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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F21S
管理番号 1154561
審判番号 不服2004-6461  
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-01 
確定日 2007-03-22 
事件の表示 特願2000-278104号「面発光バックライト装置の製造方法及び面発光バックライト装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年3月29日出願公開、特開2002-93202号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年9月13日の出願であって、その請求項1?9に係る発明は、平成18年12月18日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「内面を反射面とする開口凹部を備えた樹脂製のモールドケースと、
発光手段とのコンタクト部材であって、該コンタクト部材の導電性のコンタクト部を前記開口凹部内に露出させて前記モールドケースと一体成型されたコンタクト部材と、
前記導電性のコンタクト部に設けられた発光手段と、
前記開口凹部の内部をほぼ一様に覆う透明または光拡散材入りの半透明の樹脂から成る導光手段とを備え、
前記開口凹部は、内面に拡散用の粗面を備えることを特徴とする面発光バックライト装置。」

2.引用発明
当審による平成18年10月12日付け拒絶理由通知に引用した刊行物である実願昭62-191440号(実開平1-97376号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物」という。)には、表示パネルのバック照明構造に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア.「第1図ないし第3図は本考案の自動車電話機等の移動無線装置のハンドセットの表示部に適用した場合の一実施例を示すものである。これらの図を参照すると、ハンドセットのケーシング11に形成された開口部11aには透明窓部12aを有する表カバー12が装着されている。表カバー12は例えば透明アクリル樹脂からなり、透明窓部12aの周りは例えば裏面に施されるシルク印刷等によって光の透過を防止できるように構成されている。表カバー12の裏側のケーシング11の内部には透過形液晶表示パネル13が配設されている。液晶表示パネル13の裏側には例えば発光ダイオードからなる2つの発光素子14を埋め込んだ導光ブロック15が配設されている。導光ブロック15はケーシング11内に設けられたプリント板16上に取り付けられており、また、液晶表示パネル13は支持ブロック17を介してプリント板16上に搭載されている。プリント板16には液晶表示パネル13をプリント板16に対し固定するための押えホルダ18が取り付けられている。液晶表示パネル13及び発光素子14はプリント板16の回路パターン(図示せず)に接続されている。導光ブロック15は白色系の樹脂例えばABS樹脂からなるベースブロック19を有している。表示パネル13に対向するベースブロック19の頂面には傾斜した底面19bを有する凹所19aが形成されており、ベースブロック19の凹所19a内には例えばエポキシ樹脂等からなる透明樹脂20がモールドされている。発光素子14は凹所19aの最深部近傍の透明樹脂20内に埋設されている。凹所19aの底部19bは発光素子14から発っせられる光を反射散乱させる反射面となり、液晶表示パネル13の裏面に対向する透明樹脂20の頂面は導光ブロック15の光出射面となる。」(明細書第8頁第14行?第10頁第9行)
イ.「上記構成を有する表示パネルのバック照明構造においては、表示パネル13が発光素子14から直接表示パネル13の裏面に向かう直接光と導光ブロック15内の反射面すなわち凹所19aの底面19bで反射散乱して表示パネル13の裏面に向かう反射光とによりバック照明されるが、発光素子14から直接表示パネル13の裏面に向かう直接光は発光素子14の近傍の導光ブロック15の光出射面に設けられている凸レンズ状の光半透過部材21によって適度に遮られるので、反射光と直接光とによるバック照明の明度差を緩和することができる。」(明細書第11頁第5?16行)
ウ.発光素子14がなんらかの接続部材を介して外部の電源に接続されていることは、自明の事項であるから、第1図には、発光素子14が、凹所19a内において、左側に延びる接続部材の接続端部に接続されることが図示されているといえる。
上記のア.?ウ.の記載及び図示内容から総合すると、上記刊行物には、下記の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「底面19bを反射面とする凹所19aを備えた白色系樹脂からなるベースブロック19と、
発光素子14との接続部材であって、前記凹部19a内において発光素子14と接続される接続端部を備えた接続部材と、
前記接続部材の前記接続端部に設けられた発光素子14と、
前記凹所19aの内部をほぼ一様に覆う透明樹脂20と、
を備える表示パネルのバック照明構造。」

3.対比・判断
本願発明と引用発明を対比すると、その構造及び機能からみて、後者の「底面19bを反射面とする凹所19a」は前者の「内面を反射面とする開口凹部」に相当し、後者の「白色系樹脂からなるベースブロック19」は前者の「樹脂製のモールドケース」に相当し、後者の「発光素子14」は前者の「発光手段」に相当し、後者の「接続部材」は前者の「コンタクト部材」に、後者の「接続端部」は前者の「導電性のコンタクト部」に相当し、後者の「透明樹脂20」は前者の「透明または光拡散材入りの半透明の樹脂から成る導光手段」に相当するものと認められ、後者の「表示パネルのバック照明構造」は前者の「面発光バックライト装置」に相当する。
そうすると、両者は、
「内面を反射面とする開口凹部を備えた樹脂製のモールドケースと、
発光手段とのコンタクト部材であって、該コンタクト部材の導電性のコンタクト部を前記開口凹部内で発光手段と接続させたコンタクト部材と、
前記導電性のコンタクト部に設けられた発光手段と、
前記開口凹部の内部をほぼ一様に覆う透明または光拡散材入りの半透明の樹脂から成る導光手段とを備えた面発光バックライト装置。」
の点で一致しており、下記の点で相違している。
(相違点1)
コンタクト部材に関して、本願発明においては「前記開口凹部内に露出させて前記モールドケースと一体成型」されているのに対し、引用発明においては「前記凹部19a内において発光素子と接続される」点。
(相違点2)
開口凹部の内面を、本願発明は、「拡散用の粗面」としたのに対し、引用発明は、拡散用の粗面としたかどうか不明である点。

上記相違点について検討する。
上記相違点1について、コンタクト部材を本体と一体成型し、コンタクト部を開口凹部内に露出させる点は、例えば、特開平11-195747号公報(特にインサートモールドした金属板11の電子部品接続部16を参照のこと。)や、特開平11-120988号公報(特にモールド樹脂板11に埋設された接続端部15aを参照のこと。)にみられるように従来周知の技術であるから、本願発明の相違点1に係る構成は、引用発明に上記周知の技術を適用することにより、当業者が容易に想到し得ることである。
上記相違点2について、開口凹部の内面を「拡散用の粗面」とした点は、従来周知の技術(例えば、実願昭61-164517号(実開昭63-137394号)のマイクロフィルムの明細書第15頁第7?8行等を参照のこと。)であり、上記周知の技術を引用発明に適用して、本願発明の相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

そして、本願発明の作用効果は、引用発明及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に予測できる程度のものであり、格別のものではない。

4.むすび
本願発明は、引用発明及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-01-18 
結審通知日 2007-01-23 
審決日 2007-02-06 
出願番号 特願2000-278104(P2000-278104)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F21S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 仁木 浩  
特許庁審判長 石原 正博
特許庁審判官 和泉 等
中村 則夫
発明の名称 面発光バックライト装置の製造方法及び面発光バックライト装置  
代理人 石川 泰男  

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