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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1152411
審判番号 不服2003-7882  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-05-07 
確定日 2007-02-16 
事件の表示 平成 6年特許願第 49314号「データ分析装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年10月13日出願公開、特開平 7-262172〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年3月18日の出願であって、平成15年4月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月7日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年5月28日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成15年5月28日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年5月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)本件補正
平成15年5月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の
「【請求項1】 与えられた分析データを双対尺度法で分析する双対尺度法分析手段と、
双対尺度法の分析により得られた結果データを、2次元のマップ上にプロットされた表示をディスプレイに行わせる双対尺度マップ表示手段と、
前記双対尺度マップ表示手段によって表示させた2次元のマップのうち、操作者より入力された区域にプロットされた結果データの元となる分析データのみで再度双対尺度法分析を行い、その結果データを前記双対尺度マップ表示手段に表示を行わせる再表示手段と、
を有する、
ことを特徴としたデータ分析装置。」を、
本件補正後の
「【請求項1】 与えられた分析データを双対尺度法で分析する双対尺度法分析手段と、
双対尺度法の分析により得られた結果データを、2次元のマップ上にプロットされた表示をディスプレイに行わせる双対尺度マップ表示手段と、
前記双対尺度マップ表示手段によって表示させた2次元のマップのうち、操作者より入力された区域にプロットされた結果データの元となる分析データのみで再度双対尺度法分析を行い、その結果データを前記双対尺度マップ表示手段に表示を行わせるとともに、原点を基準点として表示を行う指示があった場合、前記双対尺度マップ表示手段に該基準点より離れた項目から順に分析データのプロットの再表示を行わせ、任意の点を基準点とした表示を行う指示があった場合、基準点より近い項目から順に分析データのプロットの再表示を行わせる再表示手段と、
を有する、
ことを特徴としたデータ分析装置。」とする補正を含むものである。

(2)本件補正に対する判断
本件補正は、拒絶査定に対する審判請求時の補正であるから、平成6年改正前特許法第17条の2第1項第5号に掲げる場合の補正に該当し、本件補正による特許請求の範囲についてする補正は、同条第3項の規定により同項第1号から第4号に掲げる事項を目的とするものに限られる。
そこで、本件補正による特許請求の範囲の補正が、同法第17条の2第3項各号に掲げる事項を目的とするものであるかを検討する。

まず、同項第2号に掲げる事項(限定的減縮)を目的とするものであるか検討する。
本件補正により、補正後の請求項1には、再表示手段に関して、「原点を基準点として表示を行う指示があった場合、前記双対尺度マップ表示手段に該基準点より離れた項目から順に分析データのプロットの再表示を行わせ、任意の点を基準点とした表示を行う指示があった場合、基準点より近い項目から順に分析データのプロットの再表示を行わせる」ことが付加された。この処理は、本件補正前の請求項1の再表示手段に関して記載された、「前記双対尺度マップ表示手段によって表示させた2次元のマップのうち、操作者より入力された区域にプロットされた結果データの元となる分析データのみで再度双対尺度法分析を行い、その結果データを前記双対尺度マップ表示手段に表示を行わせる」ことと別の処理であって、その作用も異なるものであるから、「その結果データを前記双対尺度マップ表示手段に表示を行わせる再表示手段」を概念的に下位にしたものとはいえない。
してみれば、請求項1についての本件補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものではない。

また、請求項1についての本件補正が、同法第17条の2第3項第1号、第3号及び第4号に掲げる事項(請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明)を目的とするものでないことも明らかである。

(3)むすび
以上の通り、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成15年5月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明は、平成15年3月12日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下、「本願発明」という。)である。
「【請求項2】 与えられた分析データを双対尺度法で分析する双対尺度法分析手段と、
双対尺度法の分析により得られた結果データを、2次元のマップ上にプロットされた表示をディスプレイに行わせる双対尺度マップ表示手段と、
操作者より2次元のマップの所定領域の拡大表示の指示があった場合、指示のあった領域に対して前記結果データがプロットされた2次元のマップを表示した第1の画像と、マップ全体のうちどの領域が拡大されているかを示す第2の画像との双方をディスプレイに表示させる拡大表示手段と、
を有する、
ことを特徴としたデータ分析装置。」

(2)引用例並びに周知例
(2-1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された、「池山豊,官能評価による嗜好の解析,日本音響学会誌,社団法人日本音響学会,1990年11月1日,46巻 11号,p.929-934」(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。

(ア)「このうち多肢選択データは従来,アンケート調査等において数量化理論3類により解析されていたが,質問項目×パネルという行列をデータ行列とするためパネル数が多いときにパソコンで処理しきれないなど物理的制約をはじめ幾つかの問題点があり調査目的にもよるが分割表に変換してから処理するのが良いように思われる。」(第931ページ左欄第13?18行。なお、ローマ数字を表記できないので、算用数字で代用した。)

(イ)「(2) 形容詞選択法によるデータの解析(図-7)
パネル50名(ないし51名)分の21項目×16品の度数表から頻度表を得た。SD法データの結果と比較するため21項目のうち1)?8)の8項目の部分についてのみ解析の対象とした。SD法のデータと直接比較するため,相関行列からの主成分分析においても解析を行っているが今回は省略し,双対尺度法(度数データ)による解析を紹介する。
(3) 順位データの解析(図-8)
パネル51名分の元データのタイを処理し,16品×51名のデータ行列を得た。一対比較法データの結果と比較するため,16品のうちA?Hの8品を解析の対象とし,この8品×51名のデータ行列を双対尺度法(Type3)により解析した。
(4) 一対比較データの解析(図-9)
パネル50名分のデータ行列を双対尺度法(Type2)により解析した。」(第932ページ右欄第6行?第933ページ左欄第9行。なお、丸付き数字を表記できないので、括弧付き数字で代用した。)

(ウ)「5.4.1 サンプル選択法によるデータの解析(図-10)
15項目×15点の男女別の度数表を項目を共通にして縦につなげて15項目×30点の度数表を得た。これを双対尺度法(度数データ)により解析した。ヘアスタイルとイメージ用語の関連がパネルの属性(この場合は男女)別に解釈されている。
5.4.2 順位データの解析(図-11)
15点×20名のデータ行列を双対尺度法(順位データ)により解析した。パネル個人の嗜好が15点のヘアスタイルデッサンの布置のマップ上で表現されている。」(第934ページ左欄第8?17行)

ここで、図-7ないし図-11は、双対尺度法の解析結果を表すものであり、これらの図面の内容を参酌すると、双対尺度法の解析結果を、2次元のマップ上にプロットされた表現を行っているといえる。

これらの記載事項及び図面の内容を総合すると、引用例1には、
「データを双対尺度法で解析し、双対尺度法の解析結果を、2次元のマップ上にプロットされた表現を行う」
との発明(以下、「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(2-2)引用例2
また、原査定の拒絶の理由に引用された、「上田尚一,パソコンで学ぶデータ解析の方法1,株式会社朝倉書店,1990年4月25日,初版第1刷,p.1-66」(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。(なお、ローマ数字を表記できないので、算用数字で代用した。)

(エ)「メニューで2,すなわち,分布を指定すると,1の場合とちがい,1つ1つの値を表示せず,各区分に属するデータ数に応じた長さの棒で表示します.これが分布図です.」(第37ページ第7?8行)

(オ)「4と指定すると,次頁に例示したボックスプロットが表示されます.」(第37ページ第33行)

(カ)「基礎データが分布表の形で与えられている場合があります.
その場合について,分布図をかいたり,平均値・標準偏差あるいは中位値・四分位偏差値を求めるプログラムがBUNPUです.」(第38ページ第29?31行)

(キ)「たとえば,1を指定してみましょう.
まず,分布図をかくために必要な値を計算します.画面の上でその進行をフォローできます(図2.3.1).計算が終わったら,累積分布図をかくために必要な部分が画面の右側に転写され(図2.3.2),画面の左側に図がかかれます(図2.3.3).」(第40ページ第3?6行)

(2-3)周知例1
また、拒絶査定の備考欄で周知例として引用された、特開平5-290142号公報(以下、「周知例1」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。

(ク)「【0023】図4に図解したように,表示画面30は主情報100が表示されるページ全体表示部32と,このページ全体表示部32に表示されている一部の情報をポインティングデバイス17で抽出して拡大表示する拡大表示部31と,余白部35とを有している。」

(ケ)「【0026】マウス17のページ全体表示部32における相対位置がアイコン表示のカーソル34の先端として示される。このカーソル34の先端がポインティングデバイス指定領域33の中心位置を決定し,カーソル34の中心位置が拡大表示部31の中心位置に対応する。図6に示すマウス17の左ボタン171を押して,ポインティングデバイス指定領域33の幅:poswと高さ:poshを倍率a(ただし,a>1の定数)だけ小さくする。拡大/縮小処理部18はこの設定された倍率に応じて拡大処理を行う。その結果,拡大表示部31に表示される画像内容はマウス17の相対位置をポインティングデバイス指定領域33と拡大表示部31の中心位置としてa倍に大きく表示される。縮小表示を示すマウス17の右ボタン172を押して,ポインティングデバイス指定領域33の幅:poswと高さ:poshを倍率b(ただし,b<1の定数)だけ大きくする。拡大/縮小処理部18は設定された縮小率で縮小処理を行う。。その結果,拡大表示部31に表示される画像内容はマウス17の相対位置をポインティングデバイス指定領域33と拡大表示部31の中心位置として(1/b)倍に小さく表示される。
【0027】このように同一表示画面30内のページ全体表示部32に主情報100を表示させ,その中からマウス17の位置を中心としてポインティングデバイス指定領域33の中心を指定してマウス17の左ボタン171または右ボタン172で指定した倍率で部分情報110として拡大表示部31に表示することにより,ポインティングデバイス指定領域33の大きさの大小に係わらず,カーソル34の先端で指定される位置を中心とし,マウス17で指定した倍率で規定されるある領域の画像情報が部分情報110として拡大表示部31に表示される。」

(2-4)周知例2
また、拒絶査定の備考欄で周知例として引用された、特開平3-129480号公報(以下、「周知例2」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。

(コ)「本発明は画像等が表示されたデイスプレイ画面において、拡大対象領域と拡大図を同時に表示する拡大図表示方法および装置に関する。」(第3ページ右上欄第9?11行)

(サ)「以上説明した本実施例の表示例を第1図に示す。同図の左側は拡大前の全体図で、画面表示領域全体に日本地図が表示されている。拡大対象として、+印点(三浦半島付近)をポインテイングした場合を例にとる。同図右側は拡大表示される画面を示す。拡大対象領域と拡大図が識別できるようにマージン23がとられ、全体図の中に拡大図がウインドウ表示されている。拡大対象領域は枠で囲み、かつ、拡大図との間に引出線201を表示して見やすくしている。」(第6ページ左下欄第9?18行)

(3)対比
そこで、本願発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「データ」、「解析」、「解析結果」は、本願発明の「与えられた分析データ」、「分析」、「分析により得られた結果データ」にそれぞれ相当する。
また、引用例1発明の「2次元のマップ上にプロットされた表現を行う」ことと、本願発明の「2次元のマップ上にプロットされた表示をディスプレイに行わせる」ことは、以下の相違点があるものの、結果データを、「2次元のマップ上にプロットされた図にして示している」という概念で共通する。

そうすると、本願発明と引用例1発明とは、
「与えられた分析データを双対尺度法で分析し、双対尺度法の分析により得られた結果データを、2次元のマップ上にプロットされた図にして示している」点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
与えられた分析データを双対尺度法で分析する処理、及び、双対尺度法の分析により得られた結果データを、2次元のマップ上にプロットされた図にして示す処理を、本願発明では、「双対尺度法分析手段」と、「表示をディスプレイに行わせる双対尺度マップ表示手段」とを有する「データ分析装置」が行っているのに対して、引用例1発明では、何が行っているのか特定をしていない点。

[相違点2]
本願発明では、「操作者より2次元のマップの所定領域の拡大表示の指示があった場合、指示のあった領域に対して前記結果データがプロットされた2次元のマップを表示した第1の画像と、マップ全体のうちどの領域が拡大されているかを示す第2の画像との双方をディスプレイに表示させる拡大表示手段」を有するのに対して、引用例1発明では、そうではない点。

(4)当審の判断
そこで、上記相違点について検討する。
[相違点1]について
引用例1には、解析処理をパソコンが行うことが示唆されており(上記摘記事項(ア)を参照)、また、与えられた分析データを分析する処理、及び、結果データを、図にして示す処理を、分析手段と、表示をディスプレイに行わせる表示手段とを有するデータ分析装置が行うことは、例えば引用例2に示されているように周知の技術であるから、引用例1発明において、この周知の技術を採用して、与えられた分析データを双対尺度法で分析する処理、及び、双対尺度法の分析により得られた結果データを、2次元のマップ上にプロットされた図にして示す処理を、双対尺度法分析手段と、表示をディスプレイに行わせる双対尺度マップ表示手段とを有するデータ分析装置が行うようにすることは、当業者が任意になし得た事項である。
即ち、引用例1発明及び周知の技術に基づいて、本願発明の相違点1に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点2]について
操作者より画像の所定領域の拡大表示の指示があった場合、指示のあった領域に対する画像を表示した第1の画像と、画像全体のうちどの領域が拡大されているかを示す第2の画像との双方をディスプレイに表示させる拡大表示手段は、例えば周知例1及び周知例2に示されているように周知の技術であるから、引用例1発明において双対尺度マップ表示手段を用いるとき、この周知の技術を採用して、操作者より2次元のマップの所定領域の拡大表示の指示があった場合、指示のあった領域に対して結果データがプロットされた2次元のマップを表示した第1の画像と、マップ全体のうちどの領域が拡大されているかを示す第2の画像との双方をディスプレイに表示させる拡大表示手段を設けることは、当業者が容易に想到できたことである。
即ち、引用例1発明及び周知の技術に基づいて、本願発明の相違点2に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。

そして、本願発明の作用効果も、引用例1発明及び周知の技術から当業者が予測できる範囲のものである。

(5)むすび
したがって、本願発明は、上記引用例1発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-11-29 
結審通知日 2006-12-05 
審決日 2006-12-18 
出願番号 特願平6-49314
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹中 辰利  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 山本 穂積
久保田 昌晴
発明の名称 データ分析装置  
代理人 伊藤 儀一郎  

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