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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F24F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F24F
管理番号 1151624
審判番号 不服2004-25600  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2003-12-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-12-16 
確定日 2007-02-05 
事件の表示 特願2002-155579「床置き形空気調和機」拒絶査定不服審判事件〔平成15年12月 3日出願公開、特開2003-343871〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年5月29日の特許出願であって、平成16年11月9日付けで拒絶査定がなされ(発送日:平成16年11月16日)、これに対し、同年12月16日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年12月28日付けで手続補正がなされ、さらに平成17年11月14日付けの審尋に対し、平成18年1月16日付けで回答書が提出されたものである。


2.平成16年12月28日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年12月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
平成16年12月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。

「室内の床(F)に設置される床置き形空気調和機であって、
熱交換器(2)と、
前記ケーシング(4)の上半分に設けられ横方向(D1)に距離を隔てて配置される第1吹出し口(51)と第2吹出し口(52)とを有し前記熱交換器(2)により熱交換された空気が吹出す吹出し部(5)と、前記ケーシングの下半分に設けられ横方向(D1)に距離を隔てて配置される第1吸込み口(61)と第2吸込み口(62)とを有し室内の空気を吸込む吸込み部(6)とを有するケーシング(4)と、
前記空気を前記吹出し部(5)へと送るファン(3)と、
前記第1吹出し口(51)の近傍に設けられ、前記第1吹出口(51)の横方向(D1)の中心よりも内側に位置し鉛直方向に平行な回転軸(800)を中心に回転自在に配置され前記第1吹出し口(51)から吹出す空気を案内する第1フラップ(80)と、
前記第2吹出し口(52)の近傍に設けられ、前記第2吹出口(52)の横方向(D1)の中心よりも内側に位置し鉛直方向に平行な回転軸(800)を中心に回転自在に配置され前記第2吹出し口(52)から吹出す空気を案内する第2フラップ(80)と、
前記第1フラップ(80)と前記第2フラップ(80)の配置角度を変更する変更手段(81)と、
を備える床置き形空気調和機。」

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するための事項に含まれる「第1吹出し口(51)」及び「第2吹出し口(52)」に関して「前記第1吹出し口(51)の近傍に設けられ、前記第1吹出口(51)の横方向(D1)の中心よりも内側に位置し鉛直方向に平行な回転軸(800)を中心に回転自在に配置され前記第1吹出し口(51)から吹出す空気を案内する第1フラップ(80)と、前記第2吹出し口(52)の近傍に設けられ、前記第2吹出口(52)の横方向(D1)の中心よりも内側に位置し鉛直方向に平行な回転軸(800)を中心に回転自在に配置され前記第2吹出し口(52)から吹出す空気を案内する第2フラップ(80)と、前記第1フラップ(80)と前記第2フラップ(80)の配置角度を変更する変更手段(81)と、を備える」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。

(2)刊行物
原査定の拒絶の理由に示された、本願の出願前に頒布された特開平2-71027号公報(以下、「公知刊行物」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア.「7.縦長のキャビネットと、該キャビネット内の側部に設けられた可逆流の貫流ファンと、前記キャビネット内に設けられた熱交換器と、前記キャビネットの両側部に設けられ空気が吸入または吹出される複数の出入口と、前記ファンの作用により前記空気の出入口の少なくとも1つから吸込まれた空気が前記熱交換器を通り、前記空気の出口の少なくとも1つからキャビネット外へ吹出される通路とを備えた空気調和機。」(特許請求の範囲の請求項7)

イ.「8.請求項7において、前記空気の出入口は縦長のキャビネット両側部の上部と下部にそれぞれ設けられ、前記貫流ファンは前記各出入口付近のキャビネット内に、それぞれ設けられ、前記熱交換器は、上部両側の貫流ファン間、及び下部両側の貫流ファン間にそれぞれ設けられている空気調和機。」(特許請求の範囲の請求項8)

ウ.「9.側部上下に空気の出入口を有する空気調和機を準備し、冷房運転時には下部の出入口から空気を吸込み、該空気を冷却した後、上部の出入口から吹出す空気調和方法。」(特許請求の範囲の請求項9)

エ.「上記のような空調ユニット構造において、快適性を向上させるには吹出し口を複数個設け、その吹出気流を制御すればよい。例えば、吹出口をユニット左右(横方向)に各2箇所、合計4箇所設け冷房運転時は上部の左右吹出口から居室上部に吹き出すことにより、居室全体に冷風が広がり、冷風が直接被空調者に当たり不快感を与えることはなくなる。また、吸込口もユニット左右方向に設けてあるので、被空調者がユニット直前に居ても、ユニットの吸込気流が直接被空調者に当たらないので不快感は生じない。」(第3頁左下欄第11行?右下欄第1行)

オ.「第12図?第15図は室内空調ユニット10の内部構造を変えた別の例を示すものである。この例では空調ユニット10は縦長のキャビネット16の両横に可逆流の貫流ファンがA1,A2,B1,B2の4台設置され、ファンA1,B1とファンA2,B2との間にファン駆動用モータ94が2台設置されている。このファンに対応して<の字形の熱交換器7が縦長に設置されている。また各ファンに対応して熱交換器7の反対側には空気の出入口50,51が設けられこの空気出入口には気流方向を制御する案内羽根31,32が設置されている。」(第5頁右下欄第15行?第6頁左上欄第6行)

カ.「この空調ユニットの正面には、空気出入口のない前面カバー1が取付けられている。」(第6頁左上欄第10行?第12行)

キ.「なお、本例ではファンモータ94が1台で貫流ファンA1,A2、またはB1,B2の各2台ずつを駆動しているが、各ファン1台に対しモータを1台ずつ取付けてもよく、この場合の方が、空気の吸込、吹出し方向をより自由に選択できる。」(第6頁左上欄第19行?右上欄第4行)

ク.「次に冷房運転時の基本的な空気の流れについて第12図,第13図を用いて説明する。空調ユニット下側の可逆貫流ファンA2,B2の空気流れ方向をユニット内部へ、上側の可逆貫流ファンA1,B1の空気流れ方向を外側(居室側)となるように第13図に示した回転リング172の位置を決める。この状態で空調ユニットを運転すると居室内の空気は下側の貫流ファンA2,B2の2個によって、空調ユニット両側から矢印17のように内部に導かれる。」(第6頁左下欄第4行?第13行)

ケ.「左右それぞれの空気出入口50からユニット内部に入った空気はそれぞれ熱交換器7を通り、熱交換器内部の冷媒と熱交換され冷却され左右それぞれの空気は合流し、ユニット中央の仕切板15を通りユニット上部に達する。そこで左右方向に別れて上部の熱交換器7を通り上部の可逆流貫流ファンA1,B1によって出入口51から矢印17に示すように居室内に吹出される。また暖房運転時の基本的な空気の流れは、冷房と反対に、上側の貫流ファンA1,B1はユニット内部へ、下側の貫流ファンA2,B2は居室内に吹出す方向に回転リング172位置を調整することにより、空調ユニット上部の左右横方向から居室内の空気を吸い込み、ユニット下部の左右横方向から温風を吹出すことができる。このように冷房運転時には空調ユニット下部から居室内空気を吸込み、ユニット上部から冷風を吹出し、暖房運転時にはユニット上部から居室内空気を吸込み、ユニット下部から温風を吹き出すことが可能である。また、冷温風の吹出し口がユニット両横の縦方向となっている為、冷温風で居室内を左右側面から包み込む形となる。」(第6頁左下欄第14行?右下欄第15行)

コ.「このようにこの例によれば、空調ユニットからの吹出し口が、ユニット両横で縦長の形状となっているため、冷温風で室内空間を両横方向から包む気流を発生させることができ、冷温風が壁に沿って流れることにより広い空間を空調することができる。」(第7頁左下欄第1行?第6行)

サ.「さらに、吹出し気流は被空調者に直接冷,温風が当たり不快感を生じさせないように、縦羽根31,横羽根32で調整を行う。ここで縦羽根31を自動的にスイングさせることにより、吹出し気流が室内全体に広がり快適性が増す。」(第4頁右下欄第1行?第6行)

シ.「また、吸込,吹出口をそれぞれ複数個設けたので、居室内の被空調者に合わせた、吸込,吹出気流を作ることができると共に、空気調和機の側方前方へ吹出すようにしたから、熱交換された空気は直接被空調者に当らず、部屋内の壁側から部屋の中心部を包み込むように空気が流れて室内空調を行うことができ、快適性を大幅に向上できる。」(第5頁左上欄第4行?第10行)

また、上記記載事項「サ.」からみて、縦羽根の配置角度を変更する変更手段が設けられていることは、当業者にとって自明な技術的事項である。

上記記載事項、上記自明の技術的事項及び図面の記載内容からみて、公知刊行物には、次の発明が記載されていると認める。

「室内に設置される空気調和機であって、
熱交換器と、
キャビネットの上半分に設けられ横方向に距離を隔てて配置される2つの空気出入口(51)と、キャビネットの下半分に設けられ横方向に距離を隔てて配置される2つの空気出入口(50)とを有し、冷房運転時に前記キャビネットの下半分に設けられた空気出入口(50)から室内の空気を吸込み且つ前記キャビネットの上半分に設けられた空気出入口(51)から前記熱交換器により熱交換された空気を吹出し、また、暖房運転時に前記キャビネットの上半分に設けられた空気出入口(51)から室内の空気を吸込み且つ前記キャビネットの下半分に設けられた空気出入口(50)から前記熱交換器により熱交換された空気を吹出すようにしたキャビネットと、
前記空気を吹出しのために前記空気出入口へと送る可逆流の貫流ファンと、
前記空気出入口の近傍に設けられ、回転自在に配置され空気を案内する縦羽根と、
前記縦羽根の配置角度を変更する変更手段と、
を備える空気調和機。」

(3)対比
本願補正発明と公知刊行物に記載された発明とを対比する。
公知刊行物に記載された発明における「キャビネット」、「可逆流貫流ファン」は、各々、本願補正発明における「ケーシング」、「ファン」に相当する。
また、公知刊行物に記載された発明の「キャビネットの上半分に設けられた空気出入口(51)」及び「キャビネットの下半分に設けられた空気出入口(50)」も、本願補正発明の「第1吹出し口」、「第2吹出し口」、「第1吸込み口」及び「第2吸込み口」も、空気調和のための空気が流通する「開口」といえる。
さらに、公知刊行物に記載された発明における「縦羽根」は、鉛直方向に平行な回転軸を中心に回転自在に配置され、開口(「空気出入口」)から吹出す空気を案内できるものと解されるから、本願補正発明における「フラップ」に相当する。
したがって、両者は、次の一致点及び相違点を有する。

[一致点]
「室内に設置される空気調和機であって、
熱交換器と、
ケーシングの上半分に設けられ横方向に距離を隔てて配置される2つの開口と、前記ケーシングの下半分に設けられ横方向に距離を隔てて配置される2つの開口とを有するケーシングと、
前記熱交換器により熱交換された空気を吹出しのために前記開口へと送るファンと、
前記開口の近傍に設けられ、鉛直方向に平行な回転軸を中心に回転自在に配置されるフラップと、
前記フラップの配置角度を変更する変更手段と、
を備える空気調和機。」

[相違点1]
本願補正発明は、室内の床に設置される床置き形空気調和機であるのに対し、公知刊行物に記載された発明は、室内に設置される空気調和機である点。

[相違点2]
開口は、本願補正発明では、ケーシングの上半分に設けられたものが熱交換器により熱交換された空気を吹出す吹出し口であってその吹出し口を有して吹出し部が構成されており、且つ、ケーシングの下半分に設けられたものが室内の空気を吸込む吸込み口であってその吸込み口を有して吸込み部が構成されているのに対して、公知刊行物に記載された発明では、ケーシングの上半分に設けられたもの(「空気出入口(51)」)が冷房運転時には熱交換器により熱交換された空気の吹出し口であって且つ暖房運転時には室内の空気の吸込み口であり、ケーシングの下半分に設けられたもの(「空気出入口(50)」)が冷房運転時には室内の空気の吸込口であって且つ暖房運転時には熱交換器により熱交換された空気の吹出し口である点。

[相違点3]
本願補正発明では、第1フラップ及び第2フラップの回転軸が、開口(「第1吹出し口」「第2吹出し口」)の横方向の中心よりも内側に位置するのに対し、公知刊行物に記載された発明では、フラップ(「縦羽根」)と開口(「空気出入口」)の横方向の位置関係が明らかでない点。

(4)当審の判断
上記相違点について以下検討する。

[相違点1]について
空気調和機を室内に設置するに際し、室内の床に設置すること、すなわち、床置き形空気調和機とすることは、周知の技術的事項である(そのような例として、実願昭56-102537号(実開昭58-8028号)のマイクロフィルム、実願昭58-162165号(実開昭60-69927号)のマイクロフィルム、実願昭61-95813号(実開昭63-2014号)のマイクロフィルム、特開平1-234725号公報に記載されたものを挙げることができる。)。
また、公知刊行物に記載された発明も、公知刊行物の記載事項「エ.」(特に「被空調者がユニット直前に居ても、ユニットの吸込気流が直接被空調者に当たらないので不快感は生じない」なる事項参照。)、「シ.」や第5図、第8図、第17図等の図面の記載内容を参酌すると、室内の床に設置すると明言こそされてはいないものの、少なくとも室内の床に近い部位に設置されるものであることは、明らかである。
そうしてみると、公知刊行物に記載された空気調和機を、室内の床に設置される床置き形空気調和機として構成することは、当業者にとって通常の創作能力を発揮してなし得たことである。

[相違点2]について
公知刊行物に記載された発明は、冷房運転時と暖房運転時とで吹出し口、吸込み口を変えているといえるが、冷房運転時でも暖房運転時でも吹出し口と吸込み口をケーシングの上下に分けている点では本願補正発明と軌を一にするものである。
ところで、床置き形空気調和機において、ケーシングの上半分に吹出し口を有する吹出し部と、ケーシングの下半分に吸込み口を有する吸込み部とを固定的に配することは、例えば、実願昭55-50729号(実開昭56-152225号)のマイクロフィルム、実願昭56-102537号(実開昭58-8028号)のマイクロフィルム、実願昭58-162165号(実開昭60-69927号)のマイクロフィルム、実願昭61-95813号(実開昭63-2014号)のマイクロフィルムに記載されるように、周知の技術的事項である。
かかる周知の技術的事項を考慮すれば、公知刊行物に記載された発明において、吹出し口と吸込み口を冷房運転時と暖房運転時とで変えることなく固定すること自体、当業者にとって通常の創作能力を発揮して着想し得たことというべきであり、しかも、その具体的な構成として、ケーシングの上半分に設けられた2つの開口(「空気出入口(51)」)を第1吹出し口、第2吹出し口として熱交換された空気が吹出す吹出し部を構成し、且つ、ケーシングの下半分に設けられた2つの開口(「空気出入口(50)」)を第1吸込み口、第2吸込み口として室内の空気を吸込む吸込み部を構成することも、当業者にとって格別の創作能力を要することではない。

[相違点3]について
公知刊行物に記載された発明において、吹出し口に対しフラップの回転軸をどの位置に配するかは、吹出し口からの吹出し風向き等を考慮して当業者が適宜採択し得る設計上の事項であり、とくに、公知刊行物に記載された発明も、熱交換された空気を開口から左右横方向に吹出すことを意図したものであるから、公知刊行物に記載された発明において吹出し口のフラップの回転軸を「吹出口の横方向の中心よりも内側に位置」させることは、当業者にとって格別の創作能力を要さずになし得たことといえる。

なお、審判請求人は、当審の平成17年11月14日付け審尋に対する平成18年1月16日付けの回答書の中で、床置き形空気調和機等の空気調和機において吹出し口にフラップを設けることは周知でない旨主張するので、この点について述べるに、床置き形空気調和機においても、吹出し口の近傍に設けられ、回転自在に配置され前記吹出し口から吹出す空気を案内するフラップを備えることは、例えば、実願昭62-119766号(実開昭64-25619号)のマイクロフィルムや実願昭56-102537号(実開昭58-8028号)のマイクロフィルムに記載されており、当業者にとって周知の技術的事項ということができるので、当該主張は、当を得たものではない。

以上からすると、相違点1?3は、いずれも格別なものではなくて、本願補正発明を特定するための事項は、公知刊行物に記載された発明及び周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
しかも、本願補正発明を特定するための事項により、公知刊行物に記載された発明及び周知の技術的事項からみて、格別顕著な効果が奏されるということもできない。

したがって、本願補正発明は、公知刊行物に記載された発明及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3.本願発明について
平成16年12月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年10月4日付け手続補正書により補正された明細書の記載事項及び図面の記載内容からみて、平成16年10月4日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。

「室内の床(F)に設置される床置き形空気調和機であって、
熱交換器(2)と、
前記熱交換器(2)により熱交換された空気が吹出す吹出し部(5)と、室内の空気を吸込む吸込み部(6)とを有するケーシング(4)と、
前記空気を前記吹出し部(5)へと送るファン(3)と、
を備え、
前記吹出し部(5)は、前記ケーシング(4)の上半分に設けられ横方向(D1)に距離を隔てて配置される第1吹出し口(51)と第2吹出し口(52)とを有し、
前記吸込み部(6)は、前記ケーシングの下半分に設けられ横方向(D1)に距離を隔てて配置される第1吸込み口(61)と第2吸込み口(62)とを有する、
床置き形空気調和機。」

(1)刊行物
原査定の拒絶の理由に示した公知刊行物の記載事項及び公知刊行物に記載された発明は、「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明を特定するための事項から「第1吹出し口(51)」及び「第2吹出し口(52)」の限定事項である「前記第1吹出し口(51)の近傍に設けられ、前記第1吹出口(51)の横方向(D1)の中心よりも内側に位置し鉛直方向に平行な回転軸(800)を中心に回転自在に配置され前記第1吹出し口(51)から吹出す空気を案内する第1フラップ(80)と、 前記第2吹出し口(52)の近傍に設けられ、前記第2吹出口(52)の横方向(D1)の中心よりも内側に位置し鉛直方向に平行な回転軸(800)を中心に回転自在に配置され前記第2吹出し口(52)から吹出す空気を案内する第2フラップ(80)と、 前記第1フラップ(80)と前記第2フラップ(80)の配置角度を変更する変更手段(81)と、を備える」という事項を省いたものである。
そうすると、本願発明を特定するための事項を全て含み、さらに他の事項を発明を特定するための事項として付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)」及び「2.(4)」に記載したとおり、公知刊行物に記載された発明及び周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、公知刊行物に記載された発明、並びに上記周知のもの及び上記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものといえる。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、公知刊行物に記載された発明及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-12-01 
結審通知日 2006-12-05 
審決日 2006-12-18 
出願番号 特願2002-155579(P2002-155579)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F24F)
P 1 8・ 121- Z (F24F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土田 嘉一近藤 裕之後藤 健志  
特許庁審判長 岡 千代子
特許庁審判官 新海 岳
長浜 義憲
発明の名称 床置き形空気調和機  
代理人 小野 由己男  

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