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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1154593
審判番号 不服2004-22147  
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-10-28 
確定日 2007-03-22 
事件の表示 平成 9年特許願第307459号「映像表示方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 5月28日出願公開、特開平11-146325〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願発明
本願は、平成9年11月10日の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る各発明は、平成15年11月4日付け、および平成16年11月26日付けの各手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、上記各請求項の記載事項によりそれぞれ特定されるとおりのものと認められるところ、請求項lに係る発明(以下これを「本願発明」という)は次のとおりのものである。
「複数の映像を記憶装置に記憶し、その映像を表示する映像表示方法において、
前記記憶装置に記憶された複数の映像の中から選択された映像の内容を表すグループ画像が作成されている場合は、該画像を表示し、
前記記憶装置に記憶された複数の映像の中から選択された映像の内容を表すグループ画像が作成されていない場合は、
該選択された映像の中から複数の画像を抽出し、
該抽出した複数の画像を所定の状態に配置したグループ画像を作成し、
該作成したグループ画像を、前記選択された映像の内容を表す画像として表示することを特徴とする映像表示方法。」

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶理由に引用された特開平8-115333号公報(以下「引用例1」という)、特開平5-233725号公報(以下「引用例2」という)及び特開平6-110943号公報(以下「引用例3」という)には、それぞれ次のことが記載されている。

【引用例1】
(a)映像管理表示装置に関する発明について、該発明の装置は、その一実施例(図1の実施例1)では、映像入力部11,計算制御部12,一覧表示部13,表示ディスプレイ14,映像蓄積部16,指示入力部18等を有し、計算制御部12(CPU)は、映像入力部11から送られてきた映像データを映像蓄積部16に逐次転送したり、一覧表示部13の一覧表の作成を行ったりするものであり、映像蓄積部16は、例えばハードディスクと映像圧縮用のハードウェアから構成され、上記計算制御部12から送られてきた映像データを圧縮符号化した上でハードディスクに記録するものであること。(第3頁段落【0013】,【0015】,【0019】参照)
(b)上記実施例では、クロックから自動的に得られる絶対時間情報を映像に対してインデックスとして付与する構造となっており、このインデックスを基に一覧表示が行われるものであること。(第3頁段落【0023】,【0024】参照)
(c)上記一覧表示は、蓄積されている映像情報を絶対時間情報(上記インデックス)を参照しながら引き出し、レイアウト情報に従って画面配置し、一覧表示部13に映像情報を転送して一覧表示を行うもので、一覧表示の中に自分の見たい映像が見つかったら、指示入力部18でその映像を指示することによって計算制御部12が映像の再生を開始するようになされていること。(第4頁5欄18?26行目)
(d)上記一覧表示を行うに際し、映像内容を詳しく知りたいときには細かい時間単位で、概略を知りたい場合には粗い単位で一覧表示を行うようにすると、映像へのアクセスが迅速、簡単にできるようになる効果があり、例えば、指示入力部によって指定された1時間分の映像内容の詳細を“10分”を単位として一覧表示するようにすることができ、この場合、0分,10分,20分と各10分代毎に複数の分単位画像32が表示され、この分単位画像32は、10分間の間に現れる場面のうち代表的なものが並べられたものであること。(第4頁段落【0029】及び図3参照)

【引用例2】
(e)ワークステーション等における動画像の検索方式に関し、ワークステーションの外部記憶装置に動画像(動画像再生装置からの入力動画像)の一部をあらかじめ静止画像として記憶しておくことにより、動画像の検索処理をワークステーション側で行えるようにすること。(第2頁段落【0001】,【0004】参照)
(f)そのために、上記検索方式は、記録媒体に記録済みの動画像の中から静止画像を抽出する第1のステップと、第1のステップで抽出した静止画像と前記記録媒体上の位置の対応を記録したテーブルを作成する第2のステップと、第2のステップで作成したテーブルに記録された静止画像を連続表示し、連続表示中の静止画像を停止し、所望の動画像に近い静止画像を選択する第3のステップと、第3のステップで選択した静止画像に対応する前記記録媒体上の位置を前記テーブルから求め、選択した静止画像に続く動画像を表示する第4のステップとを有して、静止画像の表示及び静止画像に続く動画像の表示を行うようにしたものであること。(第2頁段落【0005】)

【引用例3】
(g)表示画面に近過去、現在、近未来の画像情報を示すビデオインデックスを表示するものであって、動画像データよりビデオインデックスのデータを形成して表示画面に動画像とビデオインデックスを同時に表示するようにしたものであるが、ビデオテープやビデオディスク等のパッケージメディアに予め動画像データの他にビデオインデックスのデータを記録しておき、タイムストリーム表示では動画像とビデオインデックスを同時に表示するようにしてもよいものであること。(第6頁段落【0070】)

3.対比
本願発明と引用例1に記載された発明(以下「引用発明」という)とを対比してみると、引用発明は、映像データを映像蓄積部(例えばハードディスク)に記録し、記録した映像を再生して表示するものであるから、本願発明でいう「複数の映像を記憶装置に記憶し、その映像を表示する映像表示方法」を開示するものといえ、特に、引用例1の前掲記載(c),(d)によれば、引用発明では、上記映像蓄積部に蓄積されている映像情報から引き出した映像(抽出画像)を、レイアウト情報に従って画面配置して一覧表示しており、この一覧表示は、例えば指示入力部によって指定された(選択された)1時間分の映像の内容を、その10分間毎の複数の分単位画像(10分間の間に現れる場面のうち幾つかの代表的なものの画像)を並べて一覧表示するものであるから、引用発明も、本願発明と同様、“選択された映像、すなわち前記記憶装置に記憶された複数の映像中から選択された映像の中から複数の画像を抽出し、該抽出した複数の画像を所定の状態に配置したグループ画像を作成し、該作成したグループ画像を、前記選択された映像内容を表す画像として表示する”ようにしたものということができ、これらの点を前提とすると、本願発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりであると認めることができる。
【一致点】両者はいずれも、
「複数の映像を記憶装置に記憶し、その映像を表示する映像表示方法において、
前記記憶装置に記憶された複数の映像中から選択された映像の中から複数の画像を抽出し、
該抽出した複数の画像を所定の状態に配置したグループ画像を作成し、
該作成したグループ画像を、前記選択された映像の内容を表す画像として表示することを特徴とする映像表示方法」であるといえる点。
【相違点】本願発明では、上記記憶装置に記憶された複数の映像中から選択された映像の内容を表すグループ画像が作成されている場合は、該画像を表示し、上記グループ画像が作成されていない場合に、上記グループ画像の作成と表示を行っているのに対し、引用発明では、常に上記グループ画像の作成と表示を行っている点。

4.判断
そこで上記相違点について検討すると、前記引用例2には、その前掲記載(e),(f)から明らかなように、動画像の検索方式について、記録媒体に記録済みの動画像中から抽出される一連の静止画像(インデックス画像)を表示して上記動画像の検索を行う上で、上記抽出された一連の静止画像を記憶装置に記憶保持させておくことが記載されており、このような記憶保持を行う場合は、上記一連の静止画を再度作成しなくても再表示できること、上記一連の静止画像と引用発明における前記グループ画像とは、いずれも記録(記憶)された動画像(映像)から作成されその概略的な内容を表示するものである点で同等のものであって、上記グループ画像についても、これを記憶保持させるようにすることで上記と同様の再表示が可能となることは当業者に明らかというべき事項であり、そうすると、引用発明において、本願発明のように上記選択された映像について作成したグループ画像を適宜記憶保持させるようにし、上記選択された映像について、そのグループ画像が既に作成されて記憶保持されている場合はこれを表示し、上記グループ画像が未だ作成されて記憶保持されていない場合に、上記グループ画像を作成して表示するようになすことは、上記引用例2の記載から当業者が容易に想到し得た事項というべきであり、したがって上記相違点において本願発明が格別のものであるとすることはできない。
また、前記引用例3には、その前掲記載(g)にあるように、動画像データよりビデオインデックスのデータを形成して表示画面に動画像とビデオインデックスを同時に表示する場合と、動画像データと共にビデオインデックスのデータを予め記録しておき、動画像とビデオインデックスを同時に表示する場合とがあることが記載されており、そうすると、引用発明において、本願発明のように上記選択された映像について作成したグループ画像を適宜記憶保持させるようにし、上記選択された映像について、そのグループ画像が既に作成されて記憶保持されている場合はこれを表示し、上記グループ画像が未だ作成されて記憶保持されていない場合に、上記グループ画像を作成して表示するようになすことは、上記引用例3の記載から当業者が容易に想到し得た事項というべきであり、このことからも上記相違点において本願発明が格別のものであるとすることはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、請求項1に係る本願発明は、引用例1に記載された発明及び引用例2の記載事項に基づいて、あるいは、引用例1に記載された発明及び引用例3の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、したがって特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それ故、本願の請求項2ないし請求項4に係る各発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-01-18 
結審通知日 2007-01-23 
審決日 2007-02-07 
出願番号 特願平9-307459
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梅本 章子  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 北岡 浩
益戸 宏
発明の名称 映像表示方法及び装置  
代理人 井上 学  

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