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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1151422
審判番号 不服2004-9244  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-05-06 
確定日 2007-02-08 
事件の表示 平成 8年特許願第212848号「画像出力システム」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 2月24日出願公開、特開平10- 56555〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年8月12日の出願であって、平成16年3月30日付で拒絶査定がされ、これに対し、同年5月6日に拒絶査定不服審判が請求され、その後当審において平成18年8月22日付で拒絶の理由が通知され、同年10月30日付で手続補正書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成18年10月30日付の手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下「本願発明」という。)

「表示手段に出力するために形成された第1の画像データを、前記表示手段の出力特性値と、印刷媒体に画像を出力する印刷手段の出力特性値とに基づいて変換処理して、第2の画像データとして前記印刷手段に出力する画像出力システムであって、
前記表示手段を複数備え、
前記表示手段毎に異なる出力特性値を、前記表示手段と対応付けて記憶する第1の記憶手段と、
その第1の記憶手段に記憶された表示手段に対応した出力特性値と前記印刷手段の出力特性値とに基づいて変換された第2の画像データを前記印刷手段に出力することを特徴とする画像出力システム。」

3.引用例
当審の拒絶の理由に引用された、特開平7-177367号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア「【請求項1】カラースキャナもしくはカラーカメラ等から取り込まれた3色色分解信号または表示装置に出力する画像データを入力し、これらの画像データを補正して色合わせや色調整を行い、補正した画像データを記録手段で印刷するカラー画像記録装置において、入力装置や表示装置あるいは規格化されたR,G,Bの基本特性値すなわちTVガンマ特性値とR,G,Bを標準色空間のX,Y,Zに変換するマトリクスと、記録装置の基本特性値すなわちY,M,C階調サンプルの分光反射率あるいはこの分光反射率から求まる吸収散乱係数比、あるいはY,M,C,R,G,B,W,Bkの3刺激値と面積率増加特性値と、色調整用の変換テーブル値とを複数格納しておく手段と、特性値選択信号によりそれらの格納データから一式のデータを選択し、これらを用いて色補正用のマッピングデータを演算する手段と、該マッピングデータを入力してセットし、入力画像データを入力しては該マッピングデータを用いて補正する色補正手段と、R,G,Bの基本特性値に対応した複数のガンマ特性制御データを持ち、特性値選択信号により1つを選択し、色補正データに従い、記録ヘッドを制御する手段とからなることを特徴とするカラー画像記録装置。」(2頁左欄2行?22行)

イ「【請求項14】演算装置と記憶装置と表示装置と画像記録装置を備えた印刷システムにおいて、表示装置と画像記録装置の色特性値を記憶装置に格納しておき、表示装置上で各装置の色特性値を選択あるいは設定すると共に表示装置、画像記録装置に設定値を送ってセットし、これら特性値を用いて、表示装置と画像記録装置の色再現モデルを形成し、これを用いてR,G,Bデータの表示装置上での明度L,色相H,彩度Cを計算し、この色を印刷するためのY,M,CあるいはY,M,C,Bkの印刷データを画像記録装置の色再現モデルを用いて計算し、これをR,G,Bデータを複数に分割した格子点あるいは代表点に対して行い、Y,M,CあるいはY,M,C,Bkのマッピングデータを生成し、これらを用いて印刷対象とする画像データを色補正し、これら色補正データを画像記録装置に送って印刷するようにしたことを特徴とする印刷システム。」(3頁左欄44行?右欄9行)

ウ「【0064】本実施例によれば、カラー画像記録装置のインクを変えた場合、記録紙を変えた場合、表示装置を変えた場合、などの変更がある場合、メモリカードの複数の特性値を選択するか他のカードに変更することにより、ベストのカラーハードコピーが可能となる。」(9頁右欄8行?12行)

エ「【0065】さらに他の実施例を第16図に示す。これは、表示装置2、カラー画像記録装置3、記憶装置22、演算装置23からなる印刷システムである。この印刷システムの色補正動作を第17図のフローチャートを用いて示す。記憶装置22には、カラー画像記録装置3用ドライバファイルがあり、その中に特性値ファイルや変換テーブルファイルを持っている。ステップ200で、カラー画像記録装置3用ドライバソフトを動作させ、表示装置2の画面上に、表示装置2、カラー画像記録装置3、色調整カーブなどの設定項目を示す。ステップ201で、ユーザーは、画面上に表示された設定画面を見ながらマウスあるいはキーボードを操作し、表示装置2のメーカー名と型式、カラー画像記録装置3のメーカー名と型式を選択指定し、色調整をしたい場合は、画面に表示されている調整カーブから選択あるいは、調整カーブをマウス等で修正して指定する。ステップ202で、演算装置23に記憶装置22のファイルから選択された表示装置2とカラー画像記録装置3の特性値、及び色調整用変換テーブル値を読み込み、ステップ203で、読み込んだデータを用いてRGB色空間上の729あるいは4913点の代表点に対するマッピングデータを計算し、ステップ204で、演算装置23に備わるメモリに格納する。なお、マッピングデータファイルを作成してもよい。表示装置2やカラー画像記録装置3の特性が変わらなければ、このファイルを読みだして色補正処理してもよい。」(9頁右欄13行?38行)

したがって、アないしエの記載及び図1ないし17から、引用例には
「表示装置に出力する画像データを、表示装置の特性値と、カラー画像記録装置の特性値に基づいて色補正して得られる色補正データを、記録紙に印刷するためのカラー画像記録装置に送る印刷システムにおいて、表示装置と、表示装置の特性値が複数格納された特性値ファイルが格納された記憶装置と、選択指定された表示装置の特性値とカラー画像記録装置の特性値に基づいて色補正処理された色補正データをカラー画像記録装置に送って印刷することを特徴とする印刷システム。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

4.対比
引用発明の「画像データ」、「記録紙」、「表示装置」、「カラー画像記録装置」、「表示装置の特性値」、「カラー画像記録装置の特性値」は、それぞれ本願発明の「第1の画像データ」、「印刷媒体」、「表示手段」、「印刷手段」、「表示手段の出力特性値」、「印刷手段の出力特性値」に相当する。

引用発明の「色補正」は、表示装置に出力する画像データを、カラー画像記録装置に出力する色補正データを得るために行われる処理であるから、本願発明の「変換処理」に相当する。

引用発明の「色補正データ」は、画像データに対して表示装置の特性値とカラー画像記録装置の特性値とに基づいて色補正処理を行って得られ、カラー画像記録装置に供されるものであるから、本願発明の「第2の画像データ」に相当する。

引用発明の「記憶装置」には、表示装置の特性値が複数格納されているものであり、「メーカー名と型式」を選択指定することにより特性値が選択される(前掲エ)から、特性値は表示装置に対応付けて格納されているということができる。よって、引用発明の「記憶装置」は本願発明の「第1の記憶手段」に相当する。

引用発明の「印刷システム」は、色補正データ、すなわち色補正処理された画像データを印刷出力するものであるから、本願発明の「画像出力システム」に相当する。

したがって、本願発明と引用発明とを比較すると、
「第1の画像データを、表示手段の出力特性値と、印刷媒体に画像を出力する印刷手段の出力特性値とに基づいて変換処理して、第2の画像データとして印刷手段に出力する画像出力システムであって、表示手段を備え、表示手段毎に異なる出力特性値を、表示手段と対応付けて記憶する第1の記憶手段と、その第1の記憶手段に記憶された表示手段に対応した出力特性値と印刷手段の出力特性値とに基づいて変換された第2の画像データを印刷手段に出力することを特徴とする画像出力システム。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

本願発明が表示手段を複数備えるのに対し、引用発明は表示装置を有するものの、その数については特定されていない点。

5.判断
上記相違点について検討する。
引用発明の印刷システムは、表示装置に表示された画像を印刷するものであり、この技術分野においては、複数の画像を同時に表示したり、より大きな画像領域を表示する構成を採用することにより、利便性を向上させることが課題となっているといえる。そして、多くの情報を同時に表示するために複数の表示手段を設けることは、金融取引のディーリングルーム、放送局のスタジオ装置、情報端末などの形で広く知られている。よって、引用発明において複数の画像を同時に表示したり、大きな画像を表示するための構成として、複数の表示装置を設けることは、当業者が容易になし得たことである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-11-28 
結審通知日 2006-12-05 
審決日 2006-12-18 
出願番号 特願平8-212848
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西村 仁志仲間 晃  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 鈴木 明
田中 幸雄
発明の名称 画像出力システム  
代理人 山本 尚  

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