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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する B43K 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する B43K 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B43K |
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管理番号 | 1155890 |
審判番号 | 訂正2007-390005 |
総通号数 | 90 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-06-29 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2007-01-19 |
確定日 | 2007-04-03 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3768057号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3768057号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.手続の経緯 (1)特許出願:平成12年2月10日 (2)特許査定:平成18年1月20日(平成18年1月31日発送) (3)特許権設定の登録:平成18年2月10日 (4)本件訂正審判の請求:平成19年1月19日 2.審判請求の要旨 本件訂正審判請求の要旨は、特許第3768057号発明に係る明細書(以下、「本件特許明細書」という。)を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記(1)乃至(7)のとおり訂正することを求めるものである。 (1)訂正事項1 本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の、 「外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、 外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、 カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、 を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、 外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、 前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とすることを特徴とするノック式筆記具。」を、 「先筒と、後筒とから構成された外筒と、 外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、 外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、 カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、 を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、 外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、 前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを、前記先筒の後端と前記後筒の段部にそれぞれ当接させることで外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とすることを特徴とするノック式筆記具。」と訂正する。 (2)訂正事項2 本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項6の、 「前記窓内には透明体が設けられ、該透明体と外筒の少なくとも一部は二色成形またはインサート成形の手法により一体成形されたものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のノック式筆記具。」を、 「外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、 外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、 カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、 を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、 外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、 前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とし、 前記窓内には透明体が設けられ、該透明体と外筒の少なくとも一部は二色成形またはインサート成形の手法により一体成形されたものであることを特徴とするノック式筆記具。」と訂正する。 (3)訂正事項3 本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項7の、 「外筒の窓を含む少なくとも一部は透明樹脂により成形されたものであり、前記窓の周囲の外筒の少なくとも一部には有色の印刷が施されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のノック式筆記具。」を、 「外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、 外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、 カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、 を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、 外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、 前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とし、 外筒の窓を含む少なくとも一部は透明樹脂により成形されたものであり、前記窓の周囲の外筒の少なくとも一部には有色の印刷が施されていることを特徴とするノック式筆記具。」と訂正する。 (4)訂正事項4 本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項8の、 「前記窓内には、透明体がはめ込まれていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のノック式筆記具。」を、 「外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、 外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、 カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、 を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、 外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、 前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とし、 前記窓内には、透明体がはめ込まれていることを特徴とするノック式筆記具。」と訂正する。 (5)訂正事項5 本件特許明細書段落【0005】の、 「【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために本発明のうち請求項1記載の発明では、外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して、筆記媒体の先端を外筒先端から出没させるノック式筆記具において、外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とすることを特徴とする。 ノック体がノック操作され、ノック体と一体的にカムバーが前進すると、カムバーがカム筒を前方へ押し出し、カム筒は、前進と共に所定角度回転する。カム筒は、所定角度回転する毎に前進位置と後退位置とに交互に移動して、筆記媒体を駆動する。また、カム筒の回転に連動して回転ドラムが回転し、外筒の窓から見える回転ドラムの外周面に付された文字または絵等の表示が変化する。」を、 「【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために本発明のうち請求項1記載の発明では、先筒と、後筒とから構成される外筒と、外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して、筆記媒体の先端を外筒先端から出没させるノック式筆記具において、外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを、前記先筒の後端と前記後筒の段部にそれぞれ当接させることで外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とすることを特徴とする。 ノック体がノック操作され、ノック体と一体的にカムバーが前進すると、カムバーがカム筒を前方へ押し出し、カム筒は、前進と共に所定角度回転する。カム筒は、所定角度回転する毎に前進位置と後退位置とに交互に移動して、筆記媒体を駆動する。また、カム筒の回転に連動して回転ドラムが回転し、外筒の窓から見える回転ドラムの外周面に付された文字または絵等の表示が変化する。」と訂正する。 (6)訂正事項6 本件特許明細書段落【0011】の、 「請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の前記窓内に透明体が設けられ、該透明体と外筒の少なくとも一部は二色成形またはインサート成形の手法により一体成形されたものであることを特徴とする。」を、 「請求項6記載の発明は、外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とし、前記窓内には透明体が設けられ、該透明体と外筒の少なくとも一部は二色成形またはインサート成形の手法により一体成形されたものであることを特徴とする。」と訂正する。 (7)訂正事項7 本件特許明細書段落【0012】の、 「請求項7記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の外筒の窓を含む少なくとも一部が透明樹脂により成形されたものであり、前記窓の周囲の外筒の少なくとも一部には有色の印刷が施されていることを特徴とする。 請求項8記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の前記窓内に、透明体がはめ込まれていることを特徴とする。」を、 「請求項7記載の発明は、外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とし、外筒の窓を含む少なくとも一部は透明樹脂により成形されたものであり、前記窓の周囲の外筒の少なくとも一部には有色の印刷が施されていることを特徴とする。 請求項8記載の発明は、外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とし、前記窓内には、透明体がはめ込まれていることを特徴とする。」と訂正する。 3.当審の判断 (1)訂正事項1について 上記訂正事項1は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載の「外筒」が、「先筒と、後筒から構成される」ことを限定し、かつ、「回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設」するための配設構造を、「前記先筒の後端と前記後筒の段部にそれぞれ当接させることで」行うものとして限定するものである。 「外筒」が、「先筒と、後筒から構成される」ことに関し、本件特許明細書段落【0015】には、「外筒10は、先筒12と、該先筒12に螺着される後筒14とから構成される。」と記載されている。 また、「回転ドラムを、前記先筒の後端と前記後筒の段部にそれぞれ当接させることで外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設」することに関し、本件特許明細書段落【0021】には、「回転ドラム32は、その前端が先筒12の後端に当接し、且つその後端が後筒14の段部14bに当接しており、外筒10内で回転可能且つ軸方向に移動不能となっている。」と記載されている。 したがって、訂正事項1の訂正は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1及び当該請求項1を引用する請求項2及び5について、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。 また、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 さらに、訂正後における本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1、2及び5に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとする理由も発見しない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2により訂正された、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項6の、 「外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、 外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、 カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、 を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、 外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、 前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とし、」との記載は、訂正事項1により訂正される前の本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されていた事項であって、訂正前の特許請求の範囲の請求項1を引用していた特許請求の範囲の請求項6の記載に関しては、訂正前後において、引用形式の記載であるか独立形式の記載であるかといった記載形式の変更だけであって、実質的な変更はされていない。 そして、訂正前の特許請求の範囲の請求項6が引用していた、請求項2乃至請求項5については、訂正事項2により、引用しないように訂正されているため、訂正事項2による実質的な訂正は、引用請求項数を減少させることである。 したがって、訂正事項2の訂正は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項6について、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。 また、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 さらに、訂正後における本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項6に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとする理由も発見しない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3により訂正された、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項7の、 「外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、 外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、 カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、 を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、 外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、 前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とし、」との記載は、訂正事項1により訂正される前の本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されていた事項であって、訂正前の特許請求の範囲の請求項1を引用した特許請求の範囲の請求項7の記載に関しては、訂正前後において、引用形式の記載であるか独立形式の記載であるかといった記載形式の変更だけであって、実質的な変更はされていない。 そして、訂正前の特許請求の範囲の請求項7が引用していた、請求項2乃至請求項6については、訂正事項3により、引用しないように訂正されているため、訂正事項3による実質的な訂正は、引用請求項数を減少させることである。 したがって、訂正事項3の訂正は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項7について、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。 また、訂正事項3による訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 さらに、訂正後における本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項7に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとする理由も発見しない。 (4)訂正事項4について 訂正事項4により訂正された、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項8の、 「外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、 外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、 カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、 を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、 外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、 前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とし、」との記載は、訂正事項1により訂正される前の本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されていた事項であって、訂正前の特許請求の範囲の請求項1を引用した特許請求の範囲の請求項8の記載に関しては、訂正前後において、引用形式の記載であるか独立形式の記載であるかといった記載形式の変更だけであって、実質的な変更はされていない。 そして、訂正前の特許請求の範囲の請求項8が引用していた、請求項2乃至請求項5については、訂正事項4により、引用しないように訂正されているため、訂正事項4による実質的な訂正事項は、引用請求項数を減少させることである。 したがって、訂正事項4の訂正は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項8について、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。 また、訂正事項4による訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 さらに、訂正後における本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項8に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとする理由も発見しない。 (5)訂正事項5について、 訂正事項5における本件特許明細書の段落【0005】の記載の訂正は、訂正事項1によって、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載を訂正したことにともなって、訂正された請求項1の記載と段落【0005】の記載との整合を図るためになされたものであり、訂正事項5の訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的としたものである。 また、訂正事項5による訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (6)訂正事項6について 訂正事項6における本件特許明細書の段落【0011】の記載の訂正は、訂正事項2によって、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項6の記載を訂正したことにともなって、訂正された請求項6の記載と段落【0011】の記載との整合を図るためになされたものであり、訂正事項6の訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的としたものである。 また、訂正事項6による訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (7)訂正事項7について 訂正事項7における本件特許明細書の段落【0012】の記載の訂正は、訂正事項3によって、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項7の記載を訂正したこと、及び、訂正事項4によって、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項8の記載を訂正したことにともなって、訂正された請求項7及び請求項8の記載と段落【0012】の記載との整合を図るためになされたものであり、訂正事項7の訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的としたものである。 また、訂正事項7による訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (8)まとめ 以上のとおり、訂正事項1乃至4の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、訂正事項5乃至7の訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 また、訂正事項1乃至7の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 さらに、訂正された特許請求の範囲請求項1、2、5乃至8に記載された発明について、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとする理由も発見しない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正は、平成14年改正前特許法第126条第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、同条第3項から第5項までの規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ノック式筆記具 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】先筒と、後筒とから構成される外筒と、 外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、 外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、 カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、 を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、 外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、 前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを、前記先筒の後端と前記後筒の段部にそれぞれ当接させることで外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とすることを特徴とするノック式筆記具。 【請求項2】前記カム筒と回転ドラムとは、いずれか一方に形成された多角形状孔に他方に形成された多角形状外筒面が嵌合することにより連結されることを特徴とする請求項1記載のノック式筆記具。 【請求項3】外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、 外筒内で回転不能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、外筒内で前後動不能に設けられカム筒の前進毎に所定角度回転してカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、 カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、 を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム本体が回転してカム筒が軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、 外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、前記カム本体の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に配設し、該表示を前記窓から透視可能とすることを特徴とするノック式筆記具。 【請求項4】前記回転ドラムはカム本体と一体に形成されることを特徴とする請求項3記載のノック式筆記具。 【請求項5】前記窓内には透明体が設けられ、該透明体がレンズとなっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のノック式筆記具。 【請求項6】外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、 外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、 カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、 を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、 外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、 前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とし、 前記窓内には透明体が設けられ、該透明体と外筒の少なくとも一部は二色成形またはインサート成形の手法により一体成形されたものであることを特徴とするノック式筆記具。 【請求項7】外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、 外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、 カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、 を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、 外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、 前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とし、 外筒の窓を含む少なくとも一部は透明樹脂により成形されたものであり、前記窓の周囲の外筒の少なくとも一部には有色の印刷が施されていることを特徴とするノック式筆記具。 【請求項8】外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、 外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、 カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、 を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、 外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、 前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とし、 前記窓内には、透明体がはめ込まれていることを特徴とするノック式筆記具。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、ノック式筆記具に関し、特に文字や模様等の絵のような表示が施されたノック式筆記具に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来のこの種のノック式筆記具としては、外筒の表面に印刷により、文字や模様が付されていることが一般的である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、かかる従来のノック式筆記具では、その表示に変化がなく、使用者の興味を引くものとは言い難い。 【0004】 本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、その表示を変化させることができるノック式筆記具を提供することをその目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために本発明のうち請求項1記載の発明では、先筒と、後筒とから構成される外筒と、外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して、筆記媒体の先端を外筒先端から出没させるノック式筆記具において、外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを、前記先筒の後端と前記後筒の段部にそれぞれ当接させることで外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とすることを特徴とする。 ノック体がノック操作され、ノック体と一体的にカムバーが前進すると、カムバーがカム筒を前方へ押し出し、カム筒は、前進と共に所定角度回転する。カム筒は、所定角度回転する毎に前進位置と後退位置とに交互に移動して、筆記媒体を駆動する。また、カム筒の回転に連動して回転ドラムが回転し、外筒の窓から見える回転ドラムの外周面に付された文字または絵等の表示が変化する。 【0006】 カム筒は外筒に対して前後動すると共に回転を行うが、回転ドラムは外筒に対して軸方向に移動不能であるため、カム筒からの回転のみが回転ドラムへと伝達する。 【0007】 請求項2記載の発明は、請求項1記載の前記カム筒と回転ドラムとが、いずれか一方に形成された多角形状孔に他方に形成された多角形状外筒面が嵌合することにより連結されることを特徴とする。 【0008】 請求項3記載の発明は、外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、外筒内で回転不能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、外筒内で前後動不能に設けられカム筒の前進毎に所定角度回転してカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、カムバーと一体に形成されまたはカムバーと一体的に連結されノック操作可能となったノック体と、を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム本体が回転してカム筒が軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、前記カム本体の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に配設し、該表示を前記窓から透視可能とすることを特徴とする。 ノック体がノック操作され、ノック体と一体的にカムバーが前進すると、カムバーがカム筒を前方へ押し出し、カム本体は、カムバーの前進と共に所定角度回転する。カム筒は、カム本体が所定角度回転する毎に前進位置と後退位置とに交互に移動して、筆記媒体を駆動する。また、カム本体の回転に連動して回転ドラムが回転し、外筒の窓から見える回転ドラムの外周面に付された文字または絵等の表示が変化する。 【0009】 請求項4記載の発明は、請求項3記載の前記回転ドラムがカム本体と一体に形成されることを特徴とする。 【0010】 窓は、単なる透孔とすることができるが、請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の前記窓内に透明体が設けられ、該透明体がレンズとなっていることを特徴とする。 【0011】 請求項6記載の発明は、外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とし、前記窓内に透明体が設けられ、該透明体と外筒の少なくとも一部は二色成形またはインサート成形の手法により一体成形されたものであることを特徴とする。 【0012】 請求項7記載の発明は、外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とし、外筒の窓を含む少なくとも一部が透明樹脂により成形されたものであり、前記窓の周囲の外筒の少なくとも一部には有色の印刷が施されていることを特徴とする。 請求項8記載の発明は、外筒内に配設され後方へ付勢された筆記媒体と、外筒内で回転可能かつ前後動可能に設けられ筆記媒体の後方移動を規制するカム筒と、カム筒の前進毎にカム筒を所定角度回転させてカム筒を前進位置と後退位置とに交互に移動させるカム本体と、カム筒を前方へ押し出し可能なカムバーとからなる回転カム機構と、カムバーと一体に形成されまたはカムバーに連結されノック操作可能となったノック体と、を備え、ノック体がノック操作されることにより、カム筒が回転すると共に軸方向に前後動して筆記媒体を駆動するノック式筆記具において、外筒の周面の一部に内部が透視可能な窓を設け、前記カム筒に対して相対的に軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に連結されてカム筒の回転に連動して回転すると共にその外周面に文字または絵等の表示が付された回転ドラムを外筒内に外筒に対して軸方向に移動不能に配設し、該表示を前記窓から透視可能とし、前記窓内に、透明体がはめ込まれていることを特徴とする。 【0013】 【発明の実施の形態】 以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。 【0014】 図1ないし図5は本発明の第1実施形態を表す図である。この実施形態では、ノック式筆記具としてボールペンを例示しており、図1はその全体図、図2はその縦断面図である。 【0015】 図において、10は、外筒であり、外筒10は、先筒12と、該先筒12に螺着される後筒14とから構成される。 【0016】 外筒10内には、レフィール(筆記媒体)18が配設され、レフィール18はレフィール18のバネ受部18aと、先筒12の内段部12aとの間に介挿されたリターンスプリング20によって、常時後方へと付勢されている。 【0017】 外筒10の後内部には、公知の回転カム機構22が配設されている。回転カム機構22は、外筒10内で回転可能かつ前後動可能となったカム筒24と、カム筒24の位置を規制するカム本体26と、カム筒24を前方へ押し出し可能なカムバー28とから構成される。 【0018】 カム筒24内にはレフィール18の後端が挿入されており、カム筒24内の仕切壁24bにレフィール18の後端が当接して、レフィール18の後方移動を規制している。また、カム筒24の外周面には、カム本体26の後述のカム面26aに係止可能な突起24aが形成され、また、その端面に鋸歯24dが形成されている。 【0019】 カム本体26は、後筒14と一体に形成されており(但し、後筒14と別部材とすることも勿論可能である)、図5に示したように、その内周面に周方向に浅い溝26bと、深い溝26cとが山26dを介して交互に形成されてなる。浅い溝26bの先端には鋸状のカム面26aが形成されており、このカム面26aでカム筒24の突起24aが係止される一方、深い溝26cには、カム筒24の突起24aが進入可能となっており、突起24aがカム面26aに係止された状態で、カム筒24は前進位置に保持され、また、突起24aが深い溝26cに進入された状態でカム筒24が後退位置に保持される。 【0020】 また、カムバー28の外面には、カム本体26の浅い溝26b及び深い溝26cに摺動可能な複数の突起28aが形成されており、カムバー28の先端には、カム筒24を前方へ押し出し可能な鋸歯28bが形成されている。また、カムバー28の後端には一体的にノック体30が連結されている。ノック体30はカムバー28と一体に形成することも可能である。 【0021】 カム筒24は、外筒10内でカム筒24の前方に配設された回転ドラム32に、相対回転不能に連結される。即ち、図4に示すように、カム筒24の前部は、縮径されると共に多角形状外面24cとなっており、この多角形状外面24cは、回転ドラム32後端部内に形成された多角形状孔32aに挿入され、前記カム筒24の回転に連動して回転ドラム32が一体的に回転するようになっている。尚、このような多角形状外面と多角形状孔との嵌合によって回転ドラム32をカム筒24に対して相対回転不能とする他に、回転ドラム32とカム筒24のいずれか一方の面にキー、また他方の対向する面にキーに嵌合するキー溝を形成することで、両者を相対回転不能とすることも可能である。また、回転ドラム32は、その前端が先筒12の後端に当接し、且つその後端が後筒14の段部14bに当接しており、外筒10内で回転可能且つ軸方向に移動不能となっている。 【0022】 回転ドラム32の外表面には、表示したい文字または図が印刷等により付されている。回転ドラム32の文字または図等の表示32bは、カム筒24の回転ピッチにあわせて周方向に離散的に施しても良いが、周方向に連続した文字または図であっても良い。 【0023】 回転ドラム30の軸方向位置に対応して後筒14の周面の一部は、窓14aとなっている。窓14a内には、透明樹脂で形成された透明体が設けられると良く、透明体の肉厚を変化させる等してレンズ効果を持たせるようになっていると良い。 【0024】 以上のように構成されるノック式筆記具の作用を説明する。今、レフィール18の先端が外筒10内に退没しているものとする。このとき、カム筒24は、その突起24aがカム本体26の深い溝26c内にあって、後退位置に保持されている(図5の仮想線位置)。ノック体30をノックすると、カム回転機構22の作用により、ノック体30と一体的に作動するカムバー28が前進し、カム筒24を前方へ移動させる。そして、ノック体30のノック力を解除すると、カム筒24の突起24aは、カム本体26の鋸状のカム面26aに誘導されて、カム面26aに係止される(図5の点線位置)。こうして、カム筒24は前進位置に保持される。このとき、カム筒24の回転に連動して、回転ドラム32が回転するため(図5の矢印方向)、後筒14の窓14aから見える文字または絵等の表示32bが変化することになる。 【0025】 また、さらにノック体30をノックすると、カム回転機構22の作用により、ノック体30と一体的に作動するカムバー28が前進し、カム筒24を前方へ移動させる。そして、ノック体30のノック力を解除するとカム筒24は、再びカム本体26の深い溝26cへと誘導され、後退位置へと戻る。このときも、カム筒24の回転に連動して、回転ドラム32が回転するため、後筒14の窓14aから見える文字または絵等の表示32bが切り替わる。 【0026】 こうして、ノック体30のノックの度に、後筒14の窓14aから見える文字または絵等の表示32bが変化するために、使用者を飽きさせることなく、注意を喚起させることができる。 【0027】 回転ドラム32はカム筒24と一体的に連結または一体に形成することも可能であるが、この実施形態のように、回転ドラム32が、外筒10に対して軸方向に移動不能となっており、カム筒24が回転ドラム32に対して回転不能且つ軸方向に移動可能とすることにより、回転ドラム32は、前後動することなく周方向にのみ移動して表示32bが切り替わるため、窓14aから眺めた表示32bの切り替わりがスムーズで非常に見栄えが良いものとなっている。さらに、回転ドラム32が前後動しないため、回転ドラム32の軸方向の大きい範囲に亘って文字または絵等の表示32b領域をとることができ、それに合わせて窓14aを大きくすることができる。 【0028】 また、回転ドラム32とカム筒24は多角形の形状同士を嵌合しているため、組み立ての際に、その軸方向の整合をとることが簡単にでき、両者を簡単に組み立てることができる。 【0029】 次に、図6及び図7は、本発明の第2実施形態を表す図である。図において、第1実施形態と同一の部材は同一の符号を付し、その詳細説明を省略する。 【0030】 図において、10’は、外筒であり、外筒10’は、先筒12’と、該先筒12’に螺着される後筒14’とから構成される。この実施形態では、回転カム機構42が第1実施形態のものと異なっており、回転カム機構42は、外筒10’内で回転不能かつ前後動可能となったカム筒44と、カム筒44の位置を規制するカム本体46と、カム筒44を前方へ押し出し可能なカムバー48とから構成される。 【0031】 カム筒44内にはレフィール18の後端が挿入されており、カム筒44内の仕切壁44bにレフィール18の後端が当接して、レフィール18の後方移動を規制している。また、カム筒44の外周面には、カム本体46の後述のカム面46aに係止可能な突起44aが形成され、また、その端面に鋸歯44dが形成されている。また、カム筒44の前部には、縦リブ44cが形成されており、先筒12’の後部内面に形成された縦溝12’bに係合して、カム筒44は、外筒内で回転不能となっている。 【0032】 カム本体46は、その環状突起46eが後筒14’の環状溝14’bに嵌入して、後筒14’に対して回転可能及び軸方向に移動不能に取り付けられている。また、図7に示したように、その内周面に周方向に浅い溝46bと、深い溝46cとが山46dを介して交互に形成されている。浅い溝46bの先端には鋸状のカム面46aが形成されており、このカム面46aでカム筒44の突起44aが係止される一方、深い溝46cには、カム筒44の突起44aが進入可能となっており、突起44aがカム面46aに係止された状態で、カム筒44は前進位置に保持され、また、突起44aが深い溝46cに進入された状態でカム筒44が後退位置に保持される。 【0033】 また、カムバー48は後筒14’に対して回転可能且つ軸方向に移動可能となっており、その外面には、カム本体46の浅い溝46b及び深い溝46cに摺動可能な複数の突起48aが形成されており、カムバー48の先端には、カム筒44を前方へ押し出し可能な鋸歯48bが形成されている。また、カムバー48の後端には相対回転可能にノック体30が連結されている。 【0034】 カム本体46は、その前部が回転ドラム50と一体となっており、回転ドラム50の外表面には、文字または図等の表示50aが印刷等により付されている。 【0035】 以上のように構成されるノック式筆記具の作用を説明する。今、レフィール18の先端が外筒10’内に退没しているものとする。このとき、カム筒44は、その突起44aがカム本体46の深い溝46c内にあって、後退位置に保持されている(図7の仮想線位置)。ノック体30をノックすると、カム回転機構42の作用により、ノック体30に相対回転可能に連結されたカムバー48が前進し、カム筒44を前方へ移動させる。そして、ノック体30のノック力を解除すると、カム筒44の突起44aの鋸歯44dがカムバー48の鋸歯48b及びカム本体46の鋸状のカム面46aに誘導されて、カム本体46及びカムバー48を回転させて、カム本体46のカム面46aに係止される(図7の点線位置)。こうして、カム筒44は前進位置に保持される。このとき、カム本体46の回転と共に回転ドラム50が回転するため、後筒14の窓14aから見える文字または絵等の表示50aが変化することになる。 【0036】 また、さらにノック体30をノックすると、カム回転機構42の作用により、ノック体30に相対回転可能に連結されたカムバー48が前進し、カム筒44を前方へ移動させる。そして、ノック体30のノック力を解除するとカム筒44は、カム本体46を回転し、再びカム本体46の深い溝46cへと進入し、後退位置へと戻る。このときも、カム本体46の回転と共に回転ドラム50が回転するため、後筒14’の窓14aから見える文字または絵の表示50aが切り替わる。 【0037】 こうして、ノック体30のノックの度に、後筒14’の窓14aから見える文字または絵が変化するために、使用者を飽きさせることなく、注意を喚起させることができる。 【0038】 回転ドラム50は、カム本体46と別部材として相対回転不能にカム本体46に連結する事も可能であるが、この実施形態のようにカム本体46と一体に形成することにより、部品点数を低減することができる。また、カム本体46は前後動しないため、第1実施形態と同様に、回転ドラム50は前後動することなく周方向にのみ移動して表示50aが切り替わるため、窓14aから眺めた表示50aの切り替わりがスムーズで非常に見栄えが良いものとなっている。さらに、回転ドラム50が前後動しないため、回転ドラム50の軸方向の大きい範囲に亘って文字または絵等の表示50a領域をとることができ、それに合わせて窓14aを大きくすることができる。 【0039】 また、窓14a内に設けられる透明体にレンズ効果を持たせることにより、回転ドラム32、50の表示32b、50aが拡大されるので、より使用者の興味を引かせることができる。 【0040】 この窓14a内の透明体は、後筒14、14’の窓14a以外の部分と共に二色成形またはインサート成形の手法により一体に成形することができる。または、図8に示すように、後筒14、14’を全体的に透明の樹脂で成形し、窓14aの周囲の部分に有色の印刷Pを施して、窓14aから回転ドラムを透視可能とすることもできる。または、別途、窓を構成する透明体を用意し、窓14a内にはめ込むことも可能である。勿論、窓14aを単なる透孔とするこも可能であるが、窓14a内に透明体または透明樹脂が設けられることにより、窓14aから筆記具内に埃、ゴミ等が侵入することを防ぐことができる。 【0041】 尚、以上の実施形態では、筆記媒体としてレフィールである場合について説明したが、これに限るものではなく、筆記媒体として芯を含む芯送り出し機構とすることもできる。芯送り出し機構は、芯を挟持するチャックと、チャックに連結された芯タンクを有しており、チャック及び芯タンクは、チャックスプリングにより後方へ付勢されており、その後方位置が、カム筒に規制されていてもよい。そして、カム筒が前進位置と後退位置とに前後動することにより、チャック及び芯タンクが連動して前後動して、芯を所定量ずつ繰り出すシャープペンシルに適用することができる。 【0042】 【発明の効果】 以上説明したように、請求項1ないし8記載の発明によれば、回転ドラムの回転により窓から見える文字または絵等が変化するために、使用者の興味をより引かせることができる。 【0043】 カム筒の前後動に拘わらず、回転ドラムが軸方向に移動不動となっており、カム筒の回転と共に回転ドラムは周方向にのみ移動するので、回転ドラムにシャクリ等が発生することなく、窓から見える文字または絵等の表示を見栄えの良いものとすることができる。また、回転ドラムが前後動しないために窓を大きく使用することができ、文字または絵等の表示範囲を大きくすることができる。 【0044】 請求項2記載の発明によれば、多角形状孔と多角形状外周面との嵌入により、簡単に両者を連結することができる。 【0045】 請求項4記載の発明によれば、回転ドラムがカム本体と一体に形成されるため、部品点数が低減できると共に、カム本体は前後動しないため、カム本体の回転と共に回転ドラムは周方向にのみ移動するので、回転ドラムにシャクリ等が発生することなく、窓から見える文字または絵等を見栄えの良いものとすることができる。また、回転ドラムが前後動しないために窓を大きく使用することができ、文字または絵等の表示範囲を大きくすることができる。 【0046】 請求項5記載の発明によれば、窓の透明体がレンズとなっているために、回転ドラムに施された文字または絵が拡大されて、より使用者の興味を引かせることができる。また、透明体によって、窓から埃・ゴミなどが筆記具内に侵入することを防ぐことができる。 【0047】 請求項6記載の発明によれば、二色成形またはインサート成形により簡単に窓と外筒を一体に成形することができる。また、透明体によって、窓から埃・ゴミなどが筆記具内に侵入することを防ぐことができる。 【0048】 請求項7及び8記載の発明によれば、外筒に簡単に窓を形成することができる。また、透明樹脂または透明体によって、窓から埃・ゴミなどが筆記具内に侵入することを防ぐことができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明によるノック式筆記具の実施形態を表す全体図である。 【図2】 図1の縦断面図である。 【図3】 図2の3-3線に沿って見た断面図である。 【図4】 カム筒と回転ドラムの分解斜視図である。 【図5】 カム本体、カム筒、回転ドラムの展開図である。 【図6】 本発明によるノック式筆記具の第2の実施形態を表す全体縦断面図である。 【図7】 第2実施形態のカム本体、カム筒、回転ドラムの展開図である。 【図8】 第1実施形態の変形例を表す全体縦断面図である。 【符号の説明】 10、10’ 外筒 14a 窓 18 レフィール(筆記媒体) 22、42 回転カム機構 24、44 カム筒 24c 多角形状外面 26、46 カム本体 28、48 カムバー 30 ノック体 32、50 回転ドラム 32a 多角形状孔 32b、50a 表示 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2007-03-06 |
結審通知日 | 2007-03-08 |
審決日 | 2007-03-22 |
出願番号 | 特願2000-34050(P2000-34050) |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(B43K)
P 1 41・ 852- Y (B43K) P 1 41・ 851- Y (B43K) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 砂川 充 |
特許庁審判長 |
番場 得造 |
特許庁審判官 |
尾崎 俊彦 島▲崎▼ 純一 |
登録日 | 2006-02-10 |
登録番号 | 特許第3768057号(P3768057) |
発明の名称 | ノック式筆記具 |
代理人 | 石戸 久子 |
代理人 | 石戸 久子 |
代理人 | 城山 康文 |
代理人 | 城山 康文 |