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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1155049
審判番号 不服2005-16549  
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-08-29 
確定日 2007-04-04 
事件の表示 特願2003- 45971「ネットワークシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月 3日出願公開、特開2003-283726〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年6月30日に出願した特願2000-197602号の一部を平成15年2月24日に新たな特許出願としたものであって、平成17年7月25日付で拒絶査定がされ、これに対して同年8月29日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年9月27日付で手続補正がなされたものである。
同手続補正は、不明確な記載を補正したものであるので、特許法第17条の2第4項第4号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当し、適法な補正である。
本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成17年9月27日付けの手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】送信原稿テーブルに配置された原稿の有無を検出する原稿検出手段つきのスキャナ機能を有するOA機器と、複数のワークステーション及び、パソコン等の端末機器と、複数の記憶手段とを具備し、少なくともいずれかの機器には、送信先ダイヤル番号の読み出しまたは格納を指示するダイヤルキーと、その送信先ダイヤル番号を保存する番号記憶部と、その送信先ダイヤル番号を読み出し、格納し、又は、編集する制御手段とを有し、これらを互いに接続したネットワークシステムにおいて、ユーザーがネットワークに接続しているOA機器をスキャナとして使用する際に、送信先を選択するための選択手段によって、複数の送信先が選択された後に、その原稿検出手段が原稿挿入を検出したときには、その選択された複数の送信先に同報送信を行い、かつ、その原稿検出手段が原稿挿入を検出して、その後に送信先を選択するための選択手段によって複数の送信先が選択されたときには、最初に選択された選択手段に対応した送信先にのみ送信を行うことを特徴とするネットワークシステム。」

2.引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、特開平07-87273号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プリンタ装置としても使用できるファクシミリ装置と該装置におけるモード切替方法に関するものである。」

イ 「【0010】図1において、CPU1は、例えばマイクロプロセッサなどを有する中央制御部で、ROM2に記憶されている制御プログラムに従ってファクシミリ装置全体の動作を制御している。RAM3は、CPU1による制御動作の実行時に各種データを一時的に保存してワークエリアとして使用されると共に、スキャナ等の読取り部7によって読み取られた2値画像データ、或いは記録部6により記録される受信画像データ(2値画像データ)を格納している。このRAM3に記憶されている2値画像データは符号化された後モデム8によって変調され、NCU9を介して電話回線10に出力される。また受信画像データは、電話回線10から入力されたアナログ波形信号をNCU9及びモデム8を介して復調され、その復調された画像データを復号して得られた2値画像データである。また14はパソコン(PC)とのインターフェース(PC I/F)部14で、インターフェースケーブル15を介してパーソナルコンピュータから送られてくるデータを受信したり、パーソナルコンピュータへデータを送信している。
【0011】4は不揮発性RAMで、この実施例のファクシミリ装置の電源が遮断された状態にあっても、記憶されているデータを消去することなく記憶している。5はキャラクタジェネレータ(CG)で、文字コードに対応して各種文字フォントデータを記憶している。CPU1は、このCG5をアクセスすることにより、その文字コードに応じた文字パターン情報を読出すことができる。6はプリントを行う記録部で、DMAコントローラ、インクジェットプリント機構、プリント用制御信号発生回路などを有しており、CPU1の制御の下に、RAM3に格納されている記録データを入力して、ハードコピーとしてプリント出力する。
【0012】読取り部7は、読み取った画像データを高速に転送するためのDMAコントローラ、画像処理用のIC、イメージセンサ、センサ制御信号発生回路などを有し、CPU1の制御の下にイメージセンサで読み取ったデータを画像処理用ICで2値化し、その2値化データを順次RAM3に出力している。なお、この読み取り部7における原稿の装填状態は、原稿の搬送路に設けられた原稿センサにより検出できるようになっており、こうして検出された原稿検出信号はCPU1に入力される。モデム8は、G3モデムと、モデムに接続された制御信号発生回路などから構成され、CPU1の制御に基づいてRAM3に格納されている送信データを変調し、NCU9を介して電話回線10に出力する。またこのモデム8は、電話回線10のアナログ信号をNCU9を介して入力し、その信号を復調して2値化したデータをRAM3に格納する。NCU9は、CPU1の制御により電話回線をモデム8あるいは電話機11の何れかに切り替えて接続する。またこのNCU9は、呼出し信号(CI)を検出することができる。11は電話機で、ファクシミリ装置本体と一体化され、具体的にはハンドセット及びスピーチネットワーク,ダイヤル,テンキーないしワンタッチキーなどから構成されている。」

ウ 「【0013】操作部12は、図2を参照して後述するように、画像送信・受信などをスタートさせるキー(208)と、送受信時におけるファイン/標準、手動/自動受信などの操作モードを指定するモード選択キー(206)と、ダイヤリング用のテンキーなどを有している。なお、CPU1はこれらのキーの押下状態を検出し、その状態に応じて上記各部を制御するようになっている。また装置の状態をファクシミリ(FAX)モードかプリンタモードかに切り替えるモード切り替えスイッチ(203)を有し、CPU1はその状態を検出し装置をどちらかのモードに設定する。13は表示部で、例えば10桁の表示を行う液晶表示器であり、CPU1の制御の下に、所定の数字や文字などを表示する。またCPU1の制御によりFAXモードであるかプリンタモードであるかを表示するインジケータをも備えている。」

エ 「【0018】図2において、201はファクシミリモードであることを示すインジケータで、ファクシミリモード時に点灯される。202はプリンタモードであることを示すインジケータで、プリンタモードの時に点灯される。203はモード切替スイッチで、このキーを押下する毎に、ファクシミリモードとプリンタモードとが交互に切り替えて設定される。204は、このファクシミリ装置が使用中である時に点灯するLEDである。205は機能キーで、ファクシミリモードでは、例えば同報通信、ダイレクト通信、親展通信等の各種機能を設定するときに使用され、この時に設定された機能が表示部13に表示される。またプリンタモード時には、オンラインとオフラインの切替を指示するキーとして使用される。206はセレクトキーで、ファクシミリモード時にはファインモード、標準モード等の送信モードを選択するのに使用される。またプリンタモードでは、高品位印刷、或いは通常印刷、また高速印刷等の指定のために使用される。」

以上の記載事項によると、引用例1には、
「原稿の搬送路に設けられた原稿センサにより、原稿の装填状態を検出する読み取り部と、パソコンとのインターフェース部と、RAM3,4と、ダイヤル、テンキー及びワンタッチキーと、中央制御部とを具備したファクシミリ装置を電話回線で互いに接続したネットワークシステムにおいて、ファクシミリモードでは、機能キー205を使用して、同報通信、ダイレクト通信、親展通信等の各種機能を設定するネットワークシステム。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(2)同じく原査定の拒絶の理由に引用された、特開平02-260970号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。

オ 「産業上の利用分野
本発明は、ファクシミリ装置に関する。
従来の技術
ファクシミリ装置には順次同報機能および順次送信要求機能と称される機能を有するものがある。順次同報機能とは、同一の原稿を複数の相手先に順次的に送信する機能である。また、順次送信要求機能とは、複数の相手先のファクシミリ装置にセットされている原稿を順次的に取寄せる機能である。」(1頁右下欄3?12行)

カ 「第3図は、ファクシミリ装置11の動作を説明するためのフローチャートである。ステップa1でキー27のたとえば「GK1」キーが押されると、ステップa2において原稿が検出されたかどうかが判断される。原稿が検出されると、ステップa3に進み、第4図(1)に示されるようなメッセージがキー入力部16の表示部25に表示される。ステップa4では第1発呼先へ自動発呼動作が行われ、ステップa5では順次同報通信が開始され、以後、「GK1」キーに対応付けて記憶されている被呼側電話番号を順次読出して発呼動作を行い、被呼側ファクシミリ装置へ原稿を送信する。
ステップa2において、原稿が検出されないときはステップa6に進み、第4図(2)に示されるようなメッセージがキー入力部16の表示部25に表示される。ステップa7では第1発呼先への自動発呼動作が行われ、ステップa8では順次送信要求機能が開始され、以後、「GK1」キーに対応付けて記憶している被呼側電話番号を順次読出して発呼動作を行い、被呼側ファクシミリ装置に対して原稿の送信開始を要求する。」(3頁右上欄9行?左下欄10行)

キ 「発明の効果
以上のように本発明によれば、ファクシミリ装置のキー入力操作が簡略化され、ファクシミリ装置の操作性が格段に向上される。」(3頁左下欄18行?右下欄1行)

3.対比
本願発明と引用発明を対比する。
引用発明の「原稿読み取り部」は、本願発明の「スキャナ」に相当する。
引用発明における原稿読み取り部の原稿センサは、原稿の装填状態を検出するものであるので、引用発明は、「送信原稿テーブルに配置された原稿の有無を検出する原稿検出手段つきのスキャナ機能」を有しているといえる。
引用発明の「ファクシミリ装置」「パソコン」及び「RAM3,4」は、本願発明の「OA機器」「端末機器」及び「複数の記憶手段」にそれぞれ相当する。
ファクシミリ装置におけるワンタッチキーとは、キー毎に送信先ダイヤル番号を予め記憶し、使用時、該キーを押すことにより、記憶されたダイヤル番号を読み出すキーであるので、引用発明には、「送信先ダイヤル番号の読み出しまたは格納を指示するダイヤルキー」「その送信先ダイヤル番号を保存する番号記憶部」「その送信先ダイヤル番号を読み出し、格納し、又は、編集する制御手段」を有していることは当業者に明らかである。
引用発明の「ファクシミリモード」には、同報通信、ダイレクト通信、親展通信等の送信があるが、これらの送信を行う際に、原稿を原稿読み取り部で読み取っていることは当業者に自明であるので、本願発明の「ユーザーがネットワークに接続しているOA機器をスキャナとして使用する際」に相当する構成を有しているといえる。
引用発明は、機能キー205を使用して、同報通信、ダイレクト通信、親展通信等の各種機能を設定するものであるので、引用発明には、同報送信と、通常送信とを機能キーを使用して設定することが記載されている。
ここでいう同報送信とは、複数の送信先を選択し、その選択された複数の送信先に送信を行うものであることは、当業者に明らかである。
また、通常送信とは、一つの送信先に送信するものを示すが、複数の送信先が選択されたときには、二つ目以降に選択された送信先には送信せずに、最初に選択された選択手段に対応した送信先にのみ送信を行うものであることは当業者に明らかである。このことは、本願当初明細書の「その原稿検出手段14が送信原稿の挿入を検出したとき(S31→S36)には、マニュアル入力若しくは、ワンタッチキー3bを支持する、S37に進み、通常のモードに進む。」(段落【0027】参照)との記載、及び審尋に対する回答である平成18年11月28日付け意見書の「1.」における「複数の送信先を選択したときでも、最初の送信先を選択した時点で送信先が決定し、その後に送信先を選択してもしなくても、最初に選択した送信先に送信するという点で通常のFAX送信であるということから、「通常のモードに進む」という記載にしたものであります。よって、実施形態中の「通常のモードに進む」ということには、上であげた「複数の送信先が選択されたときには、その最初に選択された送信先のみに送信を行う」ことが含まれていると言えます。」との記載があり、請求人も自認している事項である。
したがって、引用発明には、送信先を選択するための選択手段によって、複数の送信先を選択し、その選択された複数の送信先に同報送信を行う機能と、通常送信、すなわち送信先を選択するための選択手段によって複数の送信先が選択されたときには、最初に選択された選択手段に対応した送信先にのみ送信を行う機能とを機能キーを使用して設定する構成を有しているといえる。

以上を踏まえると、両者は、
「送信原稿テーブルに配置された原稿の有無を検出する原稿検出手段つきのスキャナ機能を有するOA機器と、端末機器と、複数の記憶手段とを具備し、少なくともいずれかの機器には、送信先ダイヤル番号の読み出しまたは格納を指示するダイヤルキーと、その送信先ダイヤル番号を保存する番号記憶部と、その送信先ダイヤル番号を読み出し、格納し、又は、編集する制御手段とを有し、これらを互いに接続したネットワークシステムにおいて、ユーザーがネットワークに接続しているOA機器をスキャナとして使用する際に、送信先を選択するための選択手段によって、複数の送信先を選択し、その選択された複数の送信先に同報送信を行う機能と、送信先を選択するための選択手段によって複数の送信先が選択されたときには、最初に選択された選択手段に対応した送信先にのみ送信を行う機能とを設定することを特徴とするネットワークシステム。」で一致し、以下の点で相違する。

【相違点1】
端末機器が、本願発明は、複数のワークステーション及び、パソコン等の端末機器であるのに対し、引用発明は、パソコンであるが、複数であることは記載されていない点。

【相違点2】
本願発明は、原稿検出手段が原稿挿入を検出したときより前に、選択手段により複数の送信先が選択された場合は、同報送信を行い、原稿検出手段が原稿挿入を検出したときより後に、選択手段により複数の送信先が選択された場合は、最初に選択された選択手段に対応した送信先にのみ送信を行うのに対し、引用発明は、機能キーを使用して同報送信と通常送信との設定を行う点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
【相違点1】について
プリンタ装置としても使用できるファクシミリ装置に、外部機器として、複数のワークステーション及びパソコンを接続することはオフィス等で普通に行われていることであるので、相違点1は実質的に相違点とはならない。

【相違点2】について
複数の機能を有するファクシミリ装置において、機能キーを使用して機能を設定する代わりに、原稿の有無により機能を設定する構成は、引用例2の「ステップa1でキー27のたとえば「GK1」キーが押されると、ステップa2において原稿が検出されたかどうかが判断される。原稿が検出されると、・・・順次同報通信が開始され、・・・原稿が検出されないときは・・・順次送信要求機能が開始され、」(前掲カ)に見られるように公知である。
したがって、引用発明の機能キーを使用することに代えて、原稿が置かれているか否かによって、複数の機能である同報送信と通常送信とを設定する構成とすることは、両者が同一の技術分野に属しており、かつ適用に際し阻害要因も認められないことから、当業者が容易になし得たことと認められる。その際に、原稿が置かれる前を同報送信とするか、又は通常送信とするかは、当業者が適宜選択し得る事項であり、置かれる前を同報送信とした相違点2に、格別の困難性は認められない。

以上のとおり、相違点1及び相違点2は当業者が引用例1に記載の発明及び引用例2に記載の発明に基づいて、容易に推考できる程度の事項であり、効果についても、当業者が予測できる範囲内のものにすぎない。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用例1及び引用例2に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたもので、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-01-31 
結審通知日 2007-02-08 
審決日 2007-02-20 
出願番号 特願2003-45971(P2003-45971)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 千葉 輝久  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 脇岡 剛
鈴木 明
発明の名称 ネットワークシステム  
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