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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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無効200680187 | 審決 | 特許 |
無効200680238 | 審決 | 特許 |
無効200680009 | 審決 | 特許 |
無効200680130 | 審決 | 特許 |
無効200680070 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 B31B |
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管理番号 | 1154178 |
審判番号 | 無効2006-80110 |
総通号数 | 89 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-05-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2006-06-08 |
確定日 | 2007-03-12 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3532183号発明「折り曲げ罫線入りプラスチックシートおよびプラスチックシート用罫線刃」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許3532183号の請求項1及び2に係る発明は、平成13年12月3日に特許出願され、平成16年3月12日に設定登録がなされたものであり、本件はこれに対して、審判請求人株式会社開伸より特許無効審判の請求がなされ、請求人より口頭審理陳述要領書(第1回及び第2回)が提出されるとともに、被請求人より口頭審理陳述要領書(第1回及び第2回)が提出され、平成18年12月14日に口頭審理が実施された。 2.請求人の主張する無効事由 請求人は以下の理由により、本件請求項1及び2に係る発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらに対する特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべき旨主張している。 請求人は、本件特許公報である甲第1号証:特許第3532183号公報と、本件特許に係る出願の出願前に頒布された刊行物である、甲第2号証:特開2001-62909号公報及び甲第3号証:特開平10-193450号公報を提出した。 そして、甲第2号証には、「所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部と幅狭の底面部とからなる溝条の折り曲げ罫線を備えたプラスチックシートにおいて、前記罫線溝長手方向にたいして略直角方向に2以上の湾曲凸部により形成される1以上の本数の幅狭の底面を持つ横溝を、罫線溝長手方向に適宜間隔で配置した形状に形成した折り曲げ罫線入りプラスチックシート」及び「所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部と幅狭の頂面部を有する通常の罫線刃(縦刃)に対して、刃先部から直角方向に2以上の湾曲凹部を近接して設け、前記湾曲凹部の境界部が横刃を形成するプラスチックシート用罫線刃。」が記載されており、 甲第3号証には、図9,図6及び図7を指摘して、「しかも、境界線18は直線であることは要せず、図9に示すように円弧状等であっても良く、少なくとも残部16を挟んで対向する境界線18同士が同一側に傾斜せしめられてなるものであれば本発明の意図する範囲内である。」(第4頁第6欄第41?45行)、「さらには図6に示すように一つの凹部14の傾斜方向からみてV字状になるように形成されてなるものも本発明の意図する範囲である。」(第4頁第6欄第19?21行)が記載されていることにより、 「前記折曲部(12)は、シート体(10)に形成された多数の凹部(14)と該凹部(14)の間の残部(16)とから構成されてなり、該凹部(14)と残部(16)との境界線(18)が、折曲部形成方向(Y) に対して鋭角で且つ残部(16)を挟んで対向する境界線(18)と同一側に、傾斜せしめられてなることを特徴とするシート」(第2頁第1欄第4?9行)が記載されており、 また、甲第3号証の「しかも、該凹部14は、折曲部形成方向YからみてV字状に形成されてなるものに限定されるものでなく、・・・・・さらには図6に示すように一つの凹部14の傾斜方向からみてV字状になるように形成されてなるものも本発明の意図する範囲である。」(第4頁第6欄第16?21行)は、本件請求項1における「湾曲凸部の間に形成される1以上の本数の幅狭の底面を持つ前記罫線溝長手方向に対する斜めの溝」に相当する旨主張し、 そして、包装容器として折り曲げて組み立てられるプラスチックシート及びプラスチックシート用罫線刃という技術分野で一致するから、 口頭審理において請求人が主張する、第2回口頭審理陳述要領書の添付図面6に記載したように、甲第3号証におけるプラスチックシートの2つの凸部を近接してから甲第2号証を組み合わせることにより、本件請求項1及び2に係る発明は当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとしている。 3.被請求人の主張概要 被請求人は、乙第1?11号証を提出し、概略以下の主張をなしている。 乙第1、第2及び第4号証は本件の従来技術を説明し、本件発明の進歩性を肯定するものであり、乙第3及び第5号証は甲第3号証を説明するものであり、要するに、本件請求項1及び2に係る発明は、甲第2号証及び甲第3号証の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができない旨主張している。また、乙第6?11号証は、口頭審理において撤回した。 4.当審の判断 4-1 本件各発明 本件各発明は、特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された以下の事項により、それぞれ特定されるものである。 【請求項1】 所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部と幅狭の底面部とからなる溝条の折り曲げ罫線溝を備えたプラスチックシートにおいて、 前記罫線溝長手方向に対して斜線方向に近接して配置される2以上の湾曲凸部の間に形成される1以上の本数の幅狭の底面を持つ前記罫線溝長手方向に対する斜めの溝を、前記罫線溝長手方向に適宜間隔で配置した形状に成形したことを特徴とする折り曲げ罫線入りプラスチックシート。(以下、「本件発明1」という。) 【請求項2】 所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部と幅狭の頂面部を有する通常の罫線刃(縦刃)に対して、刃先部から斜線方向に2つ以上の湾曲凹部を近接して設け、前記近接する湾曲凹部の境界部が斜刃を成形することを特徴とするプラスチックシート用罫線刃。(以下、「本件発明2」という。) 4-2 甲各号証の記載 4-2-1 甲第2号証(特開2001-62909号公報)の記載 甲第2号証は、本件に係る出願の出願前に頒布された刊行物であり、図1,2,5?9とともに、 「【請求項1】 所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部と幅狭の底面部とからなる溝条の折り曲げ罫線を備えたプラスチックシートにおいて、 前記罫線溝長手方向にたいして略直角方向に2以上の湾曲凸部により形成される1以上の本数の幅狭の底面を持つ横溝を、罫線溝長手方向に適宜間隔で配置した形状に形成したことを特徴とする折り曲げ罫線入りプラスチックシート 【請求項2】 所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部と幅狭の頂面部を有する通常の罫線刃(縦刃)に対して、刃先部から直角方向に2以上の湾曲凹部を近接して設け、前記湾曲凹部の境界部が横刃を形成することを特徴とするプラスチックシート用罫線刃。」(明細書第2頁第1欄第2?14行) が記載されている。 したがって、甲第2号証には以下の発明が記載されている。 甲2発明1 「所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部と幅狭の底面部とからなる溝条の折り曲げ罫線溝を備えたプラスチックシートにおいて、 前記罫線溝長手方向に対して略直角方向に近接して配置される2以上の湾曲凸部の間に形成される1以上の本数の幅狭の底面を持つ前記罫線溝長手方向に対する横溝を、前記罫線溝長手方向に適宜間隔で配置した形状に成形した折り曲げ罫線入りプラスチックシート。」 甲2発明2 「所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部と幅狭の頂面部を有する通常の罫線刃(縦刃)に対して、刃先部から直角方向に2つ以上の湾曲凹部を近接して設け、前記近接する湾曲凹部の境界部が横刃を成形するプラスチックシート用罫線刃。」 4-2-2 甲第3号証(特開平10-193450号公報)の記載 甲第3号証は、本件に係る出願の出願前に頒布された刊行物であり、 (A)「前記折曲部(12)は、シート体(10)に形成された多数の凹部(14)と該凹部(14)の間の残部(16)とから構成されてなり、該凹部(14)と残部(16)との境界線(18)が、折曲部形成方向(Y) に対して鋭角で且つ残部(16)を挟んで対向する境界線(18)と同一側に、傾斜せしめられてなることを特徴とするシート。」(第2頁第1欄第4?9行)、 (B)「しかも、該凹部14は、折曲部形成方向YからみてV字状に形成されてなるものに限定されるものでなく、図5に示すように中央部に突部15を有するW字状に形成されてなるもの、さらには図6に示すように一つの凹部14の傾斜方向からみてV字状になるように形成されてなるものも本発明の意図する範囲である。」(第4頁第6欄第16?21行)、 (C)「刃本体(20)は、凹部(14)を形成するための複数の突出部(24)と、該突出部(24)との間で切欠かれた切欠部(26)とを有してなり、且つ前記切欠部(26)の両側の壁部(18)が、同一側で且つ折曲部形成方向(Y) に対して鋭角に、傾斜せしめられてなることを特徴とするシート折曲部用形成刃。」(第2頁第1欄第23?28行) がそれぞれ記載されている。 4-3 対比判断 4-3-1 本件請求項1に係る発明について 本件発明1と甲2発明1とを対比すると、両者は 「所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部と幅狭の底面部とからなる溝条の折り曲げ罫線溝を備えたプラスチックシートにおいて、 近接して配置される2以上の湾曲凸部の間に形成される1以上の本数の幅狭の底面を持つ前記罫線溝長手方向に対する溝を、前記罫線溝長手方向に適宜間隔で配置した形状に成形した折り曲げ罫線入りプラスチックシート。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点 本件発明1が、罫線溝長手方向に対して斜線方向に近接して配置される2以上の湾曲凸部の間に形成される1以上の本数の幅狭の底面を持つ前記罫線溝長手方向に対する斜めの溝を形成するのに対して、 甲2発明1が、罫線溝長手方向に対して略直角方向に近接して配置される2以上の湾曲凸部の間に形成される1以上の本数の幅狭の底面を持つ横溝を形成するものの斜めではない点。 そこで、上記相違点について検討する。 本件発明1の相違点に係る構成である「斜めの溝」は、「湾曲凸部の間に形成される・・・底面を持つ・・斜めの溝」と請求項1に特定されており、溝を構成する「湾曲凸部」は、「底面」を形成するものであるから、凸部は、罫線溝の深さ方向に凸状をなすものであり、「湾曲凸部」を罫線溝の深さ方向に凸状をなす点においては、甲2発明1も同様の方向に形成されるものである。 また、本件発明1の「斜めの溝」及び「底面」は、湾曲凸部により形成されるものであるから、湾曲凸部は、そのものにより「斜めの溝」及び「底面」を形成する凸部である。 これに対して、甲第3号証に記載される、請求人が凸部として指摘する残部16は、罫線長手方向に形成される湾曲であり、溝を凸部と凸部の間に形成するとしても、凸部が存在しない部分が底面を形成するものであるから、その底面を持つ溝の方向は、上記相違点1の凸部が底面を形成する溝に対して特定の方向を何等開示するものではない。 よって、甲第3号証の残部16は、罫線溝の深さ方向に凸状をなす凸部が形成する甲2発明1の溝に対して、その方向を適用すべき技術を何等開示するものではない。 罫線溝長手方向に対して斜線方向に近接して配置される2以上の湾曲凸部の間に形成される1以上の本数の幅狭の底面を持つ前記罫線溝長手方向に対する斜めの溝を形成することは、甲第3号証には記載されておらず、また周知技術や当業者に自明のものとも認められない。 請求人が、第2回口頭審理陳述要領書の添付図面6をもって主張する点について、さらに検討する。 添付図面6の左上図は、甲第3号証における図2の罫線刃及びそれによって形成されるプラスチックシートの溝の概念を示す斜視図であることは、請求人が主張するとおりである。これを、図面の矢印に沿って、さらに、検討する。 中央上図は、2つ凸部を近接させて1つの組とし、その組を間隔をおいて配置することを図示するものと認められるが、甲第3号証第5頁第7欄第7?10行に記載の「さらに、上記実施形態においては、凹部14を等間隔に設けたものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、凹部14が夫々異なる間隔で設けられてなるものであっても良い。」は、凸部の間隔が異なることを記載しているものの、2つ凸部を近接させて1つの組として配置することを記載するものではなく、左上図の記載を、凸部の間隔として、あえて2つの凸部の間隔を近接させた組とする中央上図の記載への変形の根拠とは、ならない。 残余の甲第3号証の記載を見ても、あえて2つの凸部の間隔を近接させた組とすることを開示又は示唆する特段の記載は、認められない。 したがって、添付図面6の中央上図は、甲第3号証の記載のみに基づくものとは認められず、甲第3号証の正確な解釈とは、認めない。 そして、右上図は、中央上図を前提とする記載であり、その前提において甲第3号証の記載のみに基づくものとは認められない。 次に、左下図は、甲第3号証における図4のプラスチックシートの溝及びそれを形成する罫線刃の概念を示す斜視図であることは、請求人が主張するとおりである。 しかしながら、中央下図は、罫線溝内に2つの凸部が近接し組をなしているが、凸部の間隔として、あえて2つの凸部の間隔に限定して組とすることを、甲第3号証が記載するものではないことは、上述のとおりである。 以上のとおり、添付図面6は、甲第3号証の記載のみに基づく、甲第3号証の正確な解釈を述べるものとは認められないので、添付図面6に基づく部分の請求人の主張は採用しない。 しかも本件発明1は、上記相違点にかかる構成により願書に最初に添付された明細書に記載された「湾曲凹部の深さが同じ場合、旧型の横刃に比べて本発明の斜刃は、湾曲凹部の面積を大きくすることができるため、弾力性をより大きく保てる。また斜線方向の湾曲凹部における長手方向(縦刃方向)の傾斜角は横刃の湾曲凹部の傾斜角よりも緩やかであるために、容器に組み立てたときの溝条の手触りがよい。」という格別の効果を奏するものである。 よって、本件請求項1に係る発明は、甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得たものとはいえない。 4-3-2 本件請求項2に係る発明について 本件発明2と甲2発明2とを対比すると、両者は 「所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部と幅狭の頂面部を有する通常の罫線刃(縦刃)に対して、刃先部から2つ以上の湾曲凹部を近接して設け、前記湾曲凹部の境界部が刃を成形するプラスチックシート用罫線刃。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点 本件発明2が、通常の罫線刃(縦刃)に対して、刃先部から斜線方向に2つ以上の湾曲凹部を近接して設け、前記近接する湾曲凹部の境界部が斜刃を成形するのに対して、 甲2発明2が、通常の罫線刃(縦刃)に対して、刃先部から直角方向に2つ以上の湾曲凹部を近接して設け、前記近接する湾曲凹部の境界部が横刃を成形するものの斜刃ではない点。 そこで、上記相違点について検討する。 本件発明2の相違点に係る構成である「斜刃」は、「湾曲凹部の境界部が斜刃を形成する」と請求項2に特定されているとともに、刃の形状はプラスチックシートに形成する溝の形状と逆の形状であることは自明であるから、「湾曲凹部」を罫線溝の深さ方向に凹状をなす点においては、甲2発明2も同様の方向に形成されるものである。 これに対して、甲第3号証に記載される、請求人が凸部として指摘する残部16は、罫線長手方向に形成される湾曲であり、溝を凸部と凸部の間に形成するとしても、凸部が存在しない部分が底面を形成するものであるとともに、刃の形状と溝の形状は逆の凹凸形状であることは自明であるから、凹部によって形成される刃の方向は、上記相違点の凹部によって形成される刃に対して特定の方向を何等開示するものではない。 よって、甲第3号証の残部16を形成する刃は、罫線溝の深さ方向に凹状をなす凹部を形成する甲2発明2の刃に対して、その方向を適用すべき技術を何等開示するものではない。 通常の罫線刃(縦刃)に対して、刃先部から斜線方向に2つ以上の湾曲凹部を近接して設け、前記近接する湾曲凹部の境界部が斜刃を成形することは、甲第3号証には記載されておらず、また周知技術や当業者に自明のものとも認められない。 請求人が、第2回口頭審理陳述要領書の添付図面6をもって主張する点について、さらに検討する。 添付図面6の左上図は、甲第3号証における図2の罫線刃及びそれによって形成されるプラスチックシートの溝の概念を示す斜視図であることは、請求人が主張するとおりである。これを、図面の矢印に沿って、さらに、検討する。 中央上図は、罫線刃の刃先に2つ凹部を近接させて1つの組とし、その組を間隔をおいて配置することを図示するものと認められるが、甲第3号証第5頁第7欄第7?10行に記載の「さらに、上記実施形態においては、凹部14を等間隔に設けたものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、凹部14が夫々異なる間隔で設けられてなるものであっても良い。」は、プラスチックシート側の凸部の間隔が異なることを記載しているものの、2つ凸部を近接させて1つの組として配置することを記載するものではなく、左上図の記載を、罫線刃の刃先の凹部の間隔として、あえて2つの凹部の間隔を近接させた組とする中央上図の記載への変形の根拠とは、ならない。 残余の甲第3号証の記載を見ても、あえて罫線刃の刃先の2つの凹部の間隔を近接させた組とすることを開示又は示唆する特段の記載は、認められない。 したがって、添付図面6の中央上図は、甲第3号証の記載のみに基づくものとは認められず、甲第3号証の正確な解釈とは、認めない。 そして、右上図は、中央上図を前提とする記載であり、その前提において甲第3号証の記載のみに基づくものとは認められない。 次に、左下図は、甲第3号証における図4のプラスチックシートの溝及びそれを形成する罫線刃の概念を示す斜視図であることは、請求人が主張するとおりである。 しかしながら、中央下図は、罫線刃に2つの凹部が近接し組をなしているが、凹部の間隔として、あえて2つの凹部の間隔に限定して組とすることを、甲第3号証が記載するものではないことは、上述のとおりである。 以上のとおり、添付図面6は、甲第3号証の記載のみに基づく、甲第3号証の正確な解釈を述べるものとは認められないので、添付図面6に基づく部分の請求人の主張は採用しない。 しかも本件発明2は、上記相違点にかかる構成により願書に最初に添付された明細書に記載された「湾曲凹部の深さが同じ場合、旧型の横刃に比べて本発明の斜刃は、湾曲凹部の面積を大きくすることができるため、弾力性をより大きく保てる。また斜線方向の湾曲凹部における長手方向(縦刃方向)の傾斜角は横刃の湾曲凹部の傾斜角よりも緩やかであるために、容器に組み立てたときの溝条の手触りがよい。」という格別の効果を奏するものである。 したがって、本件請求項2に係る発明は、甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得たものとはいえない。 5.むすび 以上、説示のとおり、請求人が提出した証拠及び理由によっては、本件請求項1及び2に係る発明に対する特許は、特許法第29条第2項の規定に違反するものとはいえないから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすることはできない。 また、本件請求項1及び2に係る発明に対する特許を無効とする他の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2007-01-30 |
出願番号 | 特願2001-368793(P2001-368793) |
審決分類 |
P
1
113・
121-
Y
(B31B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大島 祥吾 |
特許庁審判長 |
粟津 憲一 |
特許庁審判官 |
関 信之 中西 一友 |
登録日 | 2004-03-12 |
登録番号 | 特許第3532183号(P3532183) |
発明の名称 | 折り曲げ罫線入りプラスチックシートおよびプラスチックシート用罫線刃 |
代理人 | 永田 良昭 |
代理人 | 豊田 正雄 |
代理人 | 永田 元昭 |