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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1156442
審判番号 不服2005-2324  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-10 
確定日 2007-05-15 
事件の表示 平成 6年特許願第214089号「画像再生装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 3月22日出願公開、特開平 8- 77194、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯等
本願は、平成6年9月7日の出願であって、平成12年3月8日付け、平成15年4月3日付け、平成16年4月14日付け、及び平成17年3月11日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載から、本願の請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「撮像された画像を表示手段に再生表示する画像再生装置において、上記撮像された画像を順次、再生表示する検索モードを設定するモード設定手段と、検索モードが設定されたときは、上記撮像された画像から通常再生時よりも粗い密度の表示画像を生成して1つの表示画像を再生表示する第1の制御手段と、上記検索モードが解除されたときは、該検索モードが解除されたときに再生表示されていた画像を通常再生時の密度で再生表示する第2の制御手段と、上記撮像された画像から通常再生時よりも粗い密度の表示画像を生成して所定の配列パターンで配列した複数の画像を再生表示する第3の制御手段とを備えたことを特徴とする画像再生装置。」

2.原審の拒絶理由
平成16年2月10日付けの拒絶理由は、本願発明は特開平5-68164号公報(以下、引用例という。)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

3.引用例
引用例には画像再生装置に関して次の記載がなされている。

(1)【0001】
【産業上の利用分野】本発明は画像を予め圧縮・蓄積しておき、必要に応じて伸張再生して表示する画像再生装置に関し、特に自然画像を扱う静止画像検索装置、静止画像ファイリングシステム、マルチメディア再生装置、グラフィック・ワークステーション等に応用可能な画像再生装置に関するものである。

(2)【0004】次に、逆量子化された周波数領域のデータは逆離散コサイン変換部(DCT-1)15で逆離散コサイン変換され、空間領域のデータに復元される。入力画像はそのままの大きさで表示する場合にはそのまま、また検索等のために縮小したい場合には折り返しによるモアレ縞を防ぐため、2次元サブサンプルプリフィルタであるローパスフィルタ(2D-LPF)22を通される。次に、サブサンプル部(SS)16で縮小する割合に応じて画素の間引きが行われ、縮小された画像データがフレームメモリ(FM)17に書き込まれる。そして、フレームメモリ17からビデオ表示タイミングにて画像データが読み出され、CRT18に表示される。

(3)【0009】尚、以下の説明では、画像再生装置として画像検索再生装置を例に説明する。図1は、本実施例での画像検索再生装置の構成を示す概略ブロック図である。図中、11はディスク装置(DISK)であり、ランレングスコードやハフマンコード等によって圧縮された静止画像データを記憶する。12はバッファメモリ(BUF)であり、ディスク11からの読み出し速度と後述するデコーダ13の処理速度を整合させるものである。13は可変長符号のデコーダ(VLC-1)であり、圧縮静止画像データをデコードする。14は逆量子化部(Q-1)であり、後述するビジビリティマトリクス20とデコードされたデータとを乗算し、周波数領域のデータに復元する。15は逆離散コサイン変換部(DCT-1)であり、周波数領域のデータを空間領域のデータに変換する。
【0010】16はサブサンプル部(SS)であり、後述する制御部19からの制御信号に従って画像データの縮小処理(間引き)を行う。17はフレームメモリ(FM)であり、1フレーム分の表示用データを蓄積するメモリである。18は表示装置(CRT)であり、フレームメモリ17に書き込まれたデータを表示する。19は制御部(CONT)であり、CPU,RAM,ROM等で構成され、後述するアンドゲート21や上述のサブサンプル部16を制御する。20はビジビリティマトリクス(V-MAT)であり、量子化時に用いた人間の視覚特性と圧縮画像に合わせて作成され、例えば図2に示すようなマトリクスである。21はアンドゲート(MASK)であり、画像を縮小する場合に制御部19からの制御信号に従ってビジビリティマトリクス20の高周波成分をマスクする。
【0011】以上の構成において、ディスク11から圧縮された静止画像データがバッファ12に読み出され、その静止画像データは可変長符号のデコーダ13でデコードされる。そして、デコードされたデータは逆量子化部14によって周波数領域のデータに復元される。ここで、画像を縮小する場合は、制御部19が制御信号をアンドゲート21へ出力し、ビジビリティマトリクス20の高周波成分をマスクする。例えば、画像を原画像の長さで1/2(面積で1/4)に縮小する場合、図2に示したビジビリティマトリクス20は、アンドゲート21によってマスクされ、図3に示すように、その高周波成分が除去される。

4.判断
本願発明は「上記撮像された画像を順次、再生表示する検索モードを設定するモード設定手段」及び「検索モードが設定されたときは、上記撮像された画像から通常再生時よりも粗い密度の表示画像を生成して1つの表示画像を再生表示する第1の制御手段」を備えており、検索効率の高いマニュアル検索が可能な画像再生装置を提供することを目的とする(【0007】)ものであるのに対して、引用例には上記3の(2)のように検索のため入力画像を縮小することが記載されており、縮小した画像が本願発明でいう「通常再生時よりも粗い密度の表示画像」であるとしても、それが順次(1つずつ)1つの表示画像として再生表示されることは、記載も示唆もされていない。
引用例の画像再生装置は、上記3の(1)及び(3)のように、ディスク装置等に予め圧縮・蓄積された画像を再生表示するものであり、上記3の(2)及び(3)のとおり、縮小する場合はそのまま表示する場合に対して余分の処理を必要とするものであり、検索のため入力画像を縮小することが本願発明の第1の制御手段のように順次(1つずつ)1つの表示画像として再生表示することであるとすると、検索効率が低下することになってしまう。
そのため、引用例に明記はされていないが、引用例の画像再生装置が検索のため入力画像を縮小することは、拒絶査定で周知例として示された特開平6-22200号公報及び特開昭64-36172号公報に記載されているような、いわゆるマルチ画面再生や、本願発明の「上記撮像された画像から通常再生時よりも粗い密度の表示画像を生成して所定の配列パターンで配列した複数の画像を再生表示する第3の制御手段」による再生表示と同様の表示を行うためのもので、順次(1つずつ)1つの表示画像として再生表示するものとはいえない。
これに対して本願発明は「撮像された画像を表示手段に再生表示する画像再生装置」であり、画像再生装置で撮像の処理を行うものと解釈できるから、第1の制御手段により通常再生時よりも粗い密度の表示画像が順次(1つずつ)1つの表示画像として再生表示されることで検索効率の高いマニュアル検索が可能となり、特に実施例のようにラフスキャン(【0212】、【0213】)を行うものの場合に顕著であるといえる。
また、前置報告書において引用された特開平5-207294号公報には、階層符号化されたデータの一部を用いて、低解像度で、画像群を、連続的に高速に表示することができ、検索者の必要に応じて、特定の画像に対する高解像度の表示を行なうこともできる、画像の表示を高速に行ない、検索の効率を良くするのに好適な画像表示制御システム(【0001】、【0007】)が記載されているが、階層符号化されたデータによるものであり、画像再生装置で撮像された画像を表示手段に再生表示する本願発明とは、対象とするデータが異なるものである。
したがって、本願発明は、周知例等を参酌しても、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

5.むすび
上述のように、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2007-04-25 
出願番号 特願平6-214089
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡辺 努  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 板橋 通孝
加藤 恵一
発明の名称 画像再生装置  
代理人 伊藤 孝夫  
代理人 小谷 悦司  
代理人 樋口 次郎  

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