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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1153244
審判番号 不服2003-952  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-01-16 
確定日 2007-03-05 
事件の表示 特願2000-370689「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 6月 5日出願公開、特開2001-149591〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年12月25日に出願した特願平9-358113号の一部を平成12年12月5日に新たな特許出願としたものであって、平成14年4月18日付で拒絶理由通知がなされ、同年6月6日付で手続補正がなされ、同年7月12日付で最後の拒絶理由通知がなされ、同年9月9日付で手続補正がなされ、同年11月21日付で拒絶査定がなされるとともに、平成14年9月9日付手続補正書でした補正が、拒絶査定と同日付で補正却下の決定がなされ、これに対し、平成15年1月16日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同年2月13日付で手続補正がなされたものである。そして、平成15年2月13日付の手続補正は、補正却下の決定を不服として、補正却下となった平成14年9月9日付手続補正書でした補正と同一内容の補正を再度行ったものである。

2.平成15年2月13日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年2月13日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

「遊技球が特定の入賞口へ入賞、または特定の通過口を通過する判定条件が成立したことに起因して当たり外れの判定を行う判定手段と、該判定結果が当たりであると当たりを示す当たり図柄の静止表示を指示し該判定結果が外れであると外れを示す外れ図柄の静止表示を指示する表示指示手段と、図柄を変動表示させた後に前記表示指示手段から指示された当たり図柄または外れ図柄を静止表示させる図柄表示手段と、該図柄表示手段により前記当たり図柄が静止表示されると大入賞口の開放を規定ラウンド数に達するまで特別遊技として実行する特別遊技実行手段とを備える弾球遊技機において、
前記表示指示手段は、前記判定手段により前記判定が実行されると、前記特別遊技の実行中であると否とに関わらず前記判定結果に応じた当たり図柄または外れ図柄の静止表示を前記図柄表示手段に指示し、
前記図柄表示手段は、先行する前記判定結果の表示が未確定のときには前記表示指示手段からの指示を記憶し、先行する前記判定結果の表示の確定後に次の前記判定結果に応じた当たり図柄または外れ図柄の静止表示を行い、
前記特別遊技実行手段は、前記特別遊技の実行中に前記判定手段により前記判定が実行されその判定結果が当たりの場合には、先行する特別遊技が前記規定ラウンド数に達していなくても実行中のラウンドの終了を待って該特別遊技を強制終了させ、前記先行する特別遊技に継続して新たな特別遊技を実行することを特徴とする弾球遊技機。」

と補正された。
上記補正は、平成14年6月6日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「大入賞口を開放、または普通電動役物を作動させる特別遊技を実行する特別遊技実行手段」を「大入賞口の開放を規定ラウンド数に達するまで特別遊技として実行する特別遊技実行手段」と限定し、同じく「特別遊技実行手段」を「前記特別遊技実行手段は、前記特別遊技の実行中に前記判定手段により前記判定が実行されその判定結果が当たりの場合には、先行する特別遊技が前記規定ラウンド数に達していなくても実行中のラウンドの終了を待って該特別遊技を強制終了させ、前記先行する特別遊技に継続して新たな特別遊技を実行する」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について、平成14年11月21日付の補正却下の決定に不服である旨主張している理由を参酌し、以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-322965号公報(以下、引用例1という。)には、図面とともに、
「始動口への入賞に基づいて可変表示器による可変表示が行われ、この可変表示遊技の停止結果態様に基づき特別遊技状態の開始条件の付与が可能な遊技機において、
前記始動口が変動入賞装置により構成され、
前記特別遊技状態の開始条件の付与の前後に拘わらず前記可変表示器による可変表示遊技の開始を可能とさせる制御と、
前記特別遊技状態中における前記変動入賞装置を開放させる制御と、
を行う制御手段を備えていること、を特徴とする遊技機。」(特許請求の範囲、【請求項1】)、
「前記特別遊技状態中に行われる可変表示遊技により再度特別遊技状態の開始条件が成立した場合には、前記特別遊技状態において得られる遊技価値が増大される制御が行われること、を特徴とする請求項1に記載の遊技機。」(特許請求の範囲、【請求項2】)、
「【発明の属する技術分野】
本発明は、始動口への入賞に基づいて可変表示器による可変表示遊技が行われ、その可変表示遊技の停止結果態様に基づき特別遊技状態の開始条件の付与が可能な遊技機に関するものである。」(段落【0001】)、
「【従来の技術】
パチンコ遊技機において、その遊技領域内に、始動口(始動ゲートも含む)と、複数の識別情報を可変表示可能な・・・可変表示器、さらに、変動入賞装置等を備え、始動口への入賞に基づき可変表示器による可変表示遊技(変動表示遊技)を開始し、所定時間経過後に可変表示遊技を停止させてその停止表示態様を表示するようにしたものがある。」(段落【0002】)、
「・・・、その可変表示遊技結果が所定の停止表示態様(大当たりの図柄態様)になったことに基づき、大当たりを発生させて変動入賞装置を開放したり等して遊技者にとって有利な状態に変換させたり、或いは特別な遊技権利を与えたりする等の所謂セブン機(所謂第1種のパチンコ遊技機)や権利物・・・などが従来より知られている。」(段落【0003】)、
「また、例えば、・・・所謂一般電役機(所謂他種のパチンコ遊技機)等も知られている。」(段落【0004】)、
「さらに、最近では、遊技領域内に、前記可変表示器とは別に、始動ゲート及び補助可変表示器、始動口を兼ねた普通変動入賞装置などが設置され・・・るようにした遊技機も知られている。」(段落【0005】)、
「・・・、遊技機は、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機等の弾球遊技機が含まれる。識別情報には、数字、文字、記号およびキャラクター等の図柄、並びに、色彩など、視覚により識別可能な標章(識別標章)等が含まれる。可変表示器は液晶表示装置、CRT(陰極線管)表示装置、多数の発行素子を配列した表示装置、および、回転ドラムやベルトを使用したメカ式の表示装置など、どのような形式のものであってもよい。」(段落【0015】)、
「・・・特別遊技状態とは、通常遊技時に比べて遊技者に特に有利となる遊技状態をいい、例えば、複数の電動役物(上記始動口以外の変動入賞装置)の連鎖的な開放によって行われる。特別遊技状態は、可変表示器による可変表示遊技の結果として、その停止図柄が大当たりを発生させる特別停止表示態様(例えば、「ド,ド,ド」、「レ,レ,レ」、「ミ,ミ,ミ」などのぞろめ)となった場合に発生される。」(段落【0016】)、
「変動入賞装置は、いわゆるチューリップ型の入賞装置に限らず、アタッカー形式の入賞装置など、始動口を兼ねた変動型の入賞装置であればどのような形式のものであってもよい。」(段落【0017】)、
「・・・、特別遊技状態中に行われる可変表示遊技の結果が特別遊技状態の開始条件を満たしている場合は、該特別遊技状態において得られる遊技価値が増大されるので、その遊技価値の増大の形態として、例えば、特別遊技状態中に発生した大当たりにより遊技者にとって有利な特別遊技状態が長く続くようにすれば、特別遊技状態中の可変表示遊技の結果に対しての遊技者の期待感がより増大することとなって、特別遊技状態中の遊技の興趣がより高められる。」(段落【0019】)、
「・・・遊技盤1は電動役物を複数備えたいわゆる一般電役のパチンコ遊技機用のもので、遊技盤1のガイドレール2で囲まれた遊技領域3には、メインの可変表示器(第1の図柄表示器:図柄表示器1)4、第1の変動入賞装置(変動入賞装置1)5、第2の変動入賞装置(変動入賞装置2)6、第3の変動入賞装置(変動入賞装置3)7、メイン可変表示器4の始動口を兼ねた第4の変動入賞装置(変動入賞装置4)8、第2の図柄表示器(図柄表示器2)9、第3の図柄表示器(図柄表示器3)10、普図の可変表示器(第4の図柄表示器:図柄表示器4)11、普通図柄(普図)の始動ゲート12、メイン可変表示器4の始動口を兼ねたワープ入口13、・・・、などが配設されている。」(段落【0027】)、
「メインの可変表示器(第1の図柄表示器:図柄表示器1)4は、例えば、液晶表示装置からなる可変表示部4aを備えている。この可変表示部4aにおいて複数の識別情報(例えば、図柄)が変動表示されることによりメインの可変表示遊技が可能となっており、その上部には第1の記憶表示器(表示器1記憶LED)4b,4b,…等が設けられている。」(段落【0028】)、
「第1の変動入賞装置(変動入賞装置1)5は開閉部材5aを具備し、この開閉部材5aは常時は閉じた状態を保持している。が、メインの可変表示器(第1の図柄表示器:図柄表示器1)4の可変表示遊技の結果が遊技者にとって有利な結果になった場合には、第1の変動入賞装置(変動入賞装置1)5が開いて該第1の変動入賞装置(変動入賞装置1)5に遊技球が流入し易い状態に変化されるようになっている。・・・。」(段落【0029】)、
「第2の変動入賞装置(変動入賞装置2)6は開閉部材6aを具備し、この開閉部材6aは常時は閉じた状態を保持している。が、第2の図柄表示器(図柄表示器2)9の可変表示遊技の結果が遊技者にとって有利な結果になった場合には、第2の変動入賞装置(変動入賞装置2)6の開閉部材6aが開いて該第2の変動入賞装置(変動入所装置2)6に遊技球が流入し易い状態に変化されるようになっている。・・・。」(段落【0030】)、
「第3の変動入賞装置(変動入賞装置3)7は開閉部材7aを具備し、この開閉部材7aは常時は閉じた状態を保持している。が、第3の図柄表示器(図柄表示器3)10の可変表示遊技の結果が遊技者にとって有利な結果になった場合には、第3の変動入賞装置(変動入賞装置3)7の開閉部材7aが開いて該第3の変動入賞装置(変動入賞装置3)7に遊技球が流入し易い状態に変化されるようになっている。・・・。」(段落【0031】)、
「第4の変動入賞装置(変動入賞装置4)8は左右一対の開閉部材8a,8aを具備し、これら開閉部材8a,8aは、常時は遊技球が1個流入可能な程度の間隔で閉じた状態を保持している。が、普図の図柄表示器(第4の図柄表示器:図柄表示器4)8の可変表示遊技の結果が遊技者にとって有利な結果になった場合には、第4の変動入賞装置(変動入賞装置4)8の開閉部材8a,8aが逆「ハ」の字状に開いて、該第4の変動入賞装置4(変動入賞装置4)8に遊技球が流入し易い状態に変化されるようになっている。また、この第4の変動入賞装置(変動入賞装置4)8はメインの可変表示器(第1の図柄表示器:図柄表示器1)4の可変表示遊技の始動口も兼ね、その内部にメインの可変表示器(第1の図柄表示器:図柄表示器1)4の可変表示遊技の第1の始動スイッチ(始動スイッチ1)8bを備えている。この第1の始動スイッチ(始動スイッチ1)8bは第4の変動入賞装置(変動入賞装置4)8の入賞回数を検出するカウントスイッチも兼ねている。また、この第4の変動入賞装置(変動入賞装置4)8の上方には、普図始動ゲート12の通過の記憶数を表示する第4の記憶表示器(表示器4記憶LED)8cを備えている。」(段落【0032】)、
「ワープ入口13はメインの可変表示器4の始動口も兼ねていて、その内部にメインの可変表示器(第1の図柄表示器:図柄表示器1)4の第1の始動スイッチ(始動スイッチ1)13aを備えていて、遊技球がワープ入口13に入ると、その遊技球が内部経路を通ってワープ出口15から遊技領域3へ排出されるようになっている。」(段落【0035】)、
「役物制御回路20は、内部にCPU・・・、RAM・・・およびROM・・・を備えたワンチップマイクロコンピュータ21、表示制御回路40とワンチップマイクロコンピュータ21を結ぶI/F・・・などにより構成されている。」(段落【0037】)、
「・・・。第1の始動スイッチ(始動スイッチ1)8bは第4の変動入賞装置(変動入賞装置4)8への入賞のカウントスイッチを兼ね、・・・ている。」(段落【0038】)、
「CPU21aは、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグなどを備え、演算制御を行う他、メインの可変表示器(第1の図柄表示器:図柄表示器1)4の可変表示遊技における大当たり(特別遊技状態)発生確率を定めるための乱数、・・・なども生成している。」(段落【0042】)、
「RAM21bは、メインの可変表示器4の始動信号としてのメインの可変表示器(第1の図柄表示器:図柄表示器1)4にメインの可変表示遊技を行わせるための第1の始動スイッチ(始動スイッチ1)8b、13aのオン信号の記憶(メインの可変表示器4の始動記憶)、・・・領域を有する。」(段落【0043】)、
「・・・、このRAM21bは、CPU21aで生成される上記大当たり・・・発生確率を定めるための乱数値、・・・等の記憶領域を備える他、各種データを一時的に記憶する記憶領域やフラグ、並びに、CPU21aの作業領域等を備えている。」(段落【0044】)、
「ROM21cには、遊技上の制御プログラムや制御データが書き込まれている他、上記メインの可変表示器4の大当たり発生・・・を判定するための大当たり・・・の判定値、・・・などが書き込まれている。」(段落【0045】)、
「・・・、表示制御回路40は、内部にCPU・・・、RAM・・・およびROM・・・、VDP・・・、VDPのROMおよびRAMなどを備えている。そして、そのCPUは、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグなどを備え、演算制御を行うようになっている。また、ROMには可変表示部4aへの表示制御プログラム(各種リーチの可変表示遊技の表示制御プログラムも含む。)などが書き込まれ、RAMは各種データの記憶領域とCPUによる作業領域などを備えている。」(段落【0046】)、
「VDPのROMに書き込まれている図柄データとしては、例えば、図10に示すような、・・・、可変表示遊技用の図柄としての左上と左下の第1図柄、右上と右下の第2図柄及び真ん中の第3図柄の図柄データなどである。」(段落【0047】)、
「・・・、13図は第1?第3の全ての図柄が停止した状態を示す可変表示部4aの画像図である。・・・、図15はリーチ状態を経て第3図柄が外れの図柄で停止した状態を示す可変表示部4aの画像図である。・・・、図17は第1図柄と第2図柄が再変動した後に大当たり図柄で停止した状態を示す可変表示部4aの画像図、・・・である。」(段落【0051】)、
「・・・遊技領域3中に打ち込まれた遊技球が、メインの可変表示器4の始動口を兼ねたワープ入口13又は第4の変動入賞装置(変動入賞装置4)8に入賞すると、その入賞が第1のメインの可変表示器4の始動スイッチ(始動スイッチ1)8b、13aに検出されてRAM21bに記憶(メインの可変表示器4の始動記憶)され、その記憶に基づいてドライバー25から出力信号が送られて、メインの可変表示器(第1の図柄表示器:図柄表示器1)4中の可変表示部4aにおいてメインの可変表示遊技(メイン遊技)が行われる。」(段落【0053】)、
「・・・メインの可変表示遊技は、図10に示すようにレコードの背景図柄上で第1?第3の図柄が所定期間変動して停止する。通常時においては、その変動から停止に至るまで、レコード盤の背景図柄と第1?第3図柄は同じ濃い色(或いは、同じ色)の状態に保たれる。そして、・・・変動し、先ず第1図柄が停止し(図11)、次いで第2図柄が停止し(図12)、その後、第3図柄が停止する(図13)。第3図柄の停止時には、例えば、図13に示すように「STOP」の文字が表示されて当該可変表示遊技が終了したことが示される。」(段落【0054】)、
「このメインの可変表示遊技(メイン遊技)中に、さらにメインの可変表示器4の始動口を兼ねたワープ入口13又は第4の変動入賞装置(変動入賞装置4)8に遊技球が入賞して特図始動スイッチ(始動スイッチ1)8b、13aにより検出された時は、その入賞によるメインの可変表示遊技が未処理となっている回数がRAM21bに記憶されて、その未処理記憶数分の数だけ、表示器1記憶LED4bに点灯される。そして、その可変表示遊技の終了後に、未処理となっている回数分の可変表示遊技が順次行われ、その行われるごとに、RAM21bの未処理記憶数が減算されるとともに表示器1記憶LED4bが1つずつ順に消灯され、RAM21bの未処理記憶数が「0」になるまで継続される。」(段落【0055】)、
「・・・メインの可変表示遊技(メイン遊技)の結果として、例えば、図17に示すように、その停止図柄が斜め右下りライン或いは斜め右上がりライン上において大当たりを発生させる特別停止表示態様(例えば、「ド,ド,ド」、「レ,レ,レ」、「ミ,ミ,ミ」などのぞろめ)となった場合、大当たりと呼ばれる特別遊技状態が発生される。」(段落【0059】)、
「この特別遊技状態が発生すると、大当たりの発生表示の後、右打ちを促す表示が、可変表示部4aに表示される。」(段落【0060】)、
「・・・その後、第1の変動入賞装置(変動入賞装置1)5が、所定時間(例えば、5.8秒間)若しくは第2の始動スイッチ(始動スイッチ2)5bが所定個数の入賞をカウント(例えば、5カウント)するまでの開放が行われる。」(段落【0061】)、
「この状態で遊技領域3中に打ち込まれた遊技球が第1の変動入賞装置(変動入賞装置1)5に入賞(最大5個まで入賞可)すると、その入賞した球が第2の始動スイッチ(始動スイッチ2)5bに検出される。・・・、その検出回数がRAM21b中に記憶され、・・・、その記憶した数だけ上段側の第2の記憶表示器(表示器2記憶LED)6cに点灯表示される。」(段落【0062】)、
「下段側の第2の記憶表示器(表示器2記憶LED)6cには、特別遊技中に再度の大当たりが発生したときに、始動記憶をオーバーフローさせることなく、確実に大当たり状態を増大させるため、第1の変動入賞装置(変動入賞装置1)5への入賞記憶個数が表示されるようになっている。」(段落【0063】)、
「第2の記憶表示器・・・6cの点灯記憶に基づいて、第2の図柄表示器・・・9による可変表示遊技が開始され、所定時間・・・経過後に停止される。この場合、可変表示遊技の停止図柄は、殆ど当たりとなる(199/200)ようにROM21c中の乱数判定値が設定されている。」(段落【0064】)、
「この可変表示遊技は、第2の記憶表示器(表示器2記憶LED)6cの点灯個数(最大4個)と現在変動中の分だけ行われる。」(段落【0065】)、
「この可変表示遊技の停止図柄が当たりの場合は、その当たりの回数分だけ、第2の変動入賞装置・・・6の開閉部材6aが所定時間(例えば、5.8秒間)開放される。」(段落【0066】)、
「この第2の変動入賞装置・・・6が開放しているときに、該第2の変動入賞装置・・・6に遊技球が入賞すると、その入賞が第3の始動スイッチ・・・6bに検出される。・・・その検出回数がRAM21b中に記憶され、・・・、その記憶した数だけ第3の記憶表示器(表示器3記憶LED)7cが点灯される。」(段落【0067】)、
「次に、この第3の記憶表示器・・・7cの記憶に基づいて、第3の図柄表示器・・・10による可変表示遊技が開始され、所定時間(例えば、5.8秒間)経過後に停止される。」(段落【0068】)、
「・・・、その停止図柄が当たりの場合は、第3の変動入賞装置・・・7の開閉部材7aが所定時間・・・開放される。この場合、可変表示遊技の停止図柄は殆ど当たりとなる(199/200)ようにROM21c中の乱数判定値が設定されている。」(段落【0070】)、
「この第3の変動入賞装置・・・7が開放しているときに、該第3の変動入賞装置・・・7に遊技球が入賞すると、その入賞がカウントスイッチ7bに検出される。・・・その検出回数がRAM21b中に記憶され、その記憶した数が所定数(上限値)に達すると、第3の変動入賞装置・・・7のオフ信号がドライバー25に出力されて、第3の変動入賞装置・・・7の開閉部材7aが閉じられる。」(段落【0071】)、
「この特別遊技の開始後であっても、第1の変動入賞装置(変動入賞装置1)5の開閉部材5aが閉じられた後においては、第1の記憶表示器(表示器1記憶LED)4bの点灯記憶がある場合には、上記同様にメインの可変表示遊技(メイン遊技)が行われる。」(段落【0073】)、
「そのメインの可変表示遊技の結果、停止図柄が再度大当たり図柄となった場合には、再び第1の変動入賞装置(変動入賞装置1)5が開放され、上記と同様の特別遊技が行われる。」(段落【0074】)、
「このように、特別遊技中であっても、再度、メインの可変表示遊技が行われて再び大当たりが発生する可能性が生じ、一旦大当たりが発生して特別遊技状態が発生しているときであっても、その特別遊技状態中の遊技が単に消化遊技とならず、更なる大当たりの発生が期待できて、従来に無く斬新で興趣性の高い遊技機となる。」(段落【0075】)、
「一方、遊技領域3に打ち込まれた遊技球が普図の始動ゲート12を通過して普図始動スイッチ(第4の始動スイッチ:始動スイッチ4)12aからの検出信号がローパスフィルター26側から入力されると、その検出がRAM21bに記憶され、その記憶に基づきドライバー25へ駆動信号が送られて普図の可変表示器(第4の図柄表示器:図柄表示器4)11で普図の可変表示遊技(補助変動遊技)が行われる。」(段落【0076】)、
「・・・普図の可変表示遊技(補助変動遊技)の結果、当たりの停止表示態様(例えば「7」)であれば、普図の当たり(当たり確率は、例えば1/4程度)となって、第4の変動入賞装置(変動入賞装置4)8が所定時間(例えば、0.5秒間)開放される。それにより、第4の変動入賞装置(変動入賞装置4)8に遊技球が入賞しやすくなり、その分、メインの可変表示遊技(メイン遊技)の始動が容易となる。」(段落【0079】)、
「図3には、役物制御回路20によって行われるメイン遊技制御処理(ゼネラルフロー)のフローチャートを示す。」(段落【0083】)、
「この制御処理は、図2の分周回路22のクロック信号を基に、役物用ワンチップマイクロコンピュータ21で作成される所定周期(例えば、約2ms)のリセット信号に基づいて、スタートからエンドまでの1シーケンスずつの処理が行われる。」(段落【0084】)、
「そのリセット信号に基づいてこの処理が開始されると、先ず、ステップS1において電源の投入時であるか否かを判定する。この判定の結果、電源投入時であれば、ステップS2で電源投入処理を行って、そのままシーケンス処理を終了する。」(段落【0085】)、
「・・・、ステップS3においてメインの可変表示器4の始動スイッチ(第1の始動スイッチ:始動スイッチ1)8b、13aの入力処理をしてステップS4に移行する。」(段落【0086】)、
「ステップS4では、制御処理の過程で定められる処理NO.に従って、ステップS5?ステップS11のうちの該当する処理を行う分岐処理がなされる。」(段落【0087】)、
「この分岐処理の順序としては図4・・・に示すように、普段処理(ステップS5)でメインの可変表示器4の始動口を兼ねたワープ入口13又は第4の変動入賞装置・・・8への入賞に基づく始動記憶があるときには、そのシーケンス中に変動処理(ステップS5)の処理NO.に変更されて、ゼネラルフロー(図3)の次のシーケンス時に変動処理(ステップS6)に移行される。この変動処理(ステップS6)は可変表示部4aに図柄の表示を肉眼では追えない程度の速さで変動させる処理である。」(段落【0088】)、
「この変動処理(ステップS6)に続いて変動停止処理(ステップS7)が行われる。この変動停止処理(ステップS7)は可変表示部4aに表示される可変表示図柄が、例えば、第1図柄(左図柄)、第2図柄(右図柄)、第3図柄(中図柄)の3つの可変表示図柄で構成される場合に、第1図柄(左図柄)、第2図柄(左図柄)第3図柄(中図柄)の順に停止させる処理である。」(段落【0089】)、
「この変動停止処理(ステップS7)において、可変表示図柄停止する過程で、第1図柄(左図柄)と第2図柄が停止した段階でその2つが同一図柄(例えば、「ド,ド,-」、「レ,レ,-」など)となった場合は、リーチ変動処理(ステップS8)を経由して図柄判定処理(ステップS9)に移行する。が、リーチ以外の図柄の場合は、直接、図柄判定処理(ステップS9)に移行する。」(段落【0090】)、
「リーチ変動処理(ステップS8)は、普段処理(ステップS5)中に決定されたリーチの種類に応じた態様のリーチ可変表示遊技を行わせる処理である。・・・。」(段落【0091】)、
「リーチ図柄であった場合はリーチ変動処理(ステップS8)を経た次のシーケンスで、リーチ図柄でなかった場合は変動停止処理(ステップS7)の直ぐ後のシーケンスで、それぞれ、図柄判定処理(ステップS9)が行われる。この図柄判定処理では、最終停止図柄(例えば、第3図柄)の停止とその結果が大当たりか否かの判定とを行う。その判定の結果、大当たり図柄以外の停止であれば外れ処理(ステップS10)の処理NO.に、大当たり図柄であれば大当たり処理(ステップS11)の処理NO.に、それぞれ変更されて、ゼネラルフロー(図3)の次のシーケンスでその変更された処理NO.に応じた、外れ処理(ステップS10)、又は大当たり処理(ステップS11)が行われる。」(段落【0092】)、
「その結果、外れ処理(ステップS10)が行われるときには、該外れ処理の次のシーケンスで、ゼネラルフロー(図3)の普段処理(ステップS5)に戻される。」(段落【0093】)、
「大当たり処理(ステップS11)が行われるときには、該大当たり処理の終了後のシーケンスで、普段処理(ステップS5)(図3)が行われる。」(段落【0094】)、
「このような順序で行われる上記ステップS4における分岐処理により、普段処理(ステップS5)、変動処理(ステップS6)、変動停止処理(ステップS7)、リーチ変動処理(ステップS8)、図柄判定処理(ステップS9)、外れ処理(ステップS10)、第1の変動入賞装置(変動入賞装置1)5を開放させてから閉じさせる迄の間の処理を行う大当たり処理(ステップS11)の中で処理NO.に対応する処理をして次のステップS12に移行する。」(段落【0095】)、
「その後、第4の変動入賞装置(変動入賞装置4)8及び普図の図柄表示器(第4の図柄表示器:図柄表示器4)11の制御処理(ステップS12)、第2及び第3の図柄表示器(図柄表示器2,3)9、10と特別遊技中に行われる第2及び第3の変動入賞装置(変動入賞装置2,3)6、7等の処理を行う特別遊技中処理(ステップS13)、RAM21b中におけるメインの可変表示器(第1の図柄表示器:図柄表示器1)4の大当たり発生用乱数値を更新するメイン停止図柄乱数更新処理(ステップS14)、RAM21b中における第2?第4の図柄表示器(表示器2?4)9?11の当たり発生用乱数値を更新するサブ停止図柄乱数更新処理(ステップS15)、メインの可変表示器(第1の可変表示器:図柄表示器1)4の停止図柄の作成(更新)を行うメイン停止図柄作成処理(ステップS16)、第2?第4の図柄表示器(図柄表示器2?4)9?11の停止図柄の作成を行うサブ停止図柄作成処理(ステップS17)、ドライバー25側から、第2?第4図柄表示器(2?4)9?11、第1?第4の記憶表示器(表示器1?4記憶LED)4b、6c、7c、8c、第1?第4の変動入賞装置(変動入賞装置1?4)5?8等へ制御信号を出力する出力処理(ステップS18)をして、このシーケンスの処理を終了する。」(段落【0096】)、
「その後、ワンチップマイクロコンピュータ21に分周回路22からの次のリセット信号が入るのを待って、次回のシーケンス処理(ステップS1?S18までの処理)が行われる。」(段落【0097】)、
「・・・図柄判定処理(ステップS9)が開始されると、まず、ステップS21で大当たり図柄であるか否かを判定し、大当たり図柄でない場合は、ステップS22で普段処理の処理NO.に変更してこのサブルーチン処理を終了し図3のゼネラルフローの次ステップS12に移行するが、大当たりの場合は、ステップS23に移行して時短カウンタが「0」であるか否かを判定する。」(段落【0099】)、
「・・・大当たり処理(ステップS11)が開始されると、まず、第1の変動入賞装置(変動入賞装置1)5の開放処理(ステップS41)と、第2の図柄表示器(図柄表示器2)9の第2の始動スイッチ(始動スイッチ2)5bの有効化処理(ステップS42)を行ってステップS43に移行する。」(段落【0107】)、
「ステップS46では、第1の変動入賞装置(変動入賞装置1)5の開放時間が所定時間(例えば、5.8秒間)を経過しているか否かを判定し、所定時間を経過している場合はステップS47に移行するが、所定時間を経過していない場合はそのままサブルーチン処理を終了する。」(段落【0110】)、
「ステップS47に移行したときには、第1の変動入賞装置(変動入賞装置1)5の開閉部材5aの閉鎖処理(ステップS47)、第2の図柄表示器(図柄表示器2)9の第2の始動スイッチ(始動スイッチ2)5bの無効化処理(ステップS48)、普段処理の処理NO.に変更する処理(ステップS49)を順に行って、このサブルーチン処理を終了して、図3のゼネラルフローのステップS12に移行する。」(段落【0111】)、
「第4の図柄表示器(図柄表示器4)11の普段処理(ステップS53)が行われると、RAM21bに第4の図柄表示器(図柄表示器4)11の始動記憶があるか否かを判定し、始動記憶がない場合はそのままこのサブルーチンを終了し、ある場合は・・・ステップS63へ移行する。」(段落【0119】)、
「ステップS63では、RAM21b中から取り出した乱数が当たりであるか否かを判断し、当たりでない場合はステップS64で第4の図柄表示器(図柄表示器4)11の停止態様を外れ図柄にする外れ図柄決定処理を行ってステップS66に移行する。が、当たりの場合はステップS65に移行し、第4の図柄表示器(図柄表示器4)11の停止態様を当たり図柄にする当たり停止図柄決定処理を行って、ステップS66に移行する。」(段落【0120】)、
「・・・図柄判定処理(ステップS56)が行われると、先ず、ステップS81で図8の普段処理(ステップS53)のサブルーチン中で決定された第4の図柄表示器(図柄表示器4)11の停止図柄が当たり図柄であるか否かを判定し、当たり図柄でない場合はそのまま本サブルーチン処理を終了するが、当たり図柄の場合はステップS82に移行する。」(段落【0124】)、
「役物制御回路20は上記のような遊技制御処理(ゼネラルフロー)を行い、該ゼネラルフローの中で、メインの可変表示器(第1の図柄表示器1:図柄表示器1)4に表示させる図柄やその表示位置などを決定および編集して、その決定および編集したデータに基づく命令データを表示制御回路40に送信する。そして、この命令データに基づく表示制御回路40の表示制御より、メインの変動表示遊技でリーチ状態となって特定遊技状態が発生したときなどに、次のようなメインの可変表示遊技(メイン遊技)の画像表示がメインの可変表示器(第1の図柄表示器1:図柄表示器1)4において行われる。」(段落【0128】)、
「この発明の実施の形態に係る遊技機(例えば、パチンコ遊技機)によれば、メインの可変表示器(第1の図柄表示器:図柄表示器1)による可変表示遊技の開始を特別遊技状態の開始条件の付与の前後に拘わらず開始を可能としているため、特別遊技状態(大当たりの遊技)中でも可変表示遊技が行われるので、従来のように大当たり(特別遊技)中は可変表示遊技が行われない場合に比べて、特別遊技状態(大当たりの遊技)が単に次の通常遊技までの消化ゲーム的になることがなく、特別遊技状態(大当たりの遊技)中でも遊技者の遊技に対する興味を維持させることができる。」(段落【0129】)、
「・・・、特別遊技状態中に行われる可変表示遊技の結果が特別遊技状態の開始条件を満たしている場合は、該特別遊技状態において得られる遊技価値が増大されるので、その遊技価値の増大の形態として、例えば、特別遊技状態中に発生した大当たりにより遊技者にとって有利な特別遊技状態が長く続くようにすれば、特別遊技状態中の可変表示遊技の結果に対しての遊技者の期待感がより増大することとなって、特別遊技状態中の遊技の興趣がより高められる。」(段落【0131】)、
「特に第2の記憶表示器6cの記憶領域を最大8個まで可能としているため、1回の大当たりで4個使用しても、残り4個の記憶領域を持っている。このため、大当たり中に再度大当たりが発生しても、第1の変動入賞装置5への入賞をオーバーフローすることなく記憶できるので、確実に特別遊技状態の遊技価値の増大させることが出来る。」(段落【0132】)、
「遊技機は、パチンコ遊技機に限らず、アレンジボール遊技機、雀球遊技機等の弾球遊技機が含まれる。識別情報には、数字、文字、記号およびキャラクター等の図柄、並びに、色彩など、視覚により識別可能な標章(識別標章)等が含まれる。可変表示器は液晶表示装置、CRT(陰極線管)表示装置、多数の発行素子を配列した表示装置、および、回転ドラムやベルトを使用したメカ式の表示装置など、どのような形式のものであってもよい。」(段落【0135】)、
「特別遊技状態とは、通常遊技時に比べて遊技者に特に有利となる遊技状態をいい、例えば、複数の電動役物(上記始動口以外の変動入賞装置)の連鎖的な開放などによって行われる。特別遊技状態は、可変表示器による可変表示遊技の結果として、その停止図柄が大当たりを発生させる特別停止表示態様(例えば、「ド,ド,ド」、「レ,レ,レ」、「ミ,ミ,ミ」などのぞろめ)となった場合に発生される。」(段落【0136】)、
「変動入賞装置は、いわゆるチューリップ型の入賞装置に限らず、アタッカー形式の入賞装置など、始動口を兼ねた変動型の入賞装置であればどのような形式のものであってもよい。」(段落【0137】)、
「・・・、実施例では特別遊技状態中は盤面の右側を狙う右打ちの構成であったが、特別遊技状態中に打ち方を変えないものでもよい。」(段落【0138】)、
「【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、可変表示器による可変表示遊技の開始を特別遊技状態の開始条件の付与の前後に拘わらず可能としているため、特別遊技状態(大当たりの遊技)中でも可変表示遊技が行われるので、従来のように大当たり(特別遊技)中は可変表示遊技が行われない場合に比べて、特別遊技状態(大当たりの遊技)が単に次の通常遊技までの消化ゲーム的になることがなく、特別遊技状態(大当たりの遊技)中でも遊技者の遊技に対する興味を維持させることができる。」(段落【0140】)、
「請求項2記載の発明によれば、特別遊技状態中に行われる可変表示遊技の結果が特別遊技状態の開始条件を満たしている場合は、該特別遊技状態において得られる遊技価値が増大されるので、その遊技価値の増大の形態として、例えば、特別遊技状態中に発生した大当たりにより遊技者にとって有利な特別遊技状態が長く続くようにすれば、特別遊技状態中の可変表示遊技の結果に対しての遊技者の期待感がより増大することとなって、特別遊技状態中の遊技の興趣がより高められる。」(段落【0142】)
との記載が認められる。
また、上記摘記事項および図3・7・8等より、普段処理(ステップS5)でメインの可変表示器4の始動口を兼ねたワープ入口13又は第4の変動入賞装置8への入賞に基づく始動記憶があるときには、そのシーケンス中に変動処理の処理NO.に変更されて、ゼネラルフローの次のシーケンス時に変動処理に移行されること、リーチ変動処理(ステップS8)は、普段処理中に決定されたこと、第4の図柄表示器11の普段処理が行われると、RAM21bに第4の図柄表示器11の始動記憶があるか否かを判定し、始動記憶がない場合はそのままこのサブルーチンを終了し、ある場合は、RAM21b中から取り出した乱数が当たりであるか否かを判断し、当たりでない場合は第4の図柄表示器11の停止態様を外れ図柄にする外れ図柄決定処理を行って、当たりの場合は、第4の図柄表示器11の停止態様を当たり図柄にする当たり停止図柄決定処理を行うこと、図9の図柄判定処理が行われると、先ず、図8の普段処理のサブルーチン中で決定された第4の図柄表示器11の停止図柄が当たり図柄であるか否かを判定し、当たり図柄でない場合はそのまま本サブルーチン処理を終了するが、当たり図柄の場合はステップS82に移行すること等、また、遊技球の入賞による当たりハズレを乱数を用いて抽選し判定することは例をあげるまでもなく周知であるから、普段処理では、「遊技球が第4の変動入賞装置8へ入賞、またはワープ入口13に入賞すると大当たりか否かの判定を行う当否判定手段」を有するものと認められ、
また、上記摘記事項および図3・4・5等より、始動口への入賞に基づいて可変表示器による可変表示が行われ、この可変表示遊技の停止結果態様に基づき特別遊技状態の開始条件の付与が可能な遊技機であること、図柄判定処理では、最終停止図柄(例えば、第3図柄)の停止とその結果が大当たりか否かの判定とを行い、その判定の結果、大当たり図柄以外の停止であれば外れ処理(ステップS10)の処理NO.に、大当たり図柄であれば大当たり処理(ステップS11)の処理NO.に、それぞれ変更されて、ゼネラルフロー(図3)の次のシーケンスでその変更された処理NO.に応じた、外れ処理、又は大当たり処理が行われること、メインの可変表示器4の停止図柄の作成(更新)を行うメイン停止図柄作成処理(ステップS16)、出力処理(ステップS18)をして、このシーケンスの処理を終了すること、第4の図柄表示器11の普段処理(ステップS53)が行われると、始動記憶がある場合は、RAM21b中から取り出した乱数が当たりであるか否かを判断し、当たりでない場合は第4の図柄表示器11の停止態様を外れ図柄にする外れ図柄決定処理を行い、当たりの場合は、第4の図柄表示器11の停止態様を当たり図柄にする当たり停止図柄決定処理を行うこと、図柄判定処理(ステップS56)が行われると、先ず、図8の普段処理(ステップS53)のサブルーチン中で決定された第4の図柄表示器11の停止図柄が当たり図柄であるか否かを判定すること、役物制御回路20は遊技制御処理(ゼネラルフロー)を行い、該ゼネラルフローの中で、メインの可変表示器4に表示させる図柄やその表示位置などを決定および編集して、その決定および編集したデータに基づく命令データを表示制御回路40に送信し、この命令データに基づく表示制御回路40の表示制御より、メインの可変表示遊技(メイン遊技)の画像表示がメインの可変表示器4において行われること等、また、当たりハズレの判定結果から当たり図柄またはハズレ図柄を停止図柄として静止表示の指示をするような制御は例をあげるまでもなく周知であるから、役物制御回路20は、「大当たりか否かの判定の結果が大当たりであれば大当たりを示す大当たり図柄の停止表示を指示しその判定の結果が大当たり図柄以外の図柄であれば外れを示す大当たり図柄以外の停止表示を指示するメイン停止図柄表示指示手段」を有するものと認められ、
また、上記摘記事項および図1・17等より、特別遊技状態とは、通常遊技時に比べて遊技者に特に有利となる遊技状態をいい、例えば、複数の電動役物の連鎖的な開放によって行われること、特別遊技状態は、可変表示器による可変表示遊技の結果として、その停止図柄が大当たりを発生させる特別停止表示態様となった場合に発生され、例えば、図17に示すように、その停止図柄が斜め右下りライン或いは斜め右上がりライン上において大当たりを発生させる特別停止表示態様(例えば、「ド,ド,ド」、「レ,レ,レ」、「ミ,ミ,ミ」などのぞろめ)となった場合、大当たりと呼ばれる特別遊技状態が発生されること、この特別遊技状態が発生すると、大当たりの発生表示の後、右打ちを促す表示が、可変表示部4aに表示され、その後、第1の変動入賞装置5が、所定時間(例えば、5.8秒間)若しくは第2の始動スイッチ5bが所定個数の入賞をカウント(例えば、5カウント)するまでの開放が行われ、この状態で遊技領域3中に打ち込まれた遊技球が第1の変動入賞装置5に入賞(最大5個まで入賞可)すると、その入賞した球が第2の始動スイッチ5bに検出され、その検出回数がRAM21b中に記憶され、その記憶した数だけ上段側の第2の記憶表示器6cに点灯表示され、下段側の第2の記憶表示器6cには、特別遊技中に再度の大当たりが発生したときに、始動記憶をオーバーフローさせることなく、確実に大当たり状態を増大させるため、第1の変動入賞装置5への入賞記憶個数が表示されるようになっており、第2の記憶表示器6cの点灯記憶に基づいて、第2の図柄表示器9による可変表示遊技が開始され、所定時間経過後に停止されること、この可変表示遊技の停止図柄が当たりの場合は、その当たりの回数分だけ、第2の変動入賞装置6の開閉部材6aが所定時間(例えば、5.8秒間)開放され、この第2の変動入賞装置6が開放しているときに、該第2の変動入賞装置6に遊技球が入賞すると、その入賞が第3の始動スイッチ6bに検出され、その検出回数がRAM21b中に記憶され、その記憶した数だけ第3の記憶表示器7cが点灯され、この第3の記憶表示器7cの記憶に基づいて、第3の図柄表示器10による可変表示遊技が開始され、所定時間(例えば、5.8秒間)経過後に停止され、その停止図柄が当たりの場合は、第3の変動入賞装置7の開閉部材7aが所定時間開放され、この第3の変動入賞装置7が開放しているときに、該第3の変動入賞装置7に遊技球が入賞すると、その入賞がカウントスイッチ7bに検出され、その検出回数がRAM21b中に記憶され、その記憶した数が所定数(上限値)に達すると、第3の変動入賞装置7のオフ信号がドライバー25に出力されて、第3の変動入賞装置7の開閉部材7aが閉じられること等から、役物制御回路20は、「メインの可変表示器4により大当たり図柄が停止表示されると複数の電動役物の連鎖的な開放などによって行われる特別遊技状態とする特別遊技状態実行手段」を有するものと認められ、
また、上記摘記事項および図1・3等より、メインの可変表示遊技中に、さらにワープ入口13又は第4の変動入賞装置8に遊技球が入賞して特図始動スイッチ8b、13aにより検出された時は、その入賞によるメインの可変表示遊技が未処理となっている回数がRAM21bに記憶されて、その未処理記憶数分の数だけ、表示器1記憶LED4bに点灯され、その可変表示遊技の終了後に、未処理となっている回数分の可変表示遊技が順次行われ、その行われるごとに、RAM21bの未処理記憶数が減算されるとともに表示器1記憶LED4bが1つずつ順に消灯され、RAM21bの未処理記憶数が「0」になるまで継続されること、特別遊技の開始後であっても、第1の変動入賞装置5の開閉部材5aが閉じられた後においては、第1の記憶表示器4bの点灯記憶がある場合には、上記同様にメインの可変表示遊技が行われ、特別遊技中であっても、再び大当たりが発生する可能性が生じること等から、メイン停止図柄表示指示手段は、「当否判定手段により判定が実行されると、特別遊技状態の開始条件の付与の前後に拘わらず前記判定結果に応じた可変表示遊技による大当たり図柄または大当たり図柄以外の図柄の停止表示を前記メインの可変表示器4に指示する」ものと認められ、
また、上記摘記事項および図1・3等より、メインの可変表示遊技の結果、停止図柄が再度大当たり図柄となった場合には、再び第1の変動入賞装置5が開放され、上記と同様の特別遊技が行われること、特別遊技中であっても、再度、メインの可変表示遊技が行われて再び大当たりが発生する可能性が生じ、一旦大当たりが発生して特別遊技状態が発生しているときであっても、その特別遊技状態中の遊技が単に消化遊技とならず、更なる大当たりの発生が期待できること、特別遊技状態中に行われる可変表示遊技の結果が特別遊技状態の開始条件を満たしている場合は、該特別遊技状態において得られる遊技価値が増大されるので、その遊技価値の増大の形態として、例えば、特別遊技状態中に発生した大当たりにより遊技者にとって有利な特別遊技状態が長く続くようにすれば、特別遊技状態中の可変表示遊技の結果に対しての遊技者の期待感がより増大すること等から、特別遊技状態実行手段は、「特別遊技中であっても、再度、メインの可変表示遊技が行われて、そのメインの可変表示遊技の結果、停止図柄が再度大当たり図柄となった場合には、再び第1の変動入賞装置5が開放され、遊技者にとって有利な特別遊技状態が長く続くようにする」ものと認められる。これらの記載によれば、引用例1には、

「遊技球が第4の変動入賞装置8へ入賞、またはワープ入口13に入賞すると大当たりか否かの判定を行う当否判定手段と、その判定の結果が大当たりであれば大当たりを示す大当たり図柄の停止表示を指示しその判定の結果が大当たり図柄以外の図柄であれば外れを示す大当たり図柄以外の図柄の停止表示を指示するメイン停止図柄表示指示手段と、メインの可変表示遊技が行われた後に前記メイン停止図柄表示指示手段から指示された大当たり図柄または大当たり図柄以外の図柄を停止表示させるメインの可変表示器4と、該メインの可変表示器4により前記大当たり図柄が停止表示されると複数の電動役物の連鎖的な開放などによって行われる特別遊技状態とする特別遊技状態実行手段とを備えるパチンコ遊技機において、
前記メイン停止図柄表示指示手段は、前記当否判定手段により前記判定が実行されると、前記特別遊技状態の開始条件の付与の前後に拘わらず前記判定結果に応じた可変表示遊技による大当たり図柄または大当たり図柄以外の図柄の停止表示を前記メインの可変表示器4に指示し、
前記メインの可変表示器4は、メインの可変表示遊技中に、さらにメインの可変表示器4の始動口を兼ねたワープ入口13又は第4の変動入賞装置8に遊技球が入賞して特図始動スイッチ8b、13aにより検出された時は、その入賞によるメインの可変表示遊技が未処理となっている回数がRAM21bに記憶されて、その可変表示遊技の終了後に、未処理となっている回数分の可変表示遊技が順次行われて前記判定の結果に応じた大当たり図柄または大当たり図柄以外の図柄の停止表示を行い、
前記特別遊技状態実行手段は、前記特別遊技中であっても、再度、メインの可変表示遊技が行われて、そのメインの可変表示遊技の結果、停止図柄が再度大当たり図柄となった場合には、再び第1の変動入賞装置5が開放され、遊技者にとって有利な特別遊技状態が長く続くようにするパチンコ遊技機。」

との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「第4の変動入賞装置8」、「ワープ入口13」、「入賞すると」、「大当たりか否かの判定を行う当否判定手段」、「その判定の結果が大当たりであれば大当たりを示す大当たり図柄の停止表示を指示しその判定の結果が大当たり図柄以外の図柄であれば外れを示す大当たり図柄以外の図柄の停止表示」、「メイン停止図柄表示指示手段」、「メインの可変表示遊技が行われた後に」、「メインの可変表示器4」、「パチンコ遊技機」、「メインの可変表示遊技中に、さらにメインの可変表示器4の始動口を兼ねたワープ入口13又は第4の変動入賞装置8に遊技球が入賞して特図始動スイッチ8b、13aにより検出された時は」、「RAM21bに記憶されて」、「その可変表示遊技の終了後に」および「未処理となっている回数分の可変表示遊技が順次行われて前記判定の結果に応じた大当たり図柄または大当たり図柄以外の図柄の停止表示を行い」は、本願補正発明の「特定の入賞口」、「特定の通過口」、「通過する判定条件が成立したことに起因して」、「当たり外れの判定を行う判定手段」、「該判定結果が当たりであると当たりを示す当たり図柄の静止表示を指示し該判定結果が外れであると外れを示す外れ図柄の静止表示」、「表示指示手段」、「図柄を変動表示させた後」、「図柄表示手段」、「弾球遊技機」、「先行する前記判定結果の表示が未確定のときには」、「記憶し」、「先行する前記判定結果の表示の確定後に」および「次の前記判定結果に応じた当たり図柄または外れ図柄の静止表示を行い」に相当すると認められる。
また、引用例1発明の「大当たり図柄が停止表示されると複数の電動役物の連鎖的な開放などによって行われる特別遊技状態とする特別遊技状態実行手段」と、本願補正発明の「当たり図柄が静止表示されると大入賞口の開放を規定ラウンド数に達するまで特別遊技として実行する特別遊技実行手段」は、「当たり図柄が静止表示されると通常遊技時よりも特に有利な特定の遊技を実行する特定遊技実行手段」で共通し、また、引用例1発明の「特別遊技状態の開始条件の付与の前後に拘わらず」と、本願補正発明の「特別遊技の実行中であると否とに関わらず」は、「開始時期の条件により」で共通し、また、引用例1発明の「その入賞によるメインの可変表示遊技が未処理となっている回数」と、本願補正発明の「前記表示指示手段からの指示」は、「図柄表示に関する所定の情報」で共通し、また、引用例1発明の「再び第1の変動入賞装置5が開放され、遊技者にとって有利な特別遊技状態が長く続くようにする」と、本願補正発明の「先行する特別遊技が前記規定ラウンド数に達していなくても実行中のラウンドの終了を待って該特別遊技を強制終了させ、前記先行する特別遊技に継続して新たな特別遊技を実行する」は、「新たな特定の遊技を実行する」で共通する。したがって、両者は、

「遊技球が特定の入賞口へ入賞、または特定の通過口を通過する判定条件が成立したことに起因して当たり外れの判定を行う判定手段と、該判定結果が当たりであると当たりを示す当たり図柄の静止表示を指示し該判定結果が外れであると外れを示す外れ図柄の静止表示を指示する表示指示手段と、図柄を変動表示させた後に前記表示指示手段から指示された当たり図柄または外れ図柄を静止表示させる図柄表示手段と、該図柄表示手段により前記当たり図柄が静止表示されると通常遊技時よりも特に有利な特定の遊技を実行する特定遊技実行手段とを備える弾球遊技機において、
前記表示指示手段は、前記判定手段により前記判定が実行されると、開始時期の条件により前記判定結果に応じた当たり図柄または外れ図柄の静止表示を前記図柄表示手段に指示し、
前記図柄表示手段は、先行する前記判定結果の表示が未確定のときには図柄表示に関する所定の情報を記憶し、先行する前記判定結果の表示の確定後に次の前記判定結果に応じた当たり図柄または外れ図柄の静止表示を行い、
前記特定遊技実行手段は、前記特定の遊技の実行中に前記判定手段により前記判定が実行されその判定結果が当たりの場合には、新たな特定の遊技を実行する弾球遊技機。」

の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1、特定遊技実行手段が通常遊技時よりも特に有利な特定の遊技を実行することにおいて、本願補正発明では、「特別遊技実行手段が大入賞口の開放を規定ラウンド数に達するまで特別遊技として実行する」のに対して、引用例1発明では「特別遊技状態実行手段が複数の電動役物の連鎖的な開放などによって行われる特別遊技状態とする」ものであり、引用例1発明は、本願補正発明のような構成になっていない点、

相違点2、表示指示手段の静止表示指示の開始時期の条件として、本願補正発明では、「特別遊技の実行中であると否とに関わらず」指示するのに対して、引用例1発明では「特別遊技状態の開始条件の付与の前後に拘わらず」指示するものであり、本願補正発明のような開始条件となっていない点、

相違点3、図柄表示手段において、先行する判定結果の表示が未確定のときに、図柄表示に関する所定の情報を記憶するのに、本願補正発明では、「表示指示手段からの指示」であるのに対して、引用例1発明では、「メインの可変表示遊技が未処理となっている回数」であり、未処理となっている回数分の可変表示遊技を順次行うためのメイン停止図柄表示指示手段との関係が明らかでなく、本願補正発明のような構成となっていない点、

相違点4、特定遊技実行手段が、特定の遊技の実行中に判定手段により判定が実行されその判定結果が当たりの場合には、新たな特定の遊技を実行することにおいて、本願補正発明では、「先行する特別遊技が規定ラウンド数に達していなくても実行中のラウンドの終了を待って該特別遊技を強制終了させ、前記先行する特別遊技に継続して新たな特別遊技を実行する」ようにしているのに対して、引用例1発明では、本願補正発明のような構成になっていない点、

(4)判断
上記相違点について検討する。

相違点1について、一般的に、図柄表示部材の変動表示が停止され、停止時に3つの図柄表示部材に表示される図柄が全て同一の数字となったときには開閉板の開放をV入賞口の入賞を条件に所定回数繰り返す大当り遊技状態として変動入賞装置を駆動制御することが周知(例えば、特開平5-317502号公報(段落【0008】、【0009】、【0016】等)、特開平5-31233号公報(段落【0014】、【0020】等)参照)であり、大当たりに際して、特別な遊技を実行するのに、特定遊技実行手段として、引用例1発明の特別遊技状態実行手段が複数の電動役物の連鎖的な開放などによって行われる構成に代え、前記周知のものを適用して本願補正発明のように、特別遊技実行手段が大入賞口の開放を規定ラウンド数に達するまで特別遊技として実行することは、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項である。

相違点2について、引用例1には、特別遊技の開始後であっても、第1の変動入賞装置の開閉部材が、例えば、5.8秒間開放され、閉じられた後においては、点灯記憶がある場合には、同様にメインの可変表示遊技が行われることが記載されており、引用例1発明の「特別遊技状態の開始条件の付与の前後に拘わらず」は、開閉部材が閉じられるのと可変表示遊技が行われるのとどっちが後か先かわからないくらいに時間的に接近してはいるが、本願補正発明のように、可変表示の連続性が完全に保たれるものではないけれど、従来、大当たり中であっても図柄表示器に図柄表示ゲームを実施し、外れ図柄の表示や大当たり図柄の表示を指示する制御が周知(例えば、特開平9-10399号公報(段落【0011】、【0012】、【0013】等)、特開平2-271886号公報(第3頁右欄下段第12?19行、第13頁左欄下段第13?16行等)参照)であり、判定結果に応じた図柄の静止表示を図柄表示手段に指示するのに、引用例1発明のものに、前記周知のものを適用して、本願補正発明の「特別遊技の実行中であると否とに関わらず」指示することに、格別の創意工夫を要したとはいえず、当業者が必要に応じて容易に想到し得るものである。

相違点3について、一般的に、停止図柄決定用カウンタのカウント値を停止図柄データとして始動記憶カウンタの値に対応する停止図柄データ記憶エリアに記憶する処理をして、事前に決定される価値内容を可変表示装置に表示させることが周知(例えば、特開平3-73180号公報(第11頁左欄下段第4?11行、第12頁右欄上段第3?5行等)、特開平7-68032号公報(段落【0026】等)参照)であり、図柄表示に関する所定の情報として、引用例1発明のメインの可変表示遊技が未処理となっている回数を記憶することに代えて、前記周知のものを適用して、本願補正発明のように「表示指示手段からの指示」を記憶するようにすることは、格別の発明力を要したとはいえず、当業者が適宜なし得る程度の設計的事項である。

相違点4について、遊技機分野において、打玉が入賞しやすい大当たり制御期間中に、特定遊技状態を発生させる特定入賞口に入賞玉が入賞すると、その時点で一旦、大当り制御を終了させた後改めて再度大当たり制御が行なわれること(例えば、特開平2-286185号公報(第14頁右欄下段第13?16行等)、特開昭63-260581号公報(第8頁左欄下段第1?3行、第11頁左欄上段第9?14行等)参照)、または、同じ遊技機分野において、第1回目のビッグボーナスの遊技中に、第2回目のビッグボーナスに移行し、第2回目のビッグボーナスが終了すると、第1回目のビッグボーナスに戻ることなく、全てのビッグボーナスを終了させること(一例として、特開平9-173530号公報(段落【0036】、【0037】、【0038】等)参照)等が従来周知であり、すなわち、これらのことは、遊技者にとって有利な特定の遊技を行っている最中に、新たな特定の遊技の権利が発生すると、先に行っていた特定の遊技を終了させ、継続して新たな次の特定の遊技を行う制御と認められるものであり、新たな特定の遊技を実行することにおいて、引用例1発明の遊技者にとって有利な特別遊技状態が長く続くようにすることに代えて、前記周知のものを適用して、本願補正発明のように先行する特別遊技が規定ラウンド数に達していなくても実行中のラウンドの終了を待って該特別遊技を強制終了させ、前記先行する特別遊技に継続して新たな特別遊技を実行するようにすることは、格別の創意工夫を要したとはいえず、当業者が必要に応じて容易に想到し得るものである。

そして、本願補正発明が奏する効果は、引用例1発明および周知技術から当業者が予測し得るものであって格別のものとは認められない。
したがって、本願補正発明は、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成15年2月13日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成14年6月6日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「遊技球が特定の入賞口へ入賞、または特定の通過口を通過する判定条件が成立したことに起因して当たり外れの判定を行う判定手段と、該判定結果が当たりであると当たりを示す当たり図柄の静止表示を指示し該判定結果が外れであると外れを示す外れ図柄の静止表示を指示する表示指示手段と、図柄を変動表示させた後に前記表示指示手段から指示された当たり図柄または外れ図柄を静止表示させる図柄表示手段と、該図柄表示手段により前記当たり図柄が静止表示されると大入賞口を開放、または普通電動役物を作動させる特別遊技を実行する特別遊技実行手段とを備える弾球遊技機において、
前記表示指示手段は、前記判定手段により前記判定が実行されると、前記特別遊技の実行中であると否とに関わらず前記判定結果に応じた当たり図柄または外れ図柄の静止表示を前記図柄表示手段に指示し、
前記図柄表示手段は、先行する前記判定結果の表示が未確定のときには前記表示指示手段からの指示を記憶し、先行する前記判定結果の表示の確定後に次の前記判定結果に応じた当たり図柄または外れ図柄の静止表示を行うことを特徴とする弾球遊技機。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-01-04 
結審通知日 2007-01-09 
審決日 2007-01-22 
出願番号 特願2000-370689(P2000-370689)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 中槙 利明
林 晴男
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 菅原 正倫  

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