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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1151391
審判番号 不服2001-23270  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-09-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-12-27 
確定日 2007-02-08 
事件の表示 平成11年特許願第 96706号「ジャンケンゲーム」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 9月12日出願公開、特開2000-245949〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.出願の経緯
本願は、平成11年3月1日の出願であって、平成13年6月14日付で手続補正がなされた後、同年11月15日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月27日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成14年1月25日付で手続補正がなされたものである。

第2.平成14年1月25日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年1月25日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の
「【請求項1】機器のディスプレー画面内に「グー」、「チョキ」、「パー」のジャンケンマークの夫々を高速シンクロク点滅して表示され、その後ゲーム者がジャンケンマークの選択キィーボタンの何れかを選択すると、ディスプレー画面内に表示されたジャンケンマークの点滅速度を徐々にスローダウンさせていずれかのマークに自動的に選択停止すると同時に、ゲーム者が選択したジャンケンマークと上記自動的に選択停止したジャンケンマークをディスプレー内に同時に比較表示するようプログラミングされたアプリケーションソフトを内蔵したことを特徴とするジャンケンゲーム機器。

【請求項2】適当な価格で購入したジャンケンゲーム用ディスケットを挿入して上記アプリケーションソフトを起動させ、ゲーム者が選択したジャンケンマークと上記自動的に選択停止したジャンケンマークをディスプレー内に同時に比較表示させてゲーム者が勝てば、上記ディスケットを購入先に渡し、検査チェック後、払い戻しを受けるようにしたジャンケンマネーゲームとして使用する請求項1記載のジャンケンゲーム機器。

【請求項3】複数のジャンケンゲーム機器を同時開示スイッチボタンを有する接続コードジャックで接続する請求項1記載のジャンケンゲーム機器。」
という記載を、

「【請求項1】ジャンケンゲーム機器のディスプレー画面内に「グー」、「チョキ」、「パー」のジャンケンマークの夫々を高速シンクロク点滅して表示され、その後ゲーム者がジャンケンマークの選択キィーボタンの何れかを選択すると、ディスプレー画面内に表示されたジャンケンマークの点滅速度を徐々にスローダウンさせていずれかのマークに自動的に選択停止すると同時に、ゲーム者が選択したジャンケンマークと上記自動的に選択したジャンケンマークをディスプレー内に同時に比較表示するようにプログラミングされたアプリケーションソフトを入力したジャンケンゲーム用ディスケットを販売し、該ディスケットを購入して上記機器内に挿入して上記アプリケーションを起動させ、ゲーム者が選択したジャンケンマークと上記自動的に選択停止したジャンケンマークをディスプレー内に同時に比較表示させてゲーム者が勝てば、上記ディスケットを購入先に渡し、検査チェック後、払い戻しを受けるようにしたことを特徴とするジャンケンゲーム。

【請求項2】ジャンケンゲーム用ディスケットなしに指定銀行に口座を設け、オンライン上で上記アプリケーションソフトを起動させて行う請求項1記載のジャンケンゲーム。

【請求項3】複数の携帯ジャンケンゲーム機器を同時開示スイッチボタンを有する接続コードジャックで接続する請求項1記載のジャンケンゲーム。」
と補正することを含むものである。

2.補正の適否についての検討
本件補正により、請求項1は、ゲームルールの手順、すなわち、「・・・ディスケットを販売し」、「・・・アプリケーションを起動させ」、「・・・ディスケットを購入先に渡し」、「・・・払い戻しを受ける」という手順を特定する「方法」に係る事項を特定するものとなった。
しかし、本件補正前の請求項1は、ジャンケンゲーム機器に係る構成、すなわち「物」に係る事項を特定するものであり、当該請求項1に係る補正は、請求項に係るカテゴリを「物」から「方法」へ変更するものであって、請求項の発明特定事項を限定して、これを減縮補正するものではなく、特許法第17条の2第4項第2号の定める「特許請求の範囲の減縮」に該当しないものである。
請求項2及び3についても同様。

また、請求項に係るカテゴリを「物」から「方法」へ変更することが、特許法第17条の2第1号に規定する請求項の削除、同項第3号に規定する誤記の訂正、同項第4号に規定する明りょうでない記載の釈明の何れの目的にも該当しないことは明らかである。

3.むすび
以上のとおりであり、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とする補正に該当しないものであり、さらに、同項第1号に規定する請求項の削除、同項第3号に規定する誤記の訂正、同項第4号に規定する明りょうでない記載の釈明の何れの目的にも該当しないことも明らかなので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。

第3.本願発明に関する検討
1.本願発明
平成14年1月25日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至3に係る発明は、平成13年6月14日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】機器のディスプレー画面内に「グー」、「チョキ」、「パー」のジャンケンマークの夫々を高速シンクロク点滅して表示され、その後ゲーム者がジャンケンマークの選択キィーボタンの何れかを選択すると、ディスプレー画面内に表示されたジャンケンマークの点滅速度を徐々にスローダウンさせていずれかのマークに自動的に選択停止すると同時に、ゲーム者が選択したジャンケンマークと上記自動的に選択停止したジャンケンマークをディスプレー内に同時に比較表示するようプログラミングされたアプリケーションソフトを内蔵したことを特徴とするジャンケンゲーム機器。」

2.引用文献に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された実願昭54-161004号(実開昭56-077794号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。

・記載事項1-1(第1ページ第4行?第2ページ第2行)
「2実用新案登録請求の範囲
(1) 発振回路、該発振回路からの信号を分周する分周回路、該分周回路からの時計用信号を計数する計時カウンター、該計時カウンターの計数内容に従って時刻を表示する電子光学的表示装置を備えた電子時計に於て、前記発振回路または、分周回路からの比較的高周波の信号を計数するように構成されたゲーム用リングカウンター、該リングカウンターの計数の開始または停止を制御するゲーム制御手段、じゃんけん遊びにおけるグー、チョキ、パーのいずれかから1つを任意に選択するためのじゃんけん選択用スイッチを設け、前記ゲーム制御手段によってゲーム用リングカウンターの計数動作が停止されたときの計数内容に対応して、グー、チョキ、パーのいずれかを表示する手段と、前記選択用スイッチで選択されたグー、チョキ、パーを表示する手段を設け、両者を比較することによってゲームを行なえるように構成したことを特徴とするゲーム機能付き電子時計。」

・記載事項1-2(第2ページ第16行?第3ページ第9行)
「第1図は本考案に係わるじゃんけんゲームの機能付き電子時計の平面図である。・・・表示部2には・・・じゃんけんの種類を表わすグー5、8、チョキ6、9、パー7、10の各表示分があり、・・・。なお前記グー、チョキ、パーの表示部5、6、7はゲーム者用の表示部であり、8、9、10は対戦相手に相当する時計サイド用の表示部である。」

・記載事項1-3(第3ページ第10行?第4ページ第5行)
「次にゲームの仕方を説明する。・・・じゃんけんプレイモードを選択して5?10を点燈させてから、じゃんけん選択用スイッチ11、12、13のうち、いずれかを押してグー5、チョキ6、パー7のうちから一つを選択する。例えばゲーム者がスイッチ12を押して、チョキを選択するとチョキ6の表示のみが点燈して、グー5とパー7は消燈する。次にゲーム制御用スイッチ14を操作することによって勝負が決まる。すなわち、計時回路によりグー8、チョキ9、パー10のうち例えば、パー10が選択されたとすると、パー10が点燈し、グー8とチョキ9は消燈し、ゲーム者側はチョキ6であり時計側が、パー10であるからゲーム者側の勝ちとなり」

・記載事項1-4(第4ページ第15行?第7ページ第6行)
「第2図は、本実施例の時計のブロック線図である。15は水晶発振回路、16は分周回路、17は時計カウンター、18はデコーダ・ドライバー、19は前記表示部2を構成する液晶表示装置である。・・・一方20a、20b、20c、20dは微分回路、21、22、23、24はRSフリップフロップ回路(以下FFと略記する。)25はORゲート、26はANDゲート、27は3進リングカウンター、28は勝負判別回路を示したものである。・・・例えば、・・・スイッチ12を操作すると・・・分周回路16からの128Hzの出力信号が・・・ゲーム用の3進リングカウンター27に入力されることになる。この状態からゲーム制御用スイッチ14を閉じると・・・前記3進リングカウンター27は分周回路16からの128Hzの信号の計数動作を停止する。この場合、計数動作を停止したときにリングカウンター27がどのような内容となっているかに対応して時計側のじゃんけんの内容も決定されることになり、前記3進リングカウンター27がどのような内容となっているかに従って、グー8、チョキ9、パー10のいずれか1個が点灯状態となる。・・・ゲーム者側のじゃんけんの内容と、リングカウンター27の内容によって決定される時計側のじゃんけんの内容とが勝負判定回路28によって比較・判別され、その勝負結果が表示やブザー音等によって明示されることになる。」

これらの記載、ならびに、第1図及び第2図によれば、引用文献1には、以下の発明が記載されているものと認められる。

「時計本体1、表示部2、発振回路15、該発振回路からの信号を分周する分周回路16、該分周回路16からの比較的高周波の信号を計数するように構成された3進リングカウンター27、該3進リングカウンターの計数の開始及び停止を制御するゲーム制御手段、及び、じゃんけん遊びにおけるグー、チョキ、パーのいずれか1つを任意に選択するためのじゃんけん選択用スイッチ11、12、13からなるゲーム機能付き電子時計であって、
表示部2画面内にグー5、8、チョキ6、9、パー7、10を表示させ、その後ゲーム者がじゃんけん選択用スイッチ11、12、13のいずれかを選択すると、選択されたグー5、チョキ6、パー7のいずれかを表示し、分周回路16からの128Hzの信号で3進リングカウンター27の計数動作が開始し、ゲーム制御用スイッチ14を操作すると、3進リングカウンター27の計数動作が停止し、計数内容に対応して時計側のジャンケンの内容を決定し、決定されたグー8、チョキ9、パー10のいずれかを表示し、ゲーム者側のじゃんけんの内容と、時計側のじゃんけんの内容とが勝負判定回路28によって比較・判別され、その勝負結果が表示やブザー音等によって明示されるゲーム機能付き電子時計。」(以下、「引用発明」という。)

3.本願発明と引用発明との対比
・対応関係1
引用発明の「ゲーム機能付き電子時計」は、本願発明の「機器」及び「ジャンケンゲーム機器」に、以下同様に「表示部2」は「ディスプレー」に、「ゲーム者」は「ゲーム者」に、「じゃんけん選択用スイッチ11、12、13」は「ジャンケンマークの選択キィーボタン」にそれぞれ相当する。

・対応関係2
表示部2画面内にグー5、8、チョキ6、9、パー7、10を表示させることは、ジャンケンマークの夫々が表示されるといえるものである。
そして、本願発明と引用発明の用語は、上記対応関係1の相当関係を持つものである。
してみれば、本願発明で「ディスプレー画面内に「グー」、「チョキ」、「パー」のジャンケンマークの夫々を高速シンクロク点滅して表示され」ることと、引用発明で「表示部2画面内にグー5、8、チョキ6、9、パー7、10を表示させること」とは、ディスプレー画面内に「グー」、「チョキ」、「パー」のジャンケンマークの夫々が表示される点において共通する。

・対応関係3
引用発明において、ジャンケンの内容を決定することは、ゲーム制御用スイッチ14を操作することによりなされることであって、これは、所定の操作を契機に(グー、チョキ、パーの)いずれかのマークを自動的に選択すると認識されるものである。
そして、本願発明において、マークの自動的な選択停止は、選択キィーボタンを選択することによりなされることであって、これも、所定の操作を契機に(グー、チョキ、パーの)いずれかのマークを自動的に選択すると認識されるものである。
してみれば、本願発明で「ディスプレー画面内に表示されたジャンケンマークの点滅速度を徐々にスローダウンさせていずれかのマークに自動的に選択停止する」ことと、引用発明で「3進リングカウンター27の計数動作が停止し、計数内容に対応して時計側のジャンケンの内容を決定」することとは、所定の操作を契機にいずれかのマークを自動的に選択している点において共通する。

・対応関係4
引用発明は、時計側のジャンケンの内容である決定されたグー8、チョキ9、パー10が表示される時点において、ゲーム者が選択したグー5、チョキ6、パー7のいずれかが表示されているものあり、ゲーム者が選択したジャンケンマークと自動的に選択したジャンケンマークは同時に表示されているものである。
そして、ジャンケンゲームとは、対戦する者のジャンケンマークを比較することで結果を判断するものであるから、ジャンケンマークが同時に表示されていることは、比較表示されているといえるものである。

・対応関係5
引用発明において、発振回路15、該発振回路からの信号を分周する分周回路16、該分周回路16からの比較的高周波の信号を計数するように構成された3進リングカウンター27、該3進リングカウンターの計数の開始及び停止を制御するゲーム制御手段が、時計本体1、すなわち、外面的にゲーム機能付き電子時計と認識されるものに内蔵されるものであることは当業者にとって自明のことであり、また、ジャンケンゲームを行うための動作手段と認識されるものである。
そして、本願発明のプログラミングされたアプリケーションソフトもまたジャンケンゲームを行うための動作手段と認識されるものである。
してみれば、本願発明のプログラミングされたアプリケーションソフトと、引用発明の発振回路15等とは、ジャンケンゲーム機器に内蔵された動作手段である点において共通する。

・一致点
よって、本願発明及び引用発明は、
「機器のディスプレー画面内に「グー」、「チョキ」、「パー」のジャンケンマークの夫々が表示され、その後ゲーム者がジャンケンマークの選択キィーボタンの何れかを選択し、所定の操作を契機にいずれかのマークを自動的に選択し、ゲーム者が選択したジャンケンマークと上記自動的に選択したジャンケンマークをディスプレー内に同時に比較表示するための動作手段を内蔵したジャンケンゲーム機器。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点1
マークを自動的に選択する契機となる所定の操作が、本願発明は、選択キィーボタンの選択であるのに対して、引用発明は、ゲーム制御用スイッチ14を操作することである点。(以下、「相違点1」という。)

・相違点2
ジャンケンゲーム機器が、ジャンケンマークを自動的に選択するのにあたって、本願発明は、ジャンケンマークの夫々を高速シンクロク点滅して表示させておき、ディスプレー画面内に表示されたジャンケンマークの点滅速度を徐々にスローダウンさせていずれかのマークに停止することでジャンケンマークを選択しているのに対して、引用発明は、そのように構成されていない点。(以下、「相違点2」という。)

・相違点3
比較表示が、本願発明は、ジャンケンゲーム機器がジャンケンマークを自動的に選択すると同時に、ゲーム者が選択したジャンケンマークと自動的に選択したジャンケンマークを表示することで行われるのに対して、引用発明は、ジャンケンゲーム機器がジャンケンマークを自動的に選択するよりも前からゲーム者が選択したジャンケンマークを表示しており、自動的に選択したジャンケンマークを追加表示することでおこなわれている点。(以下、「相違点3」という。)

・相違点4
動作手段が、本願発明は、プログラミングされたアプリケーションソフトであるのに対して、引用発明は、発振回路15等の電子回路である点。(以下、「相違点4」という。)

4.相違点についての検討
・相違点1について
ゲーム者と機器との間でジャンケンゲームを行うジャンケンゲーム機器において、選択入力を行ったことを契機にして処理を行うことは、例えば、特開平10-48363号公報(【0036】?【0038段落】)、特開平8-155134号公報(第5頁左欄第20?23行)、実公平5-17115号公報(第4ページ左欄第20?26行)に示されるように周知の制御出手法である。
してみれば、上記周知の制御手法をジャンケンゲーム機器である引用発明に適用することは当業者が容易に想到しうることであり、前記相違点1に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

・相違点2について
ゲーム者と機器との間でジャンケンゲームを行うジャンケンゲーム機器において、ゲーム者のジャンケンマークが決定される前において、ジャンケンマークを所与の時間間隔で順次表示する演出は、例えば、特公昭63-62230号公報(第7頁右欄第23?27行)、特開平10-48363号公報(【0036】段落)、実公平5-17115号公報(第4ページ左欄第20?26行)に示されるように周知の演出手法である。
また、所与の時間間隔で順次表示される複数のマークの一つが表示されるようにするゲームにおいて、マークを順次表示する時間間隔を徐々に長くして最終的に一つのマークが表示されるようにする演出も、例えば、実公平5-17115号公報(第4ページ左欄第20?26行)、特開平8-52270号公報(【0024】段落)、特開平6-304294号公報(【0033】段落)、特開平10-165654号公報(【0033】段落)に示されるように周知の演出手法である。
ここで、ジャンケンが、複数のマークであるところのジャンケンマークから一つのマークを決定することにより結果が導出されるものであることを考えれば、上記2つの演出手法をジャンケンゲーム機器である引用発明に適用することは当業者が容易に想到しうることである。

そして、引用発明が、128Hzの信号で動作する3進リングカウンターにより、機器のジャンケンマークを決定するものであることを考えれば、当該3進リングカウンターの出力によりマークを順次表示すること、すなわち、高速で点滅して表示することは、当業者が適宜設計し得ることであり、ジャンケンマークを所与の時間間隔で順次表示する演出を適用するにあたって、ジャンケンマークの夫々を高速シンクロク点滅して表示することは、当業者が容易になし得ることである。
また、引用発明において、上記128Hzの信号が、分周回路からの出力であり、分周比を変更できる分周回路が例をあげるまでもなく周知であることを考えれば、マークを順次表示する時間間隔を徐々に長くする回路、すなわち、点滅速度を徐々にスローダウンさせる回路は、当業者が適宜設計し得るものである。

よって、前記相違点2に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

・相違点3について
現実社会において行われているジャンケンは、対戦する両者の選択したジャンケンマークを互いに同じタイミングで出すことによって、ゲームが成立し勝負の結果が判明するものであり、対戦する各者は、ジャンケンマークを心に決めたとしても相手よりも先に出すことはない。
このように、現実社会のジャンケンにおいて、ジャンケンを行う者は、対戦する両者の選択したジャンケンマークが、同じタイミングで見える状態となることで、勝負結果を確認するものである。
また、ジャンケンマークが、同じタイミングで見える状態となることで、勝負結果を確認するゲーム装置も、例えば、特開平6-285262号公報(【0036】段落)に示されるように周知のものである。
してみれば、引用発明において、ゲーム者が選択したジャンケンマークとジャンケンゲーム機器が自動的に選択したジャンケンマークとを同じタイミングで表示することは、当業者が容易に発想し得ることである。
そして、引用発明が、ジャンケンゲーム機器でジャンケンマークを自動的に決定した時点において勝負結果を表示するものであることを考慮すれば、引用発明に上記発想を取り入れるにあたって、ジャンケンマークを表示するタイミングをジャンケンゲーム機器がジャンケンマークを自動的に選択した時点とすることは、当業者が適宜設計し得ることである。

よって、前記相違点3に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

・相違点4について
電子回路により実現される動作が、プログラミングされたアプリケーションソフトにより実現できることは、ゲーム分野に限らず、電子回路を用いるあらゆる分野の技術者に広く知られているところであり、電子的な制御を行う手段を構成するにあたって、電子回路により構成するか、プログラミングされたアプリケーションソフトにより構成するかが、設計時の諸処の条件に応じて、当業者が適宜選択し得る事項であることもまた電子回路を用いるあらゆる分野の技術者に広く知られていることである。
してみれば、引用発明において、電子回路で構成されている動作手段をプログラミングされたアプリケーションソフトにより実現することは当業者が容易に想到し得ることであり、前記相違点4に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

・効果について
本願発明の効果が、引用発明、及び、周知事項に基づく効果の総和以上の格別なものとは認められない。

5.まとめ
したがって、本願発明は、引用発明、及び、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、及び、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-10-24 
結審通知日 2006-10-31 
審決日 2006-12-07 
出願番号 特願平11-96706
審決分類 P 1 8・ 572- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 植野 孝郎  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 宮本 昭彦
塩崎 進
発明の名称 ジャンケンゲーム  
代理人 田中 昭雄  

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