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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1151390
審判番号 不服2001-3058  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-03-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-03-01 
確定日 2007-02-08 
事件の表示 平成 9年特許願第242066号「ゲーム装置、ゲームシステム及びゲーム装置の双方向通信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 3月 2日出願公開、特開平11- 57213〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯
本願は、平成9年8月24日に出願されたものであって、拒絶理由通知に対応して平成12年11月13日に手続補正書が提出され、その後なされた拒絶査定に対して、拒絶査定不服の審判が請求された後平成13年4月2日に手続補正がなされたものである。



第二.平成13年4月2日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成13年4月2日付の手続補正を却下する。

[理由]
[1]補正後の本願発明
平成13年4月2日付の手続補正(以下「本件補正」という)により、特許請求の範囲の請求項1は以下のように補正された。
「記録媒体の再生機能を有し、複数の操作子による操作データをゲーム装置用操作装置から受信し、かつ、上記ゲーム装置用操作装置に対して所定の制御データを送信する双方向通信手段を有するゲーム装置において、
上記ゲーム装置用操作装置が有する、ゲーム装置からの指示で応答する複数の応答手段の各消費電流値を含む情報を機能情報として、該ゲーム装置用操作装置から取り込み、
ゲームの進行内容に応じて、応答動作させようとしている全ての上記応答手段の総消費電流値を上記機能情報に基づいて求め、該総消費電流値が予め決められた規定値よりも大きい場合には、該総消費電流値が該規定値以下になるよう、応答動作させようとしている全ての上記応答手段のうち、消費電流値の少ない応答手段を確実に動作させるべく、消費電流値の多い応答手段の消費電流値を規制した所定の制御データを作成し、
応答動作させようとしている全ての応答手段に応答動作させるべく、上記ゲーム装置用操作装置に、上記所定の制御データを送る、
ことを特徴とするゲーム装置。」


[2].補正要件(目的)の検討
本件補正は、請求項1の発明を特定するために必要な事項である「一以上の応答手段」について「複数の応答手段」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。


[3].補正要件(独立特許要件)の検討
本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1).引用刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、特開平9-164270号公報、及び周知事項を例示する為の刊行物である、特開平7-194846号公報、特開平9-741号公報、特開平8-152945号公報、特開平8-317565号公報、特開平6-259359号公報、特開平6-153395号公報、特公平3-20975号公報には、以下の事項が記載されている。
(A).特開平9-164270号公報(以下「刊行物A」という)
(A-1).「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、コントローラパックに関する。より特定的には、この発明は、ゲーム機用コントローラに着脱自在に装着され、そのコントローラに振動を発生させる、新規なコントローラパックに関する。」
(A-2).「【0006】【作用】ビデオゲーム機は、ゲーム用プロセサを含み、このゲーム用プロセサは所定のアドレス空間を有する。ゲーム用プロセサがその所定アドレス空間の特定アドレスに指令信号を出力すると、コントローラパックに設けられた所定の端子がその指令信号を受ける。応じて、駆動回路が、たとえばコントローラパック内に収納された電池から、振動源に電源を与える。したがって、たとえばモータのような振動源が振動を発生する。振動源はコントローラパックのケースに取り付けられているので、振動源が発生した振動はケースから、そのコントローラパックが装着されているコントローラに伝達される。コントローラはプレイヤの手で把持されているので、結果的に、振動源の振動がプレイヤの手に伝わる。」
(A-3).「【0009】 【実施例】図1はこの発明のコントローラパックが適用され得るビデオゲーム機の一例である三次元画像処理システムのシステム構成を示す外観図である。画像処理システムは、たとえばビデオゲームシステムであって、画像処理装置本体10と、外部記憶装置の一例のROMカートリッジ20と、画像処理装置本体10に接続される表示手段の一例のモニタ30と、操作手段の一例のコントローラ40と、コントローラ40に着脱自在に装着されるコントローラパック50(後に詳述する)とを含んで構成される。・・・。
【0010】図2はこの実施例の画像処理システムのブロック図である。・・・。このように、コネクタ181?184にコントローラ40を接続することにより、コントローラ40が画像処理装置10と電気的に接続され、相互間のデータの送受信が可能とされる。」
(A-4).「【0015】コントローラ制御回路17は、・・・、図5に示すように、データ転送制御回路171,送信回路172,受信回路173および送受信データを一時記憶するためのRAM174を含む。・・・。送信回路172は、データ転送制御回路171から供給されるコントローラ40の信号読込制御のためのデータおよびRAMカートリッジ50への書込データ(パラレルデータ)をシリアルデータに変換して、複数のコントローラ40のそれぞれに対応するチャンネルCH1?CH4から送信する。受信回路173は、各コントローラ40に対応するチャンネルCH1?CH4から入力される各コントローラ40の操作状態を示すデータおよびRAMカートリッジ50からの読出データをシリアルデータで受信し、パラレルデータに変換してデータ転送制御回路171に与える。」
(A-5).「【0030】RCPないしバス制御回路12の動作を図12を用いて説明する。ステップS21で、バス制御回路12は、CPU11がコントローラデータ要求コマンド(コントローラ40のスイッチデータまたはコントローラパック50のデータ等の要求命令)を出力したか否かを判断する。・・・。バス制御回路12は、RAM14へのデータ転送が終わるとステップS21に戻り、ステップS21-ステップS24の動作を繰り返す。」
(A-6).「【0035】裏蓋502には、振動発生回路50Aを構成する振動源507が固着される。実施例では、振動源507として、振動発生用モータを用いた。しかしながら、モータの他に、電源の供給を受けて振動を発生するソレノイドや他の素子が利用可能であることは勿論である。なお、振動発生用モータの一例として、東京パーツ工業株式会社製の「FM16,FM23,FM25あるいはFM29」や「CM-5」等が利用可能である。「FM」モータでは、円筒型ケースに内蔵された回転軸に偏心部材を取り付け、回転軸の回転に応じて偏心部材が回転することによって、ケースに振動が生じる。「CM」モータでは、電機子コイル自体を偏心させて装着し、その電機子が回転することによって、振動を発生する。なお、ソレノイドを用いる場合には、ソレノイド内の磁心が往復運動することによって振動が発生する。
【0036】いずれの場合も、このような振動源507は、電池504からの電源を受けて駆動回路505によって駆動され、振動を発生する。・・・。
【0037】ただし、コントローラケーブル42(図2)に電源線を含ませ、その電源線によって、画像処理装置本体すなわちゲーム機10から端子506を通して振動源507に電源を供給するようにしてもよい。その場合には、電源線の容量は、振動源507の必要電力を考慮して適宜選定されることはいうまでもない。・・・。しかしながら、振動源507を基板503上に取り付けるのは、避けたほうがよい。その理由は、振動源507の振動が基板503上に実装された部品に悪影響を及ぼすこと、および端子506とコネクタとが弾性的に接触しているので、振動源507の振動がその弾性的接触によって減衰される可能性があること、等である。」
(A-7).「【0049】なお、CPU11による振動源507の駆動および停止、ならびに振動強さの制御は、ROMカートリッジ20等のゲームプログラムに従って実行されるものである。したがって、映像および音声の変化とともに、振動の発生,停止および強さ変化が生じるようにゲームプログラムを作成しておけば、極めて実感のあるゲームを家庭用ビデオゲーム機で楽しむことができる。
【0050】また、上述の「釣りゲーム」以外に、レーシングゲームにおいて、「クラッシュ」が発生したときなど、どのゲームでどのタイミングでどのレベルの強さの振動を発生させるかは、ゲームプログラム作成者が任意に設定できる。」
(A-8).してみると、刊行物Aには次の発明(以下「引用発明」という)が記載されている。
「振動手段としてのコントローラパックが具備されたコントローラ、当該コントローラが複数接続された画像処理装置本体(ゲーム機)、及びTVモニターから成るビデオゲーム機において、
画像処理装置本体(ゲーム機)は、そのコントローラ制御回路に含まれる送信回路、受信回路を介してコントローラとの間でデータの送受信を行い、さらに画像処理装置本体(ゲーム機)のCPUの制御により映像、音声の変化などのタイミングに合わせてコントローラの振動の強さを制御すると共に、当該振動手段の振動に際して消費する消費電力を電源線を介して振動手段に供給するビデオゲーム機」

(B).特開平7-194846号公報(以下「刊行物B」という)
(B-1).「【目的】 テレビゲームにおける操作者の臨場感を、視覚、聴覚以外のもので強化して、ゲームをより楽しめるものとする。
【構成】 テレビゲームの本体1から、プログラムの進行或いは操作者が操作する操作用端末2からの入力信号に応じた操作用端末駆動信号が送りだされ、操作用端末駆動部7に入力、操作用端末駆動部7は、テレビゲームの本体1からのプログラムの進行或いは操作者の操作に対応した信号を出力して操作用端末2に備える操作用スイッチの押しボタン部に内蔵される小型モータ、ソレノイド、電気ヒータ等の被駆動部品を駆動し、場面に対応した動き、発熱等を行わせ、これを操作者の指や手に感じさせることで臨場感を増加させる。」
(B-2).「【0033】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、テレビゲームのプログラムの進行、場面の状況に応じた振動や衝撃、さらには熱感や電撃までが、操作用スイッチの操作部材、押しボタン部に設けた小型モータ、ソレノイド、電気ヒータ等の被駆動部品を駆動しすることで得られるように構成したので、これを操作者の指や手で感じることができ、操作者はゲームの臨場感を従来よりはるかに大きく感じることができてゲームが非常に実感のある楽しいものとなる。」

(C)特開平9-741号公報(以下「刊行物C」という)
(C-1).「【要約】 【目的】 テレビゲームにおける操作者の臨場感を、視覚、聴覚以外のもので強化して、ゲームをより楽しめるものとする。
【構成】 テレビゲームの本体1から、プログラムの進行或いは操作者が操作する操作用端末2からの入力信号に応じた操作用端末駆動信号が送りだされ、操作用端末駆動部7に入力、操作用端末駆動部7は、テレビゲームの本体1からのプログラムの進行或いは操作者の操作に対応した信号を出力して操作用端末2に備える操作用スイッチの押しボタン部に内蔵される小型モータの被駆動部品を駆動し、場面に対応した振動や衝撃を発生、これを操作者の指や手に感じさせることで臨場感を増加させる。モータと偏心フライホイールとの組合わせにより、モータの回転数と偏心フライホイールの偏心度をリンクさせて振動の強弱を発生させたり、モータの回転方向を変えることでクランクロッドの先端がケース内面を叩くようにする等の、より効果的な構成を得ることができる。」
(C-2).「【0033】以上の実施例では操作用端末に備えるスイッチの数については触れなかったが複数個備え、これを目的に応じて、被駆動部品を使い分けるようにして、より高度な操作感や臨場感を得ることも可能である。」

(D).特開平8-152945号公報(以下「刊行物D」という)
(D-1).「【要約】 【目的】 使用環境や、電力供給能力の範囲内で最適で経済的な電力供給を可能にする。
【構成】 機能ブロック111は、現在の負荷状況から必要な電力を要求する。情報集計装置104は、各機能ブロックからの要求電力を加算集計する。供給電力配分決定装置102は、加算集計された電力の総和が供給可能な電力値以内の場合は、電力配分装置105に指示して各機能ブロックに要求電力を出力し、電力の総和が供給可能な電力値を越えた場合は予め定められた方法により電力配分方法を決定し、電力配分装置105に指示して各機能ブロックに供給可能な電力を電力配分方法に従って配分し出力させる。」
(D-2).「【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の消費電力管理装置では、使用しない時の電力を節減することを主眼にしているため、すべての回路が稼働する場合の消費電力を最適化することは困難であった。さらに、冷却設備などの使用環境のため、電力供給能力や発熱量がシステムの設計時に前提とした値以下に制限されるような場合にも適応できる消費電力管理装置の実現も困難であった。」
(D-3).「【0026】この電力配分装置105は、PLL(PHASE LOCKED LOOP)210によってクロック周波数を変えたり、直流電圧変換器211によって電源電圧を変化させることによって、消費電力を制御する。これらの装置による電力供給制御を特定の間隔で繰り返すことによって、規定された電力内で効率的な電力供給を行うことが可能となる。」

(E).特開平8-317565号公報(以下「刊行物E」という)
(E-1).「【0012】ここで、負荷26の遮断優先順位を変えれば、遮断負荷が減らせる旨のガイダンスを行い、運転員が、負荷26の遮断順位を1番目に変更したとすると、負荷26,21 ?23の遮断で、残る負荷の使用電力が2,000kw となるため、上記と比べると、負荷24,25 が遮断しなくてもよくなる。
【0013】このように、遮断優先順位を変えることによって、遮断する負荷を、当初の数より少なくすることができる。」

(F).特開平6-259359号公報(以下「刊行物F」という)
(F-1).「【0019】また、印刷命令が発行されていた場合、プリンタ管理部8は、ステツプS4で、図3に一例を示したテーブルを参照して、該印刷命令が指示するプリンタを印刷状態にした場合に、設定された消費電力の上限値を超えるか否かを判定する。例えば、プリンタb5が印刷動作状態(状態6)にある場合、プリンタc6への印刷命令が発行されても、状態3は設定された上限値を超えるのでプリンタc6を印刷動作状態にせず、ステツプS2へ戻る。一方、同様な状態(状態6)において、プリンタa4への印刷命令が発行されると、状態2は設定された上限値を超えないので、ステツプS5でプリンタa4を印刷動作状態にした後、ステツプS2へ戻る。」
(F-2).「【0023】また、上述においては、電力情報をコンピユータから入力する例を説明したが、装置内のROMなどへ予め電力情報を記録し、該装置をネツトワークなどへ接続した際に、該情報が読出せるようにすることもできる。さらに、上述においては、プリンタに対する制御として、印刷動作状態と待機状態を切替える例を説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、消費電力が異なる種々の状態を設定して、これらを切替えることもでき、種々の状態には電源オフを加えてもよい。」

(G).特開平6-153395号公報(以下「刊行物G」という) (G-1).「【0004】 【発明が解決しようとする課題】そのため、一般家庭では人がブレーカが動作しないように負荷配分を判断して運転したい機器以外の機器の内の例えば負荷電力の大きい機器の運転を一時的に運転を停止させる等の手間がかかっている。」

(H).特公平3-20975号公報(以下「刊行物H」という)
(H-1).「この発明の好ましい態様によれば、電力供給回路網から電力を取り込む需要者の消費電力の制御装置は、それぞれの負荷回路への供給電力を制御するように別個に操作できる電流制御装置と、電力供給回路網から需要者によって取り込まれる合計電流を表わす出力信号を生じる手段と、この出力信号に応答して、かつ記憶したプログラムにしたがって合計電流を制限するように電流制御装置を制御するデイジタルデータ処理手段とを備えている。」(第3頁右欄第15?24行)

(2).引用発明と本願補正発明との対比
(ア)発明特定事項の対応関係
(i)引用発明における、「コントローラ」は、本願補正発明における「ゲーム装置用操作装置」に対応する。
(ii)引用発明における「画像処理装置本体(ゲーム機)10」は、本願補正発明における「ゲーム装置」に対応する。
引用発明における「振動手段」は、本願補正発明における「応答手段」に対応する。
(iii)引用発明における「CPUの制御により映像、音声の変化などのタイミングに合わせてコントローラの振動の強さを制御する」、画像処理装置本体(ゲーム機)とコントローラとの間で送受信する「データ」と、本願補正発明における「所定の制御データ」とは、「応答手段制御信号」で共通する。
(iv)引用発明における「消費電力」は、電池504からの電流にて駆動源(振動モータ)に振動を発生させるものであるから、本願補正発明において同様の働きを行う「消費電流値」に対応する。
(イ).一致点
「記録媒体の再生機能を有し、複数の操作子による操作データをゲーム装置用操作装置から受信し、かつ、上記ゲーム装置用操作装置に対して所定の制御データを送信する双方向通信手段を有するゲーム装置において、
上記ゲーム装置用操作装置が、ゲーム装置からの指示で応答する複数の応答手段を有し、
ゲームの進行内容に応じた応答手段制御信号にて応答動作させようとしている応答手段に応答動作させるべく、上記ゲーム装置用操作装置に応答手段制御信号を送るゲーム装置。

(ウ).相違点
(i).応答手段に関して、本願補正発明は複数具備されているのに対し、引用発明は単数である点
(ii).本願補正発明は、ゲーム機が、応答手段の消費電流値の情報を含む機能情報を取得する手段を備え、当該消費電流値の情報に基づいて応答すべき全応答手段の総消費電流値が予め決められている規定値より当該総消費電流値が大なる場合には、当該総消費電流値が前記規定値以下となるように消費電流値の大なる応答手段の電流値を規制するのに対し、引用発明は、応答手段の消費電流値に関しては、単に電源線の容量は応答手段である振動源の必要電力を考慮して適宜決定されることのみ記載され、他の考慮事項は記載されていない点

(エ).相違点の検討
(i).相違点(i)について、
ゲーム装置のコントローラに応答手段を複数具備させることは、前記刊行物B、Cに示されるように周知の事項であるから、ゲーム内容、及びゲーム興趣を勘案して設定可能な単なる設計的事項である。
したがって、当該相違点は格別なものではない。
(ii).相違点(ii)について、
また、複数の電気機器の総消費電力が供給電力より上回っている場合に、総消費電力を供給電力内に収まるように消費電力を低減すること、及びその低減手段として、電源電圧の低減化、負荷の優先順位化等は前記刊行物D?Hに示されるように、機器の消費電力の大小をメルクマールにする手法も前記(E-1)、(G-1)に示されるように周知の事項であり、しかも、前記消費電力低減手段実行の前提として、電気機器の消費電力情報を要することは、前記(D-1)にように当然の技術的事項である。
してみると、
複数の応答手段を具備することは設計的事項であるとした引用発明において、電気機器における供給電力不足に対処する対処手段として、前記周知の消費電力低減手段を採用すること、及び当該採用に際して選択する具体的手段として、消費電力をメルクマールにした当該低減手法を選択採用することは当業者が容易に想到できることであり、当該採用による効果も格別のものとは認められない。
すなわち、
本願補正発明における「規定値」、及び「消費電流の多い応答手段の消費電流を規制した制御データ」は、各々如何して決定された規定値であるのか、及び消費電流が相違する複数の応答手段における消費電力の規制を如何に規制するのかその具体的手段が記載されていない。
要するに総消費電流と規定値との差の大小により当該制御データは変化し、かつ、複数の応答手段の消費電流が全て相違する場合に「消費電流が多い応答手段」の「多い」とは如何なる定義となり、消費電流の多い複数又は単数の応答手段の消費電流値を如何に制御するのかに関する記載も認められないから、当該構成に格別の作用効果は認められないものである。
(iii).まとめ
したがって、本願補正発明は、刊行物Aに記載された発明、及び周知慣用事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

[4].むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。



第三.本願発明について
[1].本願発明
平成13年4月2日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、平成12年11月13日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「記録媒体の再生機能を有し、複数の操作子による操作データをゲーム装置用操作装置から受信し、かつ、上記ゲーム装置用操作装置に対して所定の制御データを送信する双方向通信手段を有するゲーム装置において、
上記ゲーム装置用操作装置が有する、ゲーム装置からの指示で応答する一以上の応答手段の各消費電流値を含む情報を機能情報として、該ゲーム装置用操作装置から取り込み、
ゲームの進行内容に応じて、応答動作させようとしている全ての上記応答手段の総消費電流値を上記機能情報に基づいて求め、該総消費電流値が予め決められた規定値よりも大きい場合には、該総消費電流値が該規定値以下になるよう、応答動作させようとしている全ての上記応答手段のうち、消費電流値が多い応答手段の消費電流値を規制した所定の制御データを作成し、または、該総消費電流値が規定値以下になるよう、応答動作させようとしている全ての上記応答手段の消費電流値を規制した所定の制御データを作成し、
応答動作させようとしている全ての応答手段に応答動作させるべく、上記ゲーム装置用操作装置に、上記所定の制御データを送る、
ことを特徴とするゲーム装置。」


[2].引用刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物、周知事項を例示する為の刊行物、および、その記載事項は、前記「第二.[3].(1))」に記載したとおりである。


[3].引用発明と本願発明との対比
本願発明は、前記「第二」で検討した本願補正発明から「応答手段」を1以上に限定する「複数」に代えて「一以上」としたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第二.[3].(2)」に記載したとおり、刊行物Aに記載された発明、及び、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物Aに記載された発明、及び、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


[4].むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物Aに記載された発明、及び、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-11-08 
結審通知日 2006-11-14 
審決日 2006-12-12 
出願番号 特願平9-242066
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦秋山 斉昭  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 川島 陵司
小田倉 直人
発明の名称 ゲーム装置、ゲームシステム及びゲーム装置の双方向通信方法  
代理人 三品 岩男  

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