ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
---|---|
管理番号 | 1156597 |
審判番号 | 不服2003-21503 |
総通号数 | 90 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-11-06 |
確定日 | 2007-05-14 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第 46825号「場所案内文自動作成方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 9月11日出願公開、特開平10-240764、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成9年3月3日の出願であって、平成15年10月1日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年12月8日付で手続補正がなされたものである。 2.本願発明 本願発明は、平成15年12月8日付けの手続補正書によって補正された請求項1ないし請求項4に記載された以下のとおりのものである。 「【請求項1】 要求された目的地に対して,その目的地の場所を案内するための文を,自動的に作成する方法であって, 利用者の要求から,出力する媒体,出力先,および,目的地を抽出し,その目的地に関して,地図データベース,道路ネットワークデータベース,空間オブジェクトネットワークデータベースから該当する範囲のデータを入力する第1の手順と, 前記第1の手順にて入力されたデータに関して,目的地の大まかな場所を特定するための第1のランドマークの候補を選択し,その第1のランドマークから目的地までの経路を抽出し,その第1のランドマークと目的地と経路との位置関係をもとにあらかじめ位置関係の条件に対応して定められた空間語を選択し,空間語の選択に成功した第1のランドマークの候補を第1のランドマークとして選択し,前記空間語を前記第1のランドマークと目的地の位置関係表現として記憶する第2の手順と, 前記第2の手順にて選択された第1のランドマーク,および,位置関係表現に関して,当該地域に含まれる空間オブジェクトに対して,目的地の場所を特定するための第2のランドマークの候補を選択し,その第2のランドマークから目的地までの経路を抽出し,その第2のランドマークと目的地と経路との位置関係をもとにあらかじめ位置関係の条件に対応して定められた空間語を選択し,空間語の選択に成功した第2のランドマークの候補を第2のランドマークとして選択し,前記空間語を前記第2のランドマークと目的地の位置関係表現として記憶する第3の手順と, 前記第2の手順にて選択された第1のランドマークと位置関係表現,および,前記第3の手順にて選択された第2のランドマークと位置関係表現に関して,場所案内文を作成,編集し,出力媒体ごとに,その信号を変換し,設定された出力先に出力する第4の手順と, を有することを特徴とする場所案内文自動作成方法。 【請求項2】 請求項1記載の場所案内文自動作成方法において, 入力された目的地に対して,獲得された地図データから,利用者が当該地区を実際に訪れた時に認知できる空間オブジェクトを,その場所,属性,または,形状により判断し,目的地に対する前記第1および第2のランドマークとして選択する ことを特徴とする場所案内文自動作成方法。 【請求項3】 請求項1記載の場所案内文自動作成方法において, 前記第2の手順および第3の手順におけるランドマークの選択においては,公共施設の場合には値が高く,個人的な施設の場合には値が低く設定されたパラメータαを用い,パラメータαが小さいものより大きい値が設定されたランドマークを優先的に選択し,または形状が大きいもしくは丸い場合には値が高く,形状が小さいもしくは四角い場合には値が低く設定されたパラメータβを用い,パラメータβが小さいものより大きい値が設定されたランドマークを優先的に選択する ことを特徴とする場所案内文自動作成方法。 【請求項4】 要求された目的地に対して,その目的地の場所を案内するための文を,自動的に作成する装置であって, 利用者の要求から,出力する媒体,出力先,および,目的地を抽出し,その目的地に関して,地図データベース,道路ネットワークデータベース,空間オブジェクトネットワークデータベースから該当する範囲のデータを入力する第1の手段と, 前記第1の手段にて入力されたデータに関して,目的地の大まかな場所を特定するための第1のランドマークの候補を選択し,その第1のランドマークから目的地までの経路を抽出し,その第1のランドマークと目的地と経路との位置関係をもとにあらかじめ位置関係の条件に対応して定められた空間語を選択し,空間語の選択に成功した第1のランドマークの候補を第1のランドマークとして選択し,前記空間語を前記第1のランドマークと目的地の位置関係表現として記憶する第2の手段と, 前記第2の手段にて選択された第1のランドマーク,および,位置関係表現に関して,当該地域に含まれる空間オブジェクトに対して,目的地の場所を特定するための第2のランドマークの候補を選択し,その第2のランドマークから目的地までの経路を抽出し,その第2のランドマークと目的地と経路との位置関係をもとにあらかじめ位置関係の条件に対応して定められた空間語を選択し,空間語の選択に成功した第2のランドマークの候補を第2のランドマークとして選択し,前記空間語を前記第2のランドマークと目的地の位置関係表現として記憶する第3の手段と, 前記第2の手段にて選択された第1のランドマークと位置関係表現,および,前記第3の手段にて選択された第2のランドマークと位置関係表現に関して,場所案内文を作成,編集し,出力媒体ごとに,その信号を変換し,設定された出力先に出力する第4の手段と, を有することを特徴とする場所案内文自動作成装置。」 3.原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に頒布された刊行物である特開平6-284212号公報(以下、引用刊行物という。)に記載された発明および周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明できたというものである。 4.対比 引用刊行物には、本願各発明との一致点となる以下の点が記載されていると認められる。 「要求された目的地に対して、その目的地の場所を案内するための文を、自動的に作成する方法(装置)であって、利用者の要求から目的地を抽出し、その目的地に関して、地図データベースから該当する範囲のデータを入力する第1の手順(手段)と、前記手順にて入力されたデータに関して、目的地の大まかな場所を特定するための第1のランドマーク候補を選択し、そのランドマークと目的地との位置関係をもとに第1のランドマークと目的地の位置関係表現を記憶する第2の手順(手段)と、第2の手順(手段)にて選択された第1のランドマークと位置関係表現に関して、場所案内文を作成、編集し、出力する手順(手段)と、を有することを特徴とする場所案内文自動作成方法(装置)」 一方、本願各発明と引用刊行物に記載された発明とは、以下の点で相違が認められる。 <相違点> 本願各発明は、「前記第2の手順にて選択された第1のランドマーク,および,位置関係表現に関して,当該地域に含まれる空間オブジェクトに対して,目的地の場所を特定するための第2のランドマークの候補を選択し,その第2のランドマークから目的地までの経路を抽出し,その第2のランドマークと目的地と経路との位置関係をもとにあらかじめ位置関係の条件に対応して定められた空間語を選択し,空間語の選択に成功した第2のランドマークの候補を第2のランドマークとして選択し,前記空間語を前記第2のランドマークと目的地の位置関係表現として記憶する第3の手順(手段)」を備えるのに対し、引用刊行物には、上記点は記載されていない。 5.判断 上記相違点を検討するに、引用刊行物には、第2の手段にて選択された第1のランドマークに関し、その第1のランドマークの位置を説明するために、定型の案内メッセージを出力する手段を備えており、この案内メッセージで表現される別のランドマークは、本願発明でいう「大まかな場所を特定するための第1のランドマーク」にその属性が類似している。 したがって、引用刊行物において、案内メッセージで表現される別のランドマークを第1のランドマークと考え、そして地図情報から得られた第1のランドマークを第2のランドマークと考えて、別のランドマーク(第1のランドマーク)を先に選択し、その後、第1のランドマーク(第2のランドマーク)を選択するように変えることが考えられないでもない。 しかしながら、引用刊行物において案内メッセージで表現される別のランドマークは、そもそも目的地との関係で地図情報から得られるものでなく、この別のランドマークと目的地との位置関係表現は定めることができないものであり、引用刊行物に記載された案内メッセージに含まれる駅等は、本願発明でいうランドマークに該当しないから、引用刊行物に記載されたものにおいて、単にランドマークの選択順を逆にしたからといって、本願発明を構成できるものではない。 そして、本願発明は、上記相違点により、目的地の位置情報を伝えるわかりやすい案内文が自動生成されるという効果を奏すると認められる。 その他、拒絶査定時に引用した周知技術ないし一般的な技術常識を勘案しても、本願発明が容易に発明できたとすることはできない。 6.むすび 以上のとおり、本願の各発明については、上記引用刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2007-04-16 |
出願番号 | 特願平9-46825 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 紀田 馨、平井 誠、野崎 大進 |
特許庁審判長 |
立川 功 |
特許庁審判官 |
田口 英雄 多賀 実 |
発明の名称 | 場所案内文自動作成方法および装置 |
代理人 | 本山 泰 |
代理人 | 根岸 裕一 |