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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K |
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管理番号 | 1152453 |
審判番号 | 不服2005-3973 |
総通号数 | 88 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-03-07 |
確定日 | 2007-02-15 |
事件の表示 | 特願2000-322030「ビニルジメチコーン/ジメチコーンコポリマーの水性エマルションと増粘剤を含有する化粧品組成物とその使用」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 6月 5日出願公開、特開2001-151625〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成12年10月20日(パリ条約による優先権主張1999年10月20日、仏国)の出願であって、平成16年11月11日付で拒絶査定がされ、これに対し、平成17年 3月 7日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 本願の特許請求の範囲は、拒絶査定不服審判の請求の日から30日以内の平成17年 3月 7日、同年 4月 5日、次いで同年 4月 6日に手続補正がなされた。 2.補正の却下の決定 2.1 平成17年 4月 6日付の手続補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成17年 4月 6日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)特許請求の範囲の請求項1の手続補正の内容 平成17年 4月 6日付でした特許請求の範囲の請求項1の補正は、拒絶査定時の特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正するものである。 「キサンタンガム、デンプン及びその誘導体、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドの架橋ホモポリマーから選択される少なくとも1種の非セルロース増粘剤と、 -(a)1つのα,ω-ジビニルポリジメチルシロキサンと -(b)1つのα,ω-ジヒドロゲノポリジメチルシロキサンとの、 ヒドロシリル化触媒の存在下での付加反応により得られ、106?100x106cPの粘度を持つ少なくとも1つのシリコーンコポリマーを含んでなる少なくとも1つの水性エマルションとを、化粧品として許容可能な媒体中に含有することを特徴とする化粧品組成物。」(以下、記載された事項により特定される発明を「本願補正発明」という。) (2)手続補正の適否の判断 (2-1)補正の目的 この補正は、「非セルロース増粘剤」の選択肢を「キサンタンガム、デンプン及びその誘導体、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドの架橋ホモポリマー」に限定し、そして、「シリコーンコポリマー」を「-(a)1つのα,ω-ジビニルポリジメチルシロキサンと -(b)1つのα,ω-ジヒドロゲノポリジメチルシロキサンとの、ヒドロシリル化触媒の存在下での付加反応により得られるもの」に限定するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (2-2)独立特許要件 次に本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものであるか否か、を検討する。 a.引用例の記載 原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である特開平11-71459号(以下、「引用例」という。)には、「粘度が25℃で約7000?12000mm2/sのジメチルビニルシロキシ末端のポリジメチルシロキサンと、平均一般式Me2HSiO(Me2SiO)20SiMe2H(式中、Meはメチル基を表し、0.16?0.20%SiHを含有している。)を有する液状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを、白金等のヒドロシリル化触媒存在下連鎖伸長反応させて得られた粘度が106?108mm2/sの範囲内にあるシリコーンの水中エマルジョン」の発明が記載されている。(特に、【請求項1】、【請求項2】、【請求項5】、【0020】、【0039】、実施例1?3、5、6参照) b.対比 本願補正発明と、引用例に記載のエマルジョンを対比する。 高重合度シリコーン類の水に対する比重は概ね1であり、そして、水の密度は約1g/cm3であるから、運動粘度106?108mm2/sは、粘度に換算すると概ね106?108cPとなる。 そうすると、両者は、 「-(a)1つのα,ω-ジビニルポリジメチルシロキサンと -(b)1つのα,ω-ジヒドロゲノポリジメチルシロキサンとの、 ヒドロシリル化触媒の存在下での付加反応により得られ、106?100x106cPの粘度を持つ少なくとも1つのシリコーンコポリマーを含んでなる少なくとも1つの水性エマルション」 である点で一致し、 本願補正発明が、当該エマルションと、「キサンタンガム、デンプン及びその誘導体、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドの架橋ホモポリマーから選択される少なくとも1種の非セルロース増粘剤を、化粧品として許容可能な媒体中に含有する化粧品組成物」であるのに対し、引用例にはこのような化粧品組成物が記載されていない点で相違する。 c.判断 上記相違点について検討する。 引用例には、「本発明のエマルジョンは、シリコーン系エマルジョンの標準的な用途で有用である。従って、それらは、毛髪、皮膚…(略)…等の、個人のケア用途で有用である。」、「ヘアーシャンプー、ヘアーコンディショナー、…(略)…に使用され得」と記載されているし、とりわけ、引用例に記載のエマルジョンのシリコーンは、コンディショニング剤に要求される機能に関する「潤滑性」があるものである。(引用例【0041】参照) そうすると、引用例に記載のエマルジョンをヘアーコンディショナーなどの化粧品組成物に使用することは、当業者が容易に着想したといえる。 一方、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルジスターチホスフェート等(デンプン誘導体)、サルケアSC95(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドの架橋ホモポリマー)が、シリコーン類を含有するエマルジョン形態のコンディショニング化粧品をはじめとする各種化粧品に配合されうる増粘剤であること、及び、これらの増粘剤がコンディショニング作用を有することは、化粧品分野の当業者がよく知るところである。(例えば、特表平11-511460号公報、特開平1-313415号公報、国際公開第98/01109号パンフレット、特表平11-507077号公報参照) そして、コンディショニング剤であるリンスインシャンプー中の水不溶性高重合シリコン油を系の増粘により安定分散させること(例えば、日本化粧品技術者会編「最新化粧品科学-改訂増補II-」、株式会社薬事日報社、平成4年7月10日、第187-188頁)、及びコンデイショニング作用を有する成分の併用、は当業者が普通に行っていることであり、また、そもそも化粧品の粘性等のレオロジーは製品化に際し当業者が当然に考慮することでもある。 しかも、引用例に記載のエマルジョンは、増粘剤を含有していても差し支えなく、「個人用ケア製品のための、従来の成分に添加される」のである。(引用例【0030】、【0042】参照) してみれば、引用例に記載のエマルジョンをヘアーコンディショナーなどの化粧品組成物に使用する際、「キサンタンガム、デンプン誘導体、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドの架橋ホモポリマーから選択される増粘剤」を配合し、さらに、従来の「化粧品として許容可能な媒体」成分を含有させることも、当業者が容易になし得ることである。 また、引用例に記載のエマルジョンのシリコーン及びキサンタンガム、デンプン誘導体、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドの架橋ホモポリマーの性質、作用等からみて、繊維間の付着がなく、柔軟で滑らかで容易にもつれがほぐれるという本願補正発明の効果にしても、当業者が予測しうる範囲のものである。 したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 それゆえ、平成17年 4月 6日付の手続補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に適合しない。 (3)むすび よって、平成17年 4月 6日付の手続補正は、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 2.2 平成17年 4月 5日付の手続補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成17年 4月 5日付の手続補正を却下する。 [理由] 平成17年 4月 5日付でした特許請求の範囲の請求項1の補正は、平成17年 4月 6付の手続補正でしたものと同じであるから、その請求項1に記載された事項により特定される発明も本願補正発明と同様、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、平成17年 4月 5日付の手続補正も、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に適合せず、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成17年 4月 5日及び 6日付でした手続補正が却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成17年 3月 7日付手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「キサンタンガム、スクレログルカンガム、ジェランガム、ランサンガム、アルギナート、マルトデキストリン、デンプン及びその誘導体、カラヤガム、キャロブ粉及びグアーガム、ポリエチレングリコール及びその誘導体、ポリアクリルアミド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドの架橋ホモポリマーから選択される少なくとも1種の非セルロース増粘剤と、 -式(I): 【化1】(式省略) [上式中、 R1は、水素原子又は連鎖付加反応により反応可能なエチレン性不飽和を含む脂肪族基を表し; 式(I)のR2基は1?20の炭素原子を持つアルキル基、5?6の炭素原子を有するシクロアルキル基、アリール基、7?20の炭素原子を有するアルキルアリール基又はヒドロキシル基を表し、またエーテル、アミン、カルボキシル、ヒドロキシル、チオール、エステル、スルホナート又はスルファート基を含んでいてもよく、 nは、式(I)のポリシロキサンを1?1x106mm2/sの動粘度とする整数である] の少なくとも1つのポリシロキサン(a)と、 -ポリシロキサン(a)のR1基と反応可能な少なくとも1つで2つ以下の基を含む少なくとも1つのシリコーン化合物(b)の、触媒の存在下での付加反応により得られる106?100x106cPの粘度を持つ少なくとも1つのシリコーンコポリマーであって、ここでタイプ(a)又は(b)の少なくとも1つの化合物がエチレン性不飽和を含む脂肪族基を含むものと含んでなる少なくとも1つの水性エマルションとを、化粧品として許容可能な媒体中に含有することを特徴とする化粧品組成物。」 (2)対比・判断 本願発明は、「非セルロース増粘剤」の選択肢として、本願補正発明の「キサンタンガム、デンプン及びその誘導体、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドの架橋ホモポリマー」を、そして、「シリコーンコポリマー」として、本願補正発明の「-(a)1つのα,ω-ジビニルポリジメチルシロキサンと -(b)1つのα,ω-ジヒドロゲノポリジメチルシロキサンとの、ヒドロシリル化触媒の存在下での付加反応により得られるもの」を包含する発明である。 そうすると、本願補正発明を含む本願発明も、当然に上述した引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということができる。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-07-28 |
結審通知日 | 2006-08-22 |
審決日 | 2006-09-11 |
出願番号 | 特願2000-322030(P2000-322030) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A61K)
P 1 8・ 121- Z (A61K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 福井 悟、保倉 行雄 |
特許庁審判長 |
森田 ひとみ |
特許庁審判官 |
塚中 哲雄 吉住 和之 |
発明の名称 | ビニルジメチコーン/ジメチコーンコポリマーの水性エマルションと増粘剤を含有する化粧品組成物とその使用 |
代理人 | 園田 吉隆 |
代理人 | 小林 義教 |