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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47L
管理番号 1152562
審判番号 不服2004-8983  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-30 
確定日 2007-02-15 
事件の表示 特願2002-117732号「コップ洗浄器」拒絶査定不服審判事件〔平成15年11月 5日出願公開、特開2003-310526号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,平成14年4月19日の出願であって,平成16年3月30日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年4月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。

2.本願発明の認定
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成16年4月30日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲からみて,その請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】下面側と上面側を有するゴム製の基台であって,前記下面側に吸盤として機能する凹部が1つ形成された基台と,
この基台の上面側に設けられた円筒状のゴム製柱部と,
この柱部の外周面から突出するように設けられたブラシ毛とを備え,
前記ゴム製柱部は,5本設けられており,これらが平面視で十字状に配置されていることを特徴とするコップ洗浄器。」

3.刊行物に記載される発明の認定
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である実願平1-36579号(実開平2-126560号)のマイクロフィルム(以下,「刊行物」という。)には,図面と共に,次の事項が記載されている。
(a)「1.吸盤(5)を複数個配設した台(6)に洗浄器(2)を設けて成るグラスクリーナー。」(実用新案登録請求の範囲)
(b)「1.本考案の第1の実施例を第1図に基づいて説明する。
第1図は本考案の第1の実施例の側面図を表すが,
(イ)アルミやプラスチックのような錆びにくく硬い板,すなわち台(6)は縦15CM前後,横25CM前後,厚さ1-3MMぐらいであり,4つの角に吸盤(5)(5)..を取り付ける。
(ロ)台(6)の吸盤(5)と反対側の面に洗浄器(2)を取り付ける。
(ハ)洗浄器(2)は軸(3)のまわりにナイロンなどの材質の毛(4)(4)...を植え込んで成る。」(第3頁第14行?第4頁第5行)
(c)「2.本考案の第2の実施例を第2図,第3図に基づいて説明すれば,第1の実施例のグラスクリーナーを基本に,洗浄器(2)を1本から3本に増やし,これら3本が隣接して成る。この場合,3本の洗浄器は一列に並んでいてもよいし,そうでなくてもよい。」(第4頁第11行?第16行)
(d)図面第1図?第3図には,軸(3)が円筒状であること,台(6)が上面側と下面側とを有し,該下面側に吸盤(5)が取り付けられていること,及び,該上面側に軸(3)が設けられていることが示されている。

以上の記載事項及び図面の内容を総合すれば,上記刊行物には次の発明が記載されているものと認められる。
「上面側と下面側を有するアルミやプラスチック製の台(6)であって,前記下面側に吸盤(5)が複数個配設された台(6)と,
この台(6)の上面側に設けられた円筒状の軸(3)と,
この軸(3)のまわりに植え込まれた毛(4)(4)...とを備え,
前記軸(3)は,3本設けられる,グラスクリーナー。」

4.対比・判断
本願発明と刊行物記載の発明とを対比すると,刊行物記載の発明の「台(6)」は,本願発明の「基台」に相当し,以下同様に,「軸(3)」は「柱部」に,「この軸(3)のまわりに植え込まれた毛(4)(4)...」は「この柱部の外周面から突出するように設けられたブラシ毛」に,「グラスクリーナー」は「コップ洗浄器」にそれぞれ相当する。
また,刊行物記載の発明の「吸盤(5)」と本願発明の「吸盤として機能する凹部」とは,具体的な構造に相違はあるものの,両者ともに(基台を固定するための)吸盤手段の限りでは一致するものといえる。
さらに,本願発明の「軸(3)」と本願発明の「柱部」とは,具体的な配設本数は異なるものの,いずれも複数本配設される点では共通するものである。
してみると,両発明は,本願発明の用語を用いて表現すると,
「下面側と上面側を有する基台であって,前記下面側に吸盤手段が形成された基台と,
この基台の上面側に設けられた円筒状の柱部と,
この柱部の外周面から突出するように設けられたブラシ毛とを備え,
前記柱部は,複数本設けられている,コップ洗浄器。」
である点で一致し,次の3点で相違する。
[相違点1]
吸盤手段の具体的な構造として,本願発明では,基台をゴム製としその下面側に吸盤として機能する凹部を1つ形成するものであるのに対して,刊行物記載の発明では,アルミやプラスチック製の台(6)の下面側に複数個の吸盤(5)を取り付けるものである点。
[相違点2]
本願発明では,柱部をゴム製とするのに対して,刊行物記載の発明では,軸(3)の材質について明らかでない点。
[相違点3]
本願発明では,柱部を5本設けこれらを平面視で十字状に配置するのに対して,刊行物記載の発明では,軸(3)を3本設けるものの配置については特定がない点。

上記相違点について検討する。
[相違点1について]
コップ洗浄器における吸盤手段として,基台をゴム製としその下面側に吸盤として機能する凹部を1つ形成するようなことは,例えば,実公昭29-12849号公報や実願昭57-18243号(実開昭58-122562号)のマイクロフィルムに開示されるように,従来周知の技術である。
したがって,刊行物記載の発明に上記周知技術を適用し上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは,当業者にとって容易に想到し得たことである。
[相違点2について]
コップ洗浄器において基台の上面に設けられる柱部材を弾性材で形成することは,例えば,特開昭62-258631号公報にも開示されるように,普通に行われることであり,かつまた,弾性材としてゴムは慣用されるものであるところ,刊行物記載の発明においても軸(3)はゴム製であるか,そうでないとしてもこれをゴム製とすることは,当業者が必要に応じて適宜なし得る程度の事項にすぎない。
[相違点3について]
コップ洗浄器において柱部を何本設けどのような配置にするかについては,コップ洗浄器の大きさや使い方等を考慮して当業者が適宜設定し得る事項であり,しかも,柱部を5本設け平面視十字状に配置するようなことは,例えば,実願昭51-87995号(実開昭53-7960号)のマイクロフィルムや実願昭46-10481号(実開昭47-11169号)のマイクロフィルムに開示されるように,これまでも行われてきたことであるから,刊行物記載の発明において上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは,設計的事項にすぎない。

また,本願発明の作用効果も,刊行物記載の発明及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものにすぎない。

5.むすび
以上のとおり,本願発明は,刊行物記載の発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,本願は拒絶をすべきものである。
よって,上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-12-11 
結審通知日 2006-12-12 
審決日 2007-01-04 
出願番号 特願2002-117732(P2002-117732)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A47L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武井 健浩金丸 治之  
特許庁審判長 阿部 寛
特許庁審判官 和泉 等
中村 則夫
発明の名称 コップ洗浄器  
代理人 梶崎 弘一  
代理人 谷口 俊彦  
代理人 鈴木 崇生  
代理人 尾崎 雄三  

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