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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A01M
管理番号 1152495
審判番号 不服2005-1794  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-03 
確定日 2007-02-13 
事件の表示 平成11年特許願第345号「建物の防蟻構造」拒絶査定不服審判事件〔平成12年7月18日出願公開、特開2000-197439〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年1月5日の出願であって、平成16年12月16日付けで補正却下の決定とともに拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年2月3日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに同年3月2日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成17年3月2日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年3月2日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、特許請求の範囲の減縮を目的として次のように補正された。
「建物の外周部分に施工された布基礎の立ち上がり部の外側面又は内側面に密着した断熱材の内部をシロアリが通過して、軸組及び床組へ侵入するのを物理的に防止する建物の防蟻構造であって、
前記断熱材は、多数の独立気泡を有し、かつ発泡ガラスで構成された無機系断熱材であることを特徴とする建物の防蟻構造。」
(以下、「補正発明」という。)

そこで、補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(2)引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布されている刊行物である特開平8-338079号公報(以下、「引用例1」という。)には、「土間床工法」に関して、図面とともに、下記の事項が記載されている。
(イ)「【0001】【産業上の利用分野】この発明は、一般家屋やビル等の建築物に使用される土間床工法に関し、防湿、防蟻、断熱性に優れた土間床を得ることができる土間床工法を提供しようとするものである。」
(ロ)「【0012】図1において、1は家屋の床構造を示し、基礎2の上には土台3が搭載されている。床板4は土台3上に組み付けた根太5の上に取り付けられている。6は大引きである。【0013】また土台3上には壁面7が形成され、図では壁面7と内装材8との間に断熱層9が設けられている。10は断熱層9の外面に設けた段ボール層で、この段ボール層と壁面7との間には通気層が形成されている。【0014】一方、土間床11上には、防湿シート12類が敷設してあり、さらにその表面に断熱性保護層13が形成されている。この防湿シート12類および断熱性保護層13は、土間床11上のみならず、床下の側面にも連続して形成することが望ましい。」
(ハ)「【0016】さらに、この発明の土間床工法に使用される断熱性保護層13としては、発泡ポリウレタン等の現場発泡プラスチック、また発泡ポリエチレン等の成形シート等の発泡プラスチック層、さらには発泡モルタル等の無機発泡材料からなる群から選ぶことができる。」

上記記載事項並びに図1に示された内容を総合すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。かっこ内は対応する引用例1における構成・用語である。
「建物(建築物)の外周部分に施工された布基礎(基礎2)の立ち上がり部の内側面(床下の側面)に密着した断熱材(断熱性保護層13)の内部をシロアリが通過して、軸組(土台3)及び床組(根太5)へ侵入するのを物理的に防止する建物の防蟻構造であって、
前記断熱材は、多数の独立気泡を有し、かつ発泡モルタルで構成された無機系断熱材(無機発泡材料)である建物の防蟻構造。」
(以下、「引用例1発明」という。)

(3)対比
補正発明と引用例1発明とを比較すると、両者は、
「建物の外周部分に施工された布基礎の立ち上がり部の内側面に密着した断熱材の内部をシロアリが通過して、軸組及び床組へ侵入するのを物理的に防止する建物の防蟻構造であって、
前記断熱材は、多数の独立気泡を有した無機系断熱材である建物の防蟻構造。」
の点で一致し、次の点で相違している。

相違点:無機系断熱材が、補正発明では、発泡ガラスで構成されているのに対して、引用例1発明では、発泡モルタルで構成されている点。

(4)判断
相違点について検討するに、発泡ガラスで構成されている無機系断熱材は、本願出願前周知である(特開昭54-57317号公報、実願昭55-142037号(実開昭57-65933号)のマイクロフィルム等参照)。
してみると、無機系断熱材として、発泡モルタルに代えて周知の発泡ガラスを採用し、相違点に係る補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得る事項に過ぎない。
そして、補正発明の全体の効果も、引用例1発明および周知事項から当業者が予測し得る範囲のものであって、格別なものではない。

したがって、補正発明は、引用例1発明および周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成17年3月2日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成16年9月10日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「建物の外周部分に施工された布基礎の立ち上がり部の外側面又は内側面に密着した断熱材の内部をシロアリが通過して、軸組及び床組へ侵入するのを物理的に防止する建物の防蟻構造であって、
前記断熱材は、多数の独立気泡を有し、かつ発泡ガラス又は発泡コンクリートで構成された無機系断熱材であることを特徴とする建物の防蟻構造。」
(以下、「本願発明」という。)

(2)引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物の記載事項は、上記「2.(2)」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、その構成要件において、無機系断熱材を構成するものが、発泡ガラス又は発泡コンクリートであるとしており、発泡ガラスを選択したものは上記「2.」で検討した補正発明と同一のものとなる。
してみると、補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1発明および周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明および周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとなる。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-12-04 
結審通知日 2006-12-05 
審決日 2006-12-19 
出願番号 特願平11-345
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A01M)
P 1 8・ 121- Z (A01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 郡山 順  
特許庁審判長 安藤 勝治
特許庁審判官 宮川 哲伸
西田 秀彦
発明の名称 建物の防蟻構造  
代理人 渡辺 三彦  

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