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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1154599
審判番号 不服2002-9911  
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-06-04 
確定日 2007-03-23 
事件の表示 特願2000-320504「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年4月10日出願公開、特開2001-96015〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年6月28日に出願した特願平7-186279号の一部を平成12年10月20日に新たな特許出願としたものであって、平成14年3月11日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成14年4月3日付けで手続補正がなされ、平成14年5月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年6月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、その後当審において、平成18年10月19日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成18年11月8日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年11月8日付けの手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「複数の図柄を表示可能な図柄表示部と図柄始動検出器を設け、この図柄始動検出器で遊技球を検出すると図柄表示ゲーム記憶ランプを点灯し、その遊技球の検出結果に基づいた判定記憶値を大当たり判定手段で判定した結果が大当たりである場合に、前記図柄表示部に大当たり図柄を表示すると共に大当たりを生起する図柄表示ゲームを行うパチンコ機であって、
大当たり記憶ランプを設け、
大当たり中においても図柄表示ゲームを行い、
この図柄表示ゲームにおける前記図柄始動検出器による遊技球の検出結果に基づく大当たりの生起回数は判定記憶値として制限なく記憶し、
今回の大当たりが終了後に、前記判定記憶値として記憶の大当たりが生起する回数を、今回の大当たり中に前記大当たり記憶ランプを介して報知することを特徴とするパチンコ機。」

3.引用例に記載の発明
<引用例1に記載の発明>
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である平成4年2月25日に頒布された「実願平2-65120号(実開平4-22988号)のマイクロフィルム」(以下「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。

記載事項1;「第1図は本考案に係る可変表示装置が装着されたパチンコ機1の正面図である。パチンコ機1は、遊技盤2の表面に複数の通常入賞口3が設けられており、中央部には本考案に係る可変表示装置4が配設されている。また可変表示装置4の下方には、その可変表示装置4を始動させるための始動入賞口5a,5b,5cと、変動入賞装置6が設けられている。」(第4頁第9-16行)

記載事項2;「可変表示部47は、発光素子を縦、横方向に多数並べたドットマトリクス型のもので、発光の位置を変えることによって左,中,右に区分された種々の数字,文字,図柄等の表示記号を変動可能として構成されている。また前記枠部材43の中央部には赤色に発光可能なLEDからなる4つの記憶個数表示ランプ48が設けられている。この記憶個数表示ランプ48は可変表示部47の表示記号が変動中に始動入賞口5a?5cのいづれかに打球が入賞すると、その入賞球を最大4個まで入賞順に記憶して点灯し、その記憶入賞球を点灯個数にて表示する。」(第5頁第12行-第6頁第3行)

記載事項3;「上記のように構成されたパチンコ機は、マイクロコンピユータなどの制御手段によって次のように動作される。…この状態で遊技盤2に発射された打球が始動入賞口5a?5cのいづれかに入賞すると、飾りランプ45が点滅を繰り返すと共に可変表示部47の左,中,右に区分された数字,文字,図柄等の表示が上下方向にランダムに変動を始め所定時間経過するとその表示記号の変動が左から順に停止される。また飾りランプ45は消灯する。
なお、可変表示部47の表示が変動中に始動入賞口5a?5cに打球が入賞すると、記憶個数表示ランプ48が左から順番に点灯して入賞球を点灯個数にて表示し、表示記号の変動が停止した後、再び入賞順に表示記号の変動が繰り返される。同時に記憶個数表示ランプ48が1つずつ右から順番に消灯されて行く。」(第6頁第4行-第7頁第5行)

記載事項4;「そして、表示記号の変動の停止時において左,中,右の表示記号が同じ数字,文字または図柄で停止すると大当りとなり、飾りランプ45が点滅を繰り返すと共に変動入賞装置6の開閉板62が開かれて遊技者に有利な特定遊技状態が発生する。この大当り状態のとき、可変表示部47には当り図柄が点滅表示され、さらには変動入賞装置6の開閉板62の開放回数、入賞球個数などが表示される。
なお、大当りかどうかおよび大当りになる確率が高いリーチ状態になるかどうかということが予知され、さらには可変表示部47の左,中,右に停止する数字,文字,図柄は、マイクロコンピユータに組込まれたプログラムによって制御決定される。」(第7頁第6-19行)

記載事項5;「しかして、本考案によれば、可変表示部47の表示記号が変動中に始動入賞口5a?5cに打球が入賞して大当りになる確率が高いリーチ状態が発生することが予知されると、そのリーチ状態が予知された番の可変表示部47の表示記号が変動する前に記憶個数表示ランプ48を通常とは異なった態様で点灯させるようにしたものである。」(第7頁第20行-第8頁第6行)

記載事項6;「この実施例の場合、リーチ状態が発生すると一番左の記憶個数表示ランプ48が点滅を行いながら点灯され、さらに記憶個数表示ランプ48が点灯されるごとに1つずつ右に移動する。このため、遊技者は点滅されている記憶個数表示ランプ48を見ることによって大当りの可能性が高いリーチ状態の発生をそのリーチ状態が予知された番の表示記号の変動開始前に未然に知ることができ、大当りに対する期待感が一層高められる。」(第8頁第7-15行)

前記摘示の記載事項によれば、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「複数の図柄を表示可能な可変表示部47と始動入賞口5a?5cを設け、始動入賞口5a?5cに打球が入賞すると記憶個数表示ランプ48を点灯し、大当りかどうかが予知され、さらには可変表示部47に停止する図柄は、マイクロコンピユータに組込まれたプログラムによって制御決定され、図柄の変動の停止時において同じ図柄で停止すると大当りとなるパチンコ機であって、
始動入賞口5a?5cに打球が入賞して大当りになる確率が高いリーチ状態が発生することが予知されると、そのリーチ状態が予知された番の可変表示部47の表示記号が変動する前に記憶個数表示ランプ48を通常とは異なった態様で点灯させるパチンコ機。」

<引用例2に記載の発明>
当審における拒絶の理由に引用され、本願の出願の日前である平成2年11月6日に頒布された「特開平2-271886号公報」(以下「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。

記載事項7;「第1図は、この発明が適用されたパチンコ遊技機に設置された遊技盤1の前面の構成例を示すもので、…。
この遊技領域2の中央上段部には、上端に大入賞口と呼ばれる一般入賞口213を備えた本ゲーム装置としての可変表示装置20が接地されている。
この可変表示装置20は、装飾表示ランプ282、未処理回数表示器241およびそれぞれ3つの可変表示部242a?242c、243a?243cを有する第1おび第2の可変表示器242,243を備えている。
この可変表示装置120の下方には、該可変表示装置20のゲーム結果如何により、左右一対の案内部材514,514と開閉扉513が開いてその大入賞口511中に遊技球を入賞させ易い状態に変換する変動入賞装置50が設置されている。
また、その変動入賞装置50の左右の斜め下方位置にはそれぞれ可変表示器38と一対の可動片31,31を備えたチューリップ形式の始動入賞装置3,3が設置されている。」(第2頁右上欄6第行-同頁左下欄第12行)

記載事項8;「このような状態にあるときに、図外の打球発射装置によって、遊技領域2内に遊技球が発射され、その遊技球が始動入賞装置3に入賞すると、その入賞ごとに、始動入賞装置3の内部流路に設置された始動入賞検出器3a(SW1)に検出される。
この実施例では始動入賞装置3に遊技球が入賞しても可動部材31,31は開かない。そして、その検出信号に基づいて、その始動入賞装置3の可変表示器38の表示の変化が一時的に停止される補助ゲームが行なわれる。
それら補助ゲーム結果としての可変表示器38の停止数字表示が現れるごとにその数字が可変表示装置20の未処理回数表示器241に加算された状態で数字表示される。
そして、その未処理回数表示器241の数字が「1」以上になると、可変表示器242,243のうちの可変表示ゲーム(本ゲーム)が終了した状態となっている側の3つの可変表示部242a?242c(又は、243a?243c)の表示が所定時間変化された後(又は、図外のストップボタンが押されたときに)、停止される可変表示ゲーム(本ゲーム)が行なわれる。その可変表示ゲーム(本ゲーム)が行なわれるごとに、その未処理回数表示器241の未処理回数表示が「1」ずつ減算表示され、その表示が「0」になるまで、可変表示器242又は243による可変表示ゲーム(本ゲーム)が繰り返して行なわれる。
それら可変表示ゲームの結果、可変表示器242,243のうちのいずれかの可変表示部242a?242c又は243a?243cの表示が偶発的に特定の表示態様(この実施例の場合、「1,1,1」、「2,2,2」などのぞろ目)となったときには、大当りと呼ばれる特別遊技の権利が発生しその権利に基づいて特別遊技が行なわれる。
ここに、特別遊技とは、遊技者に多くの賞品球獲得のチャンスを与える遊技態様で、例えば、開閉扉513と案内部材514,514の所定時間(例えば、30秒間)の開放(第1図に実線で示す状態)を1サイクル…とし、各サイクル中に変動入賞装置50の大入賞口511中の中央に流入してその中の継続入賞検出器531(SW2)に検出されることを継続条件(サイクルの更新条件)として、例えば、最高9サイクルまで継続して行なわれるものである。」(第3頁左上欄第8行-同頁左下欄第15行)

記載事項9;「この特別遊技中においても、始動入賞装置3への入賞に基づく上記可変表示器38による補助ゲームとその補助ゲーム結果に基づく可変表示器242,243による可変表示ゲーム(本ゲーム)が通常遊技時と同様に行なわれ、新たに特別遊技の権利が発生したときにはその回数が記憶されていてその特別遊技の終了後にその記憶回数分の特別遊技が行なわれる。」(第3頁右下欄第12-19行)

前記摘示の記載事項によれば、引用例2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「特別遊技中においても可変表示ゲームを行い、この可変表示ゲームにおける特別遊技の発生回数を記憶するパチンコ機。」

4.対比
本願発明と引用発明1を対比すると、引用発明1の「可変表示部47」は本願発明の「図柄表示部」に相当し、以下同様に、「打玉」は「遊技球」に、「記憶個数表示ランプ48」は「図柄表示ゲーム記憶ランプ」に、「大当り」は「大当たり」に相当する。

引用発明1の「始動入賞口5a?5c」は、遊技球を検出する手段を備えることが明らかであるので、本願発明の「図柄始動検出器」ということができ、同様に、「始動入賞口5a?5cに打球が入賞すると」は「この図柄始動検出器で遊技球を検出すると」ということができる。
引用発明1の「マイクロコンピユータに組込まれたプログラム」は、それにより、大当りかどうかが予知され、さらには可変表示部47に停止する図柄は、制御決定されるものであるから、本願発明の「大当たり判定手段」ということができる。
引用発明1の「図柄の変動の停止時において同じ図柄で停止すると大当りとなる」は、可変表示部47に停止する図柄はマイクロコンピユータに組込まれたプログラムにより制御決定されるものであるから、本願発明の「前記図柄表示部に大当たり図柄を表示すると共に大当たりを生起する図柄表示ゲームを行う」ということができる。

引用発明1の「始動入賞口5a?5cに打球が入賞して大当りになる確率が高いリーチ状態が発生することが予知されると、そのリーチ状態が予知された番の可変表示部47の表示記号が変動する前に記憶個数表示ランプ48を通常とは異なった態様で点灯させる」点について、
記憶個数表示ランプ48を通常とは異なった態様で点灯中に、さらにリーチ状態が予知されれば、その番についても記憶個数表示ランプ48を通常とは異なった態様で点灯させること、即ち、通常とは異なった態様で点灯される記憶個数表示ランプ48の個数により、リーチ状態が生起する回数が、記憶個数表示ランプ48を介して報知されることは明示されていなくとも明らかなことであり、
そのために、リーチ状態に変動することが記憶個数表示ランプ48の個数に対応して記憶されること、即ち、リーチ状態の生起回数が記憶されることも、明示されていなくとも明らかなことであるから、
引用発明1は、リーチ状態の生起回数を記憶し、リーチ状態が生起する回数を、記憶個数表示ランプ48を介して報知する構成を、実質的に備えるものであり、これは、大当たりに関連する所定の遊技状態の生起回数を記憶し、大当たりに関連する所定の遊技状態が生起する回数を、ランプを介して報知するという上位概念において本願発明と共通するものである。

そうすると両者は、「複数の図柄を表示可能な図柄表示部と図柄始動検出器を設け、この図柄始動検出器で遊技球を検出すると図柄表示ゲーム記憶ランプを点灯し、その遊技球の検出結果に基づいた情報を大当たり判定手段で判定した結果が大当たりである場合に、前記図柄表示部に大当たり図柄を表示すると共に大当たりを生起する図柄表示ゲームを行うパチンコ機であって、
大当たりに関連する所定の遊技状態の生起回数を記憶し、大当たりに関連する所定の遊技状態が生起する回数を、ランプを介して報知するパチンコ機。」で一致し、以下の点で相違する。

相違点1;大当たりを生起するに際して、本願発明は、その遊技球の検出結果に基づいた判定記憶値を大当たり判定手段で判定した結果が大当たりである場合とするのに対して、引用発明1は、その点について特定していない点。

相違点2;大当たりに関連する所定の遊技状態の生起回数を記憶するに際して、本願発明は、大当たり中においても図柄表示ゲームを行い、この図柄表示ゲームにおける前記図柄始動検出器による遊技球の検出結果に基づく大当たりの生起回数は判定記憶値として制限なく記憶するのに対して、引用発明1は、リーチ状態の生起回数を記憶する点。

相違点3;大当たりに関連する所定の遊技状態が生起する回数を、ランプを介して報知するに際して、本願発明は、大当たり記憶ランプを設け、今回の大当たりが終了後に、前記判定記憶値として記憶の大当たりが生起する回数を、今回の大当たり中に前記大当たり記憶ランプを介して報知するのに対して、引用発明1は、リーチ状態が生起する回数を、ランプを介して報知する点。

5.当審の判断
相違点1について
大当たりを生起するに際して、その遊技球の検出結果に基づいた判定記憶値を大当たり判定手段で判定した結果が大当たりである場合とする点は、図柄表示ゲームを行うパチンコ機として、周知技術(下記周知例1乃至3参照)であり、引用発明1にそのような周知技術を適用することは、当業者が容易に想到できることである。

相違点2について
記載事項8から、引用発明2の「特別遊技」は本願発明の「大当たり」ということができ、同様に、記載事項7から、「可変表示ゲーム」は「図柄表示ゲーム」ということができるから、引用発明2は、「大当たり中においても図柄表示ゲームを行い、この図柄表示ゲームにおける大当たりの発生回数を記憶するパチンコ機。」を開示するものである。
そして、引用発明2は、図柄表示ゲームを行うパチンコ機として、引用発明1と共通の技術分野に属するものであるから、引用発明1に、引用発明2を適用して、大当たり中においても図柄表示ゲームを行うパチンコ機とすることは、当業者が容易に想到できることである。
大当たりに関連する所定の遊技状態として、リーチ状態は、後に必ず大当たりとなるのではないから、大当たりとは、遊技者の興味や注目の程度に差があるとしても、リーチ状態は大当たりの発生に至る前段階にあり、大当たりを期待する遊技者にとって興趣の向上となる報知内容として異質のものとはいえず、さらに、大当たりが生起することを予め報知することも、図柄表示ゲームを行うパチンコ機として、周知技術(下記周知例1乃至3参照)であるから、引用発明1において、リーチ状態の生起回数を記憶することに代えて、大当たりの生起回数を記憶することは、当業者にとって格別創意工夫を要することではない。
パチンコ機において、所定の遊技状態を生起させる何等かの回数を記憶するに際して回数に制限を設けるか否かは、当業者によって適宜選択される設計的な事項(下記周知例4乃至6参照)であり、「大当たりの生起回数は判定記憶値として制限なく記憶する」ことも、同様の設計的な事項に過ぎないものである。
さらに、相違点1について検討したことを前提とすれば、引用発明1において、大当たり中においても図柄表示ゲームを行い、この図柄表示ゲームにおける図柄始動検出器による遊技球の検出結果に基づく大当たりの生起回数は判定記憶値として制限なく記憶するようにすることは、当業者が容易に成し得たことである。

相違点3について
大当たりが生起することを図柄表示ゲーム記憶ランプとは異なる手段を介して報知することは、図柄表示ゲームを行うパチンコ機として、周知技術(下記周知例1乃至3参照)であり、さらに、相違点1及び2について検討したことを前提とすれば、引用発明1において、大当たり記憶ランプを設け、今回の大当たりが終了後に、前記判定記憶値として記憶の大当たりが生起する回数を、今回の大当たり中に前記大当たり記憶ランプを介して報知するようにすることは当業者が容易に想到できることである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明1、2及び周知技術から当業者が予測できる域を超えるものではない。

<周知例に開示される技術>
周知例1.特開平6-134109号公報
「そして、始動口112,120,121のいずれかへのパチンコ玉の入賞によって近接センサSからパチンコ玉の検出信号が役物制御装置800に入力され、役物制御装置800のCPU806は、確率設定装置801で設定された所定の確率値に基づいて、例えば、大当り(所謂連チャン状態の発生を含む)であるか否か(即ち、当り図柄配列とするか否か)を判定する。この判定結果が大当りである場合には、CPU806の制御によって特別図柄表示装置103で可変表示ゲームの実行が開始されると同時に、役物制御装置800から所定の制御信号が発せられ、その制御信号に基づいて前記作動表示ランプ及びLEDが大当りの視覚的報知装置として作動すると共に、前記スピーカー92が大当りの聴覚的報知装置として作動し、可変表示ゲームが開始される前、或いは可変表示ゲームの実行中に(例えば、中図柄表示部105に図柄が停止表示されるまでの間)、遊技者に対して大当りの発生する可能性を報知するように構成される。」(段落0028)と記載され、大当たりを生起するに際して、その遊技球の検出結果に基づいた判定記憶値を大当たり判定手段で判定した結果が大当たりである場合とする技術、及び、大当たりが生起することを予め、図柄表示ゲーム記憶ランプとは異なる手段を介して報知する技術が開示されている。

周知例2.特開平5-305175号公報
「上記した可変表示装置23の下方には、始動入賞口28が配置されている。この始動入賞口28は、前記したように、可変表示装置23の可変表示器24を可変表示させるためのものであり、そのため、始動入賞口28に受け入れられた入賞玉を検出するために、遊技盤20の裏面に始動入賞玉検出器29が設けられている。また、この始動入賞口28と同じ機能を有する始動入賞口30a,30bが次に説明する可変入賞球装置32の左右に一体的に設けられている。この始動入賞口30a,30bには、始動入賞玉検出器31a,31bが内蔵されている。」(段落0012)、及び、「ところで、可変表示装置23の可変表示器24に表示される図柄の組合せが特定図柄の組合せとなるか否かは、打玉が始動入賞口28、30a,30bに入賞した時点で決定される。このため、始動入賞に基づく可変表示装置23の可変表示動作の停止前に、特定表示結果が表示されるか否か決定されるので、その決定された出力に基づいて報知手段を事前に駆動することにより、可変表示装置23の表示結果が特定表示結果となる期待感を遊技者に与えることができる。そして、本実施例においては、後述するように、遊技者が遊技をしているパチンコ遊技機10だけでなく他のパチンコ遊技機10において特定表示結果が表示される場合にも、事前に報知手段が駆動されるので、遊技者は、自身の遊技しているパチンコ遊技機10に特定表示結果が表示されるという期待感を抱くことができ、可変表示装置23の可変表示動作に強く引き付けられる。なお、本実施例において、報知手段としては、前記枠ランプ装置50が使用される。」(段落0015)と記載され、大当たりを生起するに際して、その遊技球の検出結果に基づいた判定記憶値を大当たり判定手段で判定した結果が大当たりである場合とする技術、及び、大当たりが生起することを予め、図柄表示ゲーム記憶ランプとは異なる手段を介して報知する技術が開示されている。

周知例3.特開平3-73180号公報
「第8D図は、前記S6で定義されたスイッチチェック処理のうちのスタートスイッチチェックのサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。S53により、スタートスイッチ(始動入賞玉検出器39a?39b)がONになっているか否かの判断がなされる。そしてパチンコ玉が始動入賞口27a?27cのいずれかに入賞すれば、S53よりYESの判断がなされS55に進み、スタートスイッチチェックカウンタが最大か否かの判断がなされる。…未だに「4」に達していない場合にはS59に進み、始動入賞が発生したことに伴う始動入賞カウンタの「1」の加算処理がなされる。次にS60では、停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値を停止図柄データとして始動記憶カウンタの値に対応する停止図柄データ記憶エリアに記憶する処理がなされる。たとえば、第9図に示すように、始動記憶カウンタが「1」の場合には、停止図柄データ記憶エリアのエリア5に現在のカウント値に対応する停止図柄データ「a」が記憶される。なお、始動記憶カウンタの値に対応する停止図柄データ記憶エリアとは、始動記憶カウンタの値が「1」の場合にはエリア5となり、始動記憶カウンタが「2」である場合にはエリア6となり、始動記憶カウンタが「3」である場合にはエリア7となり、始動記憶カウンタが「4」である場合にはエリア8となる。次にS61に進み、停止図柄データ記憶エリアのエリア1?4が空き状態であるか否かの判断がなされ、空き状態でない場合には直接S63に進むが、空き状態の場合にはS62に進む。つまり、始動記憶カウンタがたとえば「1」である場合に、そのカウント値に対応するエリア5に停止図柄データ「a」が記憶され、エリア1?4に全くデータが記憶されていな場合には、S61によりYESの判断がなされてS62に進み、停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値に基づいて4回分の停止図柄データを決定しエリア1?4に記憶させる処理がなされる。このS62による処理がなされた状態が、第9図の1個目始動入賞時の停止図柄データ記憶エリアに示されている。
次にS63に進み、停止図柄決定用カウンタの現在のカウント値が大当りまたは中当りの値であるか否かの判断がなされる。この「現在のカウント値」とは前記S60で記憶した値と同じものである。そして大当りまたは中当りの値でないと判断された場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了する。一方、大当りまたは中当りの値になっている場合にはS64に進み、エリア4に記憶されている停止図柄データが大当りまたは中当りの値になっているか否かの判断がなされ、大当りまたは中当りの場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが、大当りまたは中当りの値でない場合にはS65に進み、エリア4の停止図柄データをリーチ目表示用の停止図柄データに変更する処理がなされてサブルーチンプログラムが終了する。…前記S60により、前記可変表示装置の表示結果の決定に用いられる表示結果決定用データを該可変表示装置の数回前の可変表示の段階から生成可能な表示結果決定用データ生成手段が構成されている。なお、本実施例では、始動入賞時に表示結果決定用データを生成するものを示したが、本発明はこれに限らず、…また、前記S65に従ってリーチ目を表示する可変表示装置14により、前記可変表示装置の数回前の可変表示の段階において生成された前記表示結果決定用データが前記特定の表示態様に対応するものである場合に、前記特定の表示態様が表示される予定となっている回の可変表示の開始以前に、前記特定の表示態様が導出表示されることを遊技者に事前に報知するための前兆報知手段が構成されている。」(第11頁左上欄第17行-第12頁右上欄第18行)、及び、「前述した2つの実施例においては、前兆報知手段が、前兆パターンとして或る定められた停止図柄で可変表示装置を停止させるように表示制御するものを示したが、本発明はこれに限らず専用の表示器によって前兆を可視表示させるか、それに代えてあるいはそれに加えて特有の音によって前兆を報知するようにしてもよい。」(第16頁左下欄第20行-同頁右下欄第6行)と記載され、大当たりを生起するに際して、その遊技球の検出結果に基づいた判定記憶値を大当たり判定手段で判定した結果が大当たりである場合とする技術、及び、大当たりが生起することを予め、図柄表示ゲーム記憶ランプとは異なる手段を介して報知する技術が開示されている。

周知例4.特開平5-177041号公報
「この始動入賞記憶の上限値はたとえば「4」と定められており、その始動入賞記憶値が始動入賞記憶表示器15により表示される。なお、記憶の上限値をもっと大きな値にしてもよいし上限値を設けないようにしてもよい。」(段落0013)と記載され、始動入賞記憶を記憶するに際して、始動入賞記憶の上限値に制限を設けるか否かを適宜設計できる点、即ち、所定の遊技状態が生起する前提となる何等かの回数を記憶するに際して、回数に制限を設けるか否かを適宜設計できる点が開示されている。

周知例5.特開平2-299679号公報
「可変入賞球装置30の開成時間、入賞個数、開成口数の上限は、実施例に限定することなく、任意に設定すればよい。また、この場合、1回の大当り発生によって可変入賞球装置30又は遊技盤上のすべての入賞口に入賞する入賞玉の総数に上限を設けたうえで、開成回数や1回の開成における入賞個数に上限を設けないようにしてもよい。」(第14頁右上欄第4-11行)と記載され、可変入賞球装置30の開成時間、入賞個数、開成口数を記憶するに際して、可変入賞球装置30の開成時間、入賞個数、開成口数の上限に制限を設けるか否かを適宜設計できる点、即ち、所定の遊技状態が生起する前提となる何等かの回数を記憶するに際して、回数に制限を設けるか否かを適宜設計できる点が開示されている。

周知例6.特開平2-220680号公報
「更に、インターバル時間毎に第2可変表示装置17の可変表示を行わせ、「7」を表示した時点から所定回数(例えば、10回)繰返し条件が許容されたり、あるいは、継続回数がその都度「1」づつ加算されるようにしてもよい。また、この場合、継続回数に上限を設けてもよいし、設けなくてもよい。」(第8頁右下欄第13-19行)と記載され、継続回数を記憶するに際して、継続回数の上限に制限を設けるか否かを適宜設計できる点、即ち、所定の遊技状態が生起する前提となる何等かの回数を記憶するに際して、回数に制限を設けるか否かを適宜設計できる点が開示されている。

6.むすび
したがって、本願発明は、引用発明1、2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-12-27 
結審通知日 2007-01-16 
審決日 2007-01-30 
出願番号 特願2000-320504(P2000-320504)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神 悦彦  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 土屋 保光
林 晴男
発明の名称 パチンコ機  
代理人 犬飼 達彦  

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