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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G08G |
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管理番号 | 1155025 |
審判番号 | 不服2005-19782 |
総通号数 | 89 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-10-13 |
確定日 | 2007-04-05 |
事件の表示 | 特願2001-168099「移動体搭載端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 3月15日出願公開、特開2002- 74592〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成8年5月29日に出願された特願平8-134879号(優先権主張 平成7年5月31日)の一部を平成13年6月4日に分割したものであって、その請求項2に係る発明は、平成17年6月13日付けの手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、次のとおりのものと認める。(以下「本願発明」という。) 「端末装置が搭載される移動体による配送先で行うべき荷物の積み下ろしの指示情報を記憶する記憶手段と、 乗務員の入力によることなく前記端末装置から送信される前記移動体の位置情報を受信する受信手段と、 前記受信した位置情報に基づいて前記記憶手段から前記荷物の積み下ろしの指示情報を検索する制御手段と、 前記指示情報を前記端末装置に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。」 なお、請求項2には「前記乗務員」と記載されているが、この記載は、「乗務員」の誤記と認められるため、本願発明を上記のように認定した。 2.引用刊行物 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-67113号公報(以下「引用刊行物」という。)には、「自動車運行状況管理システム」に関し、図面と共に次の事項が記載されている。 ・「【0004】また、このために、事務所側では移動中の自動車の自車位置を常時把握できないので、その車両の帰還時刻の予測や飛び込みの予定外の配送作業等に対する配 車の手配等が容易ではなく、必ずしも配送車の運行効率が高くない。 【0005】そこで本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は配送車等の自動車の運行効率を高めて配送業務効率を向上することができる自動車運行 状況管理システムを提供することにある。」 ・「【0007】つまり本発明は、複数のGPS衛星からの軌道データと時刻を含む航法電波を受信して自車位置を測位するGPS受信装置と、このGPS受信装置により求めた自車位置を表示する表示装置と、自動車の運行に関する運行データおよび前記自車位置データを記録する運行管理記録装置と、この運行データと前記自車位置データとを送信する受信自在の無線機とを自動車に搭載する一方、この車載無線機からの自車位置および運行データとを受信してその自車位置を表示装置に表示させる一方、これらデータに基づいて前記自動車の配送業務に必要な指示およびデータを演算手段により求めさせて前記車載無線機に送信する無線機を事務所に設け、前記自動車には前記車載無線機により受信された前記事務所側無線機からの前記指示およびデータを前記車載表示装置に表示させる制御手段を設けたことを特徴とする。」 ・「【0010】さらに、演算手段は自車位置および車両運行データに基づいてこの車両の配送業務に必要な指示およびデータを求め、この指示およびデータを事務所側の無線機から送信する。」 ・「【0015】図1は本発明の一実施例の全体構成図であり、図において、自動車運行状況管理システム1は移動局となる配送車等の自動車10に、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信装置11と、MCA(Multi-Channel Access)無線機等からなる移動無線送受信装置12と、運行管理記録装置13と、表示装置14と、スピーカー15とを搭載している。」 ・「【0022】移動無線基地局21で受信された車両の運行データと自車位置データはワークステーション22に与えられ、ここでスポット作業の指示や経路案内等配送業務に必要な指示とデータが求められる。」 ・「【0025】図3は時々刻々事務所20に入る顧客からの配送要求に対して最寄りの配送完了車を自動的に選定して集荷指示を出力するワークステーション22のシステムフローの一例を示している。」 ・「【0035】この電波は無線制御局30により中継されて事務所20側の移動無線基地局21で受信され、自車位置データと運行データがワークステーション22に与えられ、ここに蓄積される。」 ・「【0036】ワークステーション22は自車位置データを表示装置25に与えて自車位置を例えば緯度経度等で表示させる。また、ワークステーション22はこの自車位置と運行データに基づいて図3で示すシステムフローに従って、集荷指示やその他の作業指示を求めると共に、地図データベース25から必要な地図情報を読み出し、経路誘導、道路情報等配送業務に必要な指示やデータを求めると共に、これらを表示装置24に表示させると共に、スピーカー15から音声で知らせる一方、移動無線基地局21から無線で送信させる。」 また、図1には、自動車10に、GPS受信装置11,移動無線送受信装置12、運行管理記録装置13,表示装置14,スピーカ15及びメモリカード16からなる端末装置が搭載された構成が示されている。 これらの記載から、引用刊行物には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「端末装置が搭載される自動車による配送業務に必要な指示を求めるワークステーションと、 GPS受信装置により求め、前記端末装置から送信される自車位置データを受信する移動無線基地局と、 前記受信した自車位置データと車両運行データに基づいて前記配送業務に必要な指示を求める前記ワークステーションにおける演算手段と、 前記配送業務に必要な指示を前記端末装置に送信する移動無線基地局と、を備える自動車運行状況管理システム。」 3.対比 本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「自動車」は、前者の「移動体」に相当し、以下同様に、「配送業務に必要な指示」は「配送先で行うべき荷物の積み下ろしの指示情報」に、「GPS受信装置により求め」は「乗務員の入力によることなく」に、「自車位置データ」は「移動体の位置情報」に、「移動無線基地局」は「受信手段」及び「送信手段」に、「自動車運行状況管理システム」は「情報処理装置」に、それぞれ相当する。 そして、後者の「(配送業務に必要な指示を求める)ワークステーション」と前者の「(指示情報を)記憶する記憶手段」とは、「処理する作業指示処理手段」である点で共通する。 同様に、後者の「受信した自車位置データと車両運行データに基づいて配送業務に必要な指示を求める前記ワークステーションにおける演算手段」と前者の「受信した位置情報に基づいて記憶手段から荷物の積み下ろしの指示情報を検索する制御手段」とは、「受信した位置情報に基づいて作業指示処理手段から荷物の積み下ろしの指示情報を得る制御手段」である点で共通する。 したがって両者は、 [一致点] 「端末装置が搭載される移動体による配送先で行うべき荷物の積み下ろしの指示情報を処理する作業指示処理手段と、 乗務員の入力によることなく前記端末装置から送信される前記移動体の位置情報を受信する受信手段と、 前記受信した位置情報に基づいて前記作業指示処理手段から前記荷物の積み下ろしの指示情報を得る制御手段と、 前記指示情報を前記端末装置に送信する送信手段と、を備える情報処理装置。」で一致し、 [相違点] 「荷物の積み下ろしの指示情報」に関して、本願発明では「記憶手段」に「記憶」し、制御手段により「検索」するのに対し、引用発明では「ワークステーション」で「求める」点で相違している。 4.相違点に対する判断 引用発明の「ワークステーション」は、引用刊行物の段落【0035】に記載されているように運行データを蓄積する手段を有しており、段落【0025】に記載されているように、「時々刻々事務所20に入る顧客からの配送要求に対して最寄りの配送完了車を自動的に選定して集荷指示を出力する」ものであること、及び、ワークステーションが記憶手段を有し、必要なデータを記憶手段から検索する構成が周知の事項であることから、時々刻々入る配送要求を記憶手段に記憶させておき、指示情報を得るために検索する構成とすることは当業者に容易である したがって、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことと認められる。 また、本願発明の奏する効果は、引用発明及び上記周知の事項から予測しうる程度のものと認められる。 5.むすび したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明および周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-02-02 |
結審通知日 | 2007-02-06 |
審決日 | 2007-02-19 |
出願番号 | 特願2001-168099(P2001-168099) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G08G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 佐々木 芳枝、村上 哲 |
特許庁審判長 |
田良島 潔 |
特許庁審判官 |
田中 秀夫 高橋 学 |
発明の名称 | 移動体搭載端末装置 |
代理人 | 横山 淳一 |