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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B26B
管理番号 1153428
審判番号 不服2004-6771  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-05 
確定日 2007-03-07 
事件の表示 平成 6年特許願第272457号「ヘア切断装置及び歯付き切断装置のカッタ製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 7月25日出願公開、特開平 7-185146〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年11月7日(パリ条約による優先権主張1993年11月10日、オーストリア国)の出願であって、平成15年12月1日付けで手続補正が、同年12月25日付けで拒絶査定が、平成16年4月5日に拒絶査定に対する審判請求が、同年4月30日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年4月30日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年4月30日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1が、以下のとおり補正された。なお、下線は、補正前後の差違を明らかにするため、参考に付したものである。

(補正前)
「少なくとも1列のカッタ歯の列を有する固定カッタと、少なくとも1列のカッタ歯の列を有する駆動可能な往復カッタとを備えた歯付き切断装置を設け、前記カッタ歯には剪断面を設け、前記2個のカッタを前記カッタ歯の前記剪断面の少なくとも一部で互いに掛合させ、前記2個のカッタの少なくとも一方のカッタ歯の前記剪断面の領域を除く末端に丸みを付けたヘア切断装置において、少なくとも一方のカッタを押抜き金属部分によって形成し、この少なくとも一方のカッタのカッタ歯に予エンボス加工で丸みを付けた後に切断およびポストエンボス加工を行うことによって、前記剪断面を除いて末端に丸みを付けたカッタ歯を有する少なくとも一方のカッタのカッタ歯を、更に、前記剪断面を除いて歯の深さ全体にわたり歯の基端領域まで全体的に丸みを付けたことを特徴とするヘア切断装置。」

(補正後)
「少なくとも1列のカッタ歯の列を有する固定カッタと、少なくとも1列のカッタ歯の列を有する駆動可能な往復カッタとを備えた歯付き切断装置を設け、前記カッタ歯には剪断面を設け、前記2個のカッタを前記カッタ歯の前記剪断面の少なくとも一部で互いに掛合させ、前記2個のカッタの少なくとも一方のカッタ歯の前記剪断面の領域を除く末端に丸みを付けたヘア切断装置において、前記剪断面を除いて末端に丸みを付けたカッタ歯を有する少なくとも一方のカッタのカッタ歯を、1個のスチール細条に施す順次のエンボス加工により、前記剪断面を除いて歯の深さ全体にわたり歯の基端領域まで全体的に丸みを付けた単一スチール細条よりなるカッタを有することを特徴とするヘア切断装置。」

本件補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「カッタ歯」について、補正前の「少なくとも一方のカッタを押抜き金属部分によって形成し、この少なくとも一方のカッタのカッタ歯に予エンボス加工で丸みを付けた後に切断およびポストエンボス加工を行うことによって」なる事項を削除し、「1個のスチール細条に施す順次のエンボス加工により」、「単一スチール細条よりなる」事項を付加するものである。
すなわち、「押抜き」、「切断」なる事項が明らかに削除されている。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に適合しないものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?7に係る発明は、平成15年12月1日付けで補正された特許請求の範囲に記載されたとおりであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記2.(補正前)のとおりである。

4.刊行物記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開昭50-141456号公報には、図面とともに、以下の記載がある。

ア.第1ページ左下欄第11?12行
「本発明は電気カミソリにおけるキワゾリ刃の電着による製造方法に関する」
イ.第2ページ左上欄第5?11行
「クシ刃の断面形状はなめらかな円弧状を呈しており・・・とらえにくい毛髪をも容易に導入される。また固定刃6のクシ刃の先端形状は6aのように可動刃7を先端部でおおい、せん断面8をかくすような形状になつている。」
ウ.第2ページ左下欄第12?17行
「電着処理すると、それぞれ第8図、第9図のように電着層15が形成され、電気絶縁性物質13,14を剥離、融解などして分離せしめれば、第2図のa図に示されるように、クシ刃の先端形状が6aのように円弧状をした固定刃6が得られる。」
エ.第2ページ右下欄第20行?第3ページ左上欄第2行
「全体的に丸味を帯びた製品が得られるので皮膚への肌ざわりは極めて良好なものとなる。」

これら記載をもとに、図面の特に第2図を参照し、技術常識を考慮して、本願発明に照らして整理すると、同公報には、以下の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる。
「1列のクシ刃の列を有する固定刃6と、少なくとも1列のクシ刃の列を有する可動刃7とを備えた歯付き切断装置を設け、前記クシ刃にはせん断面8を設け、前記2個のカッタを前記クシ刃の前記せん断面の少なくとも一部で互いに掛合させ、前記2個のカッタのクシ刃の前記剪断面の領域を除く末端に丸みを付けた電気カミソリにおけるキワゾリ刃において、前記カッタは電着によって、前記せん断面を除いて歯の深さ全体にわたり歯の基端領域まで全体的に丸味を付けた電気カミソリにおけるキワゾリ刃。」

4.対比
本願発明と刊行物発明とを対比する。
刊行物発明の「クシ刃」、「固定刃6」、「可動刃7」、「電気カミソリにおけるキワゾリ刃」は、それぞれ本願発明の「カッタ歯」、「固定カッタ」、「駆動可能な往復カッタ」、「ヘア切断装置」に相当する、もしくは含まれる。
したがって、両者は、以下の点で一致する。
「1列のカッタ歯の列を有する固定カッタと、1列のカッタ歯の列を有する駆動可能な往復カッタとを備えた歯付き切断装置を設け、前記カッタ歯には剪断面を設け、前記2個のカッタを前記カッタ歯の前記剪断面の少なくとも一部で互いに掛合させ、前記2個のカッタの少なくとも一方のカッタ歯の前記剪断面の領域を除く末端に丸みを付けたヘア切断装置において、前記剪断面を除いて末端に丸みを付けたカッタ歯を有する少なくとも一方のカッタのカッタ歯を、更に、前記剪断面を除いて歯の深さ全体にわたり歯の基端領域まで全体的に丸みを付けたヘア切断装置。」

そして、以下の点で相違する。
本願発明は、少なくとも一方のカッタを押抜き金属部分によって形成し、この少なくとも一方のカッタのカッタ歯に予エンボス加工で丸みを付けた後に切断およびポストエンボス加工を行うが、刊行物発明は、電着による点。

5.判断
相違点について検討する。
本願発明も刊行物発明も、丸みを有する部材の製造に関するものである点で差違はなく、製造手段は、事情に応じて、選択されるものである。
押抜き金属加工、エンボス加工、切断加工、そのものは、例示するまでもなく周知の製造手段である。
目的とする加工形状が、一度に加工できない場合に、各種加工を順次行うことで目的とする形状とすることは当然であり、カッタ歯にも用いられている(一例として、特開昭56-20483号公報、特開昭58-67278号公報、特開昭61-219428号公報)ことから、「一方のカッタを押抜き金属部分によって形成し、この少なくとも一方のカッタのカッタ歯に予エンボス加工で丸みを付けた後に切断およびポストエンボス加工を行う」ことに困難性は認められない。
また、かかる相違点により、格別の効果が生じるとも認められない。

6.結論
本願発明は、刊行物発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-10-04 
結審通知日 2006-10-10 
審決日 2006-10-23 
出願番号 特願平6-272457
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B26B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 亀丸 広司小椋 正幸  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 菅澤 洋二
鈴木 孝幸
発明の名称 ヘア切断装置及び歯付き切断装置のカッタ製造方法  
代理人 杉村 興作  

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