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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1153349
審判番号 不服2004-2195  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-02-05 
確定日 2007-03-09 
事件の表示 平成 9年特許願第134695号「ディスク装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年12月 8日出願公開、特開平10-326446〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成9年5月26日の出願であって、拒絶理由通知に対する応答期間内に平成15年8月6日付けで手続補正がなされたが、平成15年12月19日付けで拒絶査定がされた。これに対して、平成16年2月5日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年3月5日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成16年3月5日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成16年3月5日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、補正前の
(a)
「ディスク状の記録媒体を収容するカートリッジの第1の方向への挿入に連動して、前記記録媒体を回転駆動するスピンドルモータと、
前記記録媒体への書き込み及び消去を行う磁気コイルを備えたカートリッジホルダとを、各々が離れた待機位置と前記記録媒体をチャッキングする装着位置とに亘って、前記記録媒体の媒体面にほぼ垂直な第2の方向に相対的に移動させるようにしたディスク装置において、
前記第1の方向と第2の方向とに直角な第3の方向に垂直で互いに離間した第1の仮想平面と第2の仮想平面とによって前記カートリッジホルダを接触した状態で挟んだと想定したとき、前記カートリッジの上面に対向する前記カートリッジホルダの板状部材に前記上面に向かって突出した第1の突起部と第2の突起部とが設けられており、前記第1の突起部は第2の仮想平面よりも前記第1の仮想平面に近い位置に配置されており、前記第2の突起部は前記第1の仮想平面よりも前記第2の仮想平面に近い位置に配置されており、更に前記板状部材に前記上面に向かって突出した第3の突起部が設けられており、前記第3の突起部は前記板状部材と一体に形成されているとともに、前記カートリッジの中心部付近に接するようになっていることを特徴とするディスク装置。」を、

(b)
「ディスク状の記録媒体を収容するカートリッジの第1の方向への挿入に連動して、前記記録媒体を回転駆動するスピンドルモータと、
前記記録媒体への書き込み及び消去を行う磁気コイルを備えたカートリッジホルダとを、各々が離れた待機位置と前記記録媒体をチャッキングする装着位置とに亘って、前記記録媒体の媒体面にほぼ垂直な第2の方向に相対的に移動させるようにしたディスク装置において、
前記第1の方向と第2の方向とに直角な第3の方向に垂直で互いに離間した第1の仮想平面と第2の仮想平面とによって前記カートリッジホルダを接触した状態で挟んだと想定したとき、前記カートリッジの上面に対向する前記カートリッジホルダの板状部材に前記上面に向かって突出した第1の突起部と第2の突起部とが設けられており、前記第1の突起部は第2の仮想平面よりも前記第1の仮想平面に近い位置に配置されており、前記第2の突起部は前記第1の仮想平面よりも前記第2の仮想平面に近い位置に配置されており、更に前記板状部材に前記上面に向かって突出した第3の突起部が設けられており、前記第3の突起部は前記板状部材と一体に形成されているとともに、前記カートリッジの中心部付近に接するようになっており、前記第3の突起部は前記第1の仮想平面と前記第2の仮想平面との間に配置されているものであって、更に前記第3の突起部は前記第1の仮想平面から前記第1の突起部よりも遠い位置に配置されていると共に前記第2の仮想平面から前記第2の突起部よりも遠い位置に配置されていることを特徴とするディスク装置。」と補正しようとするものである。

すると本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定する事項である「第3の突起部」について、「第3の突起部は第1の仮想平面と第2の仮想平面との間に配置されているものであって、更に第3の突起部は第1の仮想平面から第1の突起部よりも遠い位置に配置されていると共に第2の仮想平面から第2の突起部よりも遠い位置に配置されている」と限定するものであって、特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項に規定する要件を満たすか)否かについて以下に検討する。

2.引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-220356号公報(以下、「引用例1」という。)には、ディスクドライブ装置について、図面と共に次の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。

「【0002】
【従来の技術】従来のディスクドライブ装置に用いられるディスクカセットが図17及び図18に示されている。図17及び図18において、このディスクカセットDKは光磁気記録用であり、偏平方形状のケース1内には円盤状の光磁気ディスク2(ディスク)が回転自在に収納されている。光磁気ディスク2の中央にはハブ3が固定され、このハブ3にディスクドライブ装置のターンテーブルが吸着する。
【0003】ケース1は上ハーフ部材1aと下ハーフ部材1bとから成り、この上ハーフ部材1aと下ハーフ部材1bとが突き合わされた状態で結合されている。上ハーフ部材1aと下ハーフ部材1bとの対向位置には開口部4がそれぞれ形成されている。上ハーフ部材1aの開口部4からは光磁気ディスク2の一部が露出し、又、下ハーフ部材1bの開口部4は上ハーフ部材1aのものより大きくその開口部4からは光磁気ディスク2の一部及びチャッキングハブ3が露出している。」

「【0010】また、カセットホルダ30の上面部30aには板バネ状の押圧部材53a?53cが複数箇所に設けられ、この押圧部材53a?53cはカセットホルダ30内のディスクカセットDKを下方に押圧する。
【0011】一方、ディスク回転機構Bは、シャーシ10に対して昇降自在に配置された昇降プレート体17を有し、この昇降プレート体17はスライドプレート11の傾斜溝11aにガイドされて図21の降下位置と図22及び図23の上昇位置との間で昇降される。この昇降プレート体17にはスピンドルモータ19とターンテーブル20とが固定され、昇降プレート体17の下面の基準面mからターンテーブル20の上面までの寸法が所定の値H1に設定されている。」

「【0016】ロック爪プレート47がロックピン50より外れると、スライドプレート11がコイルバネ13のバネ力でA′矢印方向(ローディング位置側)に移動し、この移動によって第3のインジェクトプレート42がコイルバネ46のバネ力でC矢印方向に回転する。この第3のインジェクトプレート42の回転で第1のインジェクトプレート36がA′矢印方向に移動すると共に第2のインジェクトプレート39がB矢印方向に回転して、カセット引込みピン41がディスクカセットDKの引込み用溝8に入り込む。さらに、第1のインジェクトプレート36がA矢印方向に移動すると、カセット引込みピン41がケース1を押し、ディスクカセットDKが自動的にカセットホルダ30内に引き込まれる。そして、ディスクカセットDKの挿入前端面1cがカセットストッパー部32に突き当たる位置まで挿入されてディスクカセットDKは装着位置に位置される。【0017】一方、ディスクカセットDKが装着位置に位置された後もスライドプレート11はスライドを続け、昇降プレート体17が図21の降下位置から図22及び図23の上昇位置に変位される。そして、ターンテーブル20がディスクカセットDKのハブ3に吸着し、スピンドルモータ19の回転によって光磁気ディスク2が回転可能状態とされると共に一対の位置決めピン52がディスクカセットDKの位置決め用溝6に挿入される。
【0018】図22及び図23に示すように、ディスクカセットDKはそのケース1が押圧部材53a?53cの押圧力でカセットホルダ30の下面部30bに圧接されることにより高さ方向の位置決めがなされると共に一対の位置決めピン52が位置決め用溝6に挿入されることにより水平方向の位置決めがなされる。又、光磁気ディスク2はターンテーブル20上に固定されることによって高さ方向及び水平方向の位置決めがなされる。そして、ケース1と光磁気ディスク2は基準面mに対してそれぞれH3とH1の高さに位置決めされることによって光磁気ディスク2がケース1内でケース内壁に接触しないよう位置決めされる。」

図19のカセットホルダ30の上面部30aであって、左右側面部30cの側の他方側に53cが、他方側に押圧部材53a、53bが、図示されている。
図21?23には、カセットホルダ30の上面部30aと押圧部材53a又は53bが図示されている。

これらの記載によれば、引用例1には、
「ディスクカセットがカセットホルダ内に挿入されて装着位置に位置した後、昇降プレートに固定されたスピンドルモータとターンテーブルが上昇位置に変位され、
上記ターンテーブルが上記ディスクカセット内の光磁気ディスクのチャッキングハブに吸着し、上記スピンドルモータの回転によって上記光磁気ディスクが回転可能状態とされるディスクドライブ装置において、
上記ディスクカセットを下方に押圧する押圧部材が、上記カセットホルダの上面部の複数箇所に設けられたディスクドライブ装置。」の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されていると認めることができる。

(2)原査定の拒絶の理由に引用された実願昭62-140724号(実開昭64-45339号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、ディスクドライブ装置について、図面と共に次の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。

ア.「このディスクドライブ装置1は、ディスクカートリッジ2を収容するカートリッジホルダ3と、該カートリッジホルダ3を昇降させるホルダ昇降機構4と、該ホルダ昇降機構4によりカートリッジホルダ3と共に降下されてきたディスクカートリッジ2内のディスク5をチャッキングするスピンドル(ターンテーブル)6と、該スピンドル6を設けた装置本体(シャシ)7と、前記スピンドル6に向けてカートリッジホルダ3内のディスクカートリッジ2の上面を押圧付勢するディスクカートリッジ押圧機構8を備えている。」(明細書8頁6?17行)

イ.「カートリッジホルダ3をホルダ昇降機構4で降下させれば、ディスクカートリッジ2は板ばね材35により押圧されながら降下するので、ディスクカートリッジ2内のディスク5はスピンドル6に着実にチャッキングされることになる。」(明細書13頁3?8行)

3.対比
そこで、本願補正発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「光磁気ディスク」は、本願補正発明の「ディスク状の記録媒体」に相当し、以下同様に、「ディスクカセット」は「カートリッジ」に、「カセットホルダ」は「カートリッジホルダ」に、それぞれ相当し、両者において「スピンドルモータ」は共通である。
引用例1発明において、「ディスクカセットがカセットホルダ内に挿入され」る際にはディスクカセットは所定の方向に挿入されるのが自明であって、当該方向は、本願補正発明の「ディスク状の記録媒体を収容するカートリッジの第1の方向への挿入」における「第1の方向」に相当する。
引用例1発明において、「昇降プレートに固定されたスピンドルモータとターンテーブルが上昇位置に変位され」る際の当該変位の方向は、本願補正発明の「(ディスク状の)記録媒体の媒体面にほぼ垂直な第2の方向に相対的に移動させるようにした」における「第2の方向」に相当する。
してみれば、引用例1発明の「ディスクドライブ装置」において、「ディスクカセットがカセットホルダ内に挿入されて装着位置に位置した後、昇降プレートに固定されたスピンドルモータとターンテーブルが上昇位置に変位され、上記ターンテーブルがディスクカセット内の光磁気ディスクのチャッキングハブに吸着し、上記スピンドルモータの回転によって光磁気ディスクが回転可能状態とされる」ことは、本願補正発明の「ディスク装置」において、「ディスク状の記録媒体を収容するカートリッジの第1の方向への挿入に連動して、前記記録媒体を回転駆動するスピンドルモータと、」「カートリッジホルダとを、各々が離れた待機位置と前記記録媒体をチャッキングする装着位置とに亘って、前記記録媒体の媒体面にほぼ垂直な第2の方向に相対的に移動させるようにした」ことに相当する。

引用例1発明の「カセットホルダの上面部の複数箇所に設けられた押圧部材」は、引用例1の図面を参照すると「押圧部材53a、53b、53c」が該当するものであるが、カセットホルダの板状の上面部(上記「2.(1)」の図19?23参照)に設けられ、ディスクカセットの上面に向かって突出した部材である点において、本願補正発明の「突出部」と共通するものである。
又、前記「押圧部材」は、「カセットホルダの上面部の複数箇所に設けられている」点についても、更に第1引用例の図面の記載を参照すると、図8から明らかなように、前記「ディスクカセットがカセットホルダ内に挿入され」る際の所定の方向と、「昇降プレートに固定されたスピンドルモータとターンテーブルが上昇位置に変位され」る際の当該変位の方向との、2つの方向に直角な方向に垂直で互いに離間した第1の仮想平面(図8上、カセットホルダ30に、左側から接触すると仮定)と第2の仮想平面(図8上、カセットホルダ30に、右側から接触すると仮定)とによってカセットホルダを接触した状態で挟んだと想定したとき、第2の仮想平面よりも第1の仮想平面に近い位置に配置された押圧部材(53cがこれに該当する)と、第1の仮想平面よりも第2の仮想平面に近い位置に配置された押圧部材(53aまたは53bが該当する)とからなるとすることができるから、本願補正発明において、「突出部」が「押圧部材」であるものの、「第1の方向と第2の方向とに直角な第3の方向に垂直で互いに離間した第1の仮想平面と第2の仮想平面とによってカートリッジホルダを接触した状態で挟んだと想定したとき、カートリッジの上面に対向するカートリッジホルダの板状部材にカートリッジ上面に向かって突出した第1の突起部と第2の突起部とが設けられており、前記第1の突起部は第2の仮想平面よりも前記第1の仮想平面に近い位置に配置されており、前記第2の突起部は前記第1の仮想平面よりも前記第2の仮想平面に近い位置に配置されている」ことと共通している。

以上のことからすると、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「ディスク状の記録媒体を収容するカートリッジの第1の方向への挿入に連動して、前記記録媒体を回転駆動するスピンドルモータと、
カートリッジホルダとを、各々が離れた待機位置と前記記録媒体をチャッキングする装着位置とに亘って、前記記録媒体の媒体面にほぼ垂直な第2の方向に相対的に移動させるようにしたディスク装置において、
前記第1の方向と第2の方向とに直角な第3の方向に垂直で互いに離間した第1の仮想平面と第2の仮想平面とによって前記カートリッジホルダを接触した状態で挟んだと想定したとき、前記カートリッジの上面に対向する前記カートリッジホルダの板状部材に前記上面に向かって突出した第1の押圧部材(突起部)と第2の押圧部材(突起部)とが設けられており、前記第1の押圧部材(突起部)は第2の仮想平面よりも前記第1の仮想平面に近い位置に配置されており、前記第2の押圧部材(突起部)は前記第1の仮想平面よりも前記第2の仮想平面に近い位置に配置されているディスク装置。」

<相違点>
(相違点1)
カートリッジホルダについて、本願補正発明では、「記録媒体への書き込み及び消去を行う磁気コイルを備えた」と特定されるのに対して、引用例1発明ではこの点が特定されていない点。
(相違点2)
本願補正発明では、カートリッジの上面に対向するカートリッジホルダの板状部材にカートリッジ上面に向かって突出して設けられているのは、第1及び第2の「突起部」であるのに対し、引用例1発明では、カセットホルダの上面部に設けられた板バネ状の押圧部材であり、本願補正発明は、「更に板状部材に上面に向かって突出した第3の突起部が設けられており、第3の突起部は板状部材と一体に形成されているとともに、カートリッジの中心部付近に接するようになっており、第3の突起部は第1の仮想平面と第2の仮想平面との間に配置されているものであって、更に第3の突起部は第1の仮想平面から第1の突起部よりも遠い位置に配置されていると共に第2の仮想平面から第2の突起部よりも遠い位置に配置されている」のに対して、引用例1発明には第3の突起部に相当するものが設けられていない点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
(相違点1)について
光磁気ディスクを収容するカートリッジが、カートリッジホルダに挿入されるディスク装置において、カートリッジホルダに記録媒体への書き込み及び消去を行う磁気コイルを設けたものは周知(特開平6-124525号公報のカートリッジボックス100のバイアスマグネットコイルM3及びカートリッジボックス10、20のバイアスマグネットコイルM3、特開平9-7348号公報のカートリッジホルダ43の磁気コイル42等参照。)である。
してみれば、引用例1発明のディスクドライブ装置において、ディスクカセットのディスク状記録媒体が光磁気ディスクである場合に、カセットホルダに記録媒体への書き込み及び消去を行う磁気コイルを設けることは、当業者が容易に想到しうることである。
(相違点2)について
引用例2には、ディスクカートリッジ内のディスクがスピンドルに着実にチャッキングされるように、ディスクカートリッジの上面を押圧する板バネ材をスピンドルに向けて設けたカートリッジホルダを備えたディスクドライブ装置が記載されている。
してみれば、引用例1発明のディスクドライブ装置のカセットホルダにおいて、ディスクカセット内の光磁気ディスクがスピンドルモータのターンテーブルに着実にチャッキングされるように、更にカセットホルダの上面部にディスクカセット上面に向かって突出した第3の押圧部を、ディスクカセットの中心部付近に接するように配置することは、引用例2の記載から、当業者が容易に想到しうることである。
その場合、当該第3の押圧部は、前記「ディスクカセットがカセットホルダ内に挿入され」る際の所定の方向と、「昇降プレートに固定されたスピンドルモータとターンテーブルが上昇位置に変位され」る際の当該変位の方向との、2つの方向に直角な方向に垂直で互いに離間した第1の仮想平面(図8上、カセットホルダ30に、左側から接触すると仮定)と第2の仮想平面(図8上、カセットホルダ30に、右側から接触すると仮定)とによってカセットホルダを接触した状態で挟んだと想定したとき、前記第1の仮想平面と前記第2の仮想平面との間に配置され、更に前記第3の突起部は前記第1の仮想平面から前記第1の突起部よりも遠い位置に配置されていると共に前記第2の仮想平面から前記第2の突起部よりも遠い位置に配置されることとなるものである。
また、第1乃至第3の押圧部を、カートリッジホルダに突出した突起部として、カートリッジホルダと一体に形成することは周知の構造(例えば特開平4-167264号公報[第1、3、8図のカートリッジホルダ10の突起]、特開平9-45064号公報[カバー9の突出部75?77]を参照)であって、板ばねに代えて第1及び第2の突起部、並びにカセットホルダの中心部に突出した第3の突起部を一体にカセットホルダに形成することは、当業者が容易に想到しうることである。

結局、上記各相違点は、格別なものではなく、また、上記各相違点を総合的に検討しても、奏される効果は当業者が当然に予測できる範囲内のものと認められる。

したがって、本願補正発明は、引用例1及び2に記載された発明、並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.本願補正発明についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項で準用する同法126条5項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。


第3 本願発明について
1.本願発明
平成16年3月5日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成15年8月6日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1(上記「第2 1.本件補正 (a)」参照)に記載されたとおりのもの(以下、「本願発明」という。)である。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項は、前記「第2 2.引用例」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から「第3の突起部」について、「前記第3の突起部は第1の仮想平面と第2の仮想平面との間に配置されているものであって、更に第3の突起部は第1の仮想平面から第1の突起部よりも遠い位置に配置されていると共に第2の仮想平面から第2の突起部よりも遠い位置に配置されている」との限定を削除したものに相当する。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 4.当審の判断」に記載したとおり、引用例1、2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例1、2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例1、2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-12-12 
結審通知日 2006-12-19 
審決日 2007-01-18 
出願番号 特願平9-134695
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G11B)
P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齊藤 健一船越 亮岩井 健二  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 江畠 博
吉村 伊佐雄
発明の名称 ディスク装置  
代理人 奈良 武  

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