品を連続的に運搬するための、柔軟性を有する単一のキャリアテープであって、
平行な第1、第2縦長縁部面を有し、上記第1、第2縦長縁部面の少なくとも一方が上記送り機構に係合するための手段を備えた上面と、
上記第1、第2縦長縁部面の間で上記キャリアテープの長手方向に沿って設けられ、上記上面から下方に支持された、電子部品を収容する複数のポケットと、
上記複数のポケットを覆いかつ上記キャリアテープの長手方向に沿って延在し、上記第1、第2縦長縁部面にそれぞれ接着された、平行な第1、第2縦長接着部と、上記第1、第2縦長接着部の間で上記複数のポケットを覆っている中央部と、上記第1、第2縦長接着部と上記中央部との間にあって細長カバーストリップの他の部分よりも厚みの小さな切り込み線の弱線からなる一対の縦長破断線を備えており、縦長方向へ破断し易くするとともに上記縦長方向に垂直な方向へ裂けるのを防止するために一軸又は二軸配向フィルムで構成された、柔軟性を有する細長カバーストリップと、上記カバーストリップの中央部に接着された開封ストリップを備えており、上記第1、第2縦長接着部と上記中央部との間の一対の縦長破断線に沿って、上記カバーストリップの上記第1、第2縦長接着部から上記カバーストリップの上記中央部を分離させて上記ポケットにアクセスできるようにする分離手段とを備えたキャリアテープ。」で一致し、以下の点で相違している。

相違点1:本願発明では、「弱線」が、「一対の縦長接着部の少なくとも一方に設けられ、上記縦長接着部の外側縁部から隣接する上記縦長破断線まで延在するとともに上記縦長破断線を越えて上記中央部の中まで延在せず、上記縦長接着部の他の部分よりも厚みの小さな複数の切り込み線からなる」のに対し、引用発明1にはこの点の記載がない点。
相違点2:本願発明では、「弱線」が「カバーストリップの分離方向の縁部に対して45°の角度で斜めに伸びる」のに対し引用発明1にはこの点の記載がない点。
相違点3:本願発明では、「弱線」が「縦長接着部の全体にわたって上記分離方向に4?254mmの間隔をあけて等間隔に設けられる」に対し引用発明1にはこの点の記載がない点。

そこで上記相違点について検討する。
相違点1に対して、
引用発明2には、開封にあたって、切れはじめの位置は次ぎの切込みBの最大間隔2の中央となっているから、裂条3と3′の形成にあたって、切れ目1の末端を裂目としてはじまった裂条3と3′とは、多少その方向を変えたとしても必ず各列の次位の切り込みBの最大間隔2部内へ達する点が記載されており、
また、引用発明1においても、脆弱部の線は整列したスリット、カバーストリップ120の残部より小さい厚さを有する刻み線を具備し、分離手段としてのカバーストリップ120の長さ方向に沿って中間部分126の上に施された引裂きストリップ128を含みカバーストリップ120が搬送テープ100から引きはがされた時、1軸又は2軸配向フイルムの作用により、中間部分126を脆弱部の線に沿って結合部分122と124から分離することを意図しているものであるから、横Y字型状の切込みBのうち裂きストリップ128を有する側を省略して弱線としたことは当業者が適宜なしえたことである。

相違点2に対して、
引用発明2には、「相違点1に対して、」で認定したとおりのことが、記載されており、前記認定技術からみて、当該弱線の角度を45°とした点に格別の技術的意義も見いだせないから相違点2は、当業者が適宜なしえたことである。
相違点3に対して、
引用発明1においても、前進機構と係合する約4mmのピッチを設けることが記載されているから、当該ピッチを考慮して、弱線を縦長接着部の全体にわたって上記分離方向に4?254mmの間隔をあけて等間隔に設けた点に格別の技術的意義も見いだせないから当業者が適宜なしえたことである。
そして、本願発明により奏される効果も、引用発明1、2から当業者が当然予測しうる程度のものであって、格別顕著であるとはいえない。

(3)むすび
本願発明は、引用発明1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることが出来たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それゆえ、本願は、拒絶すべきものである。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-10 
結審通知日 2006-08-01 
審決日 2006-08-28 
出願番号 特願平7-520608
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 勝司白川 敬寛  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 中西 一友
豊永 茂弘
発明の名称 カバーストリップを備えたキャリヤテープ  
代理人 青山 葆  
代理人 山田 卓二  

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