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審決分類 審判 査定不服 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B32B
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B32B
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B32B
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B32B
審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B32B
管理番号 1154536
審判番号 不服2003-170  
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-01-06 
確定日 2007-03-22 
事件の表示 平成 6年特許願第259068号「装飾板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 4月16日出願公開、特開平 8- 99386〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成6年9月29日の特許出願であって、平成14年7月19日付けで拒絶理由が通知され、同年9月30日に意見書とともに手続補正書が提出されたが、同年11月22日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成15年1月6日に審判が請求されたものであって、その後、当審において、平成18年4月12日付けで拒絶理由が通知され、同年6月19日に、意見書とともに手続補正書が提出され、更に、同年7月12日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年9月13日に、意見書とともに手続補正書(同年10月11日に、方式補正された。)が提出されたものである。

II.平成18年9月13日付けの手続補正に対する補正却下の決定
[結論]
平成18年9月13日に、願書に添付した明細書又は図面についてした補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
標記補正(以下、「本願第2補正」という。)は、明細書の特許請求の範囲の請求項1についての以下の補正事項aを含むものである。
補正事項a:
「ガラスまたは合成樹脂よりなる表面に凹凸模様を施してなる透明板の裏面に、金属箔および又は金属蒸着による線、図形の模様を施し、前記透明板とは別に、予め接着剤と一体となっているタックフィルムのフィルムの片面に、透明板の裏面の金属箔および又は金属蒸着による線、図形の模様と関連する模様を印刷インキによって印刷し、さらに前記タックフィルムの一部に、透明板の金属箔または金属蒸着による図形に対応しこれを囲む範囲の窓部を削設し、その後、水に洗剤またはアルカリ液の薬剤を添加したものを介して前記透明板と前記タックフィルムの接着面とを重ね、タックフィルムの接着剤の接着性を一時的に減殺した状態で位置決めした後、前記タックフィルムと前記透明板とを圧接して、前記水に洗剤またはアルカリ液の薬剤を添加したものを前記タックフィルムと前記透明板との間から排出して接着することを特徴とする装飾板の製造方法」を、
「ガラスまたは合成樹脂よりなる表面に凹凸模様を施してなる透明板の裏面に、金属箔および又は金属蒸着による線、図形の模様を施し、前記透明板とは別に、予め接着剤と一体となっているタックフィルムのフィルムの片面に、透明板の裏面の金属箔および又は金属蒸着による線、図形の模様と関連する模様を該フィルムおよび透明板の熱に対する膨張性、収縮性を配慮した印刷インキによって印刷し、さらに前記タックフィルムの一部に、透明板の金属箔または金属蒸着による図形に対応しこれを囲む範囲の窓部を切欠して設け、その後、水に洗剤または弱アルカリ性の薬剤を添加したものを介して前記透明板と前記タックフィルムの接着面とを重ね、タックフィルムの接着剤の接着性を一時的に減殺した状態で位置決めした後、前記タックフィルムと前記透明板とを圧接して、前記水に洗剤またはアルカリ液の薬剤を添加したものを前記タックフィルムと前記透明板との間から排出して接着することを特徴とする装飾板の製造方法」に補正するものである。

2.補正事項aの検討
2-1.補正事項aの具体的な内容
補正事項aによる請求項1の補正は、具体的には、以下の補正事項a1?a3を含むものである。
補正事項a1: 「印刷インキ」を、「該フィルムおよび透明板の熱に対する膨張性、収縮性を配慮した印刷インキ」に補正する。
補正事項a2: 「窓部を削設し」を、「窓部を切欠して設け」に補正する。
補正事項a3: 「水に洗剤またはアルカリ液の薬剤を添加したもの」を、「水に洗剤または弱アルカリ性の薬剤を添加したもの」に補正する。

2-2.補正事項a1についての検討
本願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書」という。)には、「フィルムおよび透明板の熱に対する膨張性、収縮性を配慮した印刷インキ」なる記載はなく、また、該「フィルムおよび透明板の熱に対する膨張性、収縮性を配慮した印刷インキ」がいかなる組成、形態、性状等の印刷インキを特定しているのか、その意味内容が不明であるから、補正事項a1は、第1に、印刷インキを、組成、形態、性状等が不明の印刷インキに変更する点で、当初明細書に記載した事項の範囲内のものであるということはできず、また、第2に、それ自体意味不明な事項に補正することを目的とするものであるから、明りょうでない記載の釈明、誤記の訂正、特許請求の範囲の減縮のいずれをも目的とするものではない。

この点、請求人は、平成18年9月13日付け意見書において、第1に、「補正後の印刷インキにつきましては、当初明細書の段落【0015】に「印刷インキについても透明板1とフィルム4のガスあるいは熱に対する膨張性、収縮性を配慮する必要がある。」と記載されておりますように、当初明細書等の範囲内でされたものであります。」と、第2に、「「熱に対する膨張性、収縮性を配慮した印刷インキ」は、使用するフィルムや透明板とともに耐候性、耐熱性を配慮した印刷インキであることを表していることは当業者であれば十分理解できる」と、それぞれ主張している。
しかしながら、第1に、請求人が摘示する当初明細書の段落0015の記載は、透明板1とフィルム4のガスあるいは熱に対する膨張性、収縮性を配慮して、印刷インキを選択する必要があるという技術的課題に関する知見を述べたものであって、「フィルムおよび透明板の熱に対する膨張性、収縮性を配慮した印刷インキ」として特定されるような印刷インキを、具体的に記載したものとは認められない。
また、第2に、仮に、「熱に対する膨張性、収縮性を配慮」にしても、請求人がいう「耐候性、耐熱性を配慮」にしても、該「配慮」なるものが、印刷インキを特定するためのいかなる要素を、どのように特定するのか、は何ら明らかではないから、印刷インキの組成、形態、性状は不明である。 なお、補足すれば、当初明細書の請求項12には、「印刷インキが、該フィルム又はおよび透明板のガス又は熱に対する膨張性、収縮性の略近似したガス又は熱に対する膨張性、収縮性を有するもの」と記載されているが、当審が平成18年4月12日付けで拒絶理由を通知したように、これによっても、印刷インキの特性は明確でない。
よって、請求人の主張は採用しない。

2-3.補正事項a2についての検討
補正事項a2は、「窓部」を設ける方法について、「削設」なる方法を、「切欠」に変更するものであるところ、「削る」と、「切る」又は「切り欠く」とは、それぞれが明確な技術的意味を有する異なる方法であるから、前記「削設」に関して、これを限定したり、誤記を訂正したり、明りょうでない記載を釈明することを目的とするものではない。

2-4.補正事項a3についての検討
補正事項a3は、水に添加する薬剤について、「アルカリ液の薬剤」を「弱アルカリ性の薬剤」に変更するものであって、「アルカリ」を「弱アルカリ性」に変更するとともに、「液」の要件を削除するものであるから、前記「薬剤」に関して、これを限定したり、誤記を訂正したり、明りょうでない記載を釈明することを目的とするものではない。

3.まとめ
したがって、本願第2補正は、特許法第17条の2第3項各号に掲げる特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明及び請求項の削除のいずれをも目的とするものではなく、また、当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、同法第17条の2第3項、及び、同条第2項において準用する第17条第2項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する第53条第1項の規定により、却下すべきものである。

III.当審が平成18年7月12日付けで通知した拒絶理由
II.で述べたとおり、平成18年9月13日付けの手続補正は却下されるから、本願の明細書及び図面は、同年6月19日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面である。
そして、当審が平成18年7月12日付けで通知した拒絶理由は、請求人が平成18年6月19日に行った明細書の補正(以下、「本願補正1」という。)は、特許法第17条の2第2項の規定により準用する同法第17条第2項の規定に違反するものである、というにある。

IV.当審の拒絶理由についての判断
1.本願補正1の内容
本願補正1は、以下の補正事項A?Dを含むものである。
(1)補正事項A
特許請求の範囲について、
補正前の請求項3の
「ガラスまたは合成樹脂よりなる表面に凹凸模様を施してなる透明板の裏面に、金属箔および又は金属蒸着等による線、図形の模様を施すとともに、予め接着剤と一体となっているタックフィルムの片面に透明板の裏面の金属箔および又は金属蒸着等による線、図形の模様と関連する模様を該フィルム又はおよび透明板のは熱に対する膨張性、収縮性と略近似した膨張性、収縮性を有する印刷インキによって印刷し、さらに該フィルムの一部に、透明板の金属箔または金属蒸着等による図形に対応しこれを覆う範囲の窓部を設け、フィルムと透明板とをフィルムに接着した接着剤の接着性を接着剤に水に洗剤またはアルカリ液等の薬剤を添加したものを使用することにより減殺した状態で位置決めした後フィルムと透明板とを圧接して、該水に薬剤を添加したものをフィルムと透明板との間から排出して接着することを特徴とする装飾板の製造方法」を、
請求項1として、
「ガラスまたは合成樹脂よりなる表面に凹凸模様を施してなる透明板の裏面に、金属箔および又は金属蒸着による線、図形の模様を施し、前記透明板とは別に、予め接着剤と一体となっているタックフィルムのフィルムの片面に、透明板の裏面の金属箔および又は金属蒸着による線、図形の模様と関連する模様を印刷インキによって印刷し、さらに前記タックフィルムの一部に、透明板の金属箔または金属蒸着による図形に対応しこれを囲む範囲の窓部を削設し、その後、水に洗剤またはアルカリ液の薬剤を添加したものを介して前記透明板と前記タックフィルムの接着面とを重ね、タックフィルムの接着剤の接着性を一時的に減殺した状態で位置決めした後、前記タックフィルムと前記透明板とを圧接して、前記水に洗剤またはアルカリ液の薬剤を添加したものを前記タックフィルムと前記透明板との間から排出して接着することを特徴とする装飾板の製造方法」に補正する。
(2)補正事項B
明細書の段落0006を、
「【課題を解決するための手段】
本発明は、1.ガラスまたは合成樹脂よりなる表面に凹凸模様を施してなる透明板の裏面に、金属箔および又は金属蒸着による線、図形の模様を施し、前記透明板とは別に、予め接着剤と一体となっているタックフィルムのフィルムの片面に、透明板の裏面の金属箔および又は金属蒸着による線、図形の模様と関連する模様を印刷インキによって印刷し、さらに前記タックフィルムの一部に、透明板の金属箔または金属蒸着による図形に対応しこれを囲む範囲の窓部を削設し、その後、水に洗剤またはアルカリ液の薬剤を添加したものを介して前記透明板と前記タックフィルムの接着面とを重ね、タックフィルムの接着剤の接着性を一時的に減殺した状態で位置決めした後、前記タックフィルムと前記透明板とを圧接して、前記水に洗剤またはアルカリ液の薬剤を添加したものを前記タックフィルムと前記透明板との間から排出して接着することを特徴とする装飾板の製造方法。」に補正する。
(3)補正事項C
明細書の段落0013を、
「印刷に当たり使用する印刷インキには、フィルム4と透明板1との関係ほど膨張性、収縮性を配慮する必要はない。印刷された状態の印刷膜とベースフィルムとの接着は強固であり、印刷膜がフィルムに追随して伸縮する幅が大きいからである。」に補正する。
(4)補正事項D
明細書の段落0015を、
「接着剤の接着性を水に洗剤等の薬剤を加えた液で一時的に弱めて、フィルムと透明板とを重ねあわせ、その後、圧力を加えて液を排除するのは、フィルムと透明板とを正確に位置あわせして、透明板の金属箔あるいは金属蒸着による模様と、フィルムに印刷した模様とを完全に一つに位置決めするためで、この作業の間、接着性を殺す必要があるからである。特にフィルムに窓部を穿った場合、正面から見たとき、窓部は金属箔あるいは金属蒸着部を囲むように位置させる必要があるので、双方の位置は正確に定める必要がある。この場合、微調整が生ずるが、フィルムの接着剤が持っている接着性を発揮する状態では微調整は困難であるので、その瞬間は接着性を殺しておく必要がある。水に加える薬剤は、洗剤が特に入手容易であり、取扱が簡単なので好ましいが、アルカリ液、好ましくは弱アルカリ性の薬剤を使用しても良い。」に補正する。

2.各補正事項についての検討
(1)補正事項Aについて
請求項3に係る補正事項Aを詳説すると、以下の補正事項A1及びA2を含むものであり、該補正事項A1及びA2について検討する。
補正事項A1: 「印刷インキ」について、「該フィルム又はおよび透明板のは熱に対する膨張性、収縮性と略近似した膨張性、収縮性を有する印刷インキ」を、「印刷インキ」に補正する。
補正事項A2: 窓部に関して、「透明板の金属箔または金属蒸着等による図形に対応しこれを覆う範囲の窓部を設け、」を、「透明板の金属箔または金属蒸着による図形に対応しこれを囲む範囲の窓部を削設し、」に補正する。

(1-1)補正事項A1について
「該フィルム又はおよび透明板のは熱に対する膨張性、収縮性と略近似した膨張性、収縮性を有する」という物性による特定を付さない、単なる印刷インキは、本願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載がなく、また、該単なる印刷インキにより、所期の効果が奏されることが、当初明細書等の記載から、当業者に自明のことであるとも認められない。
したがって、補正事項A1は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。

この点、請求人は、平成18年6月19日付けの意見書において、「ご指摘のありました通り、出願当初の明細書からは印刷インキの膨張性、収縮性については段落【0015】に記載されていた「印刷インキについても…熱に対する膨張性、収縮性を配慮する必要がある。」のみで特性が不明であり、当業者も印刷インキを使用する際に、熱に対して印刷が変化する印刷インキを使用することは一般的ではないと考えられるため、記載を削除しましたが、不当に権利範囲を広げるものではありません。また、出願当初の明細書の段落【0015】にも、印刷インキについては、印刷膜とベースフィルムとの接着は強固であり、厳格な配慮は必要ない旨が記載されております。従って、補正は出願当初の明細書の範囲内で、特許請求の範囲に記載された不明確な記載を解消しているものと判断できる範囲のものであります。」と述べているので、更に検討する。
請求人が摘示した当初明細書等の段落0015には、「印刷に当たり使用する印刷インキについても、透明板1とフィルム4のガスあるいは熱に対する膨張性、収縮性を配慮する必要がある。しかしながら、フィルム4と透明板1との関係ほどの厳密な配慮は必要がない。」と記載されており、印刷インキについては、「透明板1とフィルム4の熱に対する膨張性、収縮性を配慮する必要がある」という認識が示されているのであって、「配慮」が不要であるという認識が示されているものではない。
しかも、請求人自身、平成15年4月17日付けの審判請求書の手続補正書において、「本件発明の第一の特徴は、透明板、フィルム及びフィルムに施されている印刷インキそれぞれの熱に対する膨張性、収縮性を近似させることにあります。」と主張しているのであるから、「該フィルム又はおよび透明板の熱に対する膨張性、収縮性と略近似した膨張性、収縮性を有する印刷インキ」との記載から、印刷インキを何らかの意味で特定する事項を削除して、単なる「印刷インキ」に変更することが、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるということはできない。

(1-2)補正事項A2について
「削設」は、字義上から、「削る」操作によって設けることであるが、当初明細書等には、窓部に関しては、「切欠」(段落0013)、「穿(つ)」(段落0017)、「切断」(段落0021、0023)との用語を用いた記載があるものの、窓部を、「削」って設けることについては、記載がなく、かつ、当業者に自明のこととも認められない。
したがって、補正事項A2は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。

(2)補正事項Bについての検討
補正事項Bは、先の補正事項A1及びA2を含む補正事項Aによる請求項1の補正に伴って、発明の詳細な説明を、本願補正1による補正後の請求項1と整合させようとするものであるから、先の補正事項A1及びA2と同趣旨の補正事項を含むものであるところ、(1-1)、(1-2)で述べた理由により、補正事項Bは、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。

(3)補正事項Cについての検討
補正事項Cは、実質的に、補正前の明細書、すなわち当初明細書等の段落0015の「印刷に当たり使用する印刷インキについても、透明板1とフィルム4のガスあるいは熱に対する膨張性、収縮性を配慮する必要がある。しかしながら、フィルム4と透明板1との関係ほどの厳密な配慮は必要がない。すなわち、印刷された状態の印刷膜とベースフィルムとの接着は強固であり、印刷膜がフィルムに追随して伸縮する幅が大きいからである。」を補正するものと認められ、印刷インキに関して、「透明板1とフィルム4のガスあるいは熱に対する膨張性、収縮性を配慮する必要がある。しかしながら、フィルム4と透明板1との関係ほどの厳密な配慮は必要がない。」を、「フィルム4と透明板1との関係ほど膨張性、収縮性を配慮する必要はない。」と補正するものである。
すると、補正事項Cによって、当初明細書等における、「(膨張性、収縮性を)配慮する必要がある」ものの、「(フィルムと透明板との関係ほどの)厳密な配慮は必要がない」、という、配慮の必要性の存在を前提として、「厳密な配慮は必要がない」と配慮の程度を規定する記載について、第1に、前提である「(膨張性、収縮性を)配慮する必要がある」との記載を削除するとともに、第2に、「必要がない」とする配慮の範囲を、「厳密な配慮」から「配慮」に拡張する点で、印刷インキの特性に関する趣旨が変更されたと認められる。
したがって、補正事項Cは、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。

(4)補正事項Dについての検討
補正事項Dは、実質的に、補正前の明細書、すなわち当初明細書等の段落0017における記載「水に加える薬剤は、洗剤が特に入手容易であり、取扱が簡単なので好ましいが、弱アルカリ性の薬剤を使用しても良い。」を「水に加える薬剤は、洗剤が特に入手容易であり、取扱が簡単なので好ましいが、アルカリ液、好ましくは弱アルカリ性の薬剤を使用しても良い。」と補正するものである。
すなわち、補正事項Dは、「弱アルカリ性の薬剤」を、「アルカリ液、好ましくは弱アルカリ性の薬剤」に変更するものであるところ、当初明細書等には、「アルカリ液」と「弱アルカリ性の薬剤」という語の記載はあるものの、「アルカリ液」の好ましいものとして「弱アルカリ性の薬剤」がある旨の記載はないから、明らかに、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。

3.まとめ
補正事項A?Dを含む本願補正1は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。

V.むすび
以上のとおりであるから、本願は、願書に添付した明細書又は図面についてした補正が、特許法第17条の2第2項において準用する同法第17条第2項に規定する要件を満たしていないから、拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-12-25 
結審通知日 2007-01-16 
審決日 2007-01-29 
出願番号 特願平6-259068
審決分類 P 1 8・ 55- WZ (B32B)
P 1 8・ 534- WZ (B32B)
P 1 8・ 561- WZ (B32B)
P 1 8・ 532- WZ (B32B)
P 1 8・ 57- WZ (B32B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小石 真弓  
特許庁審判長 石井 淑久
特許庁審判官 野村 康秀
川端 康之
発明の名称 装飾板の製造方法  
代理人 広瀬 文彦  

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