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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01R
管理番号 1152966
審判番号 不服2003-11238  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-06-19 
確定日 2007-02-21 
事件の表示 平成10年特許願第78343号「印刷回路基板」拒絶査定不服審判事件〔平成11年9月24日出願公開、特開平11-260430号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
(1)出願:平成10年3月10日
(2)拒絶理由の通知:平成15年2月6日(発送:同年2月18日)
(3)意見書、手続補正書の提出:平成15年4月14日
(4)拒絶査定:平成15年5月9日(発送:同年5月20日)
(5)審判請求書の提出:平成15年6月19日
(方式補正:同年7月10日)
(6)手続補正書の提出:平成15年7月10日
(7)上記(6)の手続補正書による補正についての補正却下の決定
:平成18年3月14日(発送:平成18年4月4日)
(8)拒絶理由の通知:平成18年3月14日
(発送:平成18年3月28日)
(9)意見書・手続補正書の提出:平成18年5月19日

2.当審による拒絶理由の概要
上記1.(8)の当審による拒絶理由の概要は、次のとおりである。
「本願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された刊行物である実願平1-63694号(実開平3-3773号)のマイクロフィルム及び特開平10-51117号公報に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」

3.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、上記1,(9)の手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「基板に装着したターミナルの一端を取り付け孔から回路印刷面へ突出させてかしめ付けるとともに、ランド部分に半田付けを施こすようにした印刷回路基板において、
前記ランドの外周に平面形状の一辺をなす直線形状部を形成し、該直線形状部を長方形に穿設された取り付け孔の長手方向の孔縁に接するようにするとともに、
該ランドを前記直線形状部から、前記長手方向の孔縁と直交する方向に後退させて、前記直線形状部が取り付け孔の長手方向の孔縁のみに接するような平面形状としたことを特徴とする印刷回路基板。」

4.引用発明
当審による拒絶理由において引用した実願平1-63694号(実開平3-3773号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)及び特開平10-51117号公報(以下、「引用文献2」という。)に記載された発明について検討する。
(1)引用発明1
引用文献1には、図面とともに次のような事項が記載されている。
(a)「[従来の技術]
第4図は従来のプリント基板における部品の実装状態を示す概略図である。但し、導体パターンの記載は省略されている。第4図において、11?16はそれぞれプリント基板のパターン面に形成された半田付けランド、21?26はそれぞれ半田付けランド11?16の中心に形成された部品端子挿入孔、3はプリント基板の部品面に実装されたデュアルインラインパッケージのIC、41?46はそれぞれIC3の端子である。
このような構成において、このプリント基板にディップ式半田付け工法によって半田付けを行うと、第4図に示すように、各半田付けランド11?16と各端子41?46とが半田51?54によって接続されるが、半田51および54に示すように、半田付けランド間、特に、半田付けランドの部品端子挿入孔付近において、各半田付けランドが半田によって接続された状態、いわゆる半田ブリッチが生じる場合があり、製品不良および誤動作等の問題となっていた。」(明細書第1頁18行?第2頁18行)
(b)「[課題を解決するための手段]
この考案は、部品端子挿入孔が中心に設けられた半田付けランドが互いに近接して複数配列されたプリント基板において、半田付けランドの露出部分が部品端子挿入孔を要としてその配列の方向と直交する方向に広がる一対の扇形となるようにしたことを特徴としている。
[作用]
上記構成によれば、部品端子挿入孔に所定の部品端子を挿入した後、半田付けを行うと、半田は扇形のテーパ部分に沿って流れた後、部品端子の両側面に沿って流れる。これにより、半田付けランドと部品端子とが半田付けされる。
[実施例]
以下、図面を参照して、この考案の一実施例を説明する。第1図はこの考案の一実施例によるプリント基板における半田付けランドの構成を示す概略図であり、この図において、第5図の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。第1図においては、半田付けランド11?13の露出部分が部品端子挿入孔21?23を要として半田付けランド11?13の配列方向と直交する方向に広がる一対の扇形となるように、半田付けランド11?13がレジスト9によって覆われている。」(同第5頁9行?第6頁13行)
(c)「従って、上述したように、半田が盛り上がりやすい端子43の両側、即ち、部品端子挿入孔23付近で半田付けランド13の露出部分の幅を狭くすることにより、各半田付けランド間の間隔を広くしたので、半田ブリッチが生じない。また、部品端子挿入孔から離れるに従い半田付けランド13の露出部分の幅を広くしたので、半田付けランド13は半田付けに必要十分な面積が得られる。」(同第7頁11?18行)
(d)上記記載(a)、(b)及び特に第1図、第2図の図示内容から、プリント基板には、円形の部品端子挿入孔21?23が、概略長方形の端子41?43の長手方向(第1図における上下方向)に配列されており、半田付けランド11?13は、上記配列方向に二分され、部品端子挿入孔21?23の孔縁となる各半円に沿う半円形状部から、部品端子挿入孔21?23の配列方向に直交する方向に広がる一対の扇形形状を形成しており、この半円形状部がそれぞれ部品端子挿入孔21?23の半円形の孔縁のみに接していることは明白である。

したがって、上記各記載及び図面を総合すると、引用文献1には、次のような発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「プリント基板に実装されるIC3の端子41?43の一端を部品端子挿入孔21?23からプリント基板のパターン面へ突出させて、半田付けランド11?13に半田付けを施すようにしたプリント基板において、
前記半田付けランド11?13の外周に、扇形形状の一辺をなす半円形状部を形成し、該半円形状部を円形に形成された部品端子挿入孔21?23の孔縁のみに接するようにするとともに、
該半田付けランド11?13を前記半円形状部から、前記部品端子挿入孔21?23の配列方向と直交する方向に広がる一対の扇形を形成して、前記半円形状部がそれぞれ部品端子挿入孔21?23の半円形の孔縁のみに接するような扇形形状としたプリント基板。」

(2)引用発明2
引用文献2には、図面とともに次のように記載されている。
「【0010】 図1,2において示される本発明の一実施例の通電ピン1の固定構造は、通電ピン1の挿入部2全体にその端部2aに向かって細くなる円錐形状の絞り込み部2cを設けてある。すなわち、挿入部2の根元付近(鍔部3近傍)の径が、端部2aの径より径大に形成されている。この絞り込み部2cの角度は、回路基板4の孔部5のすり鉢状の内面の傾斜、特に通電ピン1を挿入する側の孔部5の内面の傾斜と、ほぼ同等の傾斜となるように形成されている。また、挿入部2の端部2aから内側に向かって凹んだ凹部2dを備えており、この凹部2dに図示しない道具を挿入し、回路基板4の開口5cに端部側2bを押し広げるようにかしめて変形させるために設けてあるものである。
【0011】この通電ピン1の固定方法は、通電ピン1を図1中の回路基板4の上側から孔部5に挿入部2を圧入し、挿入部2の絞り込み部2cと孔部5の内面とを面接触する。そして、この孔部5を貫通した挿入部2の端部側2bをかしめて変形させて固定する。そして、挿入部2の一部を半田6付けすることにより、通電ピン1と回路基板4の銅箔7とが電気的に接続する。」

以上の記載によれば、引用文献2には、次のような発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「通電ピン1の一端を孔部5から回路基板4へ突出させてかしめ付けるとともに、回路基板4の銅箔7に半田付けするようにした回路基板。」

5.対比
そこで、本願発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1における「プリント基板」、「パターン面」、「半田付けランド11?13」及び「部品端子挿入孔21?23」は、その機能、構造、形状などからみて、本願発明の「基板」、「回路印刷面」、「ランド」及び「取り付け孔」のそれぞれに相当する。
引用発明1において、「IC3の端子41?43」は「端子」の限りで本願発明の「ターミナル」に一致する。
また、引用発明1の「前記半田付けランド11?13の外周に、扇形形状の一辺をなす半円形状部」と本願発明の「前記ランドの外周に平面形状の一辺をなす直線形状部」とは、「前記ランドの外周に平面形状の一辺をなす形状部」の限りで一致する。
さらに、引用発明1においては、半田付けランド11?13は、上記した半円形状部から、部品端子挿入孔21?23の配列方向と直交する方向に広がる一対の扇形を形成しているから、引用発明1において「前記部品端子挿入孔21?23の配列方向と直交する方向に広がる」ことは、「該ランドを前記形状部から、取り付け孔と直交する方向に形成する」ことの限りで、本願発明における「該ランドを前記直線形状部から、前記長手方向の孔縁と直交する方向に後退」することに一致する。
したがって、本願発明と引用発明1とは、
「基板に装着した端子の一端を取り付け孔から回路印刷面へ突出させるとともに、ランド部分に半田付けを施こすようにした印刷回路基板において、
前記ランドの外周に平面形状の一辺をなす形状部を形成し、該形状部を取り付け孔の長手方向の孔縁に接するようにするとともに、
該ランドを前記形状部から、取り付け孔と直交する方向に形成して、取り付け孔の孔縁のみに接する平面形状とした印刷回路基板。」
で一致し、次の3点で相違する。
〈相違点1〉
基板に装着した端子について、本願発明においては「ターミナル」であるのに対して、引用発明においては「IC3の端子41?43」である点。
〈相違点2〉
ランド部分に半田付けを施すにあたり、本願発明においては、「基板に装着したターミナルの一端を取り付け孔から回路印刷面へ突出させてかしめ付ける」のに対して、引用発明1においては、IC3の端子41?43の一端を部品端子挿入孔21?23からプリント基板のパターン面へ突出させるものの、かしめ付けることについて示されていない点。
〈相違点3〉
本願発明においては、印刷回路基板に穿設された取り付け孔が長方形であり、かつ、ランドの外周に形成した平面形状の一辺をなす形状部が直線形状部であって、ランドの平面形状が、この直線形状部からランドを長手方向の孔縁と直交する方向に後退させて、この直線形状部が取り付け孔の長手方向の孔縁のみに接するようなものであるのに対して、引用発明1においては、プリント基板に形成された部品端子挿入孔21?23が円形であり、かつ、半田付けランド11?13の外周に形成した形状部が、扇形形状の一辺をなす半円形状部であって、半田付けランド11?13の扇形形状が、前記半円形状部から、前記部品端子挿入孔21?26の配列方向と直交する方向に広がる一対の扇形を形成するようなものである点。

6.相違点についての検討及び判断
そこで、相違点1ないし相違点3について検討する。
(1)相違点1について
引用発明1におけるプリント基板を、種々の用途に適用してみようとすることは、当業者がごく自然に想起し得ることであり、本願明細書の段落【0002】に従来技術として記載されているような、ターミナルを固定する印刷回路基板に適用し、本願発明の相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(2)相違点2について
引用発明2は、通電ピン1の一端を孔部5から回路基板4へ突出させてかしめ付け、回路基板4に半田付けするものであり、端子をランドに半田付けするに当たり、引用発明2を適用し、本願発明の相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(3)相違点3について
一般に、取り付け孔の形状は、取り付けるべき端子の種類、形状、配置あるいは半田付けの態様等に応じて適宜選定されるべきものと解されるところ、端子挿入孔を長方形にすることは、例えば、特開平9-246725号公報(【図1】の長方形の非円形スルーホール3を参照のこと。)や特開平2-76291号公報(第4図(c)長方形孔1a”を参照のこと。)にみられるように、従来周知の技術である。
しかも、引用発明1においても、引用文献1の記載事項(d)に示したように、端子は概略長方形であり、取り付け孔としての部品端子挿入孔は、該端子の長手方向に配列されているのであるから、これに合わせて、部品端子挿入孔を長方形とし、これを基板に穿設することは、当業者が適宜採用し得ることというべきである。
そして、引用発明1は、引用文献1の記載事項(c)に示されているように、半田が盛り上がりやすい部品端子挿入孔付近で半田付けランドの露出部分の幅を狭くすることにより、各半田付けランド間の間隔を広くし、半田の短絡を防止するとともに、部品端子挿入孔から離れるに従い半田付けランドの露出部分の幅を広くして、半田付けに必要十分な面積を得るという技術課題を解決するものであるから、上述のように、引用発明1の部品端子挿入孔を長方形とした場合、半田付けランドの外周に形成した、部品端子挿入孔の口縁に接する扇形形状の一辺をなす形状部を、これに合わせて直線形状部とし、この直線形状部が長方形にした部品端子挿入孔の長手方向の孔縁のみに接するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることというべきである。
ところで、本願発明においては、ランドの平面形状は、直線形状部からランドを(長方形の取り付け孔の)長手方向の孔縁と直交する方向に後退させたものであるが、「後退」を長手方向の孔縁と直交する方向に、該孔縁から離れる態様と解すれば、上述のように、引用発明1において、部品端子挿入孔を長方形とした場合、半田付けランドの平面形状は、部品端子挿入孔の配列方向と直交する方向に広がる一対の扇形とするのであるから、半田付けランドの平面形状が、部品端子挿入孔の長手方向の孔縁と直交する方向に後退させたものとなっているといえる。
一方、本願の【図2】(a)及び(b)には、「直線形状部7a、7b」が、長方形に穿設されたターミナル取り付け孔5の長手方向の孔縁5aより幅広に形成されている様子が示されているが、これはさておき、「長手方向の孔縁と直交する方向に後退させる」を長手方向の孔縁と直交する方向に、この孔縁の幅から一定幅に形成することと解釈しても、引用文献1の第5図、第8図に、従来技術として、半田付けランド11?13の幅を一定とすることも示されているのであるから、引用発明1の半田付けランドを孔縁から一定幅のものとすることは、上述した半田の短絡防止、半田付け面積の確保という技術的課題のもと、部品端子挿入孔の大きさや間隔等に応じて適宜なし得るものというほかはない。
以上のことから、本願発明の相違点3に係る構成は、引用発明1に上述した周知の技術を適用することにより、当業者が容易になし得たものというべきである。

(4)相違点についての検討及び判断のむすび
本願発明を全体構成でみても、引用発明1、2及び上述した周知の技術から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。
したがって、本願発明は、引用発明1、2及び上述した周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-11-28 
結審通知日 2006-12-05 
審決日 2006-12-28 
出願番号 特願平10-78343
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲垣 浩司  
特許庁審判長 石原 正博
特許庁審判官 稲村 正義
平上 悦司
発明の名称 印刷回路基板  
代理人 三宅 始  
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