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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A45D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A45D
管理番号 1153072
審判番号 不服2004-14263  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-07-08 
確定日 2007-03-02 
事件の表示 平成11年特許願第199005号「折り畳み鏡」拒絶査定不服審判事件〔平成13年1月30日出願公開、特開2001-25410号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年7月13日の出願であって、平成15年10月22日付けで拒絶理由の通知がなされ、同年12月16日付けで手続補正がなされ、平成16年5月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月8日付けで拒絶査定不服の審判の請求がなされるとともに、同年8月9日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年8月9日付け手続補正の補正却下について
[結論]
平成16年8月9日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)本願補正発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。
「横長の平面鏡が2枚、左右に連結されており、互いの鏡面を対峙させた状態で折り畳み自在になっている目元観察用の折り畳み鏡であって、左右の平面鏡が、裏面および周囲にクッション材を当接させた状態で、鏡面露出用の切欠部が形成されたプラスチックシート製カバーで一体的に保持されているとともに、上記左右の平面鏡の露出した鏡面の大きさが、ともに縦3?5cm、横7?10cmに設定されていることを特徴とする折り畳み鏡。」
(上記下線部分が、今回補正された箇所である。)
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「折り畳み鏡」について「目元観察用の」との限定を付加し、同じく「折り畳み鏡」について「左右の平面鏡の露出した鏡面の大きさが、ともに縦3?5cm、横7?10cmに設定されている」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された実願昭52-153708号(実開昭54-79898号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、手鏡に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア.「本考案は平面鏡と凹面鏡(拡大鏡)を備えた手鏡を提供するものであつて、図示せる実施例は硬質芯板(1)の外面にスポンジ(2)を重合し、一対の芯材(3)(3)’を並べ配し其の内外両面に熱可塑性軟質合成樹脂シート(4)(4)’を当接すると共に当該内面シート(4)および外面シート(4)’を其の全周縁および両芯材(3)(3)’間に於て相互に高周波熔着することによつて二つ折り自在な主版(5)を構成し、この主版(5)の両側部(6)(6)’に於ける相互に対向する内面個所に平面鏡(7)と凹面鏡(8)を載置すると共にこれ等平面鏡(7)、凹面鏡(8)の上側に当該平面鏡(7)および凹面鏡(8)より内径が小さく外径が大きい熱可塑性軟質合成樹脂製の枠状シート(9)(9)’を被着し、この枠状シート(9)(9)’の外周縁を主版(5)の両側部(6)(6)’に於ける内面個所に高周波熔着したものである。本考案は叙上の如く平面鏡と凹面鏡とを備えているので使用に際して著しく利便であるは勿論であるが、特に叙上の如き構成になるので主版を二つ折りにした時には其の両側部が相互に蓋版として作用して平面鏡および凹面鏡を被覆するものであつて平面鏡、凹面鏡には格別に蓋を設ける必要がなく構成が簡単であるのみならず主版の二つ折り時には枠状シートが平面鏡と凹面鏡の間にクツシヨンとして挟入し同平面鏡および凹面鏡の破損等を防止するものであつて、即ち枠状シートは平面鏡、凹面鏡を押え止める作用の他に所謂クツシヨンとしての作用をも併せ果す著効があり、更に主版には硬質芯板の外面にスポンジを重合した芯材を内蔵したので手触が抜群に良く快適な使用に供し得る利点があり商品価値が高い等の諸効果を有するものである。」(明細書第2頁第4行?第4頁第7行)
イ.第4図には、熱可塑性軟質合成樹脂製の枠状シート(9)(9)’が、切欠部を通して左右の平面鏡(7)および凹面鏡(8)を露出するように主版(5)の両側部(6)(6)’に高周波熔着されていることが図示されているから、引用例の平面鏡(7)および凹面鏡(8)は、「鏡面露出用切欠部が形成された熱可塑性軟質合成樹脂製シートで一体的に保持されている」といえる。
また、引用例の平面鏡(7)および凹面鏡(8)は、熱可塑性軟質合成樹脂製シートおよび硬質芯板(1)を介して、スポンジ(2)を設けているから、「左右の平面鏡および凹面鏡が裏面側にクツシヨンを設けた状態」であるといえる。
上記記載事項及び図示内容から総合すると、引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「平面鏡(7)および凹面鏡(8)が左右に連結されており、互いの鏡面を対峙させた状態で折り畳み自在になっている手鏡であって、左右の平面鏡および凹面鏡が裏面側にクツシヨンを設けた状態で、鏡面露出用切欠部が形成された熱可塑性軟質合成樹脂製シートで一体的に保持されている手鏡。」

(3)対比・判断
本願補正発明と引用発明を対比すると、その構成および機能からみて、平面鏡(7)および凹面鏡(8)は鏡という概念では共通するから、後者の「平面鏡(7)および凹面鏡(8)が左右に連結されており」は前者の「鏡が2枚、左右に連結されており」に、後者の「手鏡」は前者の「折り畳み鏡」に、後者の「クツシヨン」は前者の「クッション材」に、後者の「熱可塑性軟質合成樹脂製シート」は前者の「プラスチックシート製カバー」に、それぞれ相当している。
また、後者の「手鏡」と前者の「折り畳み鏡」とは、「左右の鏡が、裏面側にクッション材を設けた状態」の点で共通している。
そうすると、両者は、
「鏡が2枚、左右に連結されており、互いの鏡面を対峙させた状態で折り畳み自在になっている折り畳み鏡であって、左右の鏡が、裏面側にクッション材を設けた状態で、鏡面露出用の切欠部が形成されたプラスチックシート製カバーで一体的に保持されている折り畳み鏡。」の点で一致しており、以下の点で相違している。
(相違点1)
2枚の鏡が、前者は、「横長の2枚の平面鏡」であり、左右の平面鏡の露出した鏡面の大きさにおいて、「ともに縦3?5cm、横7?10cm」に設定されているのにのに対して、後者は、「平面鏡(7)および凹面鏡(8)」であり、形状が横長となっていない点。
(相違点2)
折り畳み鏡が、前者は、「目元観察用」であるのに対し、後者は、手鏡ではあるが、目元観察用かどうかは不明である点。
(相違点3)
鏡が、前者は、「裏面および周囲にクッション材を当接させた状態」としたのに対し、後者は、そのように構成していない点。
上記相違点について検討する。
上記相違点1について、連結された2枚の鏡を、平面鏡とし、「横顔、特にマスカラを塗ったまつ毛等を横から観察する」に適するようにすることは、周知の技術(登録実用新案第3056034号公報、又は三面鏡等)であり、引用発明に上記周知の技術を適用することは、当業者が容易に想到できたものである。
また、鏡を横長にするかどうか、左右の平面鏡の露出した鏡面の大きさにおいて、「ともに縦3?5cm、横7?10cm」とするかどうかは、引用発明も手鏡である以上、手に持ち易いものであり、大きさは、当然3?10cm程度のものも含まれると想定できるから、鏡を横長とし、「ともに縦3?5cm、横7?10cm」に設定することは、当業者であれば、適宜設定できる設計的事項と認められる。
上記相違点2について、専ら目元観察のみに用いるかどうかは、使用者の判断に任されており、引用発明の「手鏡」も目元の観察にも用いることが可能であるから、上記相違点2は、事実上相違点とは認められない。
上記相違点3について、鏡の周縁部を挟持して固定する場合、鏡の周囲や裏面にクッション材を介在させて挟持・固定するのが普通であるから、鏡の周囲や裏面にクッション材を当接させることは、鏡の固定手段として、従来周知の技術(例えば、特開昭56-63309号公報、特開昭53-102535号公報参照。)であるということができる。そうすると、引用発明に上記周知の技術を適用することは、当業者が容易に想到しうることである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び上記周知の技術から当業者が予測できる程度のものであって格別なものではない。

(4)むすび
したがって、本願補正発明は、引用発明及び上記周知の技術の基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、本件補正は、同法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
平成16年8月9日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年12月16日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「横長の平面鏡が2枚、左右に連結されており、互いの鏡面を対峙させた状態で折り畳み自在になっている折り畳み鏡であって、左右の平面鏡が、裏面および周囲にクッション材を当接させた状態で、鏡面露出用の切欠部が形成されたプラスチックシート製カバーで一体的に保持されていることを特徴とする折り畳み鏡。」

4.引用例
上記「2.(2)」参照。

5.対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「折り畳み鏡」についての限定事項である「目元観察用の」との構成を省き、同じく「折り畳み鏡」についての限定事項である「左右の平面鏡の露出した鏡面の大きさが、ともに縦3?5cm、横7?10cmに設定されている」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「2.(3)」に記載したとおり、引用発明及び上記周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び上記周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-12-01 
結審通知日 2006-12-12 
審決日 2007-01-09 
出願番号 特願平11-199005
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A45D)
P 1 8・ 575- Z (A45D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 氏原 康宏  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 川本 真裕
和泉 等
発明の名称 折り畳み鏡  
代理人 西藤 征彦  
代理人 伊藤 健  

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