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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1154148
審判番号 不服2004-11805  
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-06-10 
確定日 2007-03-12 
事件の表示 平成 7年特許願第204764号「部品管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 2月18日出願公開、特開平 9- 50459〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成7年8月10日に出願されたものであって、平成16年4月26日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成16年6月10日に拒絶査定不服審判が請求されると共に同年6月17日に手続補正がなされたものである。

2.平成16年6月17日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年6月17日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
平成16年6月17日付けの手続補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】製品を構成する複数の部品を管理するシステムにおいて、
部品を管理する部品情報と、
部品を構成する部品および該当する前記部品情報を管理する部品リンク情報と、
各製品について工程毎に前記部品リンク情報を管理する部品表情報と、
製品および工程が指示されると、前記部品表情報、前記部品リンク情報、および前記部品情報に基づき該当する部品表の編集画面を表示し、編集指示に基づいて処理を行うと共に、他の工程における部品表表示時に該編集指示を反映し、該編集指示が部品使用中止の指示であった場合に、該当する部品を強調表示する部品管理手段とを有することを特徴とする部品管理システム。」
と補正された。

前記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するための補正であり、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するかどうかについて以下に検討する。

(2)引用刊行物
原審が拒絶の理由に引用した特開平5-174035号公報(平成5年7月13日出願公開。以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の各記載がある。

(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生産系の管理に用いられるデータベースの利用技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車の組立メーカ等の大規模生産系では多種多様な製品を多種多様な生産工程で生産しており、この生産系の管理のために、生産情報を記憶しているデータベースが用いられる。
【0003】このデータベースは例えば図2に示すようなモデル生産系の場合、例えば工程J4では中空丸印に示す品番の部品を用いてハッチ付き丸印に示す自品番の部品を生産し、それを工程J7に供給することを示すデータ等の集積として構成されている。この他このデータベースには例えばどの品番の部品はどれらの品番の部品で構成されているかを示す情報、自工程で必要とする子品番がどの前工程で生産されるかを示す情報、部品の単価、部品の納入タイミング、部品の生産に要する時間等、生産管理に有益なデータの全部が蓄積されている。生産管理の任にあたる者は、上記のデータベースから必要なデータを検索して抽出し、このデータを用いて生産ないしは工程を管理する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのデータベースは大規模生産系の場合、極めて莫大なものとなる。特に生産系が複数の工場ないしは管理単位から構成されているような超大規模生産系の場合、全工場の生産情報を集約しているホスト側データベースは極めて大規模となる。そのために各工場の管理に必要なデータを抽出する場合に抽出時間が長くかかるようになり、抽出時間が実用に供し得ない程長時間となるほどデータベースが大規模化し始めている。
【0005】この問題を解決するためにはデータベースを各工場ないしは各管理単位毎に設ける必要がある。このようにすると各工場ないしは各管理単位毎により実情に照らした管理が可能となる利点もある。しかしながらこの方式では各データベース毎にデータのメインテナンスを必要とし、また全生産系の一元管理が困難となってしまう。
【0006】このような実情により、一つのホスト側データベースと各管理単位毎のデータベースすなわちユーザ側データベースの両者が必要とされるようになっている。この場合ホスト側とユーザ側のデータベース間でデータを送受できることが当然に必要となる。しかしながらユーザ側データベースは各管理単位の管理に有益なデータが抽出し易く構成されるべきであり、またホスト側データベースは生産系の一元管理に有益なデータが抽出し易く構成されるべきである。このために両者のデータベースのデータ構造は通常異なることになる。
【0007】このため現在のところ、ホスト側データベースとユーザ側データベースを使いわけ、かつ両データベースのデータの一元化を維持しておくうまいシステムは未だ実現していない。そこで本発明では異なるデータ構造を有するデータベース間におけるデータの移設を可能とする装置を開発し、もってホスト側データベースとユーザ側データベースのデータの一元化を確保しつつ両者を使いわけ得るようにするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明では、その概念が模式的に図1に示されるデータ移設装置、すなわち、生産情報を記憶しているホスト側データベース2から送り出される親品番-子品番-個数の関係を示す引当情報12、自品番-自工程の関係を示す仕掛情報14、自工程-子品番-前工程の関係を示す手配情報16を入力し、親品番-子品番-個数の関係を示す部品構成情報42、子品番を親品番とする部品構成情報のリンク関係を示す部品リンク情報44、自工程-自品番-子品番-前工程の関係を示す工程関連情報46、前工程を自工程とする工程関連情報のリンク関係を示す工程リンク情報48とで構成されるユーザ側データベース40にデータを移設する装置20であり、該引当情報12を親品番でソートする手段22、ソートされた親品番毎に、該親品番に対応する子品番-個数の関係を記憶しておく部品構成情報記憶領域を該ユーザ側データベース40内に確保する手段24、子品番を親品番とするソートされた親品番に関するデータを記憶しておく領域に関する情報を検索してユーザ側データベース内に記憶させる手段26、該仕掛情報14と該手配情報16を自工程でソートする手段28、ソートされた自工程毎に、該自工程に対応する自品番-子品番-前工程の関係を記憶しておく工程関連情報記憶領域を該ユーザ側データベース40内に確保する手段30、前工程を自工程とするソートされた自工程に関するデータを記憶しておく領域に関係する情報を検索してユーザ側データベース40内に記憶させる手段32とを有するデータベース間のデータ移設装置20を創り出した。
【0009】
【作用】さて上記のデータ移設装置の作用を、図2に示す生産系モデルを例として説明する。図2は、例えば工程J4では子品番が中空丸印で示される子部品と中空三角印で示される子部品とを用い、ハッチ付丸印で示される部品を生産して工程J7に供給し、ハッチ付三角印で示される物品を生産して工程J8に供給する生産系を模式的に示している。この生産系が一つの工場内あるいは管理単位内の生産系であり、このような生産系が複数存在している。なお図2のものは極めて簡単な生産系を例示しているが、本発明はより複雑な生産系にも有用であることは当然である。
【0010】この複数の生産系の全部を一元管理するために、全生産系における生産情報がホスト側データベースに記憶されている。ここでこのホスト側データベース内のデータをユーザ側データベースに移設する場合、このホスト側データベースから、そのユーザ側データベースで管理される生産系に関連するデータのみが抽出されて送り出される。具体的には親品番-子品番-子品番の使用個数の関係を示す引当情報と、自品番-自工程の関係を示す仕掛情報と、自工程-子品番-前工程の関係を示す手配情報とが送り出される。図2の生産系を管理するユーザ側データベースの場合、図3に例示する情報が送り出される。
【0011】このようにして送り出されたデータのうち、引当情報は親品番ソート手段22によって親品番毎にソートされる。またソートされた親品番に対応する子品番-個数のデータは、部品構成情報記憶領域確保手段24によって確保された領域に記憶される。このため部品構成情報は図4に例示するように、ソートされた親品番に対してそれに対応する子品番-個数のデータが関連づけられた態様で記憶される。また部品リンク情報サーチ手段26によって、子品番を親品番とするリンク関係がサーチされる。例えば図4のアイスロット6の部品構成情報の子品番はアイスロット7とアイスロット5の親品番であり、従ってアイスロット6に対してはアイスロット7と5がリンクされているといった情報がサーチされる。ここでアイスロットは各部品構成情報をサーチするときに参照するデータであり、部品構成情報が記憶されている領域を示す情報の一つである。
【0012】ほぼ同様の処理が仕掛情報と手配情報に対しても実行され、この結果図4に例示するように、ソートされた自工程に関連づけられた態様で自工程-自品番-子品番-前工程の関係を示す工程関連情報が得られ、また前工程を自工程とする工程のリンク関係に関する情報が得られる。このようにして、ホスト側データベースから送り出される情報が、データ構造の異なるユーザ側データベースに移設される。」
なお、下線は審決において附された。以下同様。

(イ)「【0013】
【実施例】次に本発明の構成をより具体的に説明するために、本発明を具現化した一実施例について説明する。図6は工場420,520…等の生産を管理するコンピュータシステムの構成を示している。全工場の生産情報を一元管理するためにホストコンピュータ200が用いられ、このホストコンピュータ200によってホスト側データベース200aが構築されている。このホストコンピュータ200は各工場に設けられているホスト端末402,502…等と通信回線で接続されている。このホストコンピュータ200は、各ホスト端末に対して、引当情報と仕掛情報と手配情報を送り出す。手配情報は内製手配情報と外注手配情報とで構成されている。ホスト端末402,502…では送られてきたデータをフロッピディスク404,504…にセーブする。
【0014】図中400,500…は各工場毎に設けられているユーザ側コンピュータ1,2…を示しており、このユーザ側コンピュータによってユーザ側データベースが管理される。このコンピュータ400,500…はデータ処理装置を中心として、フロッピーディスクドライブ406,506…、コンソール408,508…、補助ディスク装置410,510…、プリンター412,512…等で構成されている。各ユーザ側データベースは、部品構成情報、部品リンク情報、工程関連情報、工程リンク情報とで構成される。
【0015】ホスト側データベース200aからは、まず引当情報を構成する引当テキスト群が出力される。この引当テキスト群は図7に例示するように、自品番-子品番-個数の関係を一つ一つ示す引当テキストの群(図2のモデルの場合、図3左欄に示されるように10個の引当テキストから構成される)で構成されている。
【0016】次に仕掛情報を構成する仕掛テキスト群が出力される。この仕掛テキスト群は図7に例示するように、自品番-自工程の関係を一つ一つ示す仕掛テキストの群(図2のモデルの場合には、図3中欄に示されるように、7個の仕掛テキストで構成される)で構成されている。
【0017】次に手配情報のうち、内製に関する手配情報を構成する内製手配テキスト群が出力される。この内製手配テキスト群は図7に例示するように、子品番-自工程-前工程の関係を一つ一つ示す内製テキストの群(図2のモデルの場合には、図3右欄に示されるように10個の内製手配テキストから構成されている)で構成されている。
【0018】最後に手配情報のうち、外注品に関する手配情報を構成する外注手配テキスト群が出力される。この外注手配テキスト群は図7に例示するように、子品番と受入先と仕入先の関係を一つ一つ示す外注手配テキストの群で構成されている。例えば図2のモデルにおいて、J2で示される工程が外注先であれば、外注手配テキストには、中空長方形で示される子品番の部品が工程J5に仕入先J2から納入されることを示す情報が記憶されていることになる。このようなテキスト群がホスト端末402,502…でフロッピーディスク404,504…に書込まれる。
【0019】なおここでホスト端末402を操作してホスト側データベース200aからデータを引出すときには、工場420の生産情報が抽出されて送出され、端末502を用いるときには工場520の生産情報が送り出される。各ユーザ側コンピュータによる作動は同様のため、以後工場420のユーザ側コンピュータ400による場合について説明する。
【0020】ホスト側データベース200aから送り出され、フロッピーディスク404に記憶された引当情報、仕掛情報、手配情報は、ユーザ側コンピュータ400のフロッピーディスクドライブ406にセットされて読取られる。ここでユーザ側コンピュータ400は図5の処理を実行する。まずステップS2で、引当情報を親品番でソートする。この結果、図3の左側に例示する引当情報では、親品番が無秩序に配列されていたものが、図4の左側に示すように、親品番で分類された状態に実質上変換される。次にステップS4で、ソートされた親品番毎に、同親品番に対応する子品番と個数のデータ数がカウントされる。図4左側に示す例の場合、ハッチ付き丸印の親品番には1個の子品番が、長方形と2つの丸印で示される親品番には2個の子品番が対応すること等がカウントされるのである。
【0021】その後図5のステップS6で、ユーザ側データベースうちの部品構成情報ファイルがフォーマットされる。ここでは図4に例示するデータの場合、第1のアイスロットに1組の子品番と個数のデータを記憶する領域を確保し、第2のアイスロットにも1組のデータを記憶する領域を確保し、第3のアイスロットには2組のデータを記憶する領域を確保するようにフォーマットしてゆくのである。
【0022】フォーマット終了後、次にステップS8で、フォーマットされた領域に、親品番,子品番,個数のデータを記憶してゆく。このようにしてユーザ側データベース中に、親品番-子品番-個数の関係を示す部品構成情報が移設される。次にステップS10で、部品構成情報がサーチされ、子品番を親品番とするアイスロットのリンク関係がサーチされる。
【0023】以上の処理の結果、図8に模式的に示されるデータ構造が得られる。ここではアイスロット6,5,4,7,2のものを例示しており、アイスロット6には2組のデータが、アイスロット5にも2組のデータが、アイスロット4,2,7には1組のデータが記憶され、アイスロット6の子品番はアイスロット5と7の親品番であり、アイスロット5の子品番はアイスロット4と2の親品番であることを例示している。このようにして図4左下に示す部品リンク情報が得られる。
【0024】以上の処理に基づいてユーザ側データベースにデータが移設されるため、ユーザ側データベース中ではデータが親品番によって分類された状態で記憶されていることになり、親品番に基づいて子品番やその個数をサーチする際の処理時間が著しく短縮化される。また部品リンク情報を用いることにより部品→子部品→孫部品のサーチも著しく容易になし得るようになっている。すなわちユーザ側データベースは、ユーザ側に必要な情報を短時間でサーチして提供することができるデータ構造となっているのである。」

(ウ)「【0025】次に工程関連情報について、図5のステップS12以後を参照して説明する。まずステップS12で仕掛テキスト群、内製手配テキスト群、外注手配テキスト群を自工程をキーとしてソートする。この結果図3に例示されるホスト側データベース中では無秩序に存在している同一自工程のデータが図4右上欄に示すように実質上自工程毎に分類された状態に変換される。
【0026】次にステップS14で分類された自工程に対応する自品番-子品番-前工程のデータ数がカウントされる。次にステップS16で工程関連情報ファイルをフォーマットする。この結果図9に模式的に示されるように、自工程毎に、その自工程に対応する自品番-子品番-前工程の関係を示すデータを記憶するために必要な記憶領域が確保される。これにより自工程と自品番とのリンク付け、自工程と子品番とのリンク付け、子品番と前工程のリンク付けが行なわれる。この場合、自工程、自品番、子品番、前工程毎にアイスロットを設け、そのアイスロット間をリンク付ける情報を別に記憶することにより、自工程-自品番-子品番-前工程を対応づけてもよい。図9はこの方式でリンク付けしていることを模式的に示しているが、図8のように1つのアイスロット中に自工程-自品番-子品番-前工程をリンク付ける方式でフォーマットしてもよい。
【0027】フォーマットが終了すると、次に図5のステップS18でフォーマットされた記憶領域に自工程,自品番,子品番,前工程のデータを記憶してゆく。これによって工程関連情報が得られる。最後にステップS20で、工程関連情報をサーチし、前工程を自工程とするアイスロットをリンク付けするデータを得る。図9の場合、自工程J9の前工程はJ8とJ6であり、J8の前工程はさらにJ4,J5を前工程とすることを図示している。
【0028】このようにして図4の右下に示す工程リンク情報が得られる。この場合、アイスロット15の前工程はアイスロット16と14に、アイスロット14の前工程はアイスロット11と13にリンク付けされていること等を示している。この結果、ユーザ側データベースでは、自工程毎で分類された状態で、自品番,子品番,前工程のデータが記憶されており、サーチが短時間ですむデータ構造となっている。また前工程の連鎖が工程リンク情報から容易に検索されるようになっており、自工程に影響する前工程の情報が容易に検索可能となっている。
【0029】このようにして、ホスト側データベースのデータが、ユーザに使い易いようなデータ構造で構築されているユーザ側データベースに移設されるのである。以上の説明では、説明の便を図るために、図2に例示する簡単な生産系を対象としている。しかしながらこの発明が極めて実用的な有用性を発揮するのは大規模生産系の場合であり、例えば2万種に及ぶ部品を生産する系の場合には、本発明によって検索スピードを数百倍増速することが可能となる。
【0030】
【発明の効果】本発明によると、それぞれの使用目的が異なるために異なるデータ構造を有しているホスト側データベースとユーザ側データベースとをデータを一元化した状態で使い分け得るようになることから、全生産系の一元管理と各管理単位毎のきめの細かな管理を併用することが可能となる。さらにデータの検索時間が短縮化され、極めて使い勝手のよいデータベースシステムを実現することができる。」

以上の記載からみて、引用例1には、次のような発明が記載されているものと認められる。
「生産情報を記憶しているホスト側データベースから送り出される
親品番-子品番-個数の関係を示す引当情報、
自品番-自工程の関係を示す仕掛情報、
自工程-子品番-前工程の関係を示す手配情報、
を入力し、
親品番-子品番-個数の関係を示す部品構成情報、
子品番を親品番とする部品構成情報のリンク関係を示す部品リンク情報、
自工程-自品番-子品番-前工程の関係を示す工程関連情報、
前工程を自工程とする工程関連情報のリンク関係を示す工程リンク情報、
とで構成されるユーザ側データベースにデータを移設する装置であり、
該引当情報を親品番でソートする手段、
ソートされた親品番毎に、該親品番に対応する子品番-個数の関係を記憶しておく部品構成情報記憶領域を該ユーザ側データベース内に確保する手段、
子品番を親品番とするソートされた親品番に関するデータを記憶しておく領域に関する情報を検索してユーザ側データベース内に記憶させる手段、
該仕掛情報と該手配情報を自工程でソートする手段、
ソートされた自工程毎に、該自工程に対応する自品番-子品番-前工程の関係を記憶しておく工程関連情報記憶領域を該ユーザ側データベース内に確保する手段、
前工程を自工程とするソートされた自工程に関するデータを記憶しておく領域に関係する情報を検索してユーザ側データベース内に記憶させる手段、
とを有するデータベース間のデータ移設装置。」

(3)対比
本願補正発明と引用例1に記載された発明を対比すると、引用例1に記載された発明の「部品構成情報」は、本願補正発明の「部品情報」に相当し、引用例1に記載された発明の「部品リンク情報」は、本願補正発明の「部品リンク情報」に相当し、引用例1に記載された発明の「工程関連情報」は、本願補正発明の「部品表情報」に相当することは、明らかである。

そして、引用例1には、製品を構成する複数の部品を管理する部品構成情報(部品情報に相当)と、
子品番を親品番とする部品構成情報のリンク関係を示す部品リンク情報(部品リンク情報に相当)と、
自工程-自品番-子品番-前工程の関係を示す工程関連情報(部品表情報に相当)と、
引当情報、仕掛情報、手配情報を入力することにより生産品及び工程が指示されると、前記工程関連情報(部品表情報に相当)、前記部品リンク情報(部品リンク情報に相当)、および前記部品構成情報(部品情報に相当)に基づき該当する工程関連情報(部品表情報に相当)を作成し、前記指示に基づいて処理を行う部品管理手段とを有する部品管理装置が記載されている(前掲(ア)?(ウ)参照。)から、本願補正発明と引用例1に記載された発明とは、
「製品を構成する複数の部品を管理するシステムにおいて、
部品を管理する部品情報と、
部品を構成する部品および該当する前記部品情報を管理する部品リンク情報と、
各製品について工程毎に前記部品リンク情報を管理する部品表情報と、
製品および工程が指示されると、前記部品表情報、前記部品リンク情報、および前記部品情報に基づき該当する部品表を作成し、前記指示に基づいて処理を行う部品管理手段とを有する部品管理システム。」
である点において差異はない。

そうすると、本願補正発明と引用例1に記載された発明とは、
(一致点)
「製品を構成する複数の部品を管理するシステムにおいて、
部品を管理する部品情報と、
部品を構成する部品および該当する前記部品情報を管理する部品リンク情報と、
各製品について工程毎に前記部品リンク情報を管理する部品表情報と、
製品および工程が指示されると、前記部品表情報、前記部品リンク情報、および前記部品情報に基づき該当する部品表を作成し、前記指示に基づいて処理を行う部品管理手段とを有する部品管理システム。」
である点で一致し、次の各点で相違する。

(相違点1)
本願補正発明は、他の工程における部品表表示時に、先の工程でなされた追加・変更・削除等に係る編集指示を反映しているのに対し、引用例1に記載された発明は、他の工程における工程関連情報作成時に、先の工程でなされた追加・変更・削除等に係る編集指示を反映するとは明記しない点。

(相違点2)
本願補正発明は、編集指示が部品使用中止の指示であった場合に、該当する部品を強調表示しているのに対し、引用例1に記載された発明は、編集指示が部品使用中止の指示であった場合に、該当する部品を強調表示するとは明記しない点。

(4)判断
(相違点1について)
上記相違点1について判断するに、(i)一般に、システムの一部のデータを変更した時、システムの全データベースにその変更を反映させ、システムの全データベースが常に最新のものとなるように更新することは、当業者の自明な技術常識である。(ii)そして、一部の工程が変更された時に、該変更箇所を全体工程に反映することにより、諸工程間の整合性を維持することは、例えば、原審が拒絶の理由に引用した次の刊行物
【1】特開平6-052145号公報
(特に、段落【0007】、【0026】、【0027】、【0030】の記載を参照のこと。)
【2】特開平4-205461号公報
(特に、第2頁下右欄第13行?第3頁上左欄第14行の記載を参照のこと。)
にその旨の記載があるとおり、当業者には周知な技術事項であるから、引用例1に記載された発明に上記周知技術事項を適用することにより、本願補正発明の如く構成することは、当業者が適宜なし得ることである。

(相違点2について)
上記相違点2について判断するに、(i)一般に、先に設計した事項または先に登録した事項等に対して、新たな設計変更または新たな書き換えがあった場合、その表示箇所の表示色を変えたり、点滅したり、明度を上げたり、反転したり、または矢印等を付したりして、操作者の注意を喚起すると共に変更があった旨の確認を行わせることは、通常良く行われることである。
(ii)次に、管理システムにおいて、その工程別に変更情報及び製品変更情報を強調表示することは、例えば、次の刊行物
【3】特開平6-348719号公報
(特に、段落【0014】?【0018】、【0021】?【0025】、【0031】の記載を参照のこと。)
にその旨の記載のあるとおり、当業者には周知な技術常識である。そして、製品変更情報には部品使用中止情報も含まれていると考えてよいことは、当技術分野の技術常識に照らして極めて自然なことであるから、引用例1に記載された発明に、上記周知技術事項を適用することにより、本願補正発明の如く構成することは、当業者が適宜なし得ることである。

(5)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際、独立して特許を受けることができるものではなく、特許法第17条の2第5項で準用する同法126条第5項の規定に違反するものであるから、平成16年6月17日付けの手続補正は、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成16年6月17日付けの手続補正は、前記のとおり却下されるから、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年12月22日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】製品を構成する複数の部品を管理するシステムにおいて、
部品を管理する部品情報と、
部品を構成する部品および該当する前記部品情報を管理する部品リンク情報と、
各製品について工程毎に前記部品リンク情報を管理する部品表情報と、
製品および工程が指示されると、前記部品表情報、前記部品リンク情報、および前記部品情報に基づき該当する部品表の編集画面を表示し、編集指示に基づいて処理を行うと共に、他の工程における部品表表示時に該編集指示を反映して表示する部品管理手段とを有することを特徴とする部品管理システム。」

(1)引用例
原審の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、前記「2.(2)」項に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.(3)」項及び「2.(4)」項で検討した本願補正発明からその限定事項である「該編集指示が部品使用中止の指示であった場合に、該当する部品を強調表示する」を省いたものである。
そうすると、本願発明を特定する事項をすべて含み、更に他の特定する事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」項に記載したとおり、引用例1に記載された発明及び周知技術とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1に記載された発明及び周知技術とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-12-20 
結審通知日 2007-01-09 
審決日 2007-01-22 
出願番号 特願平7-204764
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 幸雄加舎 理紅子  
特許庁審判長 関川 正志
特許庁審判官 伊知地 和之
鈴木 明
発明の名称 部品管理システム  
代理人 岡田 守弘  

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