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審決分類 審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1156824
審判番号 不服2004-19645  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-22 
確定日 2007-05-09 
事件の表示 特願2003- 31187「プロセス遂行システム及びそのためのコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 4月30日出願公開、特開2004-133878〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年2月7日の出願(国内優先権主張:平成14年8月15日)であって、平成16年8月13日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年9月22日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年10月22日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年10月22日付けの手続補正についての却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年10月22日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「(a)プロセスが、作業遂行時に未知の条件を設定することを必要とする判断工程と判断を伴わずに予め定められた手順でコンピュータ支援のもとに作業を遂行できる作業工程とからなる複数の単位工程に細分化されたコンピュータ読み取り可能なデータと、
(b)ある判断工程において設定された条件を使ってコンピュータ支援のもとに遂行できる工程がすべて作業工程に分類されて当該判断工程に後続してコンピュータ支援のもとに遂行されるように配列されたコンピュータ読み取り可能なデータと、
に基づき、
(c)前記判断工程における作業遂行に必要な前記未知の条件の設定を有するコンピュータ上に前記(a)及び(b)のデータを読み出して、前記コンピュータが、前記未知の条件の設定に基づいて該判断工程を遂行し、これによって作業工程遂行のための条件が生成され、前記コンピュータが、この生成された条件に基づいて前記作業工程を遂行するようにして、一又は一連の判断工程と、この判断工程の終了を条件に遂行可能になる一又は一連の作業工程とからなる一単位プロセスに含まれる複数の工程がコンピュータ支援のもとに連続して遂行されるようにする命令をコンピュータに出力するように構築した作業遂行コンピュータプログラム。」
と補正された。

上記補正は、平成15年11月17日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項に具体的な限定を行うことを目的とするものであって、特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)独立特許要件の判断
特許法29条1項柱書に規定される「産業上利用することができる発明」であるためには、同法2条で定義される「発明」でなければならない。
そこで、本願補正発明が 特許法2条で定義される「発明」、すなわち「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するか否かについて検討する。

本願補正発明は、作業遂行コンピュータプログラムであって、作業遂行の工程を判断工程と作業工程とに分けて、判断工程において条件が設定されると後続する作業工程が実施されるように作業の遂行を支援するものである。ここで、判断工程と作業工程との関係に基づいて作業の遂行を支援すること自体は、自然法則とは何ら関係のない人為的取り決めそのものである。

一方、本願補正発明は、作業遂行コンピュータプログラムであって、作業遂行の支援はソフトウエアを用いた情報処理によって行われると認められる。そして、こうしたソフトウエアを利用するソフトウエア関連発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるためには、ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている必要がある。
ここで、本願補正発明において、ハードウエア資源は「コンピュータ」のみであり、判断工程と作業工程の関係から作業の遂行を支援することについては、コンピュータが行うということが特定されるに留まり、ハードウエアとしてのコンピュータは単なる道具としての使用の域を出ないから、ハードウエア資源を用いた情報処理について具体的な特定がされているとはいえず、本願補正発明は、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されたものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、特許法2条で定義される「発明」、すなわち「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当しない。
よって、本願補正発明は特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3)むすび
以上のとおり、本件補正は特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反するので、特許法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成16年10月22日付けの手続補正は上記2.のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成15年11月17日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「(a)プロセスが、作業遂行時に未知の条件を設定することを必要とする判断工程と判断を伴わずに予め定められた手順でコンピュータ支援のもとに作業を遂行できる作業工程とからなる複数の単位工程に細分化されたコンピュータ読み取り可能なデータと、
(b)ある判断工程において設定された条件を使ってコンピュータ支援のもとに遂行できる工程がすべて作業工程に分類されて当該判断工程に後続してコンピュータ支援のもとに遂行されるように配列されたコンピュータ読み取り可能なデータと、
に基づき、
(c)前記(a)及び(b)のデータをコンピュータ上で読み出して、一又は一連の判断工程と、この判断工程の終了を条件に遂行可能になる一又は一連の作業工程とからなる一単位プロセスに含まれる複数の工程がコンピュータ支援のもとに連続して遂行されるようにする命令をコンピュータに出力するように構築した作業遂行コンピュータプログラム。」

(1)特許法第29条第1項柱書に規定する要件について
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から具体的な限定を省いたものであり、本願発明にも前記2.(2)と同様の理由があてはまるから、本願発明は特許法第2条に規定する「発明」に該当しない。

(2)むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。したがって、本願は他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
 
審理終結日 2007-03-06 
結審通知日 2007-03-12 
審決日 2007-03-26 
出願番号 特願2003-31187(P2003-31187)
審決分類 P 1 8・ 14- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小山 和俊  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 田中 幸雄
松永 稔
発明の名称 プロセス遂行システム及びそのためのコンピュータプログラム  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 小川 信夫  
代理人 中村 稔  
代理人 西島 孝喜  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 大塚 文昭  
代理人 今城 俊夫  
代理人 箱田 篤  
代理人 村社 厚夫  

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