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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1153243
審判番号 不服2002-11820  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-06-27 
確定日 2007-03-05 
事件の表示 平成10年特許願第 42314号「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成11年8月31日出願公開、特開平11-235416〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯及び本願発明
本願は、平成10年2月24日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成14年3月11日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載から見て、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのもの(以下、「本願発明」という)と認める。

「遊技盤と、遊技盤の中央に配設された図柄表示装置と、図柄表示装置の下方に配置された始動口と、始動口の下方に配設された大入賞口とを備えたパチンコ機において、
前記図柄表示装置に表示される同一のキャラクタからなる複数のキャラクタ図柄が、図柄表示装置の周囲を囲むように配列され、
前記キャラクタ図柄の内少なくとも2つは、前記図柄表示装置と大入賞口との間で前記始動口の両側にて正立状態で配置されていることを特徴とするパチンコ機。」

2.引用刊行物記載の発明
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された「パチンコ必勝ガイド 2・9号増刊 爆裂年鑑‘98」平成10年2月9日株式会社白夜書房発行、第10巻第3号(通巻241号)(以下、「引用例」という)には、第108乃至113頁に「CRF・ビッグパワフルFX」に関する記事が掲載されており、特に次の事項が記載されている。

(1)「この機種は、大人気連チャンデジパチ『F・パワフルIII』の本格的なCR版として、発売前から話題になっていたが、出るや否やたちまち人気機種の仲間入りを果たし、新基準機が主流となっている現在でも、根強い人気を獲得している。唯一無二の9分割デジタルが織りなすゲーム性、以後2回の確変が生み出す爆発力、比較的甘い確率による安定性、人気キャラの夢夢ちゃんが活躍するリーチアクションなど、人気の理由は数多くある。まさに三拍子揃った優良機種といったところだ。」(第109頁右側中段)

(2)「大当りした時にデジタルが停止するよりも先にアタッカーが開いてしまう!」(第109頁左側下部)

(3)「ノーマルリーチだけだった前作に、夢夢ちゃんが登場するスーパーリーチが加わっているのも大きな特徴だ。ただし、スーパーが発生するのはセンターの絵柄待ちの状態になった場合で、左下待ち、右上待ちのリーチはノーマルだけとなる。また、複合形の場合でも、左下と右上のマスでハズれてセンター待ちになった時でないとスーパーにはならないようになっている。スーパーは上記の5種類。めくりとヒップチャンスはファイトリーチの発展したものといえる。夢夢ちゃんが登場して、「応援しちゃうね」といった後、変身せずに引っ込むのがファイトリーチ。変身したらめくりかヒップチャンスのいずれかに発展する。センター絵柄が一旦停止した時に、画面左から夢夢ちゃんが顔を出すのがかっ飛びリーチで、そのまま引っ込むとほとんど期待できないが、宙を飛んで絵柄を再始動させるとチャンス。ちなみに、オールフルーツのリーチの時に発生するスーパーは、このかっ飛びだけである。」(第111頁右側中段及び下段)

(4)「ワープからステージを経た玉がヘソ入賞へのメインのコースとなるので、ワープ入口の釘調整は他にも増して最重要となる。」(第112頁右側中段)

また、引用例に記載のデジパチが「遊技盤」を備えていることは自明であるから、以上の記載事項及び第108頁に掲載された写真等を参酌すると、引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という)が記載されているものと認められる。

「遊技盤と、遊技盤の中央に配設されたデジタルと、デジタルの下方に配置されたヘソ入賞と、ヘソ入賞の下方に配設されたアタッカーとを備えたデジパチにおいて、
前記デジタルに表示される同一のキャラクタからなる複数のキャラクタ図柄が、デジタルの周囲に配列されているデジパチ。」

3.対比
そこで、本願発明と引用発明を対比すると、引用発明の「デジタル」、「ヘソ入賞」、「アタッカー」及び「デジパチ」は、それぞれ本願発明の「図柄表示装置」、「始動口」、「大入賞口」及び「パチンコ機」に相当する。
したがって、両者は、「遊技盤と、遊技盤の中央に配設された図柄表示装置と、図柄表示装置の下方に配置された始動口と、始動口の下方に配設された大入賞口とを備えたパチンコ機において、前記図柄表示装置に表示される同一のキャラクタからなる複数のキャラクタ図柄が、図柄表示装置の周囲に配列されているパチンコ機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

【相違点】
図柄表示装置の周囲に配列された複数のキャラクタ図柄が、本願発明では図柄表示装置の周囲を「囲むように」配列され、「キャラクタ図柄の内少なくとも2つは、図柄表示装置と大入賞口との間で始動口の両側にて正立状態で配置されている」のに対して、引用発明では、図柄表示装置の周囲を「囲むように」は配列されておらず、また「キャラクタ図柄の内少なくとも2つは、図柄表示装置と大入賞口との間で始動口の両側にて正立状態で配置されている」点について記載がない点。

4.当審の判断
そこで、上記相違点について検討する。
複数のキャラクタ図柄を図柄表示装置の周囲を囲むように配列することは従来周知であり(「パチンコ必勝ガイド 2・9号増刊 爆裂年鑑‘98」平成10年2月9日株式会社白夜書房発行、第10巻第3号(通巻241号)、第44乃至47頁、「CRF・ピストル大名SR」に関する記事及び写真参照)、この周知技術を引用発明のキャラクタ図柄の配列に適用することは、当業者であれば容易になしえる。
また、遊技中の遊技者が始動口を狙ってパチンコ球を発射させることは、当業者にとって自明であるから、始動口付近にキャラクタ図柄を配置させることによって遊技者の視野内にキャラクタ図柄を収まりやすくするという着想は、当業者にしてみれば格別なものではなく、本願発明の「キャラクタ図柄の内少なくとも2つは、図柄表示装置と大入賞口との間で始動口の両側にて正立状態で配置されている」点は、単なる設計的事項にすぎない。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-11-08 
結審通知日 2006-12-05 
審決日 2006-12-21 
出願番号 特願平10-42314
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 英司  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 藤田 年彦
中槙 利明
発明の名称 パチンコ機  
代理人 山中 郁生  
代理人 富澤 孝  
代理人 岡戸 昭佳  

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