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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B
管理番号 1156388
審判番号 不服2004-19747  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-24 
確定日 2007-04-26 
事件の表示 特願2003-336920「情報処理装置、情報記録装置、情報処理システム、及び情報記録方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年11月 4日出願公開、特開2004-310972〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明

本願は、平成15年9月29日(優先権主張 平成15年3月25日)の出願であって、請求項1乃至27に係る発明は、平成17年9月12日付けの手続補正により補正された明細書の、特許請求の範囲の請求項1乃至27に記載されたとおりのものであると認める。
そのうち、請求項17に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項17】
ユーザデータを記録するデータ領域を各々有するアドレスが連続した第1の記録層と第2の記録層とを持つ情報記録媒体を対象として記録を行う情報記録方法であって、
前記情報記録媒体に予め設定されている初期データ領域の範囲内で前記第1の記録層のデータ領域の範囲を変更設定するデータ領域変更設定ステップと、
前記第2の記録層のデータ領域を変更設定された前記第1の記録層のデータ領域と同一半径位置に相当する領域に設定するステップと、
を備える情報記録方法。」


2.引用例

これに対し、当審において、平成17年7月8日付けで通知した拒絶理由通知に引用した、特開平9-259438号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。

(ア)
「【0007】そこで、本発明は、多層式ディスクにおいて、上下に隣接する記録層のデータトラックに対してヘッドが連続してデータをアクセスする場合に、そのアクセス時間を短縮することができる多層式ディスクを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発明の原理構成を図1に示す。本発明では、図1に示すように、データを記録するデータトラックが螺旋状に形成されているディスク状の記録層が複数層配置されて構成される多層式ディスクにおいて、例えば、3層のディスク状の記録層1,2,3が重ね合わされて形成される多層式ディスク10において、各ディスク状の記録層1,2,3上のデータトラックの螺旋形状を、データトラックにアクセスするヘッド5が位置する側から見て、右旋回螺旋形状と左旋回螺旋形状とが交互に配置されるようにしたことを特徴としている。
【0009】この場合、螺旋形状のデータトラックへのデータの記録方向を、ディスクの内周部から外周部に向かう方向と、ディスクの外周部から内周部に向かう方向の2種類とし、上下に隣接する各記録層では、データトラックへのデータの記録方向がそれぞれ異なるように構成する。また、多層式ディスクが読み出し専用のディスクである場合には、各記録層上のデータトラックに記録されるデータの記録長を略均等とし、かつ、データを各記録層上の上下方向に重なり合う位置に記録するようにすれば良い。
【0010】本発明の多層式ディスクによれば、多層ディスクの各記録層に形成されるデータトラックが、交互にディスクの内周側から外周側に向かう方向と、その逆方向に螺旋状になっているので、各記録層に記録されるデータがディスクの最外周部、又は最内周部において連続することになり、上下に隣接する記録層のデータをヘッドが連続してアクセスする場合のヘッドの移動量が最小限で済み、ヘッドのアクセス時間が短縮される。」

(イ)
「【0014】ここで、ヘッド5によるデータの書き込み、又は読み出しが第1の記録層1から第2の記録層2、第3の記録層3の順に行われる場合、第1の記録層1上のデータトラックT1には、データは内周部の螺旋開始点Aから外周部の螺旋の終点Bに向かって記録され、第2の記録層2上のデータトラックT2には、データは外周部の螺旋の終点Cから外周部の螺旋開始点Dに向かって記録され、第3の記録層3上のデータトラックT3には、データは内周部の螺旋開始点Eから外周部の螺旋の終点Fに向かって記録される。このデータの記録方向を多層式ディスク30の垂直断面において示したものを図3(a) に示す。この場合、データのアドレスは、図3(b) に示すように、第1の記録層1の螺旋開始点Aから螺旋の終点Bに向かって大きくなる。また、第1の記録層1の螺旋の終点B(外周部)のアドレスと、第2の記録層2の螺旋の終点C(外周部)のアドレスとは連続しており、第2の記録層2におけるデータのアドレスは、螺旋の終点Cから螺旋開始点Dに向かって大きくなる。同様に、第2の記録層1の螺旋開始点D(内周部)のアドレスと、第3の記録層3の螺旋開始点E(内周部)のアドレスとは連続しており、第3の記録層3におけるデータのアドレスは、螺旋開始点Eから螺旋の終点Dに向かって大きくなる。以上のように構成された実施形態において、ヘッド5が多層式ディスク30上のデータを連続して全て再生する場合、図2(a) に示すように、ヘッド5は多層式ディスク30の第1の記録層1の内周部の点Aからデータの再生を開始し、多層式ディスク30の外周方向に移動していく。ヘッド5が第1の記録層1の外周部の点Bに達したら、ヘッド5はデータの読み出し層を第1の記録層1から第2の記録層2に変更する。ヘッド5の読み出し層の変更は、レーザビームの焦点距離を変えることによって行うことができる。そして、ヘッド5は第2の記録層2の外周部の点Cから引き続いてデータの再生を行い、多層式ディスク30の内周方向に移動していく。この後、ヘッド5が第2の記録層2の内周部の点Dに達したら、ヘッド5はデータの読み出し層を第2の記録層2から第3の記録層3に変更する。更に、ヘッド5は第3の記録層3の内周部の点Eから引き続いてデータの再生を行い、多層式ディスク30の外周方向に移動していき、外周部の点Fで再生を終了する。」

(ウ)
「【0017】また、読み出し層の変更はヘッドに依存しており、高トルクのモータを使用していない安価な駆動装置でも、同様の効果を得ることができる。ところで、多層式ディスクが読み出し専用のディスクである場合において、データを最初の記録層から順に書き込めるだけ書き込むようにすると、最後の記録層に書き込んだデータが、その記録層の記憶容量に対して少ない場合、ヘッドがデータの最後まで読み出した後にデータの最初に戻る場合のアクセス時間が大きくなってしまう。これを解決した本発明の第2の実施形態の多層式ディスクを、以下に図4,図5を用いて説明する。
【0018】まず、多層式ディスクが2層式ディスク20であり、1層の記憶容量が5ギガバイトである場合について図4(a) から(c) を用いて説明する。書き込みデータが図4(a) に示すような8ギガバイトのデータであるとする。ここで、図4(b) に示すように、データを第1の記録層1にその記憶容量一杯に5ギガバイトが書き込まれ、次いで、第2の記録層2に残りの3ギガバイトのデータが書き込まれた場合について考える。このような2層式ディスク20を再生する場合、図示しないヘッドにより、まず、第1の記録層1に記録された5ギガバイトのデータが第1の記録層1の内周部から外周部に向かって読み出され、次いで、第2の記録層2のデータが外周部から内周部に向かって読み出される。そして、第2の記録層2のデータの読み出しが終了した後、再び第1の記録層1の最初の部分のデータを読み出す場合は、ヘッドは第2の記録層2の内周側に記録されたデータの末尾部分から、データのない2ギガバイト分のデータ記録領域を移動して第1の記録層1の最内周部に移動しなければならない。よって、2層式ディスク20に記録されたデータを何回も繰り返して再生するような場合、2層式ディスク20に記録された全てのデータの読み出しを終えた後に、図4(b) に点線で示すように、ヘッドが2ギガバイト分のデータ記録領域を移動するアクセス時間が必要になってしまう。
【0019】このような問題点に鑑み、本発明では、読み出し専用の多層式ディスクにデータを書き込む場合に、各記録層上のデータトラックに記録されるデータの記録長を略均等とし、かつ、各記録層上の上下方向に重なり合う位置に記録するようにしている。例えば、書き込みデータが図4(a) に示すような8ギガバイトのデータを2層式ディスク20に書き込む場合は、このデータを二等分した4ギガバイトのデータを、図4(c) に示すように、データを第1の記録層1と第2の記録層2に分配して書き込む。そして、第1の記録層1と第2の記録層2に分配して書き込むデータは、2層式ディスク20の軸線方向に重なるように書き込む。
【0020】図4(c) のようにデータが記録された2層式ディスク20を再生する場合は、第1の記録層1のデータの先端部と第2の記録層のデータの末尾が略一致し、第1の記録層1のデータの末尾と第2の記録層2のデータの先端部とが一致するので、2層式ディスク20に記録されたデータを何回も繰り返して再生するような場合でも、ヘッドのアクセス距離が短くなり、ランダムアクセスに対してもアクセス性能が向上する。」

(エ)
「【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層式ディスクの構成を示す原理構成図である。
【図2】本発明の多層式ディスクの一実施形態の構成を示す組立斜視図である。
【図3】(a) は図2の多層式ディスクの各記録層へのデータの記録方向の一例を示す説明図、(b) は(a) のデータのアドレスを示す説明図である。
【図4】(a) は2層式ディスクに記録すべきデータ量の一例を示す説明図、(b) は(a)のデータ量を各記録層の容量一杯に2層式ディスクに記録する場合の問題点を説明する説明図、(c) は(a) のデータ量をデータ記録層を2層の多層式ディスクに略均等に振り分ける場合の本発明の実施例を説明する説明図である。
【図5】(a) は3層式ディスクに記録すべきデータ量の一例を示す説明図、(b) は(a)のデータ量を各記録層の容量一杯に3層式ディスクに記録する場合の問題点を説明する説明図、(c) は(a) のデータ量をデータ記録層を3層の多層式ディスクに略均等に振り分ける場合の本発明の実施例を説明する説明図である。」

引用例には、形式上、物の発明である「多層式ディスク」に関して記載がされているが、上記摘記部分の、「データを記録するデータトラック」、「データの記録方向」、「・・・に記録するようにすれば良い」、「ヘッド5によるデータの書き込み、又は読み出しが第1の記録層1から第2の記録層2、第3の記録層3の順に行われる場合」、「多層式ディスクにデータを書き込む場合」等からは、データの記録方法についての技術事項が把握されることも踏まえ、図面も総合勘案すると、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「2層式ディスクの各記録層上のデータトラックにデータを記録する情報記録方法であって、
第1の記録層1上のデータトラックには、データは内周部の螺旋開始点Aから外周部の螺旋の終点Bに向かって記録され、第2の記録層2上のデータトラックには、データは外周部の螺旋の終点Cから外周部の螺旋開始点Dに向かって記録され、データのアドレスは、第1の記録層1の螺旋開始点Aから螺旋の終点Bに向かって大きくなり、第1の記録層1の螺旋の終点B(外周部)のアドレスと、第2の記録層2の螺旋の終点C(外周部)のアドレスとは連続しており、第2の記録層2におけるデータのアドレスは、螺旋の終点Cから螺旋開始点Dに向かって大きくなるもので、
前記2層式ディスクにデータを書き込む場合に、1層の記憶容量が5ギガバイトである場合に、書き込みデータが8ギガバイトのデータであるとすると、このデータを二等分した4ギガバイトのデータを、第1の記録層と第2の記録層に分配して書き込み、各記録層上のデータトラックに記録されるデータの記録長を略均等とし、第1の記録層と第2の記録層に分配して書き込むデータは、2層式ディスクの軸線方向、各記録層上の上下方向に重なり合う位置に記録するようにした、
データの記録方法。」


3.対比
本願発明を、引用発明と比較する。
引用発明の「データ」は、本願発明の「ユーザデータ」に相当する。
引用発明の「データトラック」は、ディスク上でデータが記録される記録層上の部分であるから、当該データトラックが存在する領域は本願発明にいう「データ領域」に相当する。
引用発明の「第1の記録層1」と「第2の記録層2」とは、データのアドレスが「第1の記録層1の螺旋開始点Aから螺旋の終点Bに向かって大きくなり、第1の記録層1の螺旋の終点B(外周部)のアドレスと、第2の記録層2の螺旋の終点C(外周部)のアドレスとは連続しており、第2の記録層2におけるデータのアドレスは、螺旋の終点Cから螺旋開始点Dに向かって大きくなる」ものであるから、第1の記録層1及び第2の記録層2のそれぞれにおいて、及び、第1の記録層1と第2の記録層2との間において、アドレスが連続することになるから、本願発明の「アドレスが連続した第1の記録層と第2の記録層」に相当する。
引用発明の「2層式ディスク」は、本願発明の「第1の記録層と第2の記録層とを持つ情報記録媒体」に相当する。
引用発明において、「1層の記憶容量が5ギガバイトである」とは、本願発明の「情報記録媒体(の)データ領域」の容量が5ギガバイトである場合に相当することが明らかである。すると、引用発明において、「書き込みデータが8ギガバイトのデータであるとすると、このデータを二等分した4ギガバイトのデータを、第1の記録層と第2の記録層に分配して書き込み」は、記憶容量が5ギガバイトのデータ領域を、当該データ領域の容量の範囲内である4ギガバイトとして設定することに他ならないから、本願発明の「前記情報記録媒体(の)データ領域の範囲内で前記第1の記録層のデータ領域の範囲を設定するデータ領域設定ステップ」である点に限り共通する。
引用発明において「第1の記録層と第2の記録層に分配して書き込むデータは、2層式ディスクの軸線方向、各記録層上の上下方向に重なり合う位置に記録する」は、「前記第2の記録層のデータ領域を設定された前記第1の記録層のデータ領域と同一半径位置に相当する領域に設定するステップ」である点に限り共通する。
引用発明の「データの記録方法」は、本願発明の「情報記録方法」に相当する。

すると、本願発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。なお、以下において、下線は、検討の便宜上、当審で付した。

〈一致点〉
「ユーザデータを記録するデータ領域を各々有するアドレスが連続した第1の記録層と第2の記録層とを持つ情報記録媒体(の)記録を行う情報記録方法であって、
前記情報記録媒体(の)データ領域の範囲内で前記第1の記録層のデータ領域の範囲を設定するデータ領域設定ステップと、
前記第2の記録層のデータ領域を設定された前記第1の記録層のデータ領域と同一半径位置に相当する領域に設定するステップと、
を備える情報記録方法。」

〈相違点〉
(相違点1)
本願発明では、「ユーザデータを記録するデータ領域を各々有するアドレスが連続した第1の記録層と第2の記録層とを持つ情報記録媒体を対象として記録を行う」としているのに対し、引用発明において、読み出し専用の多層式ディスクにデータを書き込む場合、「ユーザデータを記録するデータ領域を各々有するアドレスが連続した第1の記録層と第2の記録層とを持つ情報記録媒体」は、記録を行った結果得られるものであって、前記のような情報記録媒体を「対象として」記録を行うものとはいえない点。
(相違点2)
本願発明では、「前記情報記録媒体に予め設定されている初期データ領域の範囲内で前記第1の記録層のデータ領域の範囲を変更設定するデータ領域変更設定ステップ」を備えるとしているのに対し、引用発明では、読み出し専用の多層式ディスクにデータを書き込む場合、情報記録媒体に「予め設定されている初期データ領域」を有するものではなく、したがって第1の記録層のデータ領域の範囲を「予め設定されている初期データ領域」の範囲内で「変更」設定する「変更」設定ステップを有するとはいえず、これに伴って、本願発明の「第2の記録層のデータ領域を変更設定された第1の記録層のデータ領域と同一半径位置に相当する領域に設定する」点についても、引用発明では「変更」設定された第1の記録層と同一半径位置に相当する領域に設定するものとはいえない点。


4.判断
(相違点1について)
引用例によると、引用発明は再生専用ディスクの場合とされているものの、そもそも、データの「記録方法」を記録可能な光ディスクにおいても適用しようとすることは、ごく自然な発想にすぎない。
又、引用発明のデータ記録方法には、光ディスクのタイプ(再生専用型、ライトワンス型、または書換可能型等)や物理的な原理(ピット、光磁気、色素、相変化材料等)に関し、特段の制約事項を含むものではなく、もっぱら所定容量のデータの2つの記録層への配分と、記録する際の配置について示したものであることからすると、引用発明のデータ記録方法を記録可能な光ディスクに適用することに関して格別困難な要件も見出せない。
そして、記録可能な2層式光ディスクが「第1及び第2の記録層」及び「ユーザデータを記録するデータ領域」を有するのは自明な事項であり、当該データ領域において連続したアドレスを有することも引用例に例示されているMDをはじめ、CD-R、CD-RW、DVD-R、DVD-RW等、光ディスクにおける常識にすぎない(これらの点については、必要ならば、例えば特開2002-329330号公報、特開2002-216361号公報、特開2002-190117号公報、特開2002-140822号公報等を参照されたい。)のであるから、引用発明のデータの記録方法を、周知の記録可能な2層式光ディスクにおけるデータの記録に適用することで、「ユーザデータを記録するデータ領域を各々有するアドレスが連続した第1の記録層と第2の記録層とを持つ情報記録媒体を対象として記録を行う」ようにすることは、当業者が容易に想到しうるものである。

(相違点2について)
引用発明を記録再生可能なディスクに適用する場合には、引用発明の、
「1層の記憶容量が5ギガバイトである場合に、書き込みデータが8ギガバイトのデータであるとすると、このデータを二等分した4ギガバイトのデータを、第1の記録層と第2の記録層に分配して書き込み、各記録層上のデータトラックに記録されるデータの記録長を略均等とし、第1の記録層と第2の記録層に分配して書き込むデータは、2層式ディスクの軸線方向、各記録層上の上下方向に重なり合う位置に記録する」
との要件のうち、「1層の記憶容量が5ギガバイトである」ことは、第1層について、データを記録するディスクに対して「予め設定されている初期データ領域」の容量が5ギガバイトであることを意味する。又、「4ギガバイトのデータを、第1の記録層と第2の記録層に分配して書き込み」は、第1の記録層について、「予め設定されている初期データ領域」の容量である5ギガバイトの「範囲内で前記第1の記録層のデータ領域の範囲を変更設定する」ことに他ならず、同様に、「第1の記録層と第2の記録層に分配して書き込むデータは、2層式ディスクの軸線方向、各記録層上の上下方向に重なり合う位置に記録する」ことは、第2の記録層について、「前記第2の記録層のデータ領域を変更設定された前記第1の記録層のデータ領域と同一半径位置に相当する領域に設定する」ことに他ならない。
すると、相違点2とした点は、引用発明のデータ記録方法を、周知の記録可能な2層式光ディスクに適用することにより、当然採用される程度の事項にすぎないのものであるから、当業者が容易に想到しうるものである。

又、これらの相違点による作用効果についても、当業者が予測しうる範囲のものにすぎない。
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


5.むすび
以上のとおり、本願の請求項17に係る発明は引用例に記載された発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-02-15 
結審通知日 2007-02-20 
審決日 2007-03-12 
出願番号 特願2003-336920(P2003-336920)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩井 健二齊藤 健一渡邊 聡  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 江畠 博
中野 浩昌
発明の名称 情報処理装置、情報記録装置、情報処理システム、及び情報記録方法  
代理人 伊東 忠彦  

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