• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1154649
審判番号 不服2005-7051  
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-04-21 
確定日 2007-03-22 
事件の表示 平成9年特許願第128176号「半導体装置およびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年12月4日出願公開、特開平10-321631〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年5月19日の出願であって、その請求項1?10に係る発明は、特許法第17条の2の規定に基づき平成17年5月17日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明1」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】半導体集積回路上に形成された絶縁層であって、一体形成された高さの異なる複数の台座部と、前記半導体集積回路の任意の配線を露出させるために前記絶縁層に設けた開口部と、前記開口部から露出した配線表面から最も高い前記台座部の頂面に至るように、前記開口部および前記絶縁層上に形成された導体からなる電極を有することを特徴とする半導体装置。」

[2]引用刊行物の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前の平成4年10月6日に頒布された刊行物である特開平4-280458号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、下記の事項が記載されている。
(a)「【請求項1】主面に複数の回路素子が形成された半導体チップと、前記半導体チップの主面上に設けられたゴム状弾性体からなる突起部と、前記半導体チップの主面上に形成され、その一端が前記半導体チップのパッドに接続されると共に、その他端が前記突起の頂部に延在したリード配線とを有することを特徴とする半導体集積回路装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】)、
(b)【実施例】として、「【0023】この半導体集積回路装置のパッケージ本体1は、ゴム状弾性体からなり、その下面の両端には、短辺方向に沿って所定数の突起2が一定の間隔で配置されている。これらの突起2は、パッケージ本体1と同一材質のゴム状弾性体からなり、パッケージ本体1と一体成形されている。」(段落【0023】)、
「【0027】パッケージ本体1に設けられた突起2は、例えば頂部が長方形で、パッケージ本体1の中心側の側壁に傾斜が設けられた角錐台形をなしており、・・・
【0028】上記それぞれの突起2の近傍のパッケージ本体1には、接続孔5が開孔されており、接続孔5の内部には、前記リード配線3が埋込まれている。また、上記接続孔5の底部には、チップ4の表面保護膜(パッシベーション膜)6を開孔して形成したパッド7が露出しており、これにより、パッド7とリード配線3とが電気的に接続されている。上記パッド7は、チップ4の回路素子に接続されたAl配線8からなる。また、上記チップ4の主面は、突起2と同一材料のゴム状弾性体で覆われており、このゴム状弾性体でチップ4の主面が保護されるようになっている。
【0029】このように、本実施例の半導体集積回路装置は、外部端子を構成するリード配線3の一端をゴム状弾性体からなるパッケージ本体1の下面に設けた突起2の頂部に延在し、リード配線3の他端をパッケージ本体1に開孔した接続孔5を通じてチップ4のパッド7に接続したパッケージ構造を有している。」(段落【0027】?【0029】)が記載されるとともに、当該実施例の記載に対応させて、図1?図5が示されており、
(c)また、他の【実施例】として、「【0053】本実施例では、Al配線8の上層に第二層目のAl配線21を形成し、配線を多層化することでパッド7を回路素子上に配置したものである。また、これに伴い、突起2も回路素子上に配置してある。
【0054】本実施例によれば、パッド7を回路素子上に配置したことにより、パッド領域を削減することができるので、チップ4を小形化することができる。また、突起2を回路素子上に配置したことにより、パッケージ本体1の外径寸法をチップ4の外径寸法とほぼ同程度まで縮小することができるので、チップ4の実装密度をより向上させることができる。」(段落【0052】?【0054】)が記載されるとともに、当該実施例の記載に対応させて、図15、図16が示されており、
(d)同図15、図16には、半導体チップ4主面の回路素子及び配線が、表面保護膜(パッシベーション膜)6とそれに積層したパッケージ本体1と突起2の層によって覆われており、該層のパッケージ本体1の表面と突起2の頂部の高さが異なり、リード配線3が半導体チップ4主面のパッド7上、該パッケージ本体1の接続孔5内、該パッケージ本体1の表面、突起2の頂部に延在する点が示されている。

[3]当審の判断
[3-1]引用刊行物記載の発明
引用刊行物には、摘記(a)のとおりの「半導体集積回路装置」が記載されている。
また、摘記(b)によれば、上記「半導体集積回路装置」において、半導体チップ主面がゴム状弾性体のパッケージ本体で覆われ、該パッケージ本体上には、該パッケージ本体と同一材質の角錐台形の突起が、該パッケージ本体と一体成形されて設けられ、リード配線が該パッケージ本体上に保持され、その一端が該パッケージ本体の接続孔を通じて半導体チップ主面のパッドに接続されると共に、その他端が突起2の頂部に延在することが記載されている。
また、摘記(c)によれば、上記「半導体集積回路装置」において、パッケージ本体と突起が半導体チップ主面の回路素子上に配置されることが記載されており、また、図15、図16には、半導体チップ4主面の回路素子及び配線が、表面保護膜(パッシベーション膜)とパッケージ本体と突起の層によって覆われ、該層のパッケージ本体の面と突起の頂部との高さが異なり、リード配線が半導体チップ主面のパッド上、該パッケージ本体の接続孔内、該パッケージ本体表面、突起の頂部に延在する点が示されている( 摘記(d)参照)。
上記の事項及び摘記(a)?(d)の事項を総合すると、引用刊行物には、「主面に複数の回路素子が形成された半導体チップと、該半導体チップ主面の回路素子上に設けられた同一材質のゴム状弾性体からなる、一体成形された高さの異なるパッケージ本体及び突起と、該パッケージ本体上に形成され、その一端が該パッケージ本体の接続孔を通じて前記半導体チップ主面のパッドに接続されると共に、その他端が前記突起の頂部に延在したリード配線とを有する半導体集積回路装置」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

[3-2]本願発明1と引用発明との対比・判断
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「半導体チップ主面の回路素子上に設けられた同一材質のゴム状弾性体からなる、一体成形された高さの異なるパッケージ本体及び突起」は、半導体チップ主面の回路素子及び配線を層状に被覆して保護し、且つその表面上及び接続孔内に延在するリード配線を、短絡、漏洩が生じないように絶縁保護すべきものであるから、半導体集積回路上に形成された絶縁層であるといえる。また、当該「一体成形された高さの異なるパッケージ本体及び突起」は、その突起のない部分と突起のある部分とにリード配線が延在し、夫々該リード配線が載置されているので、一体形成された高さの異なる複数の台座部に他ならない。
また、引用発明における「パッケージ本体の接続孔」は、半導体チップ主面のパッドに接続するリード配線を導出するためのものであるから、半導体集積回路の任意の配線を露出させるために絶縁層に設けた開口部に他ならない。
また、引用発明の「該パッケージ本体上に形成され、その一端が該パッケージ本体の接続孔を通じて前記半導体チップ主面のパッドに接続されると共に、その他端が前記突起の頂部に延在したリード配線」において、その「パッケージ本体」、「接続孔」、「突起の頂部」は、夫々上述したように本願発明1における「絶縁層」の一部、「開口部」、「最も高い台座部の頂面」に相当するので、当該「リード配線」は、本願発明1における「前記開口部から露出した配線表面から最も高い前記台座部の頂面に至るように、前記開口部および前記絶縁層上に形成された導体からなる電極」に相当するものといえる。
また、引用発明における「半導体集積回路装置」は、半導体装置に他ならない。
そうすると、両者は、「半導体集積回路上に形成された絶縁層であって、一体形成された高さの異なる複数の台座部と、前記半導体集積回路の任意の配線を露出させるために前記絶縁層に設けた開口部と、前記開口部から露出した配線表面から最も高い前記台座部の頂面に至るように、前記開口部および前記絶縁層上に形成された導体からなる電極を有する半導体装置」である点で一致し、実質的に相違する点は存在しない。

したがって、本願発明1は、引用刊行物に記載された発明である。

[4]むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、上記のとおり本願発明1が特許を受けることができないため、本願の請求項2?10に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-01-10 
結審通知日 2007-01-16 
審決日 2007-02-01 
出願番号 特願平9-128176
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 永一  
特許庁審判長 綿谷 晶廣
特許庁審判官 市川 裕司
前田 仁志
発明の名称 半導体装置およびその製造方法  
代理人 前田 実  
代理人 山形 洋一  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ