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審決分類 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 C22C
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 C22C
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 C22C
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C22C
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 C22C
管理番号 1154294
審判番号 不服2005-446  
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-01-06 
確定日 2007-03-15 
事件の表示 平成 7年特許願第172104号「水素吸蔵合金、水素吸蔵合金の表面改質方法、電池用負極およびアルカリ二次電池」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年11月26日出願公開、特開平 8-311596〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成7年7月7日(優先権主張 平成6年7月22日、平成6年8月23日、平成7年3月16日)の出願であって、平成16年12月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平17年1月6日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年2月7日付けで手続補正がなされたものである。

II.平成17年2月7日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年2月7日付けの手続補正を却下する。

[理由]
平成17年2月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、願書に最初に添付した明細書の特許請求の範囲に記載した請求項(以下「旧請求項」という。)3?7,12?15を削除し、旧請求項1,2,8?11をそれぞれ請求項1,4,9?12とするとともに、新たな請求項2,3,5?8を追加する補正を含むものである。
そして、上記の新たな請求項に対応する旧請求項は存在しないから、この補正は請求項を増加するものであって、請求項の削除、特許請求の範囲の限定的減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものにも該当しない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであって、同法第159条第1項の規定により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

III.本願について
1.本願発明
平成17年2月7日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の発明は、願書に最初に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうちの請求項2に係る発明は次のとおりのものである。
「下記一般式(II)で表される合金を含むことを特徴とする水素吸蔵合金。
Mg2-x M2x M1y …(II)
ただし、M2は、水素と発熱的に反応し得る元素、AlおよびBから選ばれるMg以外の少なくとも1つの元素、M1はMgおよびM2以外の元素であって、水素と発熱的に反応しない元素から選ばれる少なくとも1つの元素、xは0<x≦1.0、yは1<y≦2.5として規定される。」(以下、この発明を「本願発明2」という。)

2.原査定の理由の概要
原審の拒絶査定の理由の1つは、本願の請求項1,2,8?11に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された次の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、というものである。
<引用刊行物>
1.特開昭59-16270号公報
2.特開昭52-70916号公報
3.特開昭56-37202号公報

3.引用刊行物の記載事項
上記の特開昭52-70916号公報(以下、「刊行物2」という。)には以下の事項が記載されている。
(ア)「重量%で20?90%のマグネシウムと5?60%のミツシユメタルと5?70%のニツケルとから構成されることを特徴とする水素貯蔵用金属材料。」(特許請求の範囲)
(イ)「尚、本発明合金中に添加するミツシユメタルとは、市販の物でありランタン、セリウム、プラセオジウム、オネジウム、プロメチウム、サマリウム等の希土類元素ならびに避けられない少量の鉄その他の不純物とから構成される合金であり、ランタンとセリウムが主成分の合金である。」(第2頁右上欄第5?10行)
(ウ)「市販のMgおよびミツシユメタルとニツケルを購入し第1表に示すような組成の合金をアルゴン雰囲気中で溶解して試料を作製した。表中Mmはミツシユメタルのことであり数字は重量%である。
第1表
・・・
4 26Mg-29.6Mm-44.4Ni
5 26Mg-24.4Mm-49.6Ni
6 26Mg-22.2Mm-51.8Ni
7 26Mg-7.4Mm-66.6Ni
・・・」(第2頁右上欄第11?14行、第1表)

4.当審の判断
(1)刊行物発明
刊行物2には、「重量%で20?90%のマグネシウムと5?60%のミツシユメタルと5?70%のニツケルとから構成されることを特徴とする水素貯蔵用金属材料」(ア)について、その具体例として、表1に示す組成を有する合金が記載されており(ウ)、「ミツシユメタルとは、・・・ランタン、セリウム、プラセオジウム、オネジウム、プロメチウム、サマリウム等の希土類元素ならびに避けられない少量の鉄その他の不純物とから構成される合金であり、ランタンとセリウムが主成分の合金である」(イ)と記載されている。
そして、ランタン及びセリウムの原子量はそれぞれ138.9及び140.1であり、プラセオジウム、ネオジウム(「オネジウム」は「ネオジウム」の誤記と認める。)、プロメチウム、及びサマリウムのそれはそれぞれ140.9,144.2,145,150.4であって、ミツシユメタルの主成分とされるランタン、セリウムの原子量と大差ないから、(ウ)に記載された上記具体例におけるMmの平均原子量は140程度であって、少なくとも135?150の範囲内の値と認められる。
また、Mg及びNiの原子量はそれぞれ24.3及び58.9である。
以上によれば、上記具体例の「4」の合金について、Mmの平均原子量を140として、重量%を(Mg+Mm)が2となるように原子比に換算すると、Mg:Mm:Ni=1.67:0.33:1.17となる。また、Mmの平均原子量を135として同じく換算すると、Mg:Mm:Ni=1.66:0.34:1.16となり、Mmの平均原子量を150として同じく換算するとMg:Mm:Ni=1.66:0.34:1.18となる。そうすると、刊行物1には次の発明が記載されているといえる。
「下記式(A)で表される合金を含むことを特徴とする水素吸蔵合金。
Mg2-x Mmx Niy ・・・(A)
ただし、x=0.33?0.34、y=1.16?1.18として規定される。」(以下、この発明を「刊行物2発明」という。)

(2)判断
本願発明2(前者)と刊行物2発明(後者)とを対比すると、後者の「Mm」は、本願明細書【0060】に「前記M2におけるMg以外の水素と発熱的に反応し得る元素」として例示される「希土類元素」を主成分とする合金であるから、前者の「M2」に相当するとともに、後者の「Ni」は、本願明細書【0059】、【0040】に「Mg、水素と発熱的に反応し得る元素、AlおよびBを除く前記M1元素としては、例えば・・・ニツケル・・・」と示されるとおり、前者の「M1」に相当する。
そうすると、刊行物2発明は、
「下記式(B)で表される合金を含むことを特徴とする水素吸蔵合金。
Mg2-x M2x M1y ・・・(B)
ただし、x=0.33?0.34、y=1.16?1.18として規定される。」
と言い換えることができるものであって、本願発明2に包含される。
したがって、本願発明2は刊行物2に記載された発明である。

5.補足
仮に平成17年2月7日付けの手続補正による特許請求の範囲の補正を認容したととしても、補正後の請求項4に係る発明は本願発明2と同一であるから、その発明に対する判断は上記と同様のものとなる。
また、請求人は平成18年7月18日付け回答書において、上記手続補正は過誤によるものであるとして補正案を示しているが、その補正案に示された請求項2に係る発明は本願発明2と同一であるから、この補正案を参酌しても、上記判断は覆らない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明2は、刊行物2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-01-12 
結審通知日 2007-01-16 
審決日 2007-01-29 
出願番号 特願平7-172104
審決分類 P 1 8・ 571- Z (C22C)
P 1 8・ 573- Z (C22C)
P 1 8・ 572- Z (C22C)
P 1 8・ 574- Z (C22C)
P 1 8・ 113- Z (C22C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 武  
特許庁審判長 柳 和子
特許庁審判官 吉水 純子
高木 康晴
発明の名称 水素吸蔵合金、水素吸蔵合金の表面改質方法、電池用負極およびアルカリ二次電池  
代理人 鈴江 武彦  

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