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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01J
管理番号 1152775
審判番号 不服2004-10565  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-05-20 
確定日 2007-02-19 
事件の表示 特願2001-401587「プラズマディスプレイパネル」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 9月13日出願公開、特開2002-260536〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年12月28日(優先権主張 平成12年12月28日)の出願であって、平成16年4月16日付け(発送日平成16年4月20日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年6月21日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成16年6月21日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年6月21日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正の内容は、特許請求の範囲の請求項1を、補正前の、
「【請求項1】第一のガラス基板上に誘電体層で覆われた複数対の電極群を有し、第一のガラス基板と対向する第二のガラス基板との間にガスを充填し、前記第一のガラス基板上の電極対に電圧を印加して放電させて得られた紫外光を蛍光体に照射して画像表示するプラズマディスプレイパネルにおいて、前記第一のガラス基板上の概ね平坦面に配置される電極対の少なくとも一方の放電領域電極が、放電ギャップ電極部と面状放電電極部とこれらを隔てる開口部によって構成され、上記面状放電電極部は複数の細線または電極が形成されない孔状部によって構成され、上記面状放電電極部の電極面積が、面状放電電極部領域面積の50%以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。」
から、補正後の、
「【請求項1】第一のガラス基板上に誘電体層で覆われた複数対の電極群を有し、第一のガラス基板と対向する第二のガラス基板との間にガスを充填し、前記第一のガラス基板上の電極対に電圧を印加して放電させて得られた紫外光を蛍光体に照射して画像表示するプラズマディスプレイパネルにおいて、前記第一のガラス基板上の概ね平坦面に配置される電極対の少なくとも一方の放電領域電極が、放電ギャップ電極部と面状放電電極部とこれらを隔てる開口部によって構成され、上記面状放電電極部は複数の細線または電極が形成されない孔状部によって構成され、上記面状放電電極部の電極面積が、面状放電電極部領域面積の50%以下であり、上記放電ギャップ電極部と面状放電電極部を分離する開口部に、放電ギャップ電極部と面状放電電極部を連結する架橋電極部を有さないことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。」(当審注:アンダーラインは補正箇所を示すために付したものである。)
に補正する補正事項を含むものである。
上記補正事項は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「放電ギャップ電極部と面状放電電極部とこれらを隔てる開口部」に関して、「上記放電ギャップ電極部と面状放電電極部を分離する開口部に、放電ギャップ電極部と面状放電電極部を連結する架橋電極部を有さない」との限定を附加するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする事項に該当する。
そこで、上記補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「補正後第1発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下に検討する。

2 独立特許要件(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否か)について
(1)補正後第1発明
「【請求項1】第一のガラス基板上に誘電体層で覆われた複数対の電極群を有し、第一のガラス基板と対向する第二のガラス基板との間にガスを充填し、前記第一のガラス基板上の電極対に電圧を印加して放電させて得られた紫外光を蛍光体に照射して画像表示するプラズマディスプレイパネルにおいて、前記第一のガラス基板上の概ね平坦面に配置される電極対の少なくとも一方の放電領域電極が、放電ギャップ電極部と面状放電電極部とこれらを隔てる開口部によって構成され、上記面状放電電極部は複数の細線または電極が形成されない孔状部によって構成され、上記面状放電電極部の電極面積が、面状放電電極部領域面積の50%以下であり、上記放電ギャップ電極部と面状放電電極部を分離する開口部に、放電ギャップ電極部と面状放電電極部を連結する架橋電極部を有さないことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平8-315735号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が図面と共に記載されている。
ア 「【0001】【産業上の利用分野】本発明は情報表示端末や平面形テレビ等に用いられるAC(交流)面放電型プラズマディスプレイパネルに関し、特に放電電流のピーク電流値を抑え、駆動回路の低コスト化を実現するAC面放電型プラズマディスプレイパネルに関する。」
イ 「【0003】図10に従来の反射型AC面放電プラズマディスプレイパネルの断面図を示す。【0004】図10を参照して、ガラスの前面基板80に透明電極81を形成する。透明電極81は図10の紙面に垂直な方向に帯状に複数形成され、1放電セルあたり2本形成されている。互いに隣合う透明電極81の間に、通常数十kHzから数百kHzのパルス状AC電圧を印加し、表示放電を得る。・・・【0005】そこで、透明電極81の上に通常金属厚膜等によるバス電極82を形成して電極の抵抗値を下げている。バス電極82(及び透明電極81、前面基板80の露出面)を通常低融点鉛ガラスの厚膜からなる透明絶縁層83にて被覆する。・・・【0008】一方、後面基板90には表示データを書き込むデータ電極88を金属厚膜又は薄膜で形成し、これを低融点鉛ガラスと白色の顔料を添加した厚膜ペーストによる白色絶縁層87で被覆する。白色絶縁層87は放電セルにおける発光を前面基板80へ反射する反射層として機能する。【0009】データ電極88は透明電極81に直交して配設されている。データ電極88上に白色絶縁層87を介して白色隔壁86を通常厚膜印刷等で形成し、更に各放電セルになる部分に各放電セルの発光色に対応する蛍光体89を塗布する。・・・【0010】前述の前面基板80上に形成した黒色隔壁85と、後面基板90上に形成した白色隔壁86とを介して張り合わせて気密封止し、内部に放電可能なガス、例えばHeとNeとXeの混合ガスを500torr程度封入する。【0011】隣合う透明電極81(図10では紙面に垂直方向に透明電極81が配設されている)の間にパルス状の交流電圧を印加すると、ガス放電(面放電)が発生し、放電ガス空間91にプラズマが生成される。ここで発生した紫外光により蛍光体89を励起して可視光を発生させ、前面基板80を通して表示発光を得る。【0012】面放電を発生させる隣合う透明電極81は、走査電極と維持電極からなっている。【0013】実際のパネル駆動において、面放電電極である透明電極81には維持パルスが印加されている。そして、放電を発生させるときは走査電極(隣合う透明電極81の対の一方)とデータ電極88との間に電圧を印加して対向放電を発生させ、この放電が維持パルスによって面放電電極間で維持される。」
ウ 「【0020】【課題を解決するための手段】・・・本発明は、AC面放電型プラズマディスプレイパネルにおいて、面放電電極対の少なくとも一方の面放電電極が長手方向に線状に複数に分割され、プラズマディスプレイパネルの表示領域内にて、前記分割された複数の面放電電極同士が複数の接続部で相互に電気的に接続されたことを特徴とするプラズマディスプレイパネルを提供する。」
エ 「【0030】【実施例1】図1は、本発明の一実施例を説明するための平面図である。図1を参照して、本実施例のパネル構造自体は、図9に示した前記従来例とほとんど同じ構造とされているが、前記従来例とは面放電電極の形状が相違している。すなわち、図1に示すように、本実施例においては、走査電極2及び維持電極3は、いずれも電極の長手方向に平行に二つに分割され、分割された二つの電極は接続部4にて接続されている。【0031】この結果、本実施例においては、走査電極2と維持電極3の中にはそれぞれ開口部5が形成される。接続部4はプラズマディスプレイパネルの表示領域内の所定の位置に形成され、例えば、放電セルを画定する隔壁1の走査電極2及び維持電極3にそれぞれ直交する部分に重なるように形成する。その際、接続部4は隔壁1からはみ出ないように形成される。【0032】すると、走査電極2と維持電極3は共に、放電セル内で完全に分離された二つの電極で構成されることとなる。」
オ 「【0056】【実施例3】更に、放電電流を効率よく分散させるための、本発明の第3の実施例を以下に説明する。図6は本発明の第3の実施例を説明するための平面図である。【0057】図6を参照して、本実施例においては、走査電極51、維持電極52からなる面放電電極をいずれも3本に分割し、それぞれの太さ(幅)を上述したように面放電ギャップ55の内側から外側へ徐々に幅を太くしたものである。【0058】この時、3本に分割された面放電電極の間の間隙も次のように変えるとより好ましい。すなわち、面放電ギャップ55に近い側の間隙を広く、面放電ギャップ55から離れるにつれて分割された面放電電極の間の間隙を狭くしてゆく。【0059】面放電放電ギャップ55に近い側では放電が強いため、十分に間隙をとって放電電流を分離させる。・・・【0061】各電極の寸法の一例を示すと、・・・3分割された面放電電極の幅が、面放電ギャップ55側から順に、30μm、70μm、100μm、3分割された面放電電極の間隔が120μm、60μmとされる。」
カ 図面の図6には、走査電極51、維持電極52は、いずれも、長手方向に平行な3本の電極に分割され、分割された3本の電極は、隣り合う電極どうしが、隔壁に対応する位置にて接続部53で接続されて描かれ、上記3本の電極は、それぞれの幅が面放電ギャップ6に近い方から徐々に太くなった、細長電極として描かれている。
キ 上記摘記事項イ、エ、オ及びカから、
・それぞれ3本の細長電極から構成された走査電極51と維持電極52は、ガラスの前面基板上の概ね平坦面に複数対形成され、透明絶縁層で覆われていること、
・ガラスの前面基板と対向する後面基板との間に放電可能なガスが封入され、後面基板に蛍光体を塗布すること、
・前面基板上の電極対である走査電極51と維持電極52に電圧を印加してガス放電させて得られた紫外光により蛍光体を励起して可視光を発生させ表示発光するAC面放電型プラズマディスプレイパネルであること、
が、読み取れる。

したがって、走査電極51、維持電極52の、それぞれ、長手方向に3分割された3本の細長電極を区別するために、以下において便宜上、面放電ギャップ6に近い方から、第1細長電極部、第2細長電極部、第3細長電極部と呼ぶこととすると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「ガラスの前面基板上に透明絶縁層で覆われた対をなす走査電極51と維持電極52を複数対有し、前面基板と対向する後面基板との間にガスを充填し、前記前面基板上の走査電極51と維持電極52に電圧を印加してガス放電させて得られた紫外光により蛍光体を励起して表示発光するAC面放電型プラズマディスプレイパネルにおいて、前記前面基板上の概ね平坦面に配置される走査電極51及び維持電極52が、長手方向に3分割された、第1細長電極部と第2細長電極部と第3細長電極部とによって構成され、第1細長電極部と第2細長電極部とは接続部53によって接続され、第2細長電極部と第3細長電極部とは接続部53によって接続されているAC面放電型プラズマディスプレイパネル。」

(3)対比
補正後第1発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「ガラスの前面基板」は、補正後第1発明の「第一のガラス基板」に相当する。そして、引用発明の走査電極51と維持電極52とは対をなす電極であるから、引用発明の「透明絶縁層で覆われた対をなす走査電極51と維持電極52を複数対有し」は、補正後第1発明の「誘電体層で覆われた複数対の電極群を有し」に相当する。
イ 引用発明の「後面基板」と、補正後第1発明の「第二のガラス基板」とは、ともに「第二の基板」である点で共通する。
ウ 引用発明の「ガスを充填し、前記前面基板上の走査電極51と維持電極52に電圧を印加してガス放電させて得られた紫外光により蛍光体を励起して表示発光するAC面放電型プラズマディスプレイパネル」は、補正後第1発明の「ガスを充填し、前記第一のガラス基板上の電極対に電圧を印加して放電させて得られた紫外光を蛍光体に照射して画像表示するプラズマディスプレイパネル」に相当する。
エ 引用発明の「第1細長電極部」が、補正後第1発明の「放電ギャップ電極部」に相当し、引用発明の「第2細長電極部」と「第3細長電極部」及びそれらで囲まれた領域が、補正後第1発明の「面状放電電極部」に相当する。
オ 引用発明の「第1細長電極部」と「第2細長電極部」との隔たりが、補正後第1発明の「開口部」に相当し、引用発明の「第1細長電極部」と「第2細長電極部」とを接続する「接続部53」が、補正後第1発明の「架橋電極部」に相当する。
カ 引用発明の「第2細長電極部」と「第3細長電極部」とで囲まれた領域は、「第2細長電極部」と「第3細長電極部」とを接続する「接続部53」と、それらの間の隔たりとによって構成されていることから、このことは、補正後第1発明の、面状放電電極部が「複数の細線または電極が形成されない孔状部によって構成され」ることと異ならない。

以上ア?カの考察から、両者は、
【一致点】
「第一のガラス基板上に誘電体層で覆われた複数対の電極群を有し、第一のガラス基板と対向する第二の基板との間にガスを充填し、前記第一のガラス基板上の電極対に電圧を印加して放電させて得られた紫外光を蛍光体に照射して画像表示するプラズマディスプレイパネルにおいて、前記第一のガラス基板上の概ね平坦面に配置される電極対の少なくとも一方の放電領域電極が、放電ギャップ電極部と面状放電電極部とこれらを隔てる開口部によって構成され、上記面状放電電極部は複数の細線または電極が形成されない孔状部によって構成されるプラズマディスプレイパネル。」
である点で一致し、次の相違点1?3で相違する。
【相違点】
相違点1:第二の基板について、補正後第1発明では、ガラス基板であるのに対し、引用発明では、ガラスかどうか不明である点。
相違点2:放電ギャップ電極部と面状放電電極部を分離する開口部について、補正後第1発明では、放電ギャップ電極部と面状放電電極部を連結する架橋電極部を有さない構成であるのに対し、引用発明では、接続部53(「架橋電極部」に相当)を有する構成である点。
相違点3:補正後第1発明では、面状放電電極部の電極面積が面状放電電極部領域面積の50%以下であるのに対し、引用発明では、当該面積比率が不明である点。

(4)判断
上記相違点1?3について検討するに、相違点1については、例えば、特開平9-283028号公報(「第二のガラス基板7」参照)に記載されているごとく、プラズマディスプレイパネルのいわゆる第二の基板としてガラス基板を用いることは周知であるから、引用発明の後面基板に前記周知のガラス基板を採用して補正後第一発明のごとく構成することは当業者が容易になし得たものである。
次に、相違点2について検討する。
例えば、特開平10-149774号公報には、プラズマディスプレイパネルの前面基板の電極に関して、次の記載がある。
「【0023】以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1であるプラズマディスプレイパネルの前面基板の電極を示す図である。なお、この発明は前面基板の維持電極に関するものであり、背面基板については図7に示したような、従来の構造であると考えてさしつかえない。前面基板上の維持電極7、8はそれぞれ図に示すように、維持電極の長辺方向に平行でかつ、前記前面基板の維持電極の数分の1の幅の細電極13が2本以上所定のピッチで配置された細電極群13で構成される。1つの維持電極を構成する細電極群13は、通常同電位になるよう選択されているが、必ずしもパターンによって束ねられているわけではない。材料としては低抵抗であることと、維持電極に接する下層膜と上層膜との相性を優先すれば良く、プロセス上扱い難い透明導電膜を使用しなくても良い。抵抗と開口率の関係は、表示面では抵抗低下にほとんど寄与しない短辺成分のパターンがないため、低抵抗と高開口率を両立することができる。
【0024】X電極7、Y電極8間に放電開始電圧以上の電位が印加されると、維持電極対中心に近い領域で放電が開始し、外側に向かって放電が広がる。この際、維持電極内の電極がない部分は電位がかかっていないように見えるが、維持電極は誘電体で覆われており、誘電体上では細電極幅13以上に電位が広がっている。そのため、ギャップ近傍で開始した放電が、電極が途切れた部分で終了することはなく、外側まで広がる。放電の形態としては、透明電極によって構成されている従来の放電となんら変わるところはなく、誘電体面の有効な電極面積は、最も維持電極対中心に近い細電極13と最も外側の細電極で決定される電極の面積とほぼ同等の値である。」
「【0026】実施の形態3.実施の形態1、2の細電極幅は、途中断線することが無いように十分に考えて決定する必要があるが、プロセス上断線する可能性があることは否定できない。図3はこの発明の実施の形態3であるプラズマディスプレイパネルの前面基板の電極及び背面基板の電極のリブの位置関係を示す図であり、図に示すように、細電極間の一部に短辺方向に短絡部14を設ける。これにより、細電極13の一部が断線しても、短絡部で補償することができる。また、短絡部の長辺方向に対するピッチを、背面基板のピッチに合わせることにより、表示セル内に、短辺方向の成分である短絡部が現れないようにする。よって、短絡部による開口率の低下は起きない。図においては、短絡部はすべての細電極間に設けられているが、必ずしもそうする必要はなく、細電極間の1部に短絡部を設けてもよい。」
そうすると、短絡部14(補正後第1発明の「架橋電極部」に相当)を有しない構成のものとして実施の形態1が記載されており、短絡部14(補正後第1発明の「架橋電極部」に相当)を有する構成のものとして実施の形態3が記載されているから、いわゆる放電ギャップ電極部と面状放電電極部を分離する開口部に、放電ギャップ電極部と面状放電電極部を連結する架橋電極部を有さない構成と放電ギャップ電極部と面状放電電極部を連結する架橋電極部を有する構成とは、どちらも周知の技術である。したがって、引用発明の第1細長電極部と第2細長電極部とを接続した接続部53に代えて、上記周知の架橋電極部を有さない構成を適用して補正後第1発明のごとく構成することは当業者が容易になし得たものである。
次に、相違点3について検討する。
例えば、前掲特開平10-149774号公報には、「前面基板上の維持電極7、8はそれぞれ図に示すように、維持電極の長辺方向に平行でかつ、前記前面基板の維持電極の数分の1の幅の細電極13が2本以上所定のピッチで配置された細電極群13で構成される。」(上記摘記事項中の実施の形態1に関する段落【0023】の記載参照)とも記載されており、このことから、維持電極を3本の所定のピッチで配置された細電極13で構成した場合においては、放電ギャップ側の1本の細電極が放電ギャップ電極部を構成し、残りの2本の細電極で囲まれた領域が面状放電電極部を構成することとなるから、細電極13の幅を維持電極の幅の1/7以下にしたときに、いわゆる面状放電電極部の電極面積が面状放電電極部領域面積の50%以下となることが明らかであり、この点も周知の技術にすぎない。したがって、当該周知技術を引用発明の第2細長電極部と第3細長電極部とその接続部53とからなる構成に適用することにより補正後第1発明のごとく構成することは当業者が容易になし得たものである。
そして、補正後第1発明の奏する作用効果についても、引用例に記載された事項及び上記周知技術に基づいて当業者が予測可能な範囲内のものにすぎない。
したがって、補正後第1発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(5)むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
平成16年6月21日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?14に係る発明は、平成16年3月22日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願第1発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】第一のガラス基板上に誘電体層で覆われた複数対の電極群を有し、第一のガラス基板と対向する第二のガラス基板との間にガスを充填し、前記第一のガラス基板上の電極対に電圧を印加して放電させて得られた紫外光を蛍光体に照射して画像表示するプラズマディスプレイパネルにおいて、前記第一のガラス基板上の概ね平坦面に配置される電極対の少なくとも一方の放電領域電極が、放電ギャップ電極部と面状放電電極部とこれらを隔てる開口部によって構成され、上記面状放電電極部は複数の細線または電極が形成されない孔状部によって構成され、上記面状放電電極部の電極面積が、面状放電電極部領域面積の50%以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。」

第4 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例(特開平8-315735号公報)、その記載事項及び引用発明は、上記「第2」の「2(2)引用例」に記載したとおりである。

第5 対比・判断
本願第1発明は、上記「第2」の「2独立特許要件について」で検討した補正後第1発明の発明特定事項のうち、「放電ギャップ電極部と面状放電電極部とこれらを隔てる開口部」に関する、「放電ギャップ電極部と面状放電電極部を分離する開口部に、放電ギャップ電極部と面状放電電極部を連結する架橋電極部を有さない」との特定事項を省いたものである。
そうすると、本願第1発明の発明特定事項を全て含みさらに他の事項を付加したものに相当する補正後第1発明が、上記「第2」の「2独立特許要件について」に記載したとおり引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願第1発明も、同様の理由により、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本願第1発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願第1発明が特許を受けることができないものであるから、その余の請求項2?14に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-12-25 
結審通知日 2006-12-26 
審決日 2007-01-09 
出願番号 特願2001-401587(P2001-401587)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01J)
P 1 8・ 121- Z (H01J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 剛  
特許庁審判長 杉野 裕幸
特許庁審判官 山川 雅也
山口 敦司
発明の名称 プラズマディスプレイパネル  
代理人 天野 広  
代理人 藤村 元彦  

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