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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01R 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H01R |
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管理番号 | 1155989 |
審判番号 | 不服2004-15825 |
総通号数 | 90 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-07-29 |
確定日 | 2007-04-12 |
事件の表示 | 平成11年特許願第18584号「コネクタソケット、小型コネクタ、及びUSBコネクタのコネクタソケット」拒絶査定不服審判事件〔平成12年8月11日出願公開、特開2000-223191号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成11年1月27日の出願であって、平成16年6月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年8月27日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成16年8月27日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年8月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 本件補正は、特許請求の範囲、請求項1を、次のように補正するものである。 「【請求項1】 1枚の金属を曲げ加工により形成した金属製のシールドケースの幅方向に整列され、絶縁ハウジングにより支持された複数のコンタクトピンを前記シールドケース内に有し、当該シールドケース底壁側がプリント配線基板上に搭載されるようにしたコネクタソケットであって、 前記複数のコンタクトピンは、コネクタプラグと接続される接触端部と、前記プリント配線基板上にハンダ付けされる外部接続端と、を有し、 前記シールドケース底壁と、前記複数のコンタクトピンの接触端部との間には、前記絶縁ハウジングの基部から延長する先端支持部が設けられ、 前記シールドケースの左右側壁後部と、左右側壁前部とには、それぞれ、当該シールドケース底壁から切り起こされ、前記プリント配線基板にハンダ付けにより固定される固定手段が設けられており、 前記シールドケースの底壁は、前記シールドケースの左側壁から折り曲げられた左底壁と、前記シールドケースの右側壁から折り曲げられた右底壁とが、ほぼ面一になるよう突き合わされ、前記左底壁と右底壁との接合部に設けられたカギ型突起により互いに嵌り合い、前記シールドケース底壁の左底壁と右底壁とが離れるのを防ぐように接合されており、 前記シールドケース底壁の左底壁または右底壁いずれか一方の前記カギ型突起は、前記シールドケースの左右側壁前部の固定手段の中心同士を結んだ中心線に対し前記コネクタプラグ挿入側と、前記シールドケースの左右側壁前部の固定手段の中心同士を結んだ中心線と前記シールドケースの左右側壁後部の固定手段の中心同士を結んだ中心線との間と、に設けられ、 前記複数のコンタクトピンの外部接続端は、前記絶縁ハウジング後端から前記プリント配線基板の搭載面とほぼ平行に伸長し、 前記シールドケースの左右側壁後部の固定手段は、前記プリント配線基板の搭載面とほぼ平行に伸長する前記複数のコンタクトピンの外部接続端の列をその両側から挟むように設けられている、 ことを特徴とするコネクタソケット。」 (上記下線部は補正箇所。) 本件補正後の特許請求の範囲、請求項1の、「前記シールドケース底壁の左底壁または右底壁いずれか一方の前記カギ型突起は、・・・」という記載からは、「カギ型突起」は、シールドケース底壁の左底壁または右底壁のどちら側から設けられていても良いものと理解される。 一方、平成16年8月27日付け手続補正書で補正された審判請求の理由中で請求人がこの補正の根拠であると主張している第4図には、左右に分割されたシールドケース底壁の一方から、カギ型の突起が突出している様子が図示されている。第4図において、左右に分割されたシールドケース底壁の、どちらが左底壁で、どちらが右底壁であるのか、その左右が不明であるが、左右をどの方向に定義したとしても、第4図中には、カギ型の突起が、左右のシールドケース底壁のどちらかの一方側のみから突出しているものしか記載されていない。また、出願当初明細書及び図面(以下、「当初明細書等」という。)の他の記載をみても、カギ型の突起を左底壁または右底壁のどちらに設けても良い旨は記載も示唆もされていない。 そうすると、「カギ型突起」がシールドケース底壁の左底壁または右底壁のどちらに設けられていても良いものとする、「前記シールドケース底壁の左底壁または右底壁いずれか一方の前記カギ型突起は、前記シールドケースの左右側壁前部の固定手段の中心同士を結んだ中心線に対し前記コネクタプラグ挿入側と、前記シールドケースの左右側壁前部の固定手段の中心同士を結んだ中心線と前記シールドケースの左右側壁後部の固定手段の中心同士を結んだ中心線との間と、に設けられ」た点は、当初明細書等に記載されたものでなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項であるともいえないから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであって、同法159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下されるべきものである。 また、仮にこの補正が当初明細書等に記載された事項の範囲内でなされたものであったとしても、本件補正によって追加された「カギ型突起」は、補正前の請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものではなく、また、シールドケースの左底壁と右底壁との接合部が離間するのを防止するという、補正前の請求項が有していなかった、新たな解決しようとする課題を追加するものであるから、特許法17条の2第4項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない。 さらに、本件補正が、請求項の削除、誤記の訂正、あるいは明りょうでない記載の釈明の、いずれかを目的としたものであるとも認められない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に適合しないので、特許法第159条で準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。 第3 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし請求項7に係る発明は、平成16年6月3日付けの手続補正書により補正された明細書の、特許請求の範囲の請求項1ないし請求項7に記載された事項により特定されるとおりのものである。 一方、原査定の拒絶の理由は、本願の請求項2に係る発明は、引用文献1,2に記載された発明に基づいて、及び請求項4に係る発明は、引用文献1,3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。 そこで、本願の請求項2に係る発明について検討すると、該発明は、上記請求項2に記載された事項により特定される次のとおりのものである(請求項1の従属型式で記載されているものを、独立形式に直して示す。以下、「本願発明」という。)。 「【請求項2】 金属製のシールドケースの幅方向に整列され、絶縁ハウジングにより支持された複数のコンタクトピンを前記シールドケース内に有し、当該シールドケース底壁側がプリント配線基板上に搭載されるようにしたコネクタソケットであって、 前記複数のコンタクトピンは、コネクタプラグと接続される接触端部と、前記プリント配線基板上にハンダ付けされる外部接続端と、を有し、 前記シールドケース底壁と、前記複数のコンタクトピンの接触端部との間には、前記絶縁ハウジングから延長する先端支持部が設けられ、 前記シールドケースの左右側壁後部には、それぞれ、当該シールドケース底壁から切り起こされ、前記プリント配線基板上にハンダ付けにより固定される固定手段が設けられており、 前記複数のコンタクトピンの外部接続端は、前記絶縁ハウジング後端から前記プリント配線基板の搭載面とほぼ平行に伸長し、 前記シールドケースの左右側壁後部の固定手段は、前記プリント配線基板の搭載面とほぼ平行に伸長する前記複数のコンタクトピンの外部接続端の列をその両側から挟むように設けられており、 前記シールドケース左右側壁前方には、前記シールドケースの左右側壁後部の固定手段と別に、それぞれ、当該シールドケース底壁から切り起こされ、前記プリント配線基板にハンダ付けにより固定される別の固定手段が形成され、前記シールドケース底壁における前記別の固定手段の対応位置には開口が形成されており、 前記開口の上方には、前記絶縁ハウジングから延長する先端支持部を介して、前記コンタクトピンの接触端部が設けられている、 ことを特徴とするコネクタソケット。」 第4 引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-220814号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に、次の事項が記載されている。 1 「A.プラグを迎え入れる開口部が長方形状の角筒状とされ、この角筒 状の一方の長辺に沿う面がプリント基板取付面とされた金属カバーと、 B.この金属カバーの短辺に沿う面及びプリント基板取付面の後端側から プリント基板取付面に突出して形成したプリント基板への取付用端子と、 C.上記金属カバーの後端部を塞ぐ閉塞板部と、この閉塞板部から前方に 突出し金属カバーの下半部に配置されたコンタクト支持部とによって構成 される絶縁ボディと、 D.この絶縁ボディに支持され、金属板から打抜かれた板厚面が上記コン タクト支持部の上面に露出し、その露出面が金属カバーの長辺方向に配列 されて支持された複数のコンタクトと、 によって構成したことを特徴とする多極平形コネクタソケット。」(特許 請求の範囲、請求項1) 2 「プリント基板に取付けるために金属カバー110の短辺に沿う二つの 面からプリント基板への取付用端子112をそれぞれ切起し、プリント基 板取付面111から下向きに突出させる。また金属カバー110の後端側 にも2本の取付用端子113を突出形成する。・・・(中略)・・・プリ ント基板にこの発明による多極平形コネクタソケットの取付用端子112 及び113を差し込み、半田槽の上を通過させて、取付用端子112及び 113をプリント基板に半田付する際に、半田に含まれるフラックス等が 金属カバー110の内部に侵入することを阻止することができる。」(段 落【0016】) 3 図1?図3には、金属カバー(110)の内部に、複数のコンタクト( 130)が金属カバーの長辺方向に整列して設けられ、さらに、コンタク ト(130)の露出面は、金属カバー(110)のプリント基板取付面( 111)の上方に、絶縁ボディ(120)のコンタクト支持部(122) を介して配置されている様子が図示されている。 4 図2には、コンタクト(130)の、端子部(132)の反対側の端部 が、多極平型コネクタプラグ(200)のコンタクト(230)と接触す る露出面となっている様子が図示されている。 5 図2及び図5には、複数のコンタクト(130)の端子部(132)が 、絶縁ボディ(120)の後端から、プリント基板取付面(111)とほ ぼ平行に伸長している様子が図示されている。 これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「金属カバー(110)の長辺方向に配列され、絶縁ボディ(120)により支持された複数のコンタクト(130)を前記金属カバー(110)内に有し、当該金属カバー(110)底壁側がプリント基板取付面(111)である多極平型コネクタソケットであって、 前記複数のコンタクト(130)は、多極平型コネクタプラグ(200)と接続される露出面と、プリント基板上に半田付けされる端子部(132)と、を有し、 前記金属カバー(110)の前記プリント基板取付面(111)と、前記複数のコンタクト(130)の露出面との間には、前記絶縁ボディ(120)のコンタクト支持部(122)が設けられ、 前記金属カバー(110)の左右後部には、前記プリント基板上に半田付により固定されるプリント基板取付用端子(113)が設けられており、 前記複数のコンタクト(130)の端子部(132)は、絶縁ボディ(120)の後端から、プリント基板取付面(111)とほぼ平行に伸長し、 前記金属カバー(110)左右側壁前方には、前記金属カバー(110)の左右側壁後部のプリント基板取付用端子(113)と別に、それぞれ、当該金属カバー(110)から切り起こされ、前記プリント配線基板に半田付により固定される別のプリント基板取付用端子(112)が形成されており、 前記金属カバー(110)の前記プリント基板取付面(111)の上方に、絶縁ボディ(120)のコンタクト支持部(122)を介して、コンタクト(130)の露出面が設けられている、 多極平型コネクタソケット。」 また、原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-270125号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面と共に、次の事項が記載されている。 6 「図3は上述したR/Aタイプのコネクタのうち、特に電磁波障害の影 響を可及的に防止するため、プラグとリセプタクルの双方にそれぞれ金属 製のシールドカバーを装着した、従来のシールドカバー付コネクタ1(以 下単にコネクタと言う)の概念斜視図である。」(段落【0004】) 7 「このうち、リセプタクル3は、内部に複数の雄コンタクト2を所定の ピッチで列状に配置したリセプタクルハウジング5と、このリセプタクル ハウジング5の全周を囲繞して装着された金属製の板材からなる矩形状の リセプタクル側シールドカバー6とから構成されている。なお、このリセ プタクル側シールドカバー6の両側方にはそれぞれ一体に一対の舌片6a が形成され、この一対の舌片6aは該舌片6aと対向する位置の印刷配線 板7に形成された矩形状の導電パターン8上に載置され、半田等の固着処 理によりそこに固着されている。なお、この導電パターン8は図示せぬグ ランドに接続されている。」(段落【0006】) 8 図3には、金属製の板材から構成され、その側壁の後部に舌片(6a) が設けられた矩形状のリセプタクル側シールドカバー(6)が図示されて いる。ここで、舌片(6a)は、リセプタクル側シールドカバー(6)の 側壁に連続して設けられ、かつ、リセプタクル側シールドカバー(6)の 側壁から切り起こされたものではないことが記載より明らかであるから、 舌片(6a)はリセプタクル側シールドカバー(6)の底壁から切り起こ されているものと認められる。 第5 対比 本願発明と引用発明とは、どちらも複数の電極を備えたコネクタソケットに関する発明であって、それらを対比すると、引用発明における「金属カバー(110)」、「絶縁ボディ(120)」、「コンタクト(130)」、「プリント基板」、「多極平型コネクタプラグ(200)」、「露出面」、「コンタクト支持部(122)」、「プリント基板取付用端子(113)」、「端子部(132)」及び「プリント基板取付用端子(112)」は、それらの機能及び構造からみて、それぞれ本願発明における「(金属製の)シールドケース」、「絶縁ハウジング」、「コンタクトピン」、「プリント配線基板」、「コネクタプラグ」、「接触端部」、「先端支持部」、「固定手段」、「外部接続端」及び「別の固定手段」に相当する。 また、引用発明における「金属カバー(110)の長辺方向」は、本願発明における「金属製のシールドケースの幅方向」に相当することが、図面の記載より明らかである。 そうすると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりである。 (一致点) 「金属製のシールドケースの幅方向に整列され、絶縁ハウジングにより支持された複数のコンタクトピンを前記シールドケース内に有し、当該シールドケース底壁側がプリント配線基板上に搭載されるようにしたコネクタソケットであって、 前記複数のコンタクトピンは、コネクタプラグと接続される接触端部と、前記プリント配線基板上にハンダ付けされる外部接続端と、を有し、 前記シールドケース底壁と、前記複数のコンタクトピンの接触端部との間には、前記絶縁ハウジングから延長する先端支持部が設けられ、 前記シールドケースの左右後部には、それぞれ、前記プリント配線基板上にハンダ付けにより固定される固定手段が設けられており、 前記複数のコンタクトピンの外部接続端は、前記絶縁ハウジング後端から前記プリント配線基板の搭載面とほぼ平行に伸長し、 前記シールドケース左右側壁前方には、前記シールドケースの左右側壁後部の固定手段と別に、それぞれ、当該シールドケースから切り起こされ、前記プリント配線基板にハンダ付けにより固定される別の固定手段が形成されており、 前記シールドケース底壁の上方には、前記絶縁ハウジングから延長する先端支持部を介して、前記コンタクトピンの接触端部が設けられている、 ことを特徴とするコネクタソケット。」 (相違点1) 本願発明においては、「固定手段」が「左右側壁後部」に設けられ、さらに、「シールドケース底壁から切り起こされ」て形成されているのに対し、引用発明では、左右後部に設けられた「固定手段(プリント基板取付用端子(113))」は、「左右側壁後部」に設けられたものではなく、また、「シールドケース底壁から切り起こされ」て形成されたものでもない点。 (相違点2) 本願発明においては、「(前記)シールドケースの左右側壁後部の固定手段は、(前記)プリント配線基板の搭載面とほぼ平行に伸長する(前記)複数のコンタクトピンの外部接続端の列をその両側から挟むように設けられて」いるのに対し、引用発明における「固定手段(プリント基板取付用端子(113))」は、複数の「コンタクトピン(コンタクト)」の「外部接続端(端子部)」の列をその両側から挟むようには設けられていない点。 (相違点3) 本願発明においては、「別の固定手段」が「当該シールドケース底壁から切り起こされ」て形成されており、そのため、「先端支持部」下方に位置する「(前記)シールドケース底壁における(前記)別の固定手段の対応位置には開口が形成されて」おり、「開口の上方には、(前記)絶縁ハウジングから延長する先端支持部を介して、(前記)コンタクトピンの接触端部が設けられている」のに対し、引用発明にみられる「別の固定手段(プリント基板取付用端子(112))」は、「シールドケース(金属ケース)」から切り起こされて形成されたものではあるが、「底壁」からではなく「側壁」から切り起こされており、また、その上方に「先端支持部(コンタクト支持部)」を介して「コンタクトピン(コンタクト)」の「接触端部(露出面)」が設けられた「シールドケース(金属ケース)」の底壁部分に、「開口」は設けられていない点。 第6 判断 1 相違点1について 引用例2には、「印刷配線板(本願「プリント配線基板」に相当)」に半田により固着させるための「舌片(本願「固定手段」に相当)」を、「リセプタクル側シールドカバー(本願「シールドケース」に相当)」の両方の側壁の後部に、「リセプタクル側シールドカバー(シールドケース)」の「底壁から切り起こ」して形成する発明が記載されている(上記、「第4 6?8」参照。)。 そして引用例2に記載された発明は、引用発明同様のコネクタのソケットに関するものであるから、引用発明においても、引用例2に記載された発明に倣い、「固定手段(プリント基板取付用端子(113))」を、「シールドケース(金属ケース)」の「左右側壁後部」に、「シールドケース(金属ケース)の底壁から切り起こされ」て形成したものとして、相違点1に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。 2 相違点2について 引用発明においては、「シールドケース(金属ケース)」の内部に、複数の「コンタクトピン(コンタクト)」が整列して設けられている(上記、「第4 3」参照。)から、「シールドケース(金属ケース)」の左右側壁部は、複数の「コンタクトピン(コンタクト)」の列をその両側から挟むように設けられているものといえる。 そして、上記相違点1についての判断で示したとおり、引用発明において、「固定手段(プリント基板取付用端子(113))」を、「シールドケース(金属ケース)」の「左右側壁後部」に「シールドケース(金属ケース)の底壁から切り起こ」して形成することによって、「固定手段(プリント基板取付用端子(113))」は、複数の「コンタクトピン(コンタクト)」の列をその両側から挟むものとなることが明らかである。 また、例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-220816号公報にみられる、コンタクトピン(15)の列をその両側から挟むように設けたアウターシールドカバー20の足部(34)(第1図、第4図等参照。)や、特開平6-196225号公報にみられる、端子(116,118)のはんだ脚(132)の列をその両側から挟むように設けた取付けポスト(32,54)(第2図、第7図等参照。)等にみられるように、コネクタのシールドケースに設けられる固定手段を、複数のコンタクトピンの外部接続端の列をその両側から挟む位置に設けることは、周知の技術にすぎない。 そうすると、「シールドケースの左右側壁後部の固定手段」を「プリント配線基板の搭載面とほぼ平行に伸長する(前記)複数のコンタクトピンの外部接続端の列をその両側から挟むように設け」て、相違点2に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。 3 相違点3について 「別の固定手段(プリント基板取付用端子(112))」を「シールドケース(金属ケース)」から切り起こして形成するに際し、「底壁」と「側壁」のどちらから切り起こして形成するかは、必要に応じて、適宜選択されうる事項にすぎない。 また、相違点1についての判断中で指摘したとおり、引用例2には、「舌片(本願「固定手段」に相当)」を、「リセプタクル側シールドカバー(シールドケース)」の底壁から切り起こして形成する発明が記載されているから、引用発明においても、別の固定手段(プリント基板取付用端子(112))を、固定手段と同様に、「シールドケース(金属ケース)」の「底壁」から切り起こして形成することは、当業者にとって容易である。 そして、別の固定手段をシールドケースの底壁から切り起こして形成することによって、「シールドケース底壁における別の固定手段の対応位置には開口が形成され」、その「開口の上方には、絶縁ハウジングから延長する先端支持部を介して、コンタクトピンの接触端部」が位置するものとなることは、それぞれの位置関係より明らかである。 したがって、相違点3に係る本願発明の発明特定事項は、当業者が容易に想到し得たものである。 そして、本願発明の効果も、引用発明、引用例2記載のもの及び周知の技術から当業者が予測できる範囲内のものであって、格別なものとはいえない。 第7 むすび したがって、本願発明は、引用発明、引用例2記載のもの及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-02-09 |
結審通知日 | 2007-02-13 |
審決日 | 2007-02-27 |
出願番号 | 特願平11-18584 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01R)
P 1 8・ 561- Z (H01R) P 1 8・ 572- Z (H01R) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 稲垣 浩司 |
特許庁審判長 |
山崎 豊 |
特許庁審判官 |
稲村 正義 中田 誠二郎 |
発明の名称 | コネクタソケット、小型コネクタ、及びUSBコネクタのコネクタソケット |
代理人 | 鷲田 公一 |