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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B42D
管理番号 1154864
審判番号 不服2006-1953  
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-02-03 
確定日 2007-03-22 
事件の表示 平成10年特許願第526664号「写真アルバム用表紙ホルダ」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 6月18日国際公開、WO98/25769、平成13年 5月 8日国内公表、特表2001-505836〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯 ・本願発明
本願は、平成9年11月7日(パリ条約による優先権主張平成8年12月13日、米国)を国際出願日とする出願であって、その請求項1乃至8に係る発明は、平成17年3月25日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1乃至8に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項7に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。
「複数のヒンジ部材を形成するよう、複数の金属ステープルの内側に曲がった脚部上に一体的に型成形された薄く延びたポリマー母材を備えてなり、前記ポリマー母材が、写真アルバムのストラップを係合するために複数の各ステープルと整列された複数対の平行に延びた孔を形成していることを特徴とするルーズリーフタイプ写真アルバム用表紙ホルダ。」
なお、本願発明は、引用文献1乃至4を引用して特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとの拒絶理由が示された拒絶理由通知時の請求項9に該当する。

2 引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、米国特許第3467479号明細書(クラス402-13)(以下「引用例」という。)には、LOOSE-LEAF BINDERに関し、次の事項が記載されている。
(1) 「Each hinge mounting tab 15 serves to mount a hinge mounting element 17 to a page.In the embodiment illustrated in FIG.3,each hinge element is preferably formed of a suitable metallic material,which is somewhat malleable and which includes a bight or transverse portion 18,having a pair of legs 19 integrally formed therewith and projecting inwardly therefrom.The legs 19 penetrate the associated tab and terminate in anchor elements 20, which are bent towards each other」(第2欄第58行?第66行)
(2) 「The end portions of the strap exit at the interior surface of the associated cover and each strap is releasably locked to a cover holder 23. Each cover holder 23 is formed of a somewhat rigid paper material and preferably substantially stronger and stiffer material than the material from which the pages 13 are formed. A pair of cover holders 23 are provided for each album, one serving to releasably lock, the ends of the straps against disengagement from the front cover and the other cover holder serving to releasably lock the ends of the straps from disengagement from the rear cover. Thus,one cover holder will be positioned between the front cover and first album page and the other cover holder will be positioned between the rear cover and the last album page.
Each cover holder is of elongate generally rectangular configuration and has a length dimension substantially the same as the length dimension of the album pages but has a relatively small width dimension, as best seen in FIG.2. Each cover holder also has a pair of elongate substantially parallel spaced apart slots 24 in one end thereof and a similar pair of slots therein adjacent the opposite end thereof. These slots correspond in configuration and size to the slots 12 in the covers.
Each cover holder 23 also has a pair of hinge mounting tabs 15 folded over and applied to the inner longitudinal marginal edge portion thereof in the manner that the tabs are applied to the pages 13. The tabs 15 are of the same size as the tabs 15 on the pages and are disposed in alignment therewith. Each tab 15 on cover holders 23 is also provided with a hinge element 17, which is identical in construction to the hinge element 17 associated with the pages 13. It will be noted, that the straps 22 extend through the strap confining recesses of the hinge elements on the pages and cover holders, then through the slots 12 in the covers and thereafter, the straps are looped through the slots 24 in the cover holders to very securely but releasably lock the straps from disengagement from the covers.」(第3欄第8行?第43行)
(3)FIG2より、表紙ホルダー23がストラップ22を係合するヒンジ要素17の水平部18と整列された孔24、24を有することが看取でき、FIG1より、ヒンジ要素17は各表紙ホルダー23に2つ形成されていることが窺える。

上記摘示の記載(1)のヒンジ要素に関する「each hinge element is preferably formed of a suitable metallic material,(当審訳:各ヒンジ要素は、好ましくは適当な金属の材料で形成されている)」には、ヒンジ要素が金属製であることが記載されている。
上記摘示の記載(2)のFIG2に関する「 Each cover holder also has a pair of elongate substantially parallel spaced apart slots 24 in one end thereof and a similar pair of slots therein adjacent the opposite end thereof.(当審訳:各表紙ホルダーは、又、その一端に実質上平行に間隔をあけて伸びた一対の複数の孔24を具備しており、その他端にも、同様の一対の複数の孔を隣接して設けている。)」には、表紙ホルダーは、複数対の平行に伸びた孔を具備していることが記載されている。
同じく摘示の記載(2)の表紙ホルダーの材料に関する「 Each cover holder 23 is formed of a somewhat rigid paper material and preferably substantially stronger and stiffer material than the material from which the pages 13 are formed. (当審訳:各表紙ホルダー23は、幾分硬い紙、またより好ましくはページ紙を形成する材料より実質上強くて硬い材料で形成される。)」には、表紙ホルダーの材質が硬い紙あるいは紙より強くて硬い材料であることが記載されている。

上記記載事項及びFIG1ないし3によると、引用例には、
「水平部18と、内側に曲がったアンカー部20を有する一対の脚部19を備えた金属製のヒンジ要素17を、ヒンジ取付けタブ15を介して硬い紙あるいは紙より強くて硬い材質の表紙ホルダ23に2つ固定してなり、表紙ホルダ23は、ストラップ22を係合するためにヒンジ要素17と整列された複数対の平行に延びた孔24を形成しているアルバム用表紙ホルダ。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

3 対比
本願発明と引用発明を対比すると、
引用発明の「ヒンジ要素17」は水平部18、脚部19を備えているから、本願発明の「ステープル」に相当し、ヒンジ部材を形成するものであることが明らかである。
引用発明の「表紙ホルダ23」と、本願発明の「薄く延びたポリマー母材」は、薄い形状の基材で共通する。
一般的にアルバムといえば、写真アルバムのことをいうから、引用発明の「アルバム用表紙ホルダ」は、本願発明の「表紙ホルダ」と同様、写真アルバム用表紙ホルダといえ、引用発明の「アルバム」が、ルーズリーフタイプであることは、引用発明の「LOOSE-LEAF BINDER」という発明の名称からも明らかである。
したがって、両者は、「複数のヒンジ部材を形成するよう、内側に曲がった脚部を備えた複数の金属ステープルと薄い形状の基材を備えてなり、基材が写真アルバムのストラップを係合するために複数の各ステープルと整列された複数対の平行に延びた孔を形成しているルーズリーフタイプ写真アルバム用表紙ホルダ。」で一致し、以下の点で相違する。
基材が、本願発明では、ステープルの内側に曲がった脚部上に一体的に型成形された薄く延びたポリマー母材であるのに対し、引用発明では、硬い紙等の材料からなり、ヒンジ取付けタブ15を介してステープルを取り付けている点

4 当審の判断
上記相違点について検討する。
特開平5-338391号公報には「別体となった表表紙及び裏表紙の間に書類を入れこれらを綴じる形式のファイルの一つであり、裏表紙の1端側には1対の脚が取設されており、表表紙には、該1対の脚を挿通させるための1対の通孔、該通孔より挿通された個々の脚をそれぞれ折曲させこれを係止する係止具、及び該係止具をスライド可能に保持するレールとを有しており、該レールは表表紙と一体的に成形されるプラスチック製とした点にある。」(【0006】)の記載がある。
実願平1-105968号(実開平3-45184号)のマイクロフィルムには「プラスチツクより成形加工した綴じひもの部分と綴込んだ後の綴じひもを固定する部分よりなり、綴じひもを紙類の孔に通してから固定部分を綴じひもに当て綴じひもを曲げてから押え止めするようにしたプラスチツク製の綴じ具である。」(明細書第2頁)の記載がある。
実願昭61-195688号(実開昭63-100282号)のマイクロフィルムには、「折曲可能な硬質プラスチツク薄板を以て複数段の綴止受部を有する表紙を構成し」(実用新案登録請求の範囲)の記載がある。
実公昭39-4746号公報には「止具本体1をインジェクション法により成形すると同時にカレンダー紙葉3をも挟着させる状態を示したものであって成形型6,7に吊紐4と共にカレンダー紙葉3を挟入し圧入口8から原料樹脂を圧入して本体止具1の成形とカレンダー紙葉3および吊紐4との取付けを同時に行うようにしたものである。」(第1頁右欄)の記載がある。
上記記載にみられるように、綴じ具の材料としてポリマー母材は本出願前周知のものであるから、引用発明において、基材の材料としてポリマー母材を採用することに格別の困難性はなく、綴じ具の材料としてポリマー母材を採用した場合、それに、金属ステープルを取り付けるには、ヒンジ取付けタブを介さずとも、本出願前周知の金属部材の端部をポリマー母材に一体的に型成形する技術(例えば、実願昭61-164247号(実開昭63-69804号)のマイクロフィルムの第2頁2?4行及び特開平7-246793号公報の段落【0018】及び図12参照)を用いれば、簡単に基材に金属ステープルが取付できることは当業者が容易に思い付くことである。
したがって、引用発明において、基材をステープルの内側に曲がった脚部上に一体的に型成形されたポリマー母材とすることは当業者が容易に想到し得ることである。
以上のとおり、相違点に係る本願発明の構成は引用発明に従来周知の技術を適用することにより当業者が容易に想到しうるものであり、上記周知技術を適用したことによる作用効果も事前に予測可能の範囲をでない。

なお、請求人は、「hinge mounting tab 15」がヒンジ部材と「cover holder 23」との間に介在している以上、引用文献1発明において、本願発明のようにヒンジ部材への一体的な型形成を可能にするために、「cover holder 23」の材質としてポリマー母材を選択することは不可能である」(審判請求書の第3頁23?27行)と主張するが、hinge mounting tab を介さず表紙ホルダにステープルを直接取り付けることも従来から周知(実公昭35-17112号公報の表紙B及び裏表紙Cの内側に配設された接続葉片2,2’(本願発明の表紙ホルダーに相当)の各後縁に取着けられた各連綴片3(本願発明のヒンジ部材に相当)を参照)であり、表紙ホルダにステープルを取り付けるためhinge mounting tab は、必須のものではないから、請求人の主張は採用できない。

5 むすび
したがって、本願の請求項7に係る発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-10-20 
結審通知日 2006-10-24 
審決日 2006-11-07 
出願番号 特願平10-526664
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B42D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 洋允  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 藤井 靖子
長島 和子
発明の名称 写真アルバム用表紙ホルダ  
代理人 実広 信哉  
代理人 志賀 正武  
代理人 渡邊 隆  
代理人 村山 靖彦  

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