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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C08G
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 C08G
管理番号 1155923
審判番号 不服2004-6405  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-31 
確定日 2007-04-11 
事件の表示 平成 7年特許願第264920号「カチオン重合触媒混合物」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 3月31日出願公開、特開平 9- 87368〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成7年9月19日の出願であって、平成15年9月18日付けで拒絶理由が通知され、平成15年11月26日に意見書が提出され、平成16年2月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年3月31日に拒絶査定に対する審判請求書が提出され、平成16年4月30日に手続補正書が提出され、平成16年6月23日に審判請求書の手続補正書(方式)が提出され、平成16年11月9日付けで前置報告がなされたものである。

第2.平成16年4月30日付け手続補正について
平成16年4月30日付け手続補正について、以下のとおり決定する。

1.補正却下の決定の結論
平成16年4月30日付け手続補正を却下する。

2.理由
〔1〕本件手続補正の内容
平成16年4月30日付け手続補正(以下、「本件手続補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1の
「【請求項1】 カチオン重合触媒の一種またはそれ以上と沸点が130℃以上の液状環状エステル化合物の一種またはそれ以上とからなる触媒混合物で、カチオン重合触媒と環状エステル化合物の混合割合が、カチオン重合触媒5?90部、環状エステル化合物10?95部であるカチオン重合触媒混合物。」を
「【請求項1】 カチオン重合触媒の一種またはそれ以上、沸点が130℃以上の液状環状エステル化合物の一種またはそれ以上、及び安定剤とからなる触媒混合物で、カチオン重合触媒と環状エステル化合物の混合割合が、カチオン重合触媒5?90部、環状エステル化合物10?95部であるカチオン重合触媒混合物。」と補正するものである。

〔2〕本件手続補正の適否について
本件手続補正においてする特許請求の範囲の補正が、特許法第17条の2第4項の規定に適合する補正であるか否について以下検討する。
請求項1に係る補正は、補正前の請求項1に記載されたカチオン重合触媒混合物について、さらに「安定剤」を加えて、「カチオン重合触媒の一種またはそれ以上、沸点が130℃以上の液状環状エステル化合物の一種またはそれ以上、及び安定剤とからなる触媒混合物」とするものであるが、補正前の特許請求の範囲の請求項1には、安定剤を含有することについては何ら記載されていない。
そうすると、「安定剤」を加える補正が、補正前の請求項1における発明を特定するために必要な事項を限定するものとはいえない。
したがって、本件手続補正は、特許請求の範囲を限定的に減縮するものではない。
また、本件手続補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれをも目的とするものではない。
したがって、この補正は、特許法第17条の2第4項各号の規定のいずれにも適合しない。

〔3〕むすび
以上のとおりであるから、本件手続補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

第3.本願発明
上記のとおり、平成16年4月30日付け手続補正は、決定をもって却下された。
したがって、本願の請求項1?4に係る発明は、願書に最初に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるが、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】 カチオン重合触媒の一種またはそれ以上と沸点が130℃以上の液状環状エステル化合物の一種またはそれ以上とからなる触媒混合物で、カチオン重合触媒と環状エステル化合物の混合割合が、カチオン重合触媒5?90部、環状エステル化合物10?95部であるカチオン重合触媒混合物。」

第4.原査定の拒絶理由の概要
原査定の拒絶理由の概要は、この出願の請求項1-4に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物(1.特開平06-184093号公報(特に、特許請求の範囲、【0037】、実施例)2.特開平05-222161号公報(特に、特許請求の範囲、【0030】、実施例)3.特開平07-025922号公報(特に、特許請求の範囲、【0035】、実施例)4.国際公開第94/29271号パンフレット(特に、特許請求の範囲、実施例))に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

第5.当審の判断
(1)刊行物に記載された発明
原査定の拒絶理由において引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開平7-25922号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている。
「【請求項1】 式(1)で示されるオニウム塩である光重合開始剤(A)
【化1】



{但し、式中Xは式(2)で示されるスルホニオ基
・・・}とカチオン重合性物質(B)を含有することを特徴とするエネルギー線硬化性組成物。」(特許請求の範囲)
「【0035】・・・本発明の硬化性組成物は、100重量部のカチオン重合性物質(B)に対して0.01?20重量部、より好ましくは0.1?10重量部の前記の式(1)で示されるオニウム塩の光重合開始剤(A)を必須の成分とするが適当な割合はカチオン重合性物質の性質やエネルギー線の種類、照射量、所望の硬化時間、温度、湿度、塗膜厚などさまざまな要因を考慮することによって決定される。カチオン重合性物質への光重合開始剤の溶解を容易にするため、あらかじめ光重合開始剤を溶剤類(例えば、プロピレンカーボネート、カルビトール、カルビトールアセテート、γ-ブチロラクトン等)に溶解し使用することもできる。本発明の硬化性組成物は、カチオン重合性物質(B)及び光重合開始剤(A)を混合、溶解あるいは混練等の方法により調製することができる。」(段落【0035】)

刊行物1において、式(1)で示されるオニウム塩の光重合開始剤(A)は、カチオン重合触媒に相当するものである。
そうであるから、刊行物1には「式(1)で示されるオニウム塩の光重合開始剤(A)と溶剤からなるカチオン重合触媒混合物。」の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されている。

(2)判断
本願発明と刊行物発明について対比・検討する。
本願発明の環状エステル化合物は、カチオン重合触媒を溶解させる(段落【0001】?【0005】、【0017】)ものであるから、溶剤といえるものである。
そうであるから、両者は「カチオン重合触媒の一種またはそれ以上と溶剤とからなるカチオン重合触媒混合物。」という点で一致し、次の相違点1および相違点2で相違する。

相違点1
本願発明の溶剤は「沸点が130℃以上の液状環状エステル化合物」であるのに対し、刊行物発明ではかかる特定はなされていない点

相違点2
本願発明においては「カチオン重合触媒と環状エステル化合物の混合割合が、カチオン重合触媒5?90部、環状エステル化合物10?95部である」のに対し、刊行物発明ではかかる限定はなされていない点

そこで、相違点1および相違点2について、次に検討する。

相違点1について
刊行物1には、カチオン重合物質への光重合開始剤の溶解を容易にするために、あらかじめ光重合開始剤を溶剤類であるプロピレンカーボネート、カルビトール、カルビトールアセテート、γ-ブチロラクトン等に溶解して使用することが記載されている。
ここで、刊行物1に溶剤として挙げられている「γ-ブチロラクトン」は、本願明細書において「沸点が130℃以上の液状環状エステル化合物」として例示されており(請求項4、明細書段落【0013】)、実施例1において実際に用いられているものである。
そして、刊行物1に例示された溶剤類については、その数も4種類程度であるから、これらの溶剤類の中からカチオン重合触媒とカチオン重合物質との相溶性について実験し、最適な溶剤としてγ-ブチロラクトンを採用することは当業者が適宜なし得る事項であり、技術的に格別困難があるものとも認められない。

相違点2について
また、カチオン重合触媒とγ-ブチロラクトンとの使用量についても、γ-ブチロラクトンをカチオン重合触媒の溶剤として採用する以上、その使用量について当業者が適宜実験により設定できるものといえる。
そして、本願発明において採用されている「カチオン重合触媒と環状エステル化合物の混合割合が、カチオン重合触媒5?90部、環状エステル化合物10?95部である」とすることが、格別予想外の数値である、あるいは臨界的な数値である、ということもできない。

なお、請求人は平成15年11月26日に提出した意見書において、実験データを提示して本願発明の混合比には臨界的意義があると主張している。
しかしながら、当該実験は特定の開始剤とγ-ブチロラクトンの組成比が10/90、5/95、2.5/97.5の例のみであって、本願発明の「カチオン重合触媒5?90部、環状エステル化合物10?95部」という広範な範囲全体において格別優れた効果を奏することを認めるに足るものではない。

(3)まとめ
したがって、本願発明は刊行物発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-02-14 
結審通知日 2007-02-15 
審決日 2007-02-27 
出願番号 特願平7-264920
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C08G)
P 1 8・ 572- Z (C08G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加賀 直人  
特許庁審判長 一色 由美子
特許庁審判官 宮坂 初男
渡辺 陽子
発明の名称 カチオン重合触媒混合物  
代理人 廣田 雅紀  
代理人 松橋 泰典  
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