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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1156282
審判番号 不服2005-13408  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-07-14 
確定日 2007-04-19 
事件の表示 特願2003-386818「半導体装置及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 6月 9日出願公開、特開2005-150456〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成15年11月17日の出願であって、その請求項1?8に係る発明は、平成17年8月9日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項2に係る発明(以下、「本願発明2」という。)は次のとおりである。

「表面及び裏面を有するダイパッド部と、
第1の辺と前記第1の辺に対向する第2の辺とを有し、第1電極部が形成された表面と前記ダイパッド部の前記表面に固定された裏面とを有する矩形の第1半導体チップと、
第3の辺と前記第3の辺に対向する第4の辺とを有し、第2電極部が形成された表面と前記第1半導体チップの表面に固定された裏面とを有する矩形の第2半導体チップと、
前記第1及び第2電極部に電気的に接続されたリード端子部と、
前記ダイパッド部、前記第1及び第2半導体チップを封止する樹脂封止体とを備え、
前記第2半導体チップの前記第4の辺は、前記第1半導体チップの前記第2の辺から突出し、
前記ダイパッド部の縁部は、前記第1半導体チップの前記第1の辺及び前記第2の辺から突出していると共に、前記第2半導体チップの前記第4の辺からも突出し、
前記第1の辺及び前記第4の辺は、平面視において前記ダイパッド部に包含されていることを特徴とする半導体装置。」

2.引用刊行物及びその摘記事項
原査定の拒絶の理由に引用した本願出願前に国内に頒布された下記の刊行物1には、次の事項が記載されている。

刊行物1:特開平2002-231882号公報(拒絶理由通知の引用文 献2)

<刊行物1の摘記事項>
a.「【0022】実施の形態1.実施の形態1を、同一半導体チップ2個を封止樹脂で封止厚み寸法を1mmで封止して二方向に外部リードを引き出すTSOP(Thin Small Out-line Package)型半導体装置の略半分の封止厚みで構成する半導体装置で説明する。
【0023】図1は、この実施の形態1である半導体装置の断面図で、・・・図3は、実施の形態1である半導体装置の封止樹脂を省略して示した平面図である。・・・
【0024】図1に示す第1の半導体チップ13の裏面13bはダイパッド11の第1面11aに接合材12を介して固定する。第2の半導体チップ15の裏面15bは第1の半導体チップ13の能動面13a(主面)に階段状に重ねて接合材14で固定し積層半導体チップを構成する。第1の半導体チップ13の上に第2の半導体チップ15を重ね合わせるときに、図3に示すように、第1の半導体チップ13の主面13aに設けたパッド10が第2の半導体チップ15と重ならないようにL3だけ階段状にずらせて固定する。図3では、同一寸法で同一機能を有する外周辺の1辺にパッドが配置された半導体チップ2個を同方向に重ねた後半導体チップ15を半導体チップ13を基準にして180度面内で回転して、かつ、長辺方向にL3ずらしている。」(段落0022?段落0024)

b.「【0041】実施例1.厚みが0.55mmの半導体装置を図5で説明する。インナーリード17とダイパッド11とダイパッド吊りリードとタイバーとフレーム枠とセクションバーとその他TSOPパッケージに用いられるリードフレームと同様に構成した厚みが0.125mmのリードフレームを準備する。
【0042】ダイパッド11c平面板厚が0.050±0.02mmとなるように0.125mmを0.075mm削除して、ダイパッド11の平面部分11cが吊りリード11dとインナーリード17より薄く構成している。また、ダイパッド11b面は、図2に示すようにダイパッド吊りリード11c部分で折り曲げ加工されていてインナーリード17b面とL7=0.1mmだけ段差をつけている。(ダイパッド沈めという。)
【0043】半導体チップは能動面の外周近傍の一辺に沿ってパッド10を配置した厚みが145±10μmの同一寸法で同一機能のメモリ半導体チップ13と15の2個を準備する。ダイパッド面11cに厚みが25μm厚みのテープ状の接合材12で固定して、下側のメモリ半導体チップ13の能動面13aと上側のメモリ半導体チップ15(実施例1の場合メモリ半導体チップ13と同一である。)との裏面15bとを厚みが25μm厚みの接合材14で固定する。
【0044】このとき、下段のメモリ半導体チップ13を基準にして上段のメモリ半導体チップ15を180度回転させて、かつ、上側の半導体チップ15が下側のメモリ半導体チップ13のパッド10と重なって塞がないようにL3=1.0mm長辺方向にずらして階段状に固定すると図3に示すパッド10と20とが対向する左右外周辺の2辺に配置された積層半導体チップとなる。」(段落0041?段落0044)

c.「【0062】実施の形態2.2個の同一メモリ半導体チップで積層半導体チップを構成する場合に、下段側のメモリ半導体チップに対して上段側のメモリ半導体チップを単に平行に階段状にずらして固定した積層半導体チップで超薄型半導体装置を構成する方法を実施の形態2で説明する。
【0063】図6は、実施の形態2である半導体装置の断面図。図7は、図6の封止樹脂を省略して示した平面図。・・・尚、実施の形態1で説明した同一製造プロセスについては重複する部分の説明を省略する。
【0064】リードフレームは図6に示すように、実施の形態1に用いるリードフレームのインナーリード17の先端部分にエッチングもしくはプレス加工追加してインナーリード先端面17cに段差を形成する。ダイパッド面11aは半導体チップを固定する領域の面11cがエッチング加工で薄く形成されている。実施の形態2に用いるリードフレームの構成で実施の形態1に用いるリードフレームと同一の構成については説明を省略する。
【0065】図6に示す、第1の半導体チップ13の裏面13bはダイパッド11の第1面11cに接合材12を介して固定する。第2の半導体チップ15(第1の半導体チップと同一寸法同一機能。)の裏面15bは第1の半導体チップ13の主面13aに接着材14を介して固定して積層半導体チップを構成する。このとき、半導体チップ13と15とは図7に示すように同一の辺側にパッドがくるように(図6では左側の1辺に構成。)重ねた状態から、下段の第1の半導体チップ13に設けたパッド10を重ねた上段側の第2の半導体チップ15が覆わないように、上段の半導体チップをL3だけ半導体チップを平行にずらせて階段状に固定する。」(段落0062?段落0065)

d.「【0071】実施例1.実施の形態2に係わる積層半導体装置を厚みが0.55mmの超薄型半導体装置に適用した一例を実施例1で図6および図7で説明する。インナーリード17とダイパッド11とダイパッド吊りリードとタイバーとフレーム枠とセクションバーとその他TSOPパッケージに用いられるリードフレームと同様に構成した厚みが0.125mmのリードフレームを準備する。
【0072】図6に示すダイパッド11の第1面11aには図7に示す半導体チップ13を接合する領域を0.075±0.025mmエッチングして掘り込み加工して接合面11cを形成し、ダイパッド11は対向する2辺の各辺(長辺)を各2本ずつ一対の吊りリード11dでリードフレームの枠部(図示せず。)に保持している。
【0073】ダイパッド11と吊りリード11dを設けた辺と直交した対向する2辺(短辺)の外周側には絶縁隙間を設けて整列して配置したインナーリード17と外部リード19とインナーリードとを連続形成してリードフレームの枠部(図示せず。)に保持している。
【0074】ダイパッド11の第1の面11aとインナーリード17の第1の面17aとは図6に示すL7=0.1mmの段差を設ける。この段差はダイパッド吊りリード11d部で折り曲げて0.1mmのダイパッド沈めで形成する。
・・・
【0076】・・・下段側のメモリ半導体チップ13の能動面13aと積層される上段側のメモリ半導体チップ15との裏面15bとを厚みが0.025mmの接合材14で固定すると、上段と下段のメモリ半導体チップ13と15とのパッド10と20とが積層半導体チップの外周1辺に平行にL3ずれて階段状に形成される。」(段落0071?段落0076)

e.「【0120】実施の形態1と実施の形態2と実施の形態3とでダイパッド沈めしたダイパッド寸法が半導体チップ寸法より大きなダイパッドで説明したが、半導体チップよりもダイパッドの寸法が小さな小ダイパッドでも、また、額縁状のダイパッド吊りリード補強を備えた額縁つき小ダイパッドであっても同様の効果を奏する。」(段落0120)

3.対比・判断
上記刊行物1の図6、図7及び図6、図7に関連する説明の記載(摘記事項c、d)からみて、第1の半導体チップの左右の短辺の内、一方が第1の辺、他方が第2の辺に相当し、第2の半導体チップの左右の短辺の内、一方が第3の辺、他方が第4の辺に相当することは明らかである。
してみると、刊行物1には、表面と裏面とを有するダイパッドと、第1の辺とその辺に対向する第2の辺とを有し、能動面が形成された主面とダイパッドの表面に固定された裏面とを有する第1の半導体チップと、第3の辺とその辺に対向する第4の辺とを有し、能動面が形成された主面と第1の半導体チップの主面に固定された裏面とを有する第2の半導体チップと、第1、2の半導体チップの能動面に電気的に接続された外部リードと、第1、2の半導体チップのそれぞれの能動面の外周近傍一辺に設けた複数のパッドと、ダイパッド、第1、第2の半導体チップを封止する封止樹脂とを備えて、さらに、第2の半導体チップの第4の辺は第1の半導体チップの第2の辺から突出し、ダイパッドの縁部は第1の半導体チップの第1の辺と第2の辺から突出している半導体装置に関する発明が記載されていることになる。

そこで、上記本願発明2と刊行物1に記載の発明とを対比すると、刊行物1に記載の「第1の半導体チップの能動面の外周近傍一辺に設けた複数のパッド」、「第2の半導体チップの能動面の外周近傍一辺に設けた複数のパッド」は、それぞれ本願発明2の「第1電極部」、「第2電極部」に相当し、刊行物1に記載の「外部リード」の端部は本願発明2の「リード端子部」に相当する。
また、平面図とは、平面視したときの構造を示す図面に外ならない。刊行物1の図6に記載された半導体装置の平面図を示す図7には、第1、2の半導体チップの外周より外側に、ダイパッド面11aと第1の半導体チップを固定するダイパッド面11c(ダイパッド沈め)とを示す二重線で囲まれた区域が記載されている。発明の詳細な説明の記載からみると、第2の半導体チップの第4の辺の外側にダイパッド面11c(ダイパッド沈め)の縁部が位置することになるから、ダイパッドの縁部は第2の半導体チップの第4の辺から突出した構成が示されている。
そうすると、両者は、「表面及び裏面を有するダイパッド部と、第1の辺と前記第1の辺に対向する第2の辺とを有し、第1電極部が形成された表面と前記ダイパッド部の前記表面に固定された裏面とを有する矩形の第1半導体チップと、第3の辺と前記第3の辺に対向する第4の辺とを有し、第2電極部が形成された表面と前記第1半導体チップの表面に固定された裏面とを有する矩形の第2半導体チップと、前記第1及び第2電極部に電気的に接続されたリード端子部と、前記ダイパッド部、前記第1及び第2半導体チップを封止する樹脂封止体とを備え、前記第2半導体チップの前記第4の辺は、前記第1半導体チップの前記第2の辺から突出し、前記ダイパッド部の縁部は、前記第1半導体チップの前記第1の辺及び前記第2の辺から突出していると共に、前記第2半導体チップの前記第4の辺からも突出し、
前記第1の辺及び前記第4の辺は、平面視において前記ダイパッド部に包含されている半導体装置」の点で一致し、相違点はない。

そして、上記の図6に記載されたダイパッドの縁部と第2の半導体チップの第4の辺との位置関係については、ダイパッドの縁部が第2の半導体チップの第4の辺から突出することを排除するものではないこと、さらに、明細書の段落0120(摘記事項e)には、実施の形態2について、「ダイパッド沈めしたダイパッド寸法が半導体チップ寸法より大きなダイパッドで説明した」と記載されていること、すなわち、第1の半導体チップの第2の辺はもとより、第2の半導体チップの第4の辺についてもダイパッドの縁部の方が突出しているとしても矛盾しないことを考慮すると、上記の図7に記載されたとおり、ダイパッドの縁部は第2の半導体チップの第4の辺から突出している半導体装置が記載されている。
しかも、刊行物1の実施の形態1の半導体装置の平面図を示す図3、及び実施の形態1の実施例1の半導体装置の断面図を示す図5には、それぞれダイパッドの縁部が第2の半導体チップの第4の辺から突出している記載が認められる(図3、図5に関連する説明(摘記事項a、b)を参照。)ことからも、上記の判断を裏付けることができる。

したがって、本願発明2は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項2に係る発明は特許を受けることができないものであり、他の請求項1、3?8に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-02-14 
結審通知日 2007-02-20 
審決日 2007-03-07 
出願番号 特願2003-386818(P2003-386818)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和瀬田 芳正今井 拓也  
特許庁審判長 岡 和久
特許庁審判官 正山 旭
綿谷 晶廣
発明の名称 半導体装置及びその製造方法  
代理人 福田 浩志  
代理人 中島 淳  
代理人 西元 勝一  
代理人 加藤 和詳  

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