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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65B
管理番号 1156674
審判番号 不服2004-20509  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-10-04 
確定日 2007-04-09 
事件の表示 平成 6年特許願第522105号「圧縮された可撓性物品のためのパッケージ及びこのパッケージを製造する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年10月13日国際公開、WO94/22739、平成 8年 9月10日国内公表、特表平 8-508455〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成6年3月16日(パリ条約による優先権主張 1993年3月30日、欧州特許機構)を国際出願日とする出願であって、平成16年6月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年10月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成16年11月4日に手続補正がなされたものである。

2 平成16年11月4日にした手続補正(以下、「本件手続補正」という。)についての補正却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
本件手続補正を却下する。
〔理由〕
(1)補正後の本願発明
本件手続補正により、明細書の特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】 複数の圧縮された可撓性吸収性物品が重ねられ、各可撓性吸収性物品は折り縁に沿って折られ、一つのユニットパッケージ(20)に前記複数の圧縮された可撓性吸収性物品が収容され、少なくとも1つの前記ユニットパッケージ(20)が収容されたパッケージにおいて、
前記可撓性吸収物品は、各可撓性吸収物品が折り畳まれた状態で隣接配置され、前記折り縁を有する端部と前記折り縁を有する端部の反対側の端部が互いに接する状態で前記ユニットパッケージに収容されている、ことを特徴とするパッケージ。」と補正された。
上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明の構成に欠くことができない事項である「可撓性吸収性物品」を「圧縮された可撓性吸収性物品」と限定し、「パッケージ」について、「一つのユニットパッケージ(20)に前記複数の圧縮された可撓性吸収性物品が収容され、少なくとも1つの前記ユニットパッケージ(20)が収容された」との限定事項を付加し、可撓性吸収性物品の収容状態について、「前記可撓性吸収物品は、各可撓性吸収物品が折り畳まれた状態で隣接配置され、前記折り縁を有する端部と前記折り縁を有する端部の反対側の端部が互いに接する状態で前記ユニットパッケージに収容されている」と限定するものであり、これらの限定した事項は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されている。
したがって、上記補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第3項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件手続補正後の上記請求項1に記載された事項により構成される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2)引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張日(以下、「優先日」という。)前に頒布された刊行物である特開昭64-9177号公報(以下、「引用例」という。)には、次の記載がある。
a「1.折り畳んだ紙おむつ(1)の複数枚を重ね合せ、圧力をかけながら保護体(2)により胴巻きし、気密性の包材(3)で包装後、脱気シールしたことを特徴とする紙おむつ包装品。」(特許請求の範囲)
b「〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしながら、上記従来のような包装形態では嵩が高く流通段階において保管、陳列に場所を大きくとるという問題点を有しており、コンパクト化が望まれるところである。したがって、この発明は紙おむつの包装形態に工夫を凝らし、紙おむつをコンパクトに包装した紙おむつ包装品を提供することを目的としている。」(1頁左下欄下から2行ないし右下欄7行)
c「〔作用〕 上記手段を施した結果、この発明の紙おむつ包装品は、扁平な直方体状に成形される。」(1頁右下欄13ないし15行)
d「第1図は、この発明に係る紙おむつ包装品の斜視図を示しており、適宜に折り畳んだ紙おむつ(1)の複数枚(…)を抱き合せて重ね、圧力をかけながら紙カートン等の保護体(2)により胴巻きし、この保護体(2)の両端を接着テープやホットメルトにより接着する。そして、気密性の包材(3)によりピロー包装を行い、その後脱気シールしたものである。」(1頁右下欄下から2行ないし3頁左上欄7行)
e「紙おむつ(1)の複数枚を重ね合わせるには、集積抱き合せ機により第3図(a)(b)に示したように重ねるのが好ましく」(2頁左上欄14ないし16行)
f「圧力をかけながら保護体(2)により胴巻きするには、プレス式保護体胴巻き機により第3図(c)?(e)に示したように行われる。圧力条件としては50?500g/cm2とし、圧縮率は紙おむつの品質に影響を与えない範囲とし、この範囲での最大圧縮率は紙おむつの構造によっても異なるが30?90%とした。」(2頁左上欄19行ないし右上欄5行)
以上の記載及び第1図ないし第3図によれば、引用例には、次の発明Aが記載されているものと認められる。
「折縁に沿って折り畳んだ紙おむつ(1)の複数枚を抱き合せて重ね合せ、圧力をかけながら保護体(2)により胴巻きし、保護体(2)の両端を接着し、気密性の包材(3)で包装した紙おむつ包装品。」

(3)対比
本願補正発明と引用例記載の発明Aとを対比すると、まず、引用例記載の発明Aの「紙おむつ(1)」が本願補正発明の「可撓性吸収性物品」に相当することは明らかである。
次に、引用例記載の発明Aでは、「折縁に沿って折り畳んだ紙おむつ(1)の複数枚を抱き合せて重ね合せ、圧力をかけながら保護体(2)により胴巻きし、保護体(2)の両端を接着し」ているから、両端を接着した保護体(2)の中に、折縁に沿って折り畳んだ複数の圧縮された紙おむつ(1)が重ねられて収容されているということができる。そして、本願明細書に「第1図に示されている複合パッケージ10について、より発明の詳細な説明に説明する。この図面は、パッケージの外層となる30ミクロン厚の低密度ポリエチレンのフィルムで形成された被覆19を示している。……紙包装12内に収容されている圧縮された月経帯11のユニットパッケージ20が、被覆内に収容されている。適当なユニットパッケージの別の形体が、第2図、第3図および第4図により明瞭に示されている。第2図は、折り畳まれた吸収物品21を収容するユニットパッケージ20を示しており、吸収物品21は、4辺スリーブによって圧縮状態に維持されている。」(9頁12ないし25行)との記載があり、「ユニットパッケージ(20)」として、圧縮された吸収性物品が紙包装内に収容されたものが例示され、「パッケージ」として、ユニットパッケージが被覆内に収容されたものが例示されていることから、引用例記載の発明Aの「折縁に沿って折り畳んだ紙おむつ(1)の複数枚を抱き合わせて重ね合せ、圧力をかけながら保護体(2)により胴巻きし、保護体(2)の両端を接着し、気密性の包材(3)で包装した紙おむつ包装品」は、本願補正発明の「複数の圧縮された可撓性吸収性物品が重ねられ、各可撓性吸収性物品は折り縁に沿って折られ、一つのユニットパッケージ(20)に前記複数の圧縮された可撓性吸収性物品が収容され、少なくとも1つの前記ユニットパッケージ(20)が収容されたパッケージ」に相当するといえる。
そうすると、両者は、
「複数の圧縮された可撓性吸収性物品が重ねられ、各可撓性吸収性物品は折り縁に沿って折られ、一つのユニットパッケージ(20)に前記複数の圧縮された可撓性吸収性物品が収容され、少なくとも1つの前記ユニットパッケージ(20)が収容されたパッケージにおいて、
前記可撓性吸収(性)物品は、各可撓性吸収(性)物品が折り畳まれた状態で前記ユニットパッケージに収容されているパッケージ」
である点で一致し、次の点で相違する。
相違点
本願補正発明では、前記可撓性吸収(性)物品は、各可撓性吸収(性)物品が折り畳まれた状態で隣接配置され、前記折り縁を有する端部と前記折り縁を有する端部の反対側の端部が互いに接する状態で前記ユニットパッケージに収容されているのに対して、引用例記載の発明Aでは、可撓性吸収性物品は、複数枚を抱き合せて重ね合せた状態でユニットパッケージに収容されている点。

(4)相違点の検討
そこで、上記相違点について検討する。
包装をするために複数の物品を重ねる場合、厚みが均一ではなく一方の端部から他方の端部に向かって薄くなっている形状の物品については、厚い端部と薄い端部が互いに接するように物品を重ねて全体の厚みを等しくすることは、包装の技術分野において従来、普通に行われていることであり、折り畳まれた可撓性のある物品を重ねる場合に、厚みの異なる端部、すなわち、折縁を有する端部と折縁を有する端部と反対側の端部が互いに接する状態で重ねることは、本願の優先日前に周知の技術的事項である(例えば、 実開昭53-68716号公報、 実開昭51-47423号公報参照。)。
そして、引用例記載の発明Aでは、可撓性吸収性物品(紙おむつ)は複数枚を抱き合わせて重ね合せた状態になっており、第3図(a)(b)を参照すると、そのような重ね合わせは、重ねた物品全体の厚みを等しくすることを意図したものであることは、当業者にとって明らかである。
してみると、引用例記載の発明Aにおいて、複数の可撓性吸収性物品の重ね合せ状態として、抱き合せて重ね合せるのに代えて、上記周知の技術的事項を採用して、本願補正発明のようにすることは、当業者が容易になし得たことである。
しかも、本願補正発明が奏する効果も、引用例記載の発明A及び周知の技術的事項から当業者が予測し得たものであり、格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用例記載の発明A及び周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)まとめ
以上のとおり、本件手続補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下されるべきものである。

3 本願発明について
(1)本願発明
上記のとおり、本件手続補正は却下されたので、本願の請求項1ないし13に係る発明は、平成16年4月7日にした手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項11は、次のとおり記載されている。
「【請求項11】 圧縮された可撓性物品のパッケージを作る方法であって、
(a)可撓性物品(11)の1つ以上のスタック(24)を圧縮し、
(b)1つ以上の紙包装(12)を形成し、
(c)被覆(19)を形成し、
(d)上述の工程で得られる圧縮されたスタックの積み重ね、包装および被覆を、適宜組み合わせて完成した複合パッケージ(10)を形成する、
ことを特徴とする方法。」
(以下、請求項11に係る発明を、「本願発明」という。)

(2)引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及び記載事項は、上記2(2)に記載したとおりであり、上記記載aないしf及び第1図ないし第3図によれば、引用例には、次の発明Bが記載されているものと認められる。
「紙おむつ(1)の複数枚を抱き合わせて重ね合せ、圧力をかけながら保護体(2)により胴巻きし、保護体(2)の両端を接着し、気密性の包材(3)で包装して紙おむつ包装品を作る方法。」

(3)対比
本願発明と引用例記載の発明Bとを対比すると、引用例記載の発明Bの「紙おむつ(1)」は、本願発明の「可撓性物品」に相当し、「複数枚を抱き合わせて重ね合せ、圧力をかけながら保護体(2)により胴巻きし、保護体(2)の両端を接着し」たものであり、「圧縮された」ものであるので、引用例記載の発明Bの「紙おむつ包装品」は、本願発明の「圧縮された可撓性物品のパッケージ」及び「複合パッケージ」に相当する。
そして、引用例記載の発明Bの「紙おむつ(1)の複数枚を抱き合せて重ね合せ、圧力をかけ」は、本願発明の「(a)可撓性物品(11)の1つ以上のスタック(24)を圧縮し」に相当し、引用例記載の発明Bの「保護体(2)により胴巻きし、保護体(2)の両端を接着し」は、本願発明の「(b)1つ以上の紙包装(12)を形成し」に相当し、引用例記載の発明Bの「気密性の包材(3)で包装し」は、本願発明の「(c)被覆(19)を形成し」に相当する。
そうすると、両者は、
「圧縮された可撓性物品のパッケージを作る方法であって、
(a)可撓性物品(11)の1つ以上のスタック(24)を圧縮し、
(b)1つ以上の紙包装(12)を形成し、
(c)被覆(19)を形成し、
(d)上述の工程で得られる圧縮されたスタックの積み重ね、包装および被覆を、組み合わせて完成した複合パッケージ(10)を形成する、
方法」
である点で一致し、本願発明が、上述の工程で得られる圧縮されたスタックの積み重ね、包装および被覆を、適宜組み合わせている点で相違する。
しかしながら、本願発明において、圧縮されたスタックの積み重ね、包装および被覆の組み合わせを適宜行うとしても、特別の組み合わせによって作業を行っているものではないから、圧縮されたスタックの積み重ね、包装および被覆の工程を単に適宜組み合わせる程度のことは、当業者であれば容易になし得たことである。
したがって、本願発明は、引用例記載の発明Bに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-11-16 
結審通知日 2006-11-17 
審決日 2006-11-28 
出願番号 特願平6-522105
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B65B)
P 1 8・ 121- Z (B65B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 勝司白川 敬寛  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 関口 勇
中西 一友
発明の名称 圧縮された可撓性物品のためのパッケージ及びこのパッケージを製造する方法  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 吉武 賢次  
代理人 岡田 淳平  
代理人 永井 浩之  

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