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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1154802
審判番号 不服2006-26230  
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-11-21 
確定日 2007-03-29 
事件の表示 特願2006-120715「ファクシミリ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 8月 3日出願公開、特開2006-203952〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続きの経緯・本願発明
本願は、平成7年7月11日に出願した特願平7-174576号の一部を平成16年5月10日に新たな特許出願とした特願2004-139870号の一部を、更に平成18年1月19日に新たな特許出願とした特願2006-10984号の一部を、更に平成18年4月25日に新たな特許出願としたものであって、平成18年10月19日に拒絶査定がされ、これに対して同年11月21日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
本願の発明は、平成18年9月25日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載されたものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
画像データを読み取る画像データ読取手段と、
前記画像データ読取手段によって読み取られた画像データの作成順序を表す順序情報を自動的に生成する順序情報生成手段と、
前記画像データ読取手段によって読み取られた画像データを符号化する符号化手段とを備えた通信装置であって、
前記符号化手段によって符号化された画像データと前記順序情報生成手段によって生成された前記順序情報とを相手装置に送信することを特徴とする通信装置。」

2 引用例
原査定の拒絶の理由として引用された特開平7-15579号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が図面と共に開示されている。(記載箇所は段落番号で表示)
(1) 「【0008】【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るファクシミリ装置の構成例を示すブロック図である。
【0009】同図において、10は所定の線密度で原稿を読み取るスキャナであり、(略)14は公知の符号化方式にて画情報を圧縮符号化する一方、圧縮符号化されている画情報を再生復号化する符号化復号化部、(略)である。」

(2) 「【0011】次に、図1に図示したファクシミリ装置の動作を図2乃至図6を用いて説明する。図2乃至図4は、本発明を適用したファクシミリ装置の送信動作を示すフローチャートであり、同図における判断や動作の指示は、全て制御部17の制御の下で実行される。」

(3) 「【0013】(略)原稿の読み取りを開始し、読み取った画情報を符号化復号化部14で圧縮符号化した後、画像蓄積部13に蓄積し(ステップS23)、当該原稿に対してファイル番号を付与すると共に、このファイル番号を送信管理用テーブルに格納する(ステップS24)。尚、このファイル番号は順次連番で付与されるものとし、以降、画像蓄積部13内の画情報はこのファイル番号に基づいて管理される。
【0014】原稿が読み取られ、送信の準備が整うと、ステップS14で格納した宛先電話番号に対して網制御部15が発呼し(ステップS25)、回線が接続されると通信制御部16にて所定の伝送手順を実行して伝送モードを決定し、画情報の送信を開始する(ステップS26)。」

これら(1)ないし(3)の記載によると引用例1には、「スキャナと、読み取った画情報を圧縮符号化する符号化復号化部とを備えたファクシミリ装置であって、制御部の制御の下で、読み取った原稿に対してファイル番号を順次連番で付与し、前記符号化復号化部によって圧縮符号化された画情報を宛先電話番号に対して送信するファクシミリ装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

同じく、原査定の拒絶の理由として引用された特開平3-49463号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が図面と共に開示されている。
「2.特許請求の範囲
(1)複数のファイルを一括送信するとき、受信側で上記ファイルの区別が付くように、メモリされた各ファイルごとに、これらファイルに対して識別信号が自動的に付加される手段を有し、
送信時この識別信号が付加された状態で送信されるようになされたことを特徴とする画像通信装置。」(1ページ左下欄4行ないし11行)

3 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「ファクシミリ装置」は、画情報を通信するための装置であるから、「通信装置」といえる。
引用発明の「スキャナ」、「符号化復号化部」、及び「符号化復号化部によって圧縮符号化された画情報」は、本願発明の「画像データを読み取る画像データ読取手段」、「画像データ読取手段によって読み取られた画像データを符号化する符号化手段」、及び「符号化手段によって符号化された画像データ」にそれぞれ相当する。
引用発明の「ファイル番号」は、読み取った原稿に対して、制御部の制御の下で、順次連番で付与されるものであるから、本願発明の自動的に生成される「画像データ読取手段によって読み取られた画像データの作成順序を表す順序情報」に相当する。
引用発明の「宛先電話番号に対して送信する」処理が、本願発明の「相手装置に送信する」処理に相当することは当業者にとって明らかな事項である。

以上を踏まえると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
【一致点】画像データを読み取る画像データ読取手段と、
画像データ読取手段によって読み取られた画像データを符号化する符号化手段とを備えた通信装置であって、
画像データ読取手段によって読み取られた画像データの作成順序を表す順序情報を自動的に生成し、
符号化手段によって符号化された画像データを相手装置に送信する通信装置。

【相違点】
相違点1: 本願発明は、画像データ読取手段によって読み取られた画像データの作成順序を表す順序情報を自動的に生成する「順序情報生成手段」を備えているのに対し、引用発明は、順序情報を自動的に生成する処理を行っているが、順序情報を具体的に生成する手段について明示されていない点。

相違点2: 本願発明は、符号化手段によって符号化された画像データと順序情報とを相手装置に送信しているのに対して、引用発明は、画像データのみを送信し順序情報を送信していない点。

4 当審の判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
特定の処理を、当該特定の処理を実行するための実行手段を設けて、当該実行手段において実行することは慣用技術であるから、引用発明に前記慣用技術を採用し、「画像データ読取手段によって読み取られた画像データの作成順序を表す順序情報を自動的に生成」する処理を実行するための実行手段、すなわち、「順序情報生成手段」を設けて順序情報を生成することは、当業者が容易に想到し得るものと認められる。

イ 相違点2について
引用例2には、ファイルごとに区別が付くよう自動的に付加される識別信号を、付加した状態で送信する画像通信装置の発明(以下、「引用例2記載の発明」という。)が記載されていると認められる。
引用例2記載の発明は、画像通信装置であるから、各ファイルが「符号化手段によって符号化された画像データ」を意味することは当業者にとって明らかである。
そして、引用発明と引用例2記載の発明とは、いずれも、同一技術分野に属する通信装置に関するものであるから、引用発明に引用例2記載の発明を適用し、符号化手段によって符号化された画像データに識別信号を付加した状態で相手装置に送信すること、すなわち、符号化手段によって符号化された画像データと識別信号とを相手装置に送信することは、当業者が容易に想到し得るものと認められる。
また、引用発明における読み取った原稿に対して順次連番で付与されるファイル番号、すなわち、順序情報が、ファイルの識別信号として利用できることは、当業者にとって自明な事項であるから、引用発明に引用例2記載の発明を適用する際に、順序情報を識別信号として用いることは当業者が適宜なし得る設計事項であると認められる。

そして、本願発明の奏する効果は、引用例1及び2に記載された発明から想定できる程度のものにすぎず、格別なものとは認められない。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-01-24 
結審通知日 2007-01-30 
審決日 2007-02-13 
出願番号 特願2006-120715(P2006-120715)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 日下 善之  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 松永 稔
脇岡 剛
発明の名称 ファクシミリ装置  
代理人 有我 軍一郎  

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