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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G21C 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G21C |
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管理番号 | 1154792 |
審判番号 | 不服2005-22371 |
総通号数 | 89 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-11-21 |
確定日 | 2007-03-14 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第305294号「燃料バンドル・アセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年10月 1日出願公開、特開平 8-254589〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成7年11月24日の出願(パリ条約による優先権主張1994年11月28日、米国)であって、平成17年8月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成17年11月21日に審判請求がなされるとともに、平成17年12月21日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成17年12月21日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成17年12月21日付け手続補正を却下する。 [理由]独立特許要件違反 平成17年12月21日付け手続補正(以下「本件補正」という。)により、補正前の特許請求の範囲の請求項1が、 「少なくとも2つの内部仕切り部材によって4象限に分割された、開放端を持つ筒形チャンネルと、各象限に、上部及び下部タイ・プレートの間を伸びる複数個の燃料棒の少なくとも8×8の配列で構成された小燃料バンドル・アセンブリであって、その2辺が上記筒形チャンネルで囲まれ、残りの2辺が上記内部仕切り部材で囲まれた小燃料バンドル・アセンブリと、前記筒形チャンネルの下端を受けると共に、下端に1つの入口開口及び上端に4つの流れ開口を持ち、4つの流れ開口内に前記小燃料バンドル・アセンブリの4つの下部タイ・プレートを支持するバンドル間支持板とを有する沸騰水形原子炉用の燃料バンドル・アセンブリ。」と補正された。 そして、この補正は、以下の限定を付加するものである。 ・補正前の「4象限に分割された筒形チャンネル」について「少なくとも2つの内部仕切り部材によって4象限に分割された」及び「開放端を持つ」との限定 ・補正前の「複数個の燃料棒」について、「少なくとも8×8の配列で構成された」との限定 ・補正前の「小燃料バンドル・アセンブリ」について、「その2辺が上記筒形チャンネルで囲まれ、残りの2辺が上記内部仕切り部材で囲まれた」との限定 したがって、この補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。 (1)本件補正後の本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、本件補正により補正された明細書及び図面からみて、請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 (2)引用刊行物に記載された発明 本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭62-261092号公報(以下「引用刊行物1」という。)には、「核燃料集合体」の発明に関して、以下の事項が記載されている。 <記載事項1> 「技術分野 本発明は沸騰水型原子炉の原子炉の核燃料集合体であって、燃料チャンネルボックスと、複数個の立て燃料棒と、そして十字型の立て支承装置にして水によって横切られるチャンネルボックスを有している十字型の立て支承装置と、を含有している核燃料集合体に関する。」(第2ページ右上欄第8?14行) <記載事項2> 「第1図から第4図において、1は実質的に四角い横断面の燃料チャンネルボックスを示している。燃料チャンネルボックス1は、殆んど隙まなく、円形で、下方に面している入り口開口3であって冷却水と減速用水のための入り口開口を持っている底部分2の上方の四角い部分を取り囲んでいる。底部分2は燃料チャンネルボックス1に加うるに支承板4を支承している。底部において、燃料チャンネルボックス1は比較的厚い壁であって、底部分2と支承板4へ数個の水平ボルトにして、一点鎖線5によって示されているボルトによって固着されても良い壁を有している。燃料チャンネルボックス1は、4個の立て部分6であって十字型横断面を有しそして燃料チャンネルボックス1の4個の壁に固着されている中空の、チャンネルボックス形成支承部材7,8を有する4個の立て部分を有している。チャンネルボックス形成支承部材は4個の中空翼部8及びに中空の拡大されている十字型中心部7′から成っている。チャンネルボックス形成部材7,8は底部において減速用水のための入口管9へ連結されている。燃料チャンネルボックス1の4個の立て部分6は各々24本の燃料棒10の補助管束を含有している。」(第3ページ右上欄第4行?同左下欄第6行) <記載事項3> 「各補助管束は、グリッド状底部タイブレート11と、グリッド状上部タイブレート12と、そして複数個の間隔保持片13と共に配備される。燃料チャンネルボックス1と、チャンネルボックス形成部材7.8と、そして間隔保持片13とはシルカロイ4のようなジルコニウム合金で作られても良い、4個の底部タイブレート11は支承板4によって支承されそしておのおのがその板の中のそれぞれの四角い孔14の中に部分的に挿入されている。」(第3ページ左下欄第11?20行) <記載事項4> 「燃料チャンネルボックス1の上端部は、引き上げ板17であって、燃料チャンネルボックス1の内壁表面と部分的に接触させられている引き上げ板を取り囲んでいる。」(第3ページ右下欄第8?11行) そして、FIG.2?4,6?9には、以下のア.乃至キ.の点が図示されている。 ア.チャンネルボックス形成支承部材7,8によって4象限に分割された燃料チャンネルボックス1 イ.補助管束の2辺が燃料チャンネルボックス1によって囲まれ、残りの2辺がチャンネルボックス形成支承部材7,8で囲まれていること また、FIG.1及びFIG.2とを合わせてみれば、以下のウ.?キ.の点を読み取ることができる。 ウ.燃料チャンネルボックス1の各象限に、複数本の燃料棒10を5×5の配列で構成された補助管束と、支承板4を有する核燃料集合体 エ.燃料チャンネルボックス1の各象限に、グリッド状上部タイブレート12及びグリッド状底部タイブレート11の間を伸びる複数個の燃料棒の5×5の配列で構成された補助管束を有すること オ.底部分2に支承される支承板4に4つの四角い孔14を持つこと カ.底部分2に1つの入り口開口3を持つこと キ.底部分2と支承板4とで構成される構造体は、その形状から、略筒状の構造体といえ、また、上記該支承板4が、略筒状の構造体の上部に設けられていること したがって、上記記載事項1乃至4及び図面に基づけば、引用刊行物1には、 「チャンネルボックス形成支承部材7,8によって4象限に分割された、その上端部に引き上げ板17を持つ燃料チャンネルボックス1と、各象限に、グリッド状上部タイブレート12及びグリッド状底部タイブレート11の間を伸びる複数個の燃料棒の5×5の配列で構成された補助管束であって、その2辺が上記燃料チャンネルボックス1で囲まれ、残りの2辺が上記チャンネルボックス形成支承部材7,8で囲まれた補助管束と、前記燃料チャンネルボックス1の底部が固着されると共に、下方に面している1つの入り口開口3を持つ底部分2と、4つの四角い孔14を持ち、4四角い孔14の中に前記グリッド状底部タイブレート11が部分的に挿入される支承板4とからなる略筒状の構造体とを有する沸騰水型原子炉の原子炉の核燃料集合体。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 (3)対比 本願補正発明と引用発明とを比較する。 ア. 引用発明の「チャンネルボックス形成支承部材7,8」は、本願補正発明の「少なくとも2つの内部仕切り部材」に相当し、以下同様に、「燃料チャンネルボックス1」は「筒形チャンネル」に、「グリッド状上部タイブレート12及びグリッド状底部タイブレート11」は「上部及び下部タイ・プレート」に、「補助管束」は「小燃料バンドル・アセンブリ」に、「底部が固着される」は「下端を受ける」に、それぞれ相当する。 イ. 引用発明の対象である「沸騰水型原子炉の原子炉の核燃料集合体」は、本願補正発明の対象である「沸騰水形原子炉用の燃料バンドル・アセンブリ」に相当する。 ウ. (ア)引用発明の「四角い孔14」、「グリッド状底部タイブレート11」は、本願補正発明の「流れ開口」、「下部タイ・プレート」に相当する。 (イ)引用発明の「底部分2」と「支承板4」からなる略筒状の構造体と、本願補正発明の「バンドル間支持板」とは、構造材という点で共通する。 (ウ)引用発明の「上部」と本願補正発明の「上端」とは、上側という点で共通する。 (エ)したがって、引用発明の「下方に面している1つの入り口開口3を持つ底部分2と、4つの四角い孔14を持ち、4四角い孔14の中に前記グリッド状底部タイブレート11が部分的に挿入される支承板4とからなる略筒状の構造体」と本願補正発明の「下端に1つの入口開口及び上端に4つの流れ開口を持ち、4つの流れ開口内に前記小燃料バンドル・アセンブリの4つの下部タイ・プレートを支持するバンドル間支持板」とは、下端に1つの入口開口及び上側に4つの流れ開口を持ち、4つの流れ開口内に前記小燃料バンドル・アセンブリの4つの下部タイ・プレートを支持する構造材の点で一致する。 したがって、両者は、 「少なくとも2つの内部仕切り部材によって4象限に分割された、筒形チャンネルと、各象限に、上部及び下部タイ・プレートの間を伸びる複数個の燃料棒の小燃料バンドル・アセンブリであって、その2辺が上記筒形チャンネルで囲まれ、残りの2辺が上記内部仕切り部材で囲まれた小燃料バンドル・アセンブリと、前記筒形チャンネルの下端を受けると共に、下端に1つの入口開口及び上側に4つの流れ開口を持ち、4つの流れ開口内に前記小燃料バンドル・アセンブリの4つの下部タイ・プレートを支持する構造材とを有する沸騰水形原子炉用の燃料バンドル・アセンブリ。」の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 筒形チャンネルが、本願補正発明は、開放端を持つのに対して、引用発明は、開放端を持つとは限定されていない点。 [相違点2] 小燃料バンドル・アセンブリが、本願補正発明は、少なくとも8×8の配列で構成されているのに対して、引用発明は、5×5の配列で構成されている点。 [相違点3] 構造材が、本願補正発明は、バンドル間支持板であるのに対して、引用発明は、底部分2と支承板4からなる略筒状の構造体である点。 [相違点4] 流れ開口が設けられる位置が、本願補正発明は、バンドル間支持板の上端であるのに対して、引用発明は、略筒状の構造体の上側である点。 (4)当審の判断 ア.相違点1について 引用刊行物1の「燃料チャンネルボックス1の上端部は、引き上げ板17であって、燃料チャンネルボックス1の内壁表面と部分的に接触させられている引き上げ板を取り囲んでいる。」(記載事項4)との記載からみて、燃料チャンネルボックス1(筒形チャンネル)の上端部と、引き上げ板17とが接触していない部分は、本願補正発明の「開放端」に相当するので、相違点1は実質的な相違点とはいえない。 イ.相違点2について 小燃料バンドル・アセンブリの配列を引用発明の「5×5」から本願補正発明の「少なくとも8×8」とすることは設計事項である。 なお、炉心内の燃料集合体の取扱い数を減じ燃料交換作業の負担を軽減するために、大型化した燃料集合体を構成する際、複数個の燃料棒の9×9の配列、即ち、少なくとも8×8の配列で構成された小燃料バンドル・アセンブリを4つ隣接させ、1つの燃料集合体を構成することは、周知技術でもある(例えば、特開平4-256893号公報の段落【0032】、図17)。 したがって、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項は格別なものとはいえない。 ウ.相違点3について (ア))引用発明の支承板4は、補助管束(小燃料バンドル・アセンブリ)を支持するものであり、支承板4を構成要素とする略筒状の構造体も、補助管束(小燃料バンドル・アセンブリ)を支持するものといえ、また、本願明細書の記載全体からみて、本願補正発明の「バンドル間支持板」に「バンドル間」なる限定が付されているが、その限定は引用発明の「略筒状の構造体」とに対比において格別なものとはいえない。 (イ)本願補正発明の「バンドル間支持板」における「板」なる限定について検討するに、本願補正発明は、本願明細書の段落【0018】、【0019】等に記載されるような、炉心プレートに固定される支持カップとの結合関係が規定されておらず、単にその形状が板状であることを規定したに過ぎない。 (ウ)したがって、相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項は、当業者が適宜になし得る設計事項である。 エ.相違点4について 上述したように、相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項は、当業者が適宜になし得る設計事項である以上、流れ開口が設けられる位置を、バンドル間支持板の上端と規定することも設計事項である。 そして、本願補正発明の効果は、引用刊行物1の記載及び周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものである。 したがって、本願補正発明は、引用刊行物1記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (5)まとめ 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成17年12月21日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成16年6月16日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、請求項1に記載された事項により特定される以下のものと認める。(以下「本願発明」という。) 「4象限に分割された筒形チャンネルと、各象限に、上部及び下部タイ・プレートの間を伸びる複数個の燃料棒で構成された小燃料バンドル・アセンブリと、前記筒形チャンネルの下端を受けると共に、下端に1つの入口開口及び上端に4つの流れ開口を持ち、4つの流れ開口内に前記小燃料バンドル・アセンブリの4つの下部タイ・プレートを支持するバンドル間支持板とを有することを特徴とする沸騰水形原子炉用の燃料バンドル・アセンブリ。」 4.引用刊行物に記載された発明 引用刊行物1に記載された発明は、前記「2.(2)」に記載されたとおりである。 5.対比・判断 本願発明は、前記「2.(1)」で認定した本願補正発明から、 ・「少なくとも2つの内部仕切り部材によって4象限に分割された」及び「 開放端を持つ」 ・「「少なくとも8×8の配列で構成された」 ・「その2辺が上記筒形チャンネルで囲まれ、残りの2辺が上記内部仕切り 部材で囲まれた」 という発明特定事項の限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに上記限定を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明も、同様な理由により、引用刊行物1に記載された発明及び周知技術にに基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-10-11 |
結審通知日 | 2006-10-17 |
審決日 | 2006-10-31 |
出願番号 | 特願平7-305294 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G21C)
P 1 8・ 575- Z (G21C) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 今浦 陽恵、青木 洋平 |
特許庁審判長 |
江塚 政弘 |
特許庁審判官 |
柏崎 正男 森口 良子 |
発明の名称 | 燃料バンドル・アセンブリ |
代理人 | 小倉 博 |
代理人 | 黒川 俊久 |
代理人 | 松本 研一 |