• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04B
管理番号 1152492
審判番号 不服2004-26697  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-12-28 
確定日 2007-02-13 
事件の表示 平成 8年特許願第 90080号「無線通信端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年10月 3日出願公開、特開平 9-261759〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年3月19日の出願であって、平成16年11月29日付けで拒絶査定がなされたのに対し、同年12月28日付けで審判請求がなされ、当審により平成18年8月30日付けで通知された拒絶理由に対して、同年10月30日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、上述した平成18年10月30日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)

「複数のサービスコードとパラメータコードとを含む制御コマンドを送信することによつてネツトワーク側が提供している付加サービスの利用を制御し得る無線通信端末装置において、
上記サービスコードに対応する項目のうち選択可能な項目を項目リストとして表示する及び上記パラメータコードの入力指示を表示する表示手段と、
上記表示手段に表示されている上記項目リストから所望の項目を選択し、かつ確定するための第1の入力手段と、
上記表示手段に表示された入力指示に応じた上記パラメータコードを入力するための第2の入力手段と、
上記制御コマンドを構成する手順に対応して上記表示手段の画面表示を順次変化させながら、上記表示手段に上記項目リストを表示してユーザに上記第1の入力手段を操作させて所望の項目を順次選択確定させると共に、上記表示手段に上記パラメータコードの入力指示を表示してユーザに上記第2の入力手段を操作させて所定情報を入力させ、当該選択結果に対応するサービスコード及び上記入力されたパラメータコードに上記ユーザに入力されていない区切りコードを付加して一つの連続した上記制御コマンドを作成して一括送信する制御手段と
を具えることを特徴とする無線通信端末装置。」

3.引用例
これに対して、当審の拒絶の理由に引用された、本願出願の日前である平成7年11月23日に頒布された刊行物である国際公開第95/31863号パンフレット(以下、「引用文献1」という)には図面とともに以下の事項1)?5)が記載されている。

1)「本実施例の携帯電話装置は、図1及び図2に示すように、電話機回路や送話器及び受話器を内蔵させた装置本体を構成するキャビネット1を備えている。…(中略)…このキャビネット1の前面15には、複数のキーからなるダイヤルキー2及びこの電話装置のメモリに記憶されている電話番号や機能状態等の情報を表示するための液晶表示素子等からなる表示部3が配設されている。そして、表示部3は、図1及び図2に示すように、キャビネット1の長手方向に中央部に位置して配設され、この表示部3の下方側に位置してダイヤルキー2が配設されている。また、表示部3とダイヤルキー2との間及び表示部3の上方側の辺に沿って各種の機能制御キー5が配設されている。」(第9頁第6-15行)

2)「なお、キャビネット1の他方の側面11側には、表示部3に表示される文字の種類や表示内容を切り換える等、表示部3の表示形態を切換える機能選択キー5Fが配設されている。
…(中略)…
さらに、本実施例の電話装置は、この装置に内蔵された送信部及び受信部への入力や、これら送信部及び受信部が備えた機能を切換え制御するための操作機構20を備えている。この操作機構20は、後述する図4及び図5に示すように、正方向及び逆方向に回転操作される単一の回転操作部材である円形に形成された操作摘み21を備えている。この操作摘み21は、図1及び図2に示すように、キャビネット1の前面15側に形成された略円形をなす嵌合凹部22内に埋設されるように配設されている。」(第10頁第11-24行)

3)「さらに、システム制御回路28には、ダイヤルキー2及び機能制御キー5が接続されるとともに、表示部3が接続され、これらキー2,5の操作に応じて、受信回路26及び送信回路27の動作が制御され、その制御状態に応じた各種の表示が表示部3に表示される。
また、本実施例の電話装置にあっては、操作機構20の操作によって切り換え操作される切換えスイッチ24がシステム制御回路28に接続されている。この切換えスイッチ24は、3つの切換え位置を持ち、中央に位置する切換え位置を中立位置としている。そして、切換えスイッチ24の摺動子Sが、図3中実線で示す位置であるu側の2つの接点s1及びs2を接続する状態においては、例えば、音量調整のような機能に対して、音量を大きくするアップ方向の制御がステップ的に行われ、図3中破線で示す位置であるd側の2つの接点s3及びs4を接続する状態においては、音量を小さくするダウン方向の制御がステップ的に行われる。
なお、摺動子Sが、図3中中間の2つの接点s2及びs3を接続する中立位置に置かれた場合では、いかなる制御も行われない。」(第11頁第24行-第12頁第10行)

4)「また、操作摘み21を回動操作して、例えば図8に示す機能を順に選択してその設定を行うこともできる。すなわち、機能制御キー5のうち、キャビネット1の他方の側面に設けた機能キー5Fを操作すると、機能選択モードが選択され、表示部3に、図9Aに示すように、図8に示す機能のうち、分類項目の3行分が表示されるとともに、中央部の1行だけが点滅により強調して表示される。図9Aにおいては、点滅表示を一点鎖線で囲んで示している。
この状態で、操作摘み21を図6に示す矢印X方向の正方向に回転すると、表示部3の表示が1行分ずつアップ方向にスクロールされ、3行ずつ表示される分類項目が昇り順に切り換わる。また、操作摘み21を図7に示す矢印Y方向の逆方向に回転すると、表示部3の表示が1行分ずつダウン方向にスクロールされ、3行ずつ表示される分類項目が降下順に切り換わる。なお、どちらの場合も、3行分のうち、中央部の1行が点滅表示される。
そして、例えば、機能番号が「F23」の機能「キー操作音量の調整」が実行される場合には、図9Aに示す表示画面の状態から、操作摘み21を図7に示す矢印Y方向の逆方向に一度回転することにより、表示を1行分だけダウン方向にスクロールし、「F2トーン」の行を中央部に表示させる。そして、この状態でダイヤルキー2のうち「3」キーを押すと、機能番号「F23」が入力されたことになり、表示部3に、図7Aに示すようなキー操作音量の設定画面が表示される。
…(中略)…
続いて、図9Bに示す設定画面の表示に従って、ダイヤルキー2のうちの「1」キーをおしてから、操作摘み21を図6中矢印X方向の正方向又は図7中矢印Y方向の逆方向に回転すると、キー操作音量がアップ方向又はダウン方向に1ステップずつ変更される。そして、機能制御キー15のうち確定キーを操作すると、キー操作音量の調整を終了する。
また、登録されている電話番号を検索する場合も、上述の場合と同様に、操作摘み21を図6中矢印X方向の正方向又は図7中矢印Y方向の逆方向に回転することにより、表示部3に、相手方の名前と電話番号とがアップ方向又はダウン方向に順次切り換わって表示される。
以上のように、本実施例の携帯電話装置においては、単一の操作摘み21を正方向又は逆方向に回転操作することにより、回転型の切換えスイッチ24を切り換えて、所定の調節機能あるいは検索機能のパラメータがアップ方向又はダウン方向に制御するように構成してなるので、操作摘み21の操作方向と、対応する機能のパラメータの変化方向とが感覚的に整合して、円滑な機能制御ができることになり、誤操作が防止される。
また、機能キー5Fを操作することによって、操作摘み21により制御される機能が切り換えられるので、全体として、操作キーの数を低減することができ、機器の小型化に対応することができる。」(第19頁第3行-第20頁第15行)

5)図8には、機能として、分類項目「制限」において機能番号/機能がそれぞれ「F51/発信規制」、「F52/着信規制」、「F53/メモリ発信規制」が、分類項目「その他」において同様に「F91/発番号通知禁止」などを含むことが開示されている。

ここで、引用文献1に記載された携帯電話装置では、上記記載事項1)及び2)から、キャビネットの前面に複数のキーからなるダイヤルキーと電話番号や機能状態等の情報を表示するための表示部、各種の機能制御キーが配設され、前記キャビネットの他方の側面側に前記表示部の表示形態を切換える機能選択キーが配設され、さらに前記携帯電話装置に内蔵された送信部及び受信部への入力や、これら送信部及び受信部が備えた機能を切換え制御するための正方向及び逆方向に回転操作される単一の回転操作部材である円形に形成された操作摘みを備える操作機構が埋設されるように配設されている。
さらに、引用文献1に記載された携帯電話装置では、上記記載事項3)から、前記ダイヤルキー及び前記機能制御キー、前記表示部、前記操作機構がシステム制御回路に接続されている。
さらに、引用文献1に記載された携帯電話装置では、上記記載事項4)及び5)から、
前記操作摘みを回動操作することで、例えば図8に示す発信規制や着信規制、メモリ発信規制などの機能を順に選択してその設定を行うこともでき、さらに前記機能制御キーのうち、前記キャビネットの他方の側面に設けた機能キーを操作すると、機能選択モードが選択され、前記表示部に、前記機能のうち、分類項目の3行分が表示されるとともに、中央部の1行だけが点滅により強調して表示され、この状態で、前記操作摘み回転すると、前記表示部の表示が1行分ずつ回転方向に応じてスクロールされ、3行ずつ表示される分類項目が昇り順に切り換ると共に、前記3行分のうち、中央部の1行が点滅表示される。
さらに、引用文献1に記載された携帯電話装置では、上記記載事項4)及び5)から、単一の前記操作摘みを正方向又は逆方向に回転操作することに対応して、所定の調節機能あるいは検索機能のパラメータがアップ方向又はダウン方向に制御するよう構成しており、また、前記機能キーを操作することによって、前記操作摘みにより制御される機能が切り換えられ、例えば、機能番号が「F23」の機能「キー操作音量の調整」が実行される場合には、前記操作摘みを回転することにより表示画面をスクロールして「F2トーン」の行を中央部に表示させ、この状態で前記ダイヤルキーのうち「3」キーを押すと、機能番号「F23」が入力されたことに対応して、前記表示部にキー操作音量の設定画面が変化して表示されることから、前記携帯電話装置が、複数の機能番号のいずれかを選択し、該機能番号に対応する機能のパラメータを変更することによって、分類項目「制限」において機能番号/機能がそれぞれ「F51/発信規制」、「F52/着信規制」、「F53/メモリ発信規制」や、分類項目「その他」において同様に「F91/発番号通知禁止」などのサービスを含む機能の利用を制御し得ることは明らかである。
してみると、引用文献1には以下の発明(以下、「引用文献1記載の発明」という。)が記載されている。

複数の機能番号のいずれかを選択し、該機能番号に対応する機能のパラメータを変更することによって、分類項目「制限」において機能番号/機能がそれぞれ「F51/発信規制」、「F52/着信規制」、「F53/メモリ発信規制」や、分類項目「その他」において同様に「F91/発番号通知禁止」などのサービスを含む機能の利用を制御し得る携帯電話装置において、
上記機能番号に対応する分類項目のうち選択可能な分類項目を3行ずつ表示し、機能番号の入力によって該機能のパラメータの設定画面が表示される表示部と、
上記表示部に3行ずつ表示されている分類項目から所望の項目を回転操作して選択するキー操作摘みと、
上記表示部に表示された設定画面の表示に従って、ダイヤルキーで前記機能番号を入力すると共に前記キー操作摘みを回転操作して入力したパラメータを確定する機能制御キーと、
上記表示部に3行ずつ分類項目を表示して前記操作摘みを回転操作することで所望の分類項目を選択させると共に、上記表示部にダイヤルキーで前記機能番号の入力に対応して画面表示を該機能のパラメータの設定画面に変化させて表示し、前記キー操作摘みを回転操作することでパラメータの制御を行うと共に送信回路の動作を制御するシステム制御回路と
を具えることを特徴とする携帯電話装置。

また、同じく当審の拒絶の理由に引用された、本願出願の日前である平成4年9月2日に頒布された刊行物である特開平4-245837号公報(以下、「引用文献2」という)には、図面とともに以下の事項6),7)が記載されている。

6)「【0009】図2は実施例における入力部14の機構構成を詳細に示している。図1および図2において、この入力部14は外装体10の表面より突出して配置され、人の指で回転するローラ20が弾性軸20aに取り付けられて配置されている。この弾性軸20aの先端部にはロータリエンコーダ30が設けられている。このロータリエンコーダ30はローラ20の回転量(位置)を電話番号の数字および記号として検出するようにスリットが環状に形成された回転板30aがローラ20の弾性軸20aの先端に取り付けられている。この弾性軸20aは弾性を備えた部材を使用しており、ローラ20が矢印方向Mへ押下されて変位するように構成されている。この構成は矢印方向Mへの押下により、以降に説明する発呼後の選択信号、すなわち、入力した電話番号の数字の設定と、オンフックおよびオフフックの切り換え操作を行うためのものである。さらに、回転板30aを挟むように図示しない発光素子および受光素子等で構成される検出信号出力部30bが設けられ、受光素子から回転板30aのスリットを通過した光を光電変換した検出信号Saが出力される。
【0010】さらにローラ20の下には前記の説明のように矢印方向Mへのローラ20の押下により、以降に説明する発呼後の選択信号、すなわち、入力した電話番号の数字の設定、オンフックおよびオフフックの切り換え操作を行うための設定スイッチ部40が設けられている。この設定スイッチ部40はローラ20に接触する接触板42を有しており、この接触板42が上下して、連動する軸42aの上下によりタクトスイッチ44が切り換えられるように構成されている。この切り換えによりタクトスイッチ44からオン・オフ信号Sbが出力される。」

7)「【0015】図5は本発明の電話機用入力装置の他の外観構成を示している。この例は図1に示す電話機に対して、特に小型化した携帯電話機の例である。この携帯電話機は外装体70にホイップアンテナ71が設けられている。さらにLCD72、マイクロホン74が設けられるとともに、スピーカの代わりにイヤホーン76が接続されている。また電話番号、オフフック、オンフックを入力するための入力部78が外装体80の横側に設けられている。入力部78は図2を用いて説明した構成と同様である。また内部の信号処理部等は図4をもって説明したデジタル電話機の場合と同様である。このように入力部78を配置した構成においては、より小型化、軽量化されるものとなり、携帯電話機としての利便性が向上する。」

してみると、引用文献2には以下の発明が記載されている。

人の指で回転するローラの回転量(位置)を電話番号の数字および記号として検出し、押下により入力した電話番号の数字の設定などを行う、携帯電話機の外装体の横側に設けられた入力部。

また、同じく当審の拒絶の理由に引用された、本願出願の日前である平成1年11月7日に頒布された刊行物である特開平1-277044号公報(以下、「引用文献3」という)には、図面とともに以下の事項8),9)が記載されている。

8)「ところで、最近の国内の新電々による電話サービスや海外でのコーリングカードによる電話サービス等のような特殊な電話サービスを利用する場合は、相手先電話番号以外に種々のデータ(電話会社のアクセスコードや暗証番号等)をダイヤリングする必要がある。これに対応するために、従来の携帯式自動ダイヤリング装置では、一般的な電話番号を登録および検索して自動ダイヤリングする以外に、上記のような特殊な電話サービスのために用いられる番号を登録および検索して自動ダイヤリングするようなSSN(Special Service Number)機能を保持したものがあった。」(第2頁左下欄第1-13行)

9)「次に、第3図(a)参照して、SSNモードでデータを登録する場合のキー操作および動作について説明する。なお、第3図(a)では、RAM5に設けられたSSNデータ登録エリアの最初のエリアに、日本高速通信を使ってクレジットコールする場合に必要な一連の番号を登録する例を示している。日本高速通信を使ってクレジットコールする場合は、第3図(b)の最終欄に示すごとく、日本高速通信のアクセスコードと、クレジットコールサービスコードと、相手先電話番号と、ポーズコードと、発信者の契約電話番号と、*コードと、パスワードとを入力することが必要である。」(第4頁右下欄第5-17行)

10)第3図(b)は「SSN機能を使用してトーンダイヤル発信を実行」する際のキー操作及び表示、動作説明が記載されており、特に「「DIAL」のキー操作について、「DIAL」キーを押すことに依り相手先の電話番号を含めた一連のSSN番号をトーン発信すると共に、表示内容もトーンに合わせた内容の表示を行う」と動作説明がなされ、具体的なトーン発信内容として、日本高速通信アクセスコードとクレジットコールサービスコード、相手先電話番号、ポーズ、契約電話番号、*、パスワードが示されている。

してみると、引用文献3には以下の発明が記載されている。

特殊な電話サービスのために用いられる番号を登録および検索して自動ダイヤリングするSSNモードにおいて、例えば日本高速通信を使ってクレジットコールする場合は、日本高速通信のアクセスコードと、クレジットコールサービスコード以外に、相手先電話番号と、ポーズコードと、発信者の契約電話番号と、*コードと、パスワードとを入力してこれら一連のSSN番号をダイヤリングする携帯式自動ダイヤリング装置。

4.対比
本願発明と引用文献1記載の発明とを対比すると、引用文献1記載の発明における「機能番号」は本願発明の「サービスコード」に相当し、以下同様に引用文献1記載の発明における「パラメータ」、「携帯電話装置」、「分類項目」、「表示部」は、本願発明の「パラメータコード」、「無線通信端末装置」、「項目」、「表示手段」にそれぞれ相当する。
ここで、引用文献1記載の発明は、「分類項目「制限」において機能番号/機能がそれぞれ「F51/発信規制」、「F52/着信規制」、「F53/メモリ発信規制」や、分類項目「その他」において同様に「F91/発番号通知禁止」などのサービスを含む機能の利用を制御」しており、これら発信規制や着信規制、メモリ発信規制、発番号通知禁止等はネットワーク側が提供する発信や着信サービスに対する制御であることを勘案すれば、引用文献1記載の発明の上述した記載内容は、携帯電話装置が機能番号やパラメータを選択して通知することで前記ネットワーク側が提供する発信や着信サービスを制御可能であることを示すものであるから、引用文献1記載の発明は、本願発明における「制御コマンドを送信することによってネットワーク側が提供している付加サービスの利用を制御し得る」ことに相当する機能を有している。
また、引用文献1記載の発明では「分類項目を3行ずつ表示」していることから分類項目をリスト化していることは明らかなので、本願発明の「項目リストとして表示」することに相当する表示を行っており、かつ、引用文献1記載の発明では、「パラメータの設定画面が表示」されており、前記設定画面によってパラメータの入力が必要であることは自明であるから、引用文献1記載の発明における「パラメータの設定画面」は、本願発明の「パラメータコードの入力指示を表示する」機能を有している。
さらに、引用文献1記載の発明には、「…(中略)…上記表示部に3行ずつ表示されている分類項目から所望の項目を回転操作して選択するキー操作摘みと、…(中略)… を具えることを特徴とする携帯電話装置。」との開示があることから、「キー操作摘み」が「3行ずつ表示されている分類項目から所望の項目を回転操作して選択」している機能を備えており、引用文献1記載の発明のこの「上記表示部に3行ずつ表示されている分類項目から所望の項目を回転操作して選択するキー操作摘み」は、項目リストから所望の項目を選択する第1の入力手段という点において、本願発明の「上記表示手段に表示されている上記項目リストから所望の項目を選択し、かつ確定するための第1の入力手段」と対応している。
さらに、引用文献1記載の発明では「設定画面の表示に従って」「ダイヤルキー」と「キー操作摘み」とによってパラメータを入力し、「機能制御キー」とを操作することによって「入力したパラメータを確定」していることから、引用文献1記載の発明における「機能制御キー」は、本願発明における入力指示に応じたパラメータコードを入力するための「第2の入力手段」に相当する。
さらに、引用文献1記載の発明には、「複数の機能番号のいずれかを選択し、該機能番号に対応する機能のパラメータを変更することによって、分類項目「制限」において機能番号/機能がそれぞれ「F51/発信規制」、「F52/着信規制」、「F53/メモリ発信規制」や、分類項目「その他」において同様に「F91/発番号通知禁止」などのサービスを含む機能の利用を制御し得る携帯電話装置において、上記機能番号に対応する分類項目のうち選択可能な分類項目を3行ずつ表示し、機能番号の入力によって該機能のパラメータの設定画面が表示される表示部と、…(中略)…を具えることを特徴とする携帯電話装置。」との開示があることから、複数の機能番号のいずれかを選択し、該機能番号に対応する機能のパラメータを変更するために、所望の分類項目を選択させると共に、表示部にダイヤルキーで機能番号の入力に対応して画面表示を該機能のパラメータの設定画面に変化させて表示する機能を備えており、引用文献1記載の発明のこの「複数の機能番号のいずれかを選択し、該機能番号に対応する機能のパラメータを変更することによって、分類項目「制限」において機能番号/機能がそれぞれ「F51/発信規制」、「F52/着信規制」、「F53/メモリ発信規制」や、分類項目「その他」において同様に「F91/発番号通知禁止」などのサービスを含む機能の利用を制御し得る」ことや、「上記機能番号に対応する分類項目のうち選択可能な分類項目を3行ずつ表示し、機能番号の入力によって該機能のパラメータの設定画面が表示される表示部」は、制御コマンドを構成する手順に対応して表示手段の表示画面を変化させるという点において、本願発明の「上記制御コマンドを構成する手順に対応して上記表示手段の画面表示を順次変化させながら、上記表示手段に上記項目リストを表示」することに対応している。
さらに、引用文献1記載の発明には、「…(中略)…上記表示部に3行ずつ分類項目を表示して前記操作摘みを回転操作することで所望の分類項目を選択させると共に、上記表示部にダイヤルキーで前記機能番号の入力に対応して画面表示を該機能のパラメータの設定画面に変化させて表示し、前記キー操作摘みを回転操作することでパラメータの制御を行うと共に送信回路の動作を制御するシステム制御回路」との開示があることから、システム制御回路は、操作するユーザに対して表示部に3行ずつ分類項目を表示して、前記ユーザが前記操作摘みを回転操作することで所望の分類項目を選択させると共に、前記ユーザが上記表示部にダイヤルキーで前記機能番号を入力することで前記ユーザに対して該機能のパラメータの設定画面を表示して、前記ユーザが前記キー操作摘みを回転操作することに対応して、パラメータの制御を行うと共に送信回路の動作を制御する機能を備えており、引用文献1記載の発明のこの「上記表示部に3行ずつ分類項目を表示して前記操作摘みを回転操作することで所望の分類項目を選択させると共に、上記表示部にダイヤルキーで前記機能番号の入力に対応して画面表示を該機能のパラメータの設定画面に変化させて表示し、前記キー操作摘みを回転操作することでパラメータの制御を行うと共に送信回路の動作を制御するシステム制御回路」は、表示手段に項目リストを表示してユーザに第1の入力手段を操作させて所望の項目を順次選択させると共に、上記表示手段にパラメータコードの入力指示を表示してユーザに上記第2の入力手段を操作させているという点において、本願発明の「上記表示手段に上記項目リストを表示してユーザに上記第1の入力手段を操作させて所望の項目を順次選択確定させると共に、上記表示手段に上記パラメータコードの入力指示を表示してユーザに上記第2の入力手段を操作させて所定情報を入力させ、当該選択結果に対応するサービスコード及び上記入力されたパラメータコードに上記ユーザに入力されていない区切りコードを付加して一つの連続した上記制御コマンドを作成して一括送信する制御手段」と対応している。

してみると、引用文献1記載の発明と補正後の発明とは、

複数のサービスコードとパラメータコードとを含む制御コマンドを送信することによつてネツトワーク側が提供している付加サービスの利用を制御し得る通信端末装置において、
上記サービスコードに対応する項目のうち選択可能な項目を項目リストとして表示する及び上記パラメータコードの入力指示を表示する表示手段と、
上記表示手段に表示されている上記項目リストから所望の項目を選択するための第1の入力手段と、
上記表示手段に表示された入力指示に応じた上記パラメータコードを入力するための第2の入力手段と、
上記制御コマンドを構成する手順に対応して上記表示手段の表示画面を変化させながら、上記表示手段に上記項目リストを表示してユーザに上記第1の入力手段を操作させて所望の項目を順次選択確定させると共に、上記表示手段に上記パラメータコードの入力指示を表示してユーザに上記第2の入力手段を操作させて所定情報を入力させ、送信する制御手段と
を具えることを特徴とする無線通信端末装置。

の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
第1の入力手段の機能として、本願発明では確定する機能も有しているのに対し、引用文献1記載の発明では、キー操作摘みは確定する機能は備えていない点。

(相違点2)
表示手段が、本願発明では、表示画面を制御コマンドを構成する手順に対応して順次変化させるのに対し、引用文献1記載の発明では、表示画面の変化は手順に対応して順次変化はしていない点。

(相違点3)
制御手段が、本願発明では、選択結果に対応するサービスコード及び入力されたパラメータコードとの間に、ユーザに入力されていない区切りコードを付加して一つの連続した制御コマンドを作成して一括送信しているのに対し、引用文献1記載の発明ではどのように制御コマンドを作成して送信しているのか、具体的な記載がない点。

5.判断
そこで、上記相違点について検討する。

(相違点1)について
引用文献1記載の発明では、携帯電話の入力部として、キー操作摘みを回転操作することで分類項目から所望の項目を選択しているが、引用文献2に記載された発明においては、携帯電話の外装体の横側に設けられた入力部によって、回転操作による検出に加えて押下による設定を可能としており、引用文献1,2にそれぞれ記載された発明が共に携帯電話の入力部として回転操作をによる項目の検出を行うことを記載したものである点を勘案すれば、引用文献1記載の発明における携帯電話の入力部としてのキー操作摘みの機能構成として、引用文献2に記載されている前記入力部の機能構成を採用し、第1の入力手段の機能として確定する機能も有するよう構成することは、当業者が容易になし得たことである。

(相違点2)について
引用文献1記載の発明では、機能番号に対応する分類項目のうち選択可能な分類項目を3行ずつ表示部に表示し、ユーザによる前記機能番号の入力に対応して該機能のパラメータの設定画面へと前記表示部の表示を変化させることで、制御コマンドを構成する手順に対応して上記表示手段の表示画面を変化させている。
ここで、ユーザの操作内容に応じて表示部にガイダンスを表示することで、前記ユーザへ操作方法を認識さるように前記表示部の画面表示を順次変化させることは、特開平7-250135号公報(特に第【0010】段落から第【0014】段落及び図3,4を参照)や特開平6-96329号公報(特に第【0012】段落及び図4を参照)などに記載されているごとく、画面表示における周知技術である。
してみると、引用文献1に記載されているユーザによる操作に伴う表示部による画面表示技術として、画面表示における前記周知技術を採用し、表示画面を制御コマンドを構成するユーザの操作内容に対応して順次変化させるように構成することは、当業者が容易になし得たことである。

(相違点3)について
引用文献1記載の発明では、「分類項目「制限」において機能番号/機能がそれぞれ「F51/発信規制」、「F52/着信規制」、「F53/メモリ発信規制」や、分類項目「その他」において同様に「F91/発番号通知禁止」などのサービスを含む機能の利用を制御」していることから、これら発信規制や着信規制、メモリ発信規制、発番号通知禁止等は、ネットワーク側が提供する発信や着信サービスに対するユーザ側からの制御であることを勘案すれば、引用文献1記載の発明におけるシステム制御回路は、ネットワーク側から提供される情報とユーザ側が入力する情報とによる制御コマンドの作成、送信する機能を有していることは当業者にとって自明である。
ここで、特殊な電話サービスのためのネットワーク側が提供するサービスコードである日本高速通信のアクセスコードと、クレジットコールサービスコード以外に、ユーザが任意に入力するコードである相手先電話番号や発信者の契約電話番号、パスワードを含む一連の番号を自動ダイヤリングして一括送信することは、引用文献3に記載されており、くわえて、一般的に入力するデータに対して常に付属している区切り等を自動入力して目的の番号を生成することは、特開平7-250135号公報(特に第【0012】段落から第【0014】段落及び図4を参照)において、ダイヤルキー操作によって電話番号を入力した場合、登録番号としては前記ダイヤルキーには存在しない「-」が自動入力されて登録されることが記載されいるごとく、ネットワーク側から提供される情報とユーザ側が入力する情報とによるコマンドの作成、送信技術として、いずれも本出願前において周知な技術である。
してみると、引用文献1に記載されているものにおけるネットワーク側から提供される情報とユーザ側が入力する情報とによる制御コマンドの作成、送信技術として、前記周知技術を採用し、ネットワーク側から提供されるサービスコード及びユーザ側が入力されたパラメータコードとの間にユーザに入力されていない区切りコードを挿入して、一つの連続した制御コマンドを作成して一括送信する制御手段を構成することは、当業者が容易になし得たことである。

そして、本願発明の作用効果も、引用文献1、2に記載の発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

6.むすび
したがって,本願発明は,引用文献1,2に記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-11-28 
結審通知日 2006-12-01 
審決日 2006-12-20 
出願番号 特願平8-90080
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 春樹  
特許庁審判長 井関 守三
特許庁審判官 青木 重徳
長島 孝志
発明の名称 無線通信端末装置  
代理人 田辺 恵基  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ