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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1154762
審判番号 不服2004-22764  
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-11-04 
確定日 2007-03-29 
事件の表示 平成 6年特許願第314867号「照光装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 7月 2日出願公開、特開平 8-171071〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年12月19日の出願であって、原審において、平成15年12月26日付で拒絶理由が通知され、これに対し、平成16年3月5日付で手続補正がなされたところ、同年9月28日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年12月6日付で審判請求書の【請求の理由】についての手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成16年3月5日付手続補正の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる(以下、「本願発明」という。)。
「【請求項1】 表面の一端寄りに透光部を有する偏平なケースと、このケースの前記透光部の内側に収納されて前記ケースの他端側の端面を入射面とした導光板と、この導光板の前記入射面に対向して配置されたランプと、前記ケースの他端側に収納された電池と、この電池および前記ランプの間に配置された点灯装置と、前記電池の側方に配置されたスイッチおよびACアダプタ用差込接続器とを備え、前記電池を前記ケースの一側に偏位配置し、前記スイッチおよび前記ACアダプタ用差込接続器を前記ケースの他側に並べて配置した照光装置。」

3.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された実願平1-109461号(実開平3-47510号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には,図面とともに、
ア.「<考案が解決しようとする課題>
本考案は以上のごとき要請にもとづき、印刷産業に於ける営業マンが、手軽に持ち運びかのうなように、薄型であり、軽くて持ち運びに便利な携帯用ビュアーを提供するものである。」(第3頁第4行?第8行)
イ.「 本考案は、前記の課題に基づいて、偏平な外箱(12)の表面の一部に窓(14)を設け、この窓(14)にビュアー部(2)を設け、外箱(12)内のビュアー部(2)以外の位置に電源部(4)及び蛍光灯駆動部(5)を設けてなり、前記ビュアー部(2)は、外箱(12)の窓(14)に光拡散板(22)をはめ込み、その内側に光導板(26)の照明面(30)を対応して配置し、光導板(26)の両端に設けられた光導入部(28)に蛍光灯管(24)を設け、前記光導板(26)は表面は両端の光導入部(28)より離れるに従って薄くなるような凹面形状となっており、かつ裏面には両端の光導入部(28)より離れるに従って単位面積あたりに占める面積が大きくなるように反射層(32)が形成された携帯用ビュアーである。」(第3頁第10行?第4頁第3行)
ウ.「<実施例>
以下、実施例により本考案を詳細に説明する。
プラスチックを成形してなる偏平な外箱(12)の表面の一部に窓(14)を設け、この窓(14)にビュアー部(2)を設ける。
外箱(12)内のビュアー部(2)以外の位置に乾電池を収納する電源部(4)(この実施例では単三乾電池6本)及び蛍光灯管(24)を点灯するための蛍光灯駆動部(5)が設けられている。
前記ビュアー部(2)は、外箱(12)の窓(14)に光拡散板(22)をはめ込み、その内側に透明プラスチック(この実施例においてはアクリル)よりなる光導板(26)の照明面(30)を対応して配置する。
光導板(26)の両端に設けられた光導入部(28)に蛍光灯管(24)が設けられている。」(第4頁第18行?第5頁第12行)
エ.「さらに、前記蛍光灯管(24)をON,OFFするためのスイッチ(44)が設けられ、また外部からの直流電源でも点灯可能なるように、外部電源入力用コンセント(46)が設けられている。」(第6頁第7行?第10行)
が記載されている。

また、第1図および第2図からは、下記の事項が見てとれる。
オ.「外箱12の表面の一端寄りには窓14が、他端側には電源部4および蛍光灯駆動部5が、それぞれ設けられているとともに、スイッチ44が外箱12の乾電池42を収納する電源部4寄りの端部に設けられている。」
カ.「電源部4は外箱12の一側に偏位配置され、外部電源入力用コンセント46は外箱12の他側に配置されている。」
キ.「光導板26の乾電池42寄り側の端部である光導入部28に、蛍光灯管24からの光が入射するように構成されている。」

これらア?キの記載によれば、引用例には、
「表面の一端寄りに窓14を有する偏平な外箱12と、この外箱12の前記窓14の内側に収納されて前記外箱12の他端側の端面を光導入部28とした光導板26と、この光導板26の前記光導入部28に対向して配置された蛍光灯管24と、前記外箱12の他端側に収納された乾電池42と、蛍光灯駆動部5と、スイッチ44および外部電源入力用コンセント46とを備え、前記乾電池42を前記外箱12の一側に偏位配置し、前記外部電源入力用コンセント46を前記外箱12の他側に、前記スイッチ44を前記外箱12の乾電池42寄りの端部に、それぞれ配置した携帯用ビュアー。」
との発明(以下、「引用例発明」という。)が記載されているものと認められる。

4.対比
そこで、本願発明と引用例発明とを比較する。
a.引用例発明の「窓14」、「外箱12」、「光導入部28」、「光導板26」、「蛍光灯管24」、「乾電池42」、「蛍光灯駆動部5」、「携帯用ビュアー」は、本願発明の「透光部」、「ケース」、「入射面」、「導光板」、「ランプ」、「電池」、「点灯装置」、「照光装置」に、それぞれ相当し、
b.引用例発明の「外部電源入力用コンセント46」と本願発明の「ACアダプタ用差込接続器」とは、「外部電源用差込接続器」である点で共通するから、
両発明は、
「表面の一端寄りに透光部を有する偏平なケースと、このケースの前記透光部の内側に収納されて前記ケースの他端側の端面を入射面とした導光板と、この導光板の前記入射面に対向して配置されたランプと、前記ケースの他端側に収納された電池と、点灯装置と、スイッチおよび外部電源用差込接続器とを備え、前記電池を前記ケースの一側に偏位配置し、前記外部電源用差込接続器を前記ケースの他側に配置した照光装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]本願発明においては、点灯装置を電池およびランプの間に配置しているのに対し、引用例発明においては、点灯装置に相当する蛍光灯駆動部が乾電池および蛍光灯管の間に配置されていない点。

[相違点2]本願発明が外部電源として「ACアダプタ」を用いているのに対し、引用例発明の「外部電源」は特定されていない点。

[相違点3]本願発明においては、スイッチおよびACアダプタ用差込接続器を、電池が偏位配置されたケースの一側とは異なるケースの他側に並べて電池の側方に配置しているのに対し、引用例発明においては、スイッチが外箱の乾電池寄りの端部に設けられており、乾電池が偏位配置されたケースの一側とは異なる外箱の他側に外部電源入力用コンセントと並べて配置されていない点。

5.判断
[相違点1]について
電池を用いる携帯可能な装置において、電気回路を電池と出力部との間に設けることは周知であるから(例えば、特開平4-155893号公報、特開平2-23482号公報、特開昭60-130984号公報)、引用例発明においても、蛍光灯駆動部を電池と蛍光灯管との間に配置するようにすることは、電池の大きさや本数、外箱および蛍光灯駆動部の大きさや形状等を勘案して、当業者が適宜設計し得る事項にすぎない。

[相違点2]について
外部電源としてACアダプタを用いることは広く周知の事項であるから(例えば、特開平1-268371号公報、特開平6-143694号公報、特開昭61-83944号公報等を参照。)、引用例発明の外部電源をACアダプタとすることは、当業者が通常選択する事項にすぎない。

[相違点3]について
電池およびACアダプタを有する装置において、スイッチとACアダプタ用差込接続器を同じ側の側部に並べて配置することは周知技術であるから(上記[相違点2]について例示した、特開平1-268371号公報の第2図、特開平6-143694号公報の【図2】、特開昭61-83944号公報の第1図等を参照。)、引用例発明においても、外箱の乾電池寄りの端部に設けられているスイッチを、外部電源入力用コンセントと同じ側の側部に並べて配置するように変更することは、当業者が適宜設計し得る事項にすぎない。
なお、「電池の側方に配置された」との点について、「側方」なる用語は、発明の詳細な説明において、平成16年3月5日付で手続補正された段落【0006】の【課題を解決する手段】の項のみに記載されているにすぎず、格別の定義もされていないので、一般的な定義である「(前方・後方に対して)左右の方向。また側面。わき。」(「広辞苑」第四版、岩波書店発行)の意味であると解されるところ、引用例発明の外部電源入力用コンセントは、電池に対して「左右の方向」に配置されているものである。そして、[相違点1]に係る構成を採用した場合にあっては、蛍光灯駆動回路が電池との間に存在しなくなるので、外部電源入力用コンセントが間に他の部材を介することなく電池の「わき」に配置されることになるから、いずれにしても、外部電源入力用コンセントが(ひいてはこれに並べられるスイッチが)電池の「側方」に配置されるものである。

よって、本願発明は、引用例に記載された発明および上記周知技術から、当業者が容易に想到し得たものである。

なお、請求人は、【請求の理由】中の「(1)本願発明の説明」において、「ケースの一端側に導光板を配置し、電池をケースの他端側に配置したため、手にもったとき重量のある他端側が手の平に位置するので把持したときの安定感がよく、持ったままで操作するとき重量部を手の平で支えながらできるので操作が容易である。」と主張している。そこで、本願発明の構成に欠くことができない事項をすべて備えた製品である「FUJICOLOR Viewer 4×5」(総発売元:フジカラー販売株式会社、電子回路基板には”MATSUSHITA ELECTRIC WORKS,LTD”の文字が印刷されている。)について、電池を入れた状態で使用してみたところ、電池収納部を手元側にしても、手の平で支えただけでは安定感が悪く(電池収納部と反対側を手元側にして持った時と大きな違いはなかった。)、また、ポジフィルム等の観察対象を透光部に載置して支持しなければならず、実用上、両手で支えて用いる必要があった。したがって、請求人の上記主張は理由がなく、採用することができない。
また、請求人が主張する他のいずれの効果も、引用例発明および周知技術から予測できる程度のものにすぎないか、あるいは、本願発明の構成のみに基づくものではないから、本願発明が容易に想到し得たものであるとの判断を左右するものではない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-01-24 
結審通知日 2007-01-30 
審決日 2007-02-15 
出願番号 特願平6-314867
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 植田 高盛早川 貴之  
特許庁審判長 向後 晋一
特許庁審判官 鈴木 俊光
井上 博之
発明の名称 照光装置  
代理人 宮井 暎夫  

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