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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A23L 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A23L |
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管理番号 | 1156121 |
審判番号 | 不服2005-2155 |
総通号数 | 90 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-01-11 |
確定日 | 2007-04-13 |
事件の表示 | 特願2002-226703「豆腐を詰めたパックの封緘方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 2月 5日出願公開、特開2004- 33193〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成14年7月1日の出願であって、平成16年12月9日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年1月12日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。 2.平成17年1月12日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成17年1月12日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 上記補正は、平成16年9月17日付手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項2の 「殺菌した豆腐の詰まったパックから、隙間の空気を抜いて蓋で密封する、豆腐を詰めたパックの封緘方法。」に、「他の物質と置換しないで」という発明特定事項を加入して、「殺菌した豆腐の詰まったパックから、隙間の空気を、他の物質と置換しないで抜いて、蓋で密封する、豆腐を詰めたパックの封緘方法。」と補正するものである。 しかるに、上記「他の物質と置換しないで」という事項については、願書に最初に添付した明細書のどこにも記載されていないし、同明細書の記載から自明な事項であるともいえないから、本件補正は、該明細書に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。 したがって、本件補正は、特許法17条の2、3項の規定に違反するものであり、特許法159条1項の規定において読み替えて準用する特許法53条1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成17年1月12日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成16年9月17日付手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項2に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項2】殺菌した豆腐の詰まったパックから、隙間の空気を抜いて蓋で密封する、豆腐を詰めたパックの封緘方法。」 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された「特開2001-37437号公報」(以下、「引用例」という。)には、 (a)「包装豆腐の自動充填ラインの、さらし水槽から熱シール機までの搬送ラインにおいて、豆腐の入った容器を斜めに傾斜させて搬送しながらオゾン水をシャワーして容器中のさらし水をオゾン水と置換し、次いで容器を水平に戻した後、再度オゾン水で容器内を満水にすることを特徴とする包装豆腐の殺菌システム。」(特許請求の範囲の請求項1)、 (b)「【0005】【発明の実施の形態】発明の実施の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。図1は本発明のシステムの概念図である。コンベア1、5、6は従来の包装豆腐の自動充填ラインのコンベアで、コンベア1はさらし水槽中でカットした豆腐を、水中で容器に充填して水槽から運び出すコンベアである。コンベア6は下流にカット豆腐入り容器にフィルムで密閉する熱シール機構(図示していない)を有するコンベアで、コンベア5はコンベア6にカット豆腐入り容器を供給するためのコンベアである。コンベア3が本発明の核心をなす装置であり、コンベア2と4は従来のラインとコンベア3とを接続するためのコンベアである。コンベア3とコンベア6の上部にはオゾン水生成機に接続された散水管7と8が設置されており、バルブ9によって2カ所の散水管に供給するオゾン水の比率を調節する。コンベア2、3、4およびオゾン水生成機10の起動スイッチは、いずれもコンベア6の動力スイッチと連動するようにしている。 【0006】コンベア3は、プーリーで駆動される4?6本の丸ベルト11からなり、容器を水平から斜めに傾斜させて容器中のさらし水を排出するゾーン(図のa)と、容器を傾斜させて搬送しつつオゾン水をシャワーしてさらし水とオゾン水を置換するゾーン(図のb)、および傾斜した容器を水平に戻すゾーン(図のc)からなっている。コンベア3の下部には排水受けトレー12が設置されており、コンベア3で排出される水は排水ダクトに導かれる。 【0007】図2は、図1のbゾーンの矢印A-A´の断面図である。傾斜した容器はガイドレール13に支えられ、容器の側面がガイドレール面をスライドしながら搬送される。容器の傾斜角度は30?45度(水平を0度として)とするのがよい。傾斜角度を30度より小さくすると、さらし水とオゾン水の置換が悪くなって殺菌効果が低くなり、45度より大きくすると、豆腐が容器からこぼれ落ちやすくなる。bゾーンの長さは0.5?1mとするのがよい。0.5mより短くすると、さらし水とオゾン水の置換が不十分になるので好ましくない。1mより長くするとさらし水とオゾン水の置換率は向上するが、無駄になるオゾン水が増える。 【0008】散水管は、パイプに1?5mmの孔を1?10cm間隔に1列に開けたものを用いる。散水管の長さは、コンベア3ではゾーンの長さと一致させるのが好ましく、コンベア6では容器2?4個分の長さ(20?50cm)にするのがよい。コンベア6で散水量が不足して容器が満水にならないうちに熱シールされてしまうと、包装豆腐の中に空気が封入され、次工程のチラー水槽中で浮き上がって冷却不足になるなどのトラブルが発生するので、2カ所の散水管に供給するオゾン水の比率は、コンベア6で水量不足にならないように決める。」(段落【0005】ないし【0008】)と記載されている。 上記摘示(a)の「豆腐の入った容器を斜めに傾斜させて搬送しながらオゾン水をシャワーして容器中のさらし水をオゾン水と置換し」ということは、摘示(b)の段落【0007】の「傾斜角度を30度より小さくすると、さらし水とオゾン水の置換が悪くなって殺菌効果が低くなり」との記載に照らし、オゾン水は殺菌作用を有しており、さらし水と置換したオゾン水により、容器内の豆腐は殺菌された状態になっていると解される。そして、摘示(b)の段落【0008】の「コンベア6で散水量が不足して容器が満水にならないうちに熱シールされてしまうと、包装豆腐の中に空気が封入され」という記載によれば、引用例に係る包装豆腐は、空気が封入されていない状態で熱シールされるものと解される。 これらを踏まえ、摘示(a)を見ると、引用例には、「さらし水槽から熱シール機までの搬送ラインにおいて、豆腐の入った容器を斜めに傾斜させて搬送しながらオゾン水をシャワーして容器中のさらし水をオゾン水と置換して豆腐を殺菌し、次いで殺菌された豆腐の入った容器を水平に戻した後、再度オゾン水で容器内を満水にすることにより空気が封入されない状態で熱シールする包装豆腐の殺菌システム」という発明が記載されているといえる。 (3)対比・判断 本願発明と引用例に記載された発明を対比するに、引用例における豆腐の入った容器を熱シールすることは、容器を蓋で密封して封緘することであるから、両者は、「殺菌した豆腐の詰まったパックから、隙間の空気を抜いて蓋で密封する、豆腐を詰めたパックの封緘方法」の点で一致し、両者間に構成上の差異はない。 したがって、本願発明は、引用例に記載された発明である。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 したがって、本出願に係る他の請求項について検討するまでもなく、本出願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-01-29 |
結審通知日 | 2007-02-06 |
審決日 | 2007-02-21 |
出願番号 | 特願2002-226703(P2002-226703) |
審決分類 |
P
1
8・
561-
Z
(A23L)
P 1 8・ 113- Z (A23L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 内田 淳子、中島 庸子 |
特許庁審判長 |
田中 久直 |
特許庁審判官 |
河野 直樹 鈴木 恵理子 |
発明の名称 | 豆腐を詰めたパックの封緘方法 |