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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1152804
審判番号 不服2004-22254  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-10-28 
確定日 2007-02-22 
事件の表示 平成 8年特許願第271133号「画像入力装置及び画像入力システム」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 5月15日出願公開、特開平10-126663〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【第1】手続きの経緯

[1]手続き
本願は、平成8年10月14日の出願である。
平成15年12月17日付けで拒絶理由の通知がなされ、これに対し、
平成16年2月23日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされたが、平成16年9月22日付けで拒絶査定がなされた。
これに対し、
平成16年10月28日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月29日付けで手続補正書が提出されたものである。

[2]査定

原査定の理由は、概略、以下のとおりである。

[査定の理由]
請求項1?12に係る本願発明は、下記引用例1?3に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。


引用例1:特開平04-070283号公報
引用例2:特開平08-037628号公報
引用例3:特開平07-240870号公報

【第2】上記平成16年11月29日付けの手続補正(以下、本件補正という。)についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成16年11月29日付けの手続補正を却下する。

[理由]

[1]本件補正の内容

本件補正は、本件補正前、平成16年2月23日付け手続補正書記載の特許請求の範囲の請求項に関する下記の補正事項を含んでいる。
補正前請求項1から4,8,9の各々における
「前記第2撮像手段による第2の撮像を開始した後であり、かつ前記第2撮像手段により得られた画像データを前記撮像素子から読み出すタイミングよりも前のタイミングで前記遮光手段による遮光動作を制御する制御手段」(補正前)を、
「前記第2撮像手段による第2の撮像を開始した後に前記遮光手段による遮光動作を開始し、かつ前記第2撮像手段により得られた画像データを前記撮像素子から読み出すタイミングよりも前のタイミングで前記遮光手段による遮光動作を終了する制御を行う制御手段」(補正後)とする補正事項。

[2]本件補正の適合性1 補正の範囲(第17条の2第3項)
本件補正は、願書に最初に添付した明細書(段落【0062】?【0068】)及び図面(図5)に記載した事項の範囲内においてする補正である。
[3]本件補正の適合性2 補正の目的(第17条の2第4項)
上記補正事項は、補正前請求項の「制御手段」に関し、
特定期間(「前記第2撮像手段による第2の撮像を開始した後であり、かつ前記第2撮像手段により得られた画像データを前記撮像素子から読み出すタイミングよりも前のタイミング」)で行うとした「遮光動作」の「制御」の内容を、
「遮光動作」の開始時と終了時の「制御」に分けて、限定し減縮するものであって、補正の前後において、産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。

[4]本件補正の適合性3 独立特許要件(第17条の2第5項)
そこで、本件補正後の請求項1から12に記載された発明が独立特許要件(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定)を満たすか否かについて以下に検討する。

[4.1]補正後発明
補正後の請求項1から請求項12までに係る発明のうち請求項2に係る発明(以下、補正後発明2という。)は、下記のとおりである。
記(補正後発明2)
連続撮像を実施する画像入力装置において、
被写体を撮像して一定画素数分の画像データを得る撮像素子と、
前記撮像素子による被写体の撮像範囲を変更する変更手段と、
前記撮像素子に対して光学的機構により遮光状態を形成する遮光手段と、
前記撮像素子による連続撮像の内の第1の撮像を行う第1撮像手段と、
前記第1撮像手段による撮像後に前記変更手段による前記撮像範囲の変更を制御し、前記第1撮像手段より得られた画像データを前記撮像素子から読み出したタイミングで、前記撮像素子による連続撮像の内の第2の撮像を開始する第2撮像手段と、
前記第2撮像手段による第2の撮像を開始した後に前記遮光手段による遮光動作を開始し、かつ前記第2撮像手段により得られた画像データを前記撮像素子から読み出すタイミングよりも前のタイミングで前記遮光手段による遮光動作を終了する制御を行う制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像入力装置。

[4.2]引用刊行物の記載
原査定の拒絶理由に引用された刊行物である特開平4-70283号公報(以下、引用例1という)には、名称を「ディジタルスチルカメラ」とする発明について、次に掲げる事項が記載されている。

(K1)「〔産業上の利用分野〕
本発明は、固体撮像素子を所定量だけ変位させ、その変位前後で2回の露出を行うことにより高解像度の撮影を可能にするディジタルスチルカメラに関する。」(1頁右上欄2行?同頁同欄6行)

(K2)「一方、変位前後の両露出を固体撮像素子のシャッタ機能(以下、電子シャッタという)により行うことも可能であるが、露出終了後の蓄積電荷の読出しに所定時間を要することから2回の露出を高速処理することは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、変位前の露出は電子シヤツタで制御し、変位後の露出は、該露出量が変位前の露出量と等しくなるようにメカニカルシャッタの露出量をモニタ制御することにより高解像度の撮影を可能にするディジタルスチルカメラを提供することを目的とする。」(2頁左上欄19行?同頁右上欄10行)

(K3)「〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決するために、本発明は、光電変換素子が2次元配列された固体撮像素子と、該固体撮像素子を1/2画素ピッチ分だけ平行移動させる変位手段とを有し、1回の撮影で前記固体撮像素子を変位させ、その変位の前後でそれぞれ露出を行うディジタルスチルカメラにおいて、シャッタ幕の開閉動作により前記固体撮像素子への露光を制御するシャッタと、変位前の露出における前記固体撮像素子の電荷蓄積量を制御する第1の電荷蓄積制御手段と、前記シャッタにより制御される露出量が前記第1の電荷蓄積制御手段による電荷蓄積量と等しくなるような前記シャッタ幕の閉塞位置を検出する閉塞位置検出手段と、該閉塞位置の検出信号により変位後の露出における前記固体撮像素子の電荷蓄積開始を制御する第2の電荷蓄積制御手段とを備えたものである。」(2頁右上欄11行?同頁左下欄7行)

(K4)「次に、第1図は、前記ディジタルスチルカメラのシステム構成図である。
同図において、17はカメラ全体の動作を集中制御する中央制御装置(以下、CPUという)、18は後述する各回路に電源を供給する電源回路である。・・・(中略)・・・また、26は露出を制御するメカニカルシャッタであり、該シャッタ26は、例えば第12図に示すように一方のシャッタ幕26aに設けられた孔65をフォトインタラプタ67で検出することによりその閉じ量がモニタ可能になされている。すなわら、全開状態からシャッタ幕26aが時計回りに回動し、仮想線で示すようにアパーチャー66が閉じられると、フォトインタラプタ67から孔65を検出したパルスが出力され、このパルス数をカウントすることによりシャッタ幕26aの回動量が検出される。シャッタ幕26aの回動量はシャッタ幕26a及び26bによる前記アパーチャー66の閉じ量に対応するので、該回動量から対応するアパーチャー66の閉じ量が検出可能となる。
第1図に戻り、27はモータMの駆動を制御するモータ駆動回路である。モータMは前記ミラー25の移動、前記シャッタ26の露出制御及び撮影レンズ6の合焦若しくは倍率切換等を行うための駆動源である。また、28は固体撮像素子(以下、CCDという)、29は該CCD28を光軸に対して垂直方向に1/2画素ピッチ分だけ移動させる変位部材、30は前記CCD28の駆動を制御するCCDドライバである。なお、前記CCD28と変位部材29とは、後述するようにユニット化され、固体撮像装置を構成するものである。また、31は前記CCD28により撮像された映像信号を後述する方法で信号処理する信号処理回路、32は信号処理されたディジタル画像情報を記憶するICカードである。」(3頁左上欄19行?同頁右下欄10行)

(K5)「次に、文字撮影モードについて説明する。#20で文字撮影モードが設定されていると、投光回路24によりランプ58が点灯され、被撮影文字にランプ光が照射される(第15図、#51)。・・・(中略)・・・続いて、ミラー25が完全に光路外へ退避し、シャッタ26が#23で算出された所定のF値に開口するのを持って(#58及び#59でYES)、後述する文字撮影モードの露出が行われ(#60)、該露出が終了すると、投光回路27によりランプ7が消灯され(#61)、#2に戻る」(10頁右上欄14行?同頁右下欄10行)

(K6)「次に、第19図のフローチャートに従い文字撮影モードの露出について説明する。
まず、#53の測光により決定された露出時間tだけCCD28で予備露出が行われ、該露出結果から階調レベルのスレッシュホールドレベルが決定される(#111)。すなわち、予備露出を行つた輝度信号レベルからA/D変換器47a?47cの階調化レベルが決定される。続いて、シャッタ26が開口され、1回目の露出が開始される(#112)。そして、前記露出時間tが経過すると、CCD28の感光部に蓄積された電荷は転送部にフィールドシフトされ(#113)、それと同時にOFDを開いて前記感光部への電荷蓄積が禁止され、1回目の露出を終了する(#114)。続いて、CCD28の変位が開始され(#115)、更にシャッタ26の閉塞が開始される(#116)。このとき、上述したようにシャッタ26の閉塞動作によるアパーチャー65の閉じ量がモニタされ(#117)、シャッタ26による露出量が1回目の露出量と同一になる位置までシャッタ26が閉塞されると(#117でYES)、CCD28のOFDが閉じられ、2回目の露出が開始される(#118)。そして、シャッタ26が完全に閉塞し、2回目の露光が終了すると(#119)、CCD28の転送部に保持されている1回目の露出による蓄積電荷(第1の画像データ)が信号処理回路31に読み出され(#120)、続いてCCD28の感光部に蓄積されている2回目の露出による蓄積電荷(第2の画像データ)が前記転送部を介して信号処理回路31に読み出される(#121)。」(10頁右下欄11行?11頁右上欄1行)

(K7)「第20図は、上記文字撮影モードの露出処理を示したタイムチャートである。同図において、ミラー25の退避及びシャッタ26の開放が完了したC点から所定の露出時間tだけ予備露出が行われ、A/D変換の階調レベルが決定される。続いて、予備露出後、J点からCCD28の感光部に1回目の電荷蓄積が開始され、前記露出時間tが経過したK点で終了する。1回目の露出終了後、K点からCCD28の変位が開始され、該変位が終了したL点でシャッタ26の閉塞が開始される。そして、アパーチャー66が所定量だけ閉じられたM点でOFDが閉じられ、2回目の電荷蓄積が開始される。そして、該電荷蓄積はシャッタ26が完全に閉じられるN点まで行われる。」(11頁左下欄6行?19行)

(K8)「(発明の効果)
以上説明したように、本発明によれば、変位前の露出は固体撮像素子の電子シャッタにより制御し、変位後の露出はメカニカルシャッタによる前記固体撮像素子への露光量を制御するようにしたので、高速の露出制御が可能となる。また、メカニカルシャッタのシャッタ幕の閉塞位置をモニタし、該シャッタ幕の閉塞位置が変位前の露出量と等しくなる位置に達した点から変位後の露出を開始させるようにしたので、変位前と変位後の両露出量を正確に一致させることが可能となる。これによりフリッカのない高解像度の映像信号を得ることができる。」(13頁左下欄6行?19行)

[4.3]対比

[4.3.1]補正後発明2と引用例1に記載された発明(以下、引用発明という)とを対比すると、次のことが認められる。

(a)「画像入力装置」,「撮像素子」,「変更手段」,「遮光手段」
前掲(K1)?(K3),(K8)によれば、引用発明は、変位前後で2回の露出を行うことにより高解像度の撮影を可能にするディジタルスチルカメラにおいて、2回の露出を電子シャッタにより行うと露出終了後の蓄積電荷の読出しに所定時間を要し2回の露出を高速処理するのが困難となるため(特に前掲(K2)参照)、変位前の露出は電子シャッタで制御し、変位後の露出はメカニカルシャッタで制御して、高速の露出制御を可能としている(特に前掲(K8)参照)。
具体的には、前掲(K7),第20図によれば、ミラー25の退避及びシャッタ26の開放が完了したC点から予備露出が行われ、予備露出後、
J点からCCD28の感光部に1回目の電荷蓄積が開始され露出時間tが経過したK点で電荷蓄積が終了し、1回目の露出が終了する。
その後、K点からCCD28の変位が開始され、該変位が終了したL点でシャッタ26の閉塞が開始され、アパーチャー66が所定量だけ閉じられたM点でOFDが閉じられ、2回目の電荷蓄積が開始され、該電荷蓄積はシャッタ26が完全に閉じられるN点まで行われる。
また、前掲(K4)によれば、上記CCD28の変位は変位部材29でなされている。
上記「2回の露出」は「連続撮像」といえ、上記「ディジタルスチルカメラ」は「画像入力装置」といえ、上記「CCD28」は「被写体を撮像して一定画素数分の画像データを得る撮像素子」といえ、上記「変位部材29」は、CCD28「による被写体の撮像範囲を変更する変更手段」といえ、上記「シャッタ26」は、CCD28「に対して光学的機構により遮光状態を形成する遮光手段」といえるから、
上記「ディジタルスチルカメラ」,「CCD28」,「変位部材29」および「(メカニカル)シャッタ26」は、
それぞれ補正後発明2でいう「連続撮像を実施する画像入力装置」,「被写体を撮像して一定画素数分の画像データを得る撮像素子」,「前記撮像素子による被写体の撮像範囲を変更する変更手段」および「前記撮像素子に対して光学的機構により遮光状態を形成する遮光手段」に相当する。

(b)「第1撮像手段」,「第2撮像手段」
引用例1における、上述したCCD28の変位前後での2回の露出(電子シャッタ制御による露出とメカニカルシャッタ制御による露出)による連続撮影のうちの「1回目の露出」は、補正後発明2でいう「前記撮像素子による連続撮像の内の第1の撮像」といい得、このような露出動作(第1の撮像動作)をする手段も存在するといえるから、
引用発明も「前記撮像素子による連続撮像の内の第1の撮像を行う第1撮像手段」に相当する手段を備えているといえる。
また、上記「変位部材29」の撮像範囲の変更は、上記「1回目の露出」後に行われており(前掲(K6)(K7)参照)、CCD28の変位後の「2回目の露出」は、「前記撮像素子による連続撮像の内の第2の撮像」といえるから、 2回目の露出(第2の撮像)を開始するタイミングの点を別にすれば、
引用発明も「前記第1撮像手段による撮像後に前記変更手段による前記撮像範囲の変更を制御し、前記撮像素子による連続撮像の内の第2の撮像をする第2撮像手段」に相当する手段を備えているといえる。

(c)「制御手段」
(c1)遮光動作の開始
補正後発明2の「制御手段」は、「前記第2撮像手段による第2の撮像を開始した後に前記遮光手段による遮光動作を開始」する制御を行うとしているところ、
引用発明では、上記(a)でみたように、CCD28の変位が終了したL点(画素ずらし終了時点)でシャッタ26の閉塞が開始され、アパーチャー66が所定量だけ閉じられたM点でOFDが閉じられ、2回目の電荷蓄積が開始される。
すなわち、引用発明では、2回目の露出(第2の撮像)を開始する前、画素ずらし完了時点で、メカニカルシャッタ26(遮光手段)による遮光動作を開始しており、この点相違している。

(c2)遮光動作の終了
補正後発明2の「制御手段」は、「前記第2撮像手段により得られた画像データを前記撮像素子から読み出すタイミングよりも前のタイミングで前記遮光手段による遮光動作を終了する制御を行う」としているところ、
この点、引用発明でも、前掲(K7),図20の記載からみて、シャッタ26が閉じきったN点以降で、2回目の露出による蓄積電荷を読み出していることは明らかであり、
また、前掲(K6)の
「シャッタ26が完全に閉塞し、2回目の露光が終了すると(#119)、CCD28の転送部に保持されている1回目の露出による蓄積電荷(第1の画像データ、補正後発明2でいう「第1撮像手段より得られた画像データ」に相当する。)が信号処理回路31に読み出され(#120)、続いてCCD28の感光部に蓄積されている2回目の露出による蓄積電荷(第2の画像データ、補正後発明2でいう「第2撮像手段により得られた画像データ」に相当する。)が前記転送部を介して信号処理回路31に読み出される(#121)」
によっても、2回目の露出による蓄積電荷(第2の画像データ、補正後発明2でいう「第2撮像手段により得られた画像データ」に相当する。)を読み出すタイミングよりも前のタイミングでシャッタ26の閉塞動作が終了されていることは明らかである。
したがって、この点において、引用発明も補正後発明2と変わりはない。

[4.3.2]一致点、相違点
以上の対比結果によれば、補正後発明2と引用発明との一致点、相違点は次のとおりであることが認められる。

[一致点]両者はいずれも、
「連続撮像を実施する画像入力装置において、
被写体を撮像して一定画素数分の画像データを得る撮像素子と、
前記撮像素子による被写体の撮像範囲を変更する変更手段と、
前記撮像素子に対して光学的機構により遮光状態を形成する遮光手段と、
前記撮像素子による連続撮像の内の第1の撮像を行う第1撮像手段と、
前記第1撮像手段による撮像後に前記変更手段による前記撮像範囲の変更を制御し、前記撮像素子による連続撮像の内の第2の撮像をする第2撮像手段と、
前記第2撮像手段により得られた画像データを前記撮像素子から読み出すタイミングよりも前のタイミングで前記遮光手段による遮光動作を終了する制御を行う制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像入力装置」であるといえる点。

[相違点]
第2撮像手段による第2の撮像の開始が、
補正後発明2では、前記第1撮像手段より得られた画像データを前記撮像素子から読み出したタイミングであるのに対して、
引用発明では、遮光手段の遮光動作が開始後、遮光手段が所定量だけ閉じられた時点(M点)である点、
および、
制御手段による遮光手段の遮光動作の開始が、
補正後発明2では、第2の撮像を開始した後であるのに対して、
引用発明では、第2の撮像を開始する前の、画素ずらし完了時点(L点)である点。

この相違点を実質的にいうと、以下のとおりである。
補正後発明2では、
第1撮像手段より得られた画像データを前記撮像素子から読み出したタイミングで第2の撮像を開始し、その後、遮光手段の遮光動作を開始するのに対して、
引用発明では、
画素ずらし完了時点(L点)で遮光手段の遮光動作を開始し、その後、遮光手段が所定量だけ閉じられた時点(M点)で第2の撮像を開始する点。

[4.4]相違点の判断

[4.4.1] 相違点について

(a)まず、補正後発明2が特定する「前記第1撮像手段より得られた画像データを前記撮像素子から読み出したタイミングで、前記撮像素子による連続撮像の内の第2の撮像を開始する第2撮像手段」における「読み出したタイミング」とはいかなる時点であるかの点について検討する。

補正後発明2に対応する本願明細書記載の実施例は、画素ずらしを実施する、実施の形態1のモード1(図5)及び変形例2(図10)であるところ、上記の点に関し、図5と共に明細書の段落0065,0067には、
「【0065】このモード2でも、読み出し信号は垂直同期信号に同期して発生するが、このモード2では、1回目の撮像による露光が露光時間T2の経過で終了した後、読み出し信号の発生で撮像素子23における転送が行われる。その転送のタイミングで画素ずらし信号が発生し、圧電素子24により撮像素子23の画素ずらしが行われる。この画素ずらし動作は、転送後に完了するものである。」(上記「モード2」は「モード1」の誤りであることは明らかである。)、および、
「【0067】そして、画素ずらし完了後、続いて2回目の撮像による露光が開始される。その際、連写タイミングは例えば12?32msecの間隔となる。この2回目の撮像の場合にも露光時間はT2であり、1回目と同じ露光時間で同じ露光量が取得される。露光時間T2が経過すると、そのタイミングでメカシャッタ信号が発生してシャッタ機構22が作動する。このシャッタ機構22の光学的機構によって撮像素子23は遮光される。」
との記載があり、
図5と同記載によれば、実施例では第2の撮像(図5の右側の「T2」)の開始時点は、明らかに画素ずらし完了時点であるとされている。
したがって、補正後発明2の上記「読み出したタイミング」とは、「画素ずらし完了時点」を含むタイミングと解釈される。
これに対して、仮に、上記「読み出したタイミング」が、上記段落0065記載の「読み出し信号の発生で」行われる「撮像素子23における転送」のタイミングであると解釈すると、2回目の撮像(露光時間)が図5の(右側の)T2であるとする記載とも矛盾するし、図5における2つの「T2」間の縦線はフォトダイオード制御信号によるフォトダイオードに蓄えられた電荷の除去を示していてこの間が露光時間(第2の撮像)とはなり得ないこととも矛盾することは明らかである。
このことからみても、上記「タイミング」とは「画素ずらし完了時点」を意味するものといえる。

そうすると、上記相違点は、次のように理解される。
[相違点]
補正後発明2では、
画素ずらし完了時点で第2の撮像を開始し、その後、遮光手段の遮光動作を開始するのに対して、
引用発明では、
画素ずらし完了時点で遮光手段の遮光動作を開始し、その後、第2の撮像を開始する点

(b)引用発明が、変位前の露出は電子シャッタにより制御し、変位後の露出はメカニカルシャッタにより制御する理由・意義

前掲(K1),(K8)によれば、その理由は、変位後の露出も電子シャッタにより行うと露出終了後の蓄積電荷の読出しに所定時間を要することから高速の露出制御ができなくなってしまうことを避けるためである。
詳しくいえば、電子シャッタでは、一般的に(オーバーフロードレイン等を用いた)電荷蓄積部からの電荷の掃き出しの停止時点が露光(露出)開始時点であり、その後蓄積された電荷が垂直転送路へ転送される時点が露光(露出)終了時点であり、その間が露光時間となるのであるが、
この電子シャッタにより2回目の露光制御も行うとすれば、(例えば、インターラインCCDでは、)垂直転送路内の電荷(1回目の露光で蓄積した電荷が転送された電荷)を画像信号として読み出して空にした後でないと2回目の露光終了(2回目の蓄積電荷の垂直転送路への転送)ができず、この読み出して空にするのに所定時間を要するため、1回目の露光終了(1回目の蓄積電荷の垂直転送路への転送)から2回目の露光終了(垂直転送路への転送)までをその所要時間より短くできないが、
2回目の露光制御をメカニカルシャッタにより行えば、電子シャッタのように蓄積電荷を垂直転送路へ転送しなければ露光を終了し得ないという制約を受けないので、上記所定時間を待つことなく(垂直転送路が空でなくても)単に遮光すれば2回目の露光を終了でき、その結果、高速の露出制御が可能となるという理由からである。
以上のことは、上記引用例1記載事項から当業者が普通に理解するところである。
そして、この理由・意義は、補正後発明2と同様であると認められる。

(c)引用発明が、画素ずらし完了時点から遮光手段の遮光動作を開始し、その後、第2の撮像を開始する理由・意義

引用例1のものは、上記(b)でみたように、単に、変位前の露出は電子シャッタにより制御し、変位後の露出はメカニカルシャッタにより制御して高速の露出制御を可能とするものであるが、これにとどまらず、これに加えて、 「シャッタにより制御される露出量が前記第1の電荷蓄積制御手段による電荷蓄積量と等しくなるような前記シャッタ幕の閉塞位置を検出する閉塞位置検出手段と、該閉塞位置の検出信号により変位後の露出における前記固体撮像素子の電荷蓄積開始を制御する」(前掲(K3))としている。

(c1)その理由は、前掲(K8)の特に、
「また、メカニカルシャッタのシャッタ幕の閉塞位置をモニタし、該シャッタ幕の閉塞位置が変位前の露出量と等しくなる位置に達した点から変位後の露出を開始させるようにしたので、変位前と変位後の両露出量を正確に一致させることが可能となる。これによりフリッカのない高解像度の映像信号を得ることができる。」なる記載からすれば、
メカニカルシャッタによる2回目の露出量を(1回目の露出量と同じになるよう)正確に制御するという目的から、シャッタの遮光過程を利用するため(遮光過程の特定位置を露光開始点として利用するため)であると理解でき、1回目の露出量と同じになるような遮光過程の特定位置(M点)を検出してこれを露光開始点として制御するとしたものである。

(c2)また、このような2回目の露光制御は、必要とされる露光量が、最大でもL点?N点までの遮光動作にかかる時間分に相当する露出量を超えないことを前提とする制御であることも明らかである。
このような前提は、一般的に成立する前提とはいえないが、ランプ照明下の文字撮影である(前掲(K5))ため、メカニカルシャッタの遮光動作にかかる時間より短い露出時間でも露出量が足りると想定したためと窺い知れる。

(c3)引用発明が、画素ずらし完了時点から遮光手段の遮光動作を開始する理由・意義
上記(c1)の理由だけからすれば、遮光動作開始時点は、(2回目の露光の開始は画素ずらし完了後であればよいのであるから)画素ずらし後であればいつでもかまわないところ、それでは、メカニカルシャッタを用いる意味がない。
遮光動作開始時点を画素ずらし完了時点としているのは、上記(b)と同様、高速の露出制御のためと理解される。すなわち、遮光過程の特定位置(M点)を露光開始点として制御できることを担保した上で、2回目の露光をできるだけ早く開始する(1回目と2回目の露出間隔をできる限り短くする)ためであると窺い知れる。

(d)技術常識・周知事項等
本願出願時において、補正後発明2や引用発明のような2回の露光で1枚の解像度の高い撮像画像を得る手法に関して、
(d1)露光時間として必ず必要な1回目の露光時間と2回目の露光時間以外に、それら2回の露光間の時間間隔が存在するため、実質的な露光時間はこの2回の露光間の時間間隔を含むこれら時間のトータルの時間となり、そのため画像ぶれが生じやすいこと、このトータルの時間を短くすれば画像ぶれが軽減できることは技術常識と認められる。(例えば、下記周知例1参照)。
(d2)このような手法のうち、2回の露光間に画素ずらしを実施するものは、静止被写体の撮影に好適であるものの、だからといって静止被写体以外の撮影に使用できないというわけではなく、若干の動きがあるものや動画の撮影にも使用可能であると認識されている(例えば、下記周知例2,3参照)。
(d3)このような手法のうち、2回の露光間に画素ずらしを実施するものにおいても、メカニカルシャッタによる一般的な露出制御といいえる、撮像開始後に遮光手段の遮光動作を開始するような露出制御は周知である。
(例えば、引用例1が従来の技術の例とする特開昭58-162171号公報参照)

(e)容易想到性の判断
以上(b)?(d)をふまえて、引用発明に接した当業者にとって、引用発明が採用する、画素ずらし完了時点で遮光手段の遮光動作を開始し、その後、第2の撮像を開始する構成に代えて、
補正後発明2が採用する、画素ずらし完了時点で第2の撮像を開始し、その後、遮光手段の遮光動作を開始する構成とすることが、容易想到であるか否かについて検討する。
まず、ランプ照明下の文字撮影という実施例に用いた引用発明の技術を、もっとぶれの影響が生じると予想される一般の撮影(例えば、ランプ照明下でない文字撮影、手持ち撮影による文字撮影、静止被写体に限らない一般の被写体の撮影等)に適用しようとすることは、上記(d2)からみても当業者が容易に着想することといえる。
そして、そのように適用する場合には、
技術常識にすぎない画像ぶれの問題を軽減するため((d1)参照)、2回の露光間隔をできる限り短くしようと考えるところ、
上記(c2)で上述した前提が成立するとは限らないと予想されること、
2回の露光間に画素ずらしを実施するものにおいても、メカニカルシャッタによる、撮像開始後に遮光手段の遮光動作を開始するような露出制御が周知であること((d3)参照)、
画素ずらしの期間は露光できないことは明らか(例えば、特開平7-287268号公報、段落0104等)であるから、最も早い2回目の露光開始時点は画素ずらし完了時点であること、
を勘案して、
画像ぶれの軽減を重視して、引用発明が2回目の露出量の正確な制御のために(上記(c2)で上述した前提の下に)採用した上記シャッタの遮光過程を利用した露光制御の採用を見送って、代わりに、
画素ずらし完了時点で第2の撮像を開始する構成とし、メカニカルシャッタによる一般的な露出制御であって画素ずらし撮影に使用されることも周知の、撮像開始後に遮光手段の遮光動作を開始する構成を採用することは、当業者であれば容易に想到し得ることというべきである。
すなわち、引用発明が採用する、画素ずらし完了時点で遮光手段の遮光動作を開始し、その後、第2の撮像を開始する構成に代えて、
補正後発明2が採用する、画素ずらし完了時点で第2の撮像を開始し、その後、遮光手段の遮光動作を開始する構成とすることは、当業者が容易に想到することである。

したがって、引用発明における、第2撮像手段による第2の撮像を開始を、補正後発明2でいう、第1撮像手段より得られた画像データを前記撮像素子から読み出したタイミング(画素ずらし完了時点)とし、
引用発明における、制御手段による遮光手段の遮光動作の開始を、第2の撮像を開始した後として、補正後発明2に到達することは、当業者が容易に想到し得ることである。

記(周知例1?3)
周知例1:特開平7-95472号公報
(S1.1)「【0024】また、本実施例装置では、1フレーム画を作成するに当ってのCCD2の実質的な露光時間t(2フィールド期間において、実質的に撮像出力に含まれ得る電荷が最初に発生時点から発生完了時点迄の時間)はCCDの蓄積有効期間をtc、垂直走査期間をT(=1フィールド期間=1/60秒)とすると、t=(1+tc)×Tと表せ、電子シャッタ機能により有効期間tcをできるだけ小さくすることにより実質露光時間tを1フィールドに近付けることが可能になる。
【0025】ここで、電子シャッタ機能を用いて各フィールドの一部での露光出力を無効とする動作を行わない場合に、連続する2フィールドに2回の発光を行って、2フィールドの映像信号を取り込んだ場合の露光時間t0は、t0=2フィールドであることを考慮すると、本実施例の様に、CCDの有効期間を短くすることで、動きのある被写体での画像ぶれが改善できる。」
(S1.2)「【0028】また、前記第2実施例より若干明るい場所での撮影により、ストロボ装置7が非発光状態にある時点で、僅かな入射光による不要な電荷が生じる恐れがある場合には、前記両実施例を組み合わせた形態、即ち図6に示すように制御回路16にてタイミング回路4を制御してCCD2の駆動を制御し、トリガ信号の入力後の1番目のフィールドに関しては電子シャッタ機能を作動させてCCD2に一定の掃き捨て期間を設定し、この掃き捨て期間終了後の蓄積期間にストロボ駆動信号の1個目のパルスを出力し、次いで2個目の駆動パルスを2番目のフィールドの早いタイミング、即ち該当フィールドの前半部の所定のタイミングで出力すると同時に2番目のフィールドでは電子シャッタ機能を作動させず、CCD2に通常の動作を実行させる。これによりCCD2の実質的な露光時間は図6の様にt=(1+tc)×1/60秒となり、蓄積有効期間をできるだけ短くすることにより2フィールドよりは短くできる。
【0029】このように、第2及び第3実施例ではCCD2での電子シャッタ動作を出来る限り行うことなく、簡単に画像ずれを抑えることができる実施例を示している。」

周知例2:特公平04-44870号公報
(S2.1)「(発明による効果)
以上説明したように本発明によれば、光軸を中心にして互いに逆方向に等量回転するようにした頂角がほぼ等しい2個のクサビ形プリズムを光軸偏向手段として使用し、空間絵素ずらしの手法を実現しているため、通常のテレビジヨンカメラやスチールカメラのように、物体距離が任意の値をとりうるカメラに対し、空間絵素ずらし法によつて解像度を十分に改善することができる。
・・・(中略)・・・
以上においては、本発明による解像度向上が期待できるカメラは、静止している被写体を撮像する、いわゆる静止画用カメラに限つて説明したが、クサビ形プリズムの回転速度を速くし、シヤツター速度も高速シヤツターが許されるものとすれば、きわめて短時間の間に2回の撮像を行うことで若干の動きに対しても十分に解像度の高い撮像出力信号を得ることができる。」(5頁左欄13行?同頁右欄5行))

周知例3: 特開昭58-162171号公報(引用例1が従来の技術とする例)
(S3.1) 「本発明は2次元に配列された多数の画素のすべてを同時に一定時間感光させ、感光終了後感光させた画素からインターレースにより複数フィールド画像に相当する信号を得、この後画素と光学像の位置を相対的に移動し、再び全画素同時に一定期間感光し、感光後インターレースにより信号を得るようにしたものである。このような本発明によると解像度の良い静止画像が得られる。」(2頁右上欄11行?同頁同欄18行)
(S3.2) 「尚、本発明では2回の露光により2フレーム、4フィールドの静止画像が得られるように説明してきたが、必ずしも静止画像に限定されず、このまま連続動作指せることにより高解像度の動画を得ることもできる。」(4頁右下欄20行?同頁左下欄4行)」

[4.4.2]効果等
以上のように、上記相違点に係る補正後発明2の構成は、当業者に想到容易ではない格別のものであるとはいえず、また、補正後発明2の構成を全体としてみても格別のものはなく、その技術的効果も、上記引用例1、技術常識・周知事項から当業者に予測できる範囲のものである。

[4.4.3]請求人の主張についての検討
請求人は、引用例1の発明は、静的被写体を対象としているのに対して、本願発明は、動的被写体を対象として複数回撮像して合成した場合にぶれのない画像を生成するものであり、引用例1の発明は、本願発明のような1回目と2回目の撮影間隔を短縮するという課題を解決するものではなく、本発明の着想あるいは発明を行うための動機付けを提示しているものではない旨、主張している。
しかしながら、文字のような被写体であっても手持ち撮影ではぶれが生じるものであるし、[4.4.1](特に(b),(c3))で上述したように、引用例1に接した当業者は、引用例1の記載事項から、2回目の露光を早く開始して2回に渡る全露光過程を短時間で実施終了しようとする技術思想を普通に把握するのであり、また、上述したように、本願出願時の技術常識・周知事項からみて、当業者であれば、もっとぶれの影響が生じると予想される撮影に引用例1記載の技術思想を適用しようとすることも容易に着想するものといえる以上、上記請求人の主張は採用できない。

[4.5]まとめ(独立特許要件)
以上によれば、補正後発明2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるところ、引用例1に記載された発明および技術常識・周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、上記補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しない。

[5]むすび(補正却下)
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合せず、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

【第3】本願発明について

[1]本願発明
平成16年11月29日付けの手続補正は上記のとおり却下されることとなったので、
本願の特許請求の範囲に係る発明は、平成16年2月23日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至請求項12に記載された事項によりそれぞれ特定されるとおりの発明であるところ、これらの発明のうち、請求項2に係る発明(以下、「本願発明」ともいう)は、下記のとおりのものである。
記(本願発明)
「連続撮像を実施する画像入力装置において、
被写体を撮像して一定画素数分の画像データを得る撮像素子と、
前記撮像素子による被写体の撮像範囲を変更する変更手段と、
前記撮像素子に対して光学的機構により遮光状態を形成する遮光手段と、
前記撮像素子による連続撮像の内の第1の撮像を行う第1撮像手段と、
前記第1撮像手段による撮像後に前記変更手段による前記撮像範囲の変更を制御し、前記第1撮像手段より得られた画像データを前記撮像素子から読み出すタイミングで、前記撮像素子による連続撮像の内の第2の撮像を開始する第2撮像手段と、
前記第2撮像手段による第2の撮像を開始した後であり、かつ前記第2撮像手段により得られた画像データを前記撮像素子から読み出すタイミングよりも前のタイミングで前記遮光手段による遮光動作を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像入力装置。」

[2]引用刊行物の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-70283号公報(上記引用例1に同じ)には、前記のとおりの記載がある。

[3]対比・判断
本願の上記請求項2に係る発明は、
前記【第2】で検討した上記補正後発明2から、
その「制御手段」に関する、特定期間(「前記第2撮像手段による第2の撮像を開始した後であり、かつ前記第2撮像手段により得られた画像データを前記撮像素子から読み出すタイミングよりも前のタイミング」)で行うとした「遮光動作」の「制御」について、
「遮光動作」の開始時と終了時の「制御」に分けてした限定(「開始」の制御が第2撮像手段による第2の撮像を開始した後で、「終了」の制御が第2撮像手段により得られた画像データを前記撮像素子から読み出すタイミングよりも前のタイミングであるとの限定)
を省いたものであり、
したがって、本願発明が前記補正後発明2と同じく引用された上記引用例1に記載された発明および技術常識・周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであることは、改めて論ずるまでもなく、補正後発明2について前記【第2】[4]で認定、判断したところから明らかである。

[4]むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項2に係る発明は、前記引用例1に記載された発明および技術常識・周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それ故、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-12-13 
結審通知日 2006-12-19 
審決日 2007-01-05 
出願番号 特願平8-271133
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清田 健一  
特許庁審判長 乾 雅浩
特許庁審判官 益戸 宏
北岡 浩
発明の名称 画像入力装置及び画像入力システム  
代理人 酒井 宏明  

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